17年間の封印を解いて今明かされる! 聞くも涙の「ゴーバンズ解散秘話」!
── ここから、ちょっと生々しい話になるんですけど、単刀直入にゴーバンズってなんで解散しちゃったんですか? 1994年ゴーバンズ解散という年代数字が僕の中で大化の改新なみにインプットされてるんですけど、ネットもまだなかった時代で、僕たち地方にいるファンは全く状況がわからなくて。
森若:「そうですよね。それに関しては、ほんとに申し訳ないなと思ってます」
── 矢継ぎ早に解散という流れでしたけど、当時って、雑誌の情報なんかはリアルタイムから数えて2カ月前の情報ですから「何が起きたんだ!」っていう。
森若:「なんで解散になっちゃったかって、簡単に言ったらみんな辞めちゃったって言うしかないんですよね。私は『辞めないで』って全員に言ったんだけど」
── えっ!? 森若さんが他のふたりにそう言ったんですか?
森若:「説得を試みましたよ、一生懸命……私。でもみんな『辞める』ってきかなくて(笑)」
── そもそも、なんで辞めちゃったんですか? そろそろひも解いていいのではと思いますけど。
森若:「それぞれのね、そのときの事情があったとは思うんです。まあ、目標が変わってきたんでしょうね。説得シーンはそれはもう全部覚えてますよ。光子はですね『ゴーバンズを抜けてソロでやりたい』、と。それで、私は光子をうちに呼んでサシで話そうと思って、とりあえず鍋を作って。お味噌を入れた味噌鍋を作ってね『まあ話の前に食ってくれ』と鍋を振る舞ったんです。でね、ふたりで鍋をつつきながら自分の思いのたけをね、ゴーバンズへの思い、光子への思いを話したんです。で、光子は何て言うかなーと思ったら」
── なんて言ったんですか!?
森若:「『鍋って味噌もあるんだ』って」
── 温度差ありすぎ!(笑)
森若:「あれは衝撃だったなぁ(笑)。口を開いたかと思ったら『ポン酢のお鍋しか食べたことない』とか、そんなんだったから『もう私と光子はダメかもしれない!』って思ったのをすごく覚えてる」
── 凄まじ過ぎる真実ですね……。
森若:「初期の頃にいたギターのアヤちゃん(富田綾子)の時は『違うバンドをやる』っていってきて」
── たしか「さかな」でしたっけ。
森若:「そう、さかな。それからはもう、さかなのアヤちゃんのパートナーを恋敵を見るように『チッ!あいつかッ!』って思いながら見てたなぁ。家も近所だったから『さかなよりゴーバンズのほうがいいと思う』って書いた手紙を家のポストに入れたりして。まるで、ストーカーのよう(笑)」
── いやぁ、いい話ですよ。
森若:「美砂のときも、この話も結構すごい話なんだけど…。ケーブルテレビかなんかの占い番組にゴーバンズがゲストで出る仕事があって、そのときに、ありえないダブルブッキングを初めて食らったの。で、とりあえず、その番組には美砂だけが行くことになって。私は『いいなー、占い』みたいな感じだったんだけど。でね、当時ゴーバンズは光子が辞めて美砂と私のふたりで『どうしようかなー、ほかのメンバーを入れたほうがいいのかな』って思ってたんですよ。そしたら、美砂が突然『ゴーバンズを辞める』って言いだして『なんでっ!?』って聞いたら、その占い番組で占い師に『ゴーバンズはもうやめたほうがいい』と言われた、って(笑)」
── 占い師に辞めた方がいいって言われただけで!? しかも何なんですかその占い師は! 営業妨害ですよ。
森若:「それがね、(スピリチャル・カウンセラーの)江原啓之さんだったんですよ。
── ええーっ!!!
森若:「そのときはまだ全然、今みたいに有名じゃなかったんですけどね」
── それ、正直納得できないですね。
森若:「納得できないよ! でも、美砂はすっごく何かを感じたらしくて……。まぁもともとちょっとね、そういう世界に敏感な女の子だったから……。とにもかくにも『とにかく今、私はゴーバンズを辞めなければいけない』って。私は、参宮橋のロイヤルホストでそれを聞いて『おかしくねえか!?』って説得したんだけど、結局、美砂も辞めちゃった(笑)」
── 谷島美砂さんがやめたら、ふたりしかいないわけですから、イコール解散?
森若:「解散っていうより『ええーっ! 誰もいなくなっちゃった』って、そんな感じだったなぁ」
── もちろん、森若さんは解散させたくなかったんですよね。
森若:「もちろんですよ。でもまぁ、辞めるって決まってから一応ライブとかはやりましたけど、大々的に『解散します!』っていうよりも、なんとなく『ゴーバンズはどっかになくなってしまいました』っていう感じで(笑)」
── それが、ゴーバンズ難民を生んだ要因ですね。ゴーバンズをいきなり失ってどこにも行けなくなった人たちがいるんですよ。
森若:「ホント、いまだにそれは平謝りです」
── なので『SMAP×SMAP』においてのゴーバンズの一夜の再結成(2009年1月19日放送)は当時のファンには奇跡でした!
森若:「『懐かしの人』みたいな番組のオファーはすごく来るんですよ。あの人に会いたい系の番組とか。私は全然いいんですけど、とにかくバンド単位じゃ無理だったんですよね。美砂と光子が無理。私のところに連絡来るから、今まで私が全部断ってたの。でも、スマスマはね、すごくマメに、延べ1年ぐらいずっと丁寧なオファーがあって、"難民"の人たちのことも頭にずっとあったから、『あの時はありがとうございましたー。元気ですよー』みたいな感じで出たほうがかっこよくない?っていうことで、美砂と光子の2人をまた説得したんです(笑)」
── よく説得できましたね。ちなみに、再会したのはまさかテレビ局で?
森若:「そのまさかです(苦笑)。もうね、すっごい緊張した。SMAPは全然目に入ってなかった(苦笑)。結構2人は楽しそうにしてたけど。アタシはビクビクしちゃって。フラれた元カレに会うみたいな感じ。だって、フった方が楽じゃないですか(笑)」
── 楽っていうか、まあ、ちょっと目線や気分は"上"ですよね。
森若:「そうそう。だからさ、楽屋でも(ガチガチで)『失礼しまっす!』みたいな、そんな感じで。解散後、連絡を取り合うこともほとんどなかったから」
── 音信不通になっちゃってたんですか……。
森若:「全然、連絡先もわかんなかった。でも、やっぱりアタシたち、不思議な関係だなーと思ったのは、私の札幌時代の友達が占いにハマってて。女の人ってそういうのにハマる人が多いじゃないですか。でね、ネットで沖縄にものすごく当たる人がいるみたいな情報をゲットしたんです。なんか、自分のデータを送ったら、占ってくれるみたいなシステムが今あるらしいんですね。で、占いサイドから連絡がきたら、それがなんと美砂だった(爆笑)」
── えぇ
── !そんなことホントにあるんですか!? しかも、谷島さんはとうとう本格的にそっちにいっちゃったんですか
森若:「いっちゃってたの(笑)。でね、『美砂が、なんかそういう人になってる』みたいな情報がアタシに来て『うそでしょ?』って、とにかく沖縄に会いに行ったんですよ。そしたらヒーリングの店みたいなところにホントに美砂がいて、その時で10年ぶりぐらい」
── 衝撃的な再会ですね。「何やってんの!?」って感じで?
森若:「いや、普通にオーラ・チェックとかしてもらいました(笑)」
── アハハハハ!(一同大爆笑)何が出ました?
森若:「『ピンクが多い』って。というか『ピンクだらけだ』って」
── ピンクは何なんですか?
森若:「ピンクはエロい人なんだって(苦笑)」
── アハハハハ!
森若:「あとは『なにを考えているんだかわからない!』みたいなこと言われたなぁ……。今になって思うんだけど、ゴーバンズっていうこのバンドがね、始まりが忌野清志郎さんで、終わりが江原さんという(苦笑)。なんか、自分たちの意思っていうよりも大きい何かに動かされている。なんか、そんな感じがするなぁ」
── なるほどなぁ。ちなみに、今でもやっぱりゴーバンズは森若さんにとって大きな存在?
森若:「大きいっていうか、青春かな」
── 私の青春を捧げたみたいな?
森若:「完全にそうですね! とにかくアタシの20代ってこれなんですみたいな感じですね(笑)」
── 森若さんは、現在、ソロシンガーとしても活躍されてますが、ソロでやりたいって気持ちはゴーバンズ時代からあったんですか?
森若:「それはないですね(キッパリ)。私は、なんでも与えられたもので平気なんです。だから、ゴーバンズの中でゴーバンズをおもしろくしようとやってきた。だから解散した後何もかも見えなくなっちゃって、生まれて初めて『ええー、どうしよう』って。事務所もなくなって、まったくのひとりになって」
── 何のビジョンもなく解散しちゃったわけですもんね?
森若:「そうなの。それでね、そのとき近所にヴィンテージ・ギター屋さんがあって、そこでアコースティックギターを初めて買ったの」
── 解散した後、一番最初にやったことがアコギ購入ですか。なんだか超ロックですよ、ソレ!
森若:「でもね、最初はナメられたのか売ってくれなかったんだよぉ」
── シブいギター親父が「これをネエちゃんが弾くのか?」みたいな感じで(笑)。
森若:「そうそう! そのヴィンテージ・ギター屋の親父さんがさ『うちはプロ仕様なんだよね』って(笑)ま、確かにアコギは弾いたことなかったから『あー、そうですかー』って言ったら『あんたが見てるそのギターはプロのミュージシャンに売るか、貸すかのみだ。こないだはフライングキッズのハマちゃんにレコーディングで貸したんだ』って」
── アハハハハ!
森若:「しょうがないから『はい』って答えて、素直に一回帰ったんだけど。でも、オタクだから、また行ったんですよね(笑)」
── 黒人の子どもがショーケースのトランペットを欲しそうに毎日見てるストーリーみたいですね(笑)
森若:「ホントホント! ホントにそんな感じ。でね、親父も『またあのネエちゃんが来てる』みたいな顔して。その時もまたジーっと見ただけで帰って。その後も何回か通って、通ってるうちに、親父ともちょっと言葉を交わすようになって、満を持して『このギターを弾いて歌いたい』、みたいなことを言ったんです。そのときは何もなかったんだけど、次に行ったときに、なんとギターがセッティングしてあったんだよね!」
── 待ってたぜ ネエちゃん的な?(笑) 「そうなの(笑)。で、マイクとかも全部立ててあってさ、『このギターで歌ってみろ』って言われた」
── なんか、すごい楽器屋ですね! (笑)
森若:「で、弾いて歌ったら認めてくれて」
── そりゃ認めてくれるでしょ!
森若:「それで、やっと売ってくれたんですよ」
── 最後まで素性は明かさなかったんですか?
森若:「言っても知らなかったと思う。『おネエちゃん、がんばれや。もしアレだったらライブハウス紹介するよ』みたいな感じで(笑)」
── アハハハハ!
森若:「で、そのギターを手に入れたときに、自分のテーマを決めたんです。その時、中目黒に住んでたから、『中目黒のジャニス』って。ジャニスって言っても『ジャニス(ジャニス・イアン)』のほうね(笑)」
── NOTジョップリンで(笑)
森若:「それでつくった曲が、『ラブソング』。いい曲だ!と思って、知り合いの人に聞かせたら、レコード会社を紹介してくれて、それでソロでデビューすることになるのかな」
── 音楽をやってく、ってのは、もう決めてたんですね。
森若:「ゴーバンズを辞めた直後でもこの先音楽以外のこと、例えばお店をやろうとか、そういう発想が全くなかった。私には音楽を続ける、という発想しかなかったなぁ」
「森若香織 作詞塾。(1)歌い手になりきる。(2)全てを感動ととらえる。(3)とんち力。」ヘ続く
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