2012/10/23
【06:00】
- 骨髄炎を伴う糖尿病性壊疽の治療例（投稿）を追加しました。このくらいの骨髄炎でもドレナージさえ確保していれば治ります。
- 「外傷を湿潤治療している医師」，「熱傷を湿潤治療している医師」に，東京都文京区の谷根千クリニックと荒川区の高橋医院の林 俊之先生にも加わっていただきました。ありがとうございます。
- 昨日11:00の更新に掲載してNHKのニュースの録画が送られてきました。送ってきてくれたのは，広範囲熱傷で当科通院中の患者さんのF君。F君，グッジョブ！
11時の電気ケトルでの火傷の記事についてです。たまたま見ていて撮れたのでやけどの部分だけ要約した動画を送付いたします。軽くするため画質は悪いです。この動画を見て，びっくりしました。これは「浅いⅡ度熱傷」です。つまり，この病院（都立商に総合医療センター）でなく湿潤治療をしている病院に運んでいれば，入院はせず外来通院で，皮膚移植もなく，傷跡も残さず，機能障害も残さずに治療できた症例です。言っちゃ悪いけど，このお子さんとご両親を苦しめているのは，運び込まれた病院の医者が古い知識しか持ち合わせていないまま治療にあたったことです。つまり，この医者が諸悪の根源です。恨むべき相手はメーカーでなく，この医者です。
⇒NHK電気ケトルのニュース（動画）
母親手記の一枚目を画面から文書に起こしました。事故の時2か月程入院し、やけどの部分が萎縮(拘縮)してしまう為、手首や手のひら、指がくっついて動かなくならないよう、皮膚移植をしました。今後も成長するごとに皮膚移植が必要です。傷あとは、顔と腕とおなかにはっきり残ってます。
事故について
一生ものなので正直なかったことにしてほしいとは思います。今は小さいので自分の体が人と違うことに関して考えることはあまりないとは思いますが、もっと大きくなるにつれて、「どうして人と違うか」「なんでこうなってしまったのか」色々となやむことでしょう。友達から指摘されて傷付くこともたくさんあると思います。
一番つらいのは本人なので「事故がなければ・・・」とか私が口に出して言うよりも、毎日を楽しく笑って過ごせるようにしてあげることのほうがずっと大事だと思います。画像を見ると素人が見てもⅡ度熱傷に見えます。手の部分はよくわかりませんが仮にⅢ度でも湿潤治療を行い上皮化前から適切なリハビリを行えばここまで悪化することはなかったと思います。
電気ケトルについては親の注意が足りなかったことやメーカー側での安全設計の甘さ、行政で基準を設けなかったことなど問題点はあると思います。
何の罪もない子供が簡単で適切な治療があるのに受けられずこのような状態になってしまったことはあまりにも忍びないです。
もう一度，番組の録画と，私の治療例の経過を見比べて下さい。これは「乳児の皮膚が薄いから」皮膚移植になったのでなく，「治療した医者が古い知識しか持っていないから」皮膚移植になっただけのことです。つまり，医原性の後遺症です。 - このNHKニュースを見た方からこんなメールもいただきました。
今朝の電気ケトルのニュースをリアルタイムで見ました。当然，このような考えもあるでしょうが，先日，私の外来をこんな熱傷患者さんが受診されました。
お湯をかぶって胸からおなかにかけてやけどをした赤ちゃんの写真が出ましたが、そのときわたしは、先生のサイトで「見慣れた」やけどだと思いました。これなら大丈夫♪
ところがそのあとには、今もなお植皮をしているというコメントが・・・
私は思わず、「夏井先生のところに行けば、植皮なんてしなくてすんだのに！！！」とテレビに向かって叫んでしまいました。そして続いて映し出された手の写真・・・
「うわ！ひどい！」と一緒に見ていた母が思わず声をあげましたが、それはやけどではなく、植皮された手でした・・・
手のひらでさえ、こんなにかわいそうな状況であるとしたら、最初に出てきた赤ちゃんの体は、いったいどうなっているんでしょうか。想像するだけでぞっとします。
このニュースに対して「親が悪い」「製品のせいにするな！」というコメントがネット上にはありましたが、たしかに親の不注意は間違いありません。しかし24時間毎日子育てをしている中で、一瞬の気の緩みや、運の悪さってあると思うんですよね・・・
もちろん一番かわいそうなのはお子さんですが、親御さんも一生消えない重荷を負って生きていかれるのかと思うと胸が痛みます。
・・・と、以前のわたしならこう思って終わりでしたが今は違います。
これからこの親御さんたちは、のちに「湿潤療法」という治療があり、それさえ知っていれば、無用な植皮や傷痕、瘢痕硬縮などを、子どもに残さないで済んだことを知った時、自分の無知さをどれだけ悔やまれるのでしょうか・・・
もしあのとき、ネットでもっと調べていれば・・・
もしあのとき、別の病院に行っていたら・・・やけどを悔やむ以上にご自分を責められるのではないでしょうか。
ただ昨日名前が挙がっていた「成育医療センター」のHPを見ましたが、すばらしくきれいで、最新医療をうたっている病院でしたね。あの病院の先生がすることが、間違っていると疑えた患者さんはすごいと思いました。
なんだかおかしい・・・そんな直感を大事にすることが、実は一番大事なのかもしれないですね。
救急車で運び込まれた病院でヤケドの治療を受け，「皮膚移植が必要」と説明されました。手術と言われてびっくりし，ヤケドの治療についてネットで調べ，湿潤治療という治療があるということは知りましたが，主治医の先生の言葉を信じて手術を受けました。皮膚移植をされてしまうと，さすがの私も手も足も出ません。移植されたらきれいにはできません。湿潤治療のことを知っていたのですから，皮膚移植手術前にその病院から逃げ出せばよかったのです。逃げ出せたのに逃げなかったのですから，それは患者さん側の判断ミスです。人生には一瞬の判断ミスが一生を左右することがたくさんあります。これもその一つです。
しかし，手術が終わってびっくりしました。手術前より悪くなっているからです。
それで，湿潤治療できれいに治して欲しいと思って受診しました。
ましてや，上述のニュースの子供さんのご両親は20代か30代，つまり，パソコンやスマホを一日中利用している世代です。「熱傷治療」と検索すれば，瞬時のうちに湿潤治療を知ることができる世代です。何か知りたいことがあったら，まずググってみる世代です。
きつい言い方かもしれませんが，2012年にもなって，医者の説明を鵜呑みにしてネットで調べる努力もしていなかったとすれば，それは両親の怠慢だと思います。 - 病院勤務の内科の先生からのメールです。
今年の7月には院内の勉強会で創傷治癒（消毒とガーゼは使わない）と題して話しをさせていただきました。そのせいで、職員の息子さん（高校生）の傷について相談を受けました。お見事！ 古い知識しか持っていない整形外科の医者より，正しい知識を持っている内科の医者のほうが傷の治療においてははるかに有用である，ということがよくわかりますね。正しい知識があれば大概の傷は治ります。
『7月末にアキレス腱に達するほどの深い傷をおい、某病院の整形外科を受診。幸いアキレス腱断裂はしておらず、一泊入院で縫合術を受けたが、抜糸後傷が解離し潰瘍を形成したとのこと。その後外来で再縫合されたが傷はつかず、入院手術をすすめられた。しかし躊躇しており、外来での処置（洗浄、消毒？フィブラストスプレー？ドレッシング剤）を継続していたが、2か月たっても治る気配なく、出血もしているようだ。しかも滲出液が多くドレッシング剤がはがれそうになっても決してはがしてはいけないといわれ、予約日以外に行くとなんできたのかとしかられる。このままここに通院していて大丈夫だろうか』という内容でした。
もちろん間違った治療をしているのだから、そこに行くのはやめなさい。といったのです。
そしてその方は律義にも整形の先生にもう通えないから皮膚科か別の病院に行きたい（整形は午前中しかやってないので高校の単位が危ない）とはなしたそうですが、だめだ、責任持てない、の一点張り。行くならかってにしなさい。紹介状も書かないし、悪くなってもうちではもう見ない。といわれたそうです。
当院はいわゆる老人病院なのですが、外来には若い方も来られます。しかし、入院中の患者さんの褥瘡や外来の高齢者の低温やけどなどは今まで湿潤療法で治療してきましたが、若い方の外傷は内科ということもあり患者自体きません。ですからはじめは病院側も長いこと整形で治せなかったのに大丈夫か心配で、「長くかかるようなら、うちは内科なので点数がとれないから皮膚科に紹介してください」といわれてしまいました。（私は一昨年の春から当院に勤務しており、この10月から常勤になったので信用されてない？）
しかし、先生のブログで勉強したことがついに若者で実践できるとはりきった私。初診時直径２センチ×２．５センチほどの傷で深さ１センチ程度、出血もありましたが創と周囲は血流が悪そうな色でした。しかし先週、2週目第3回目の診察で傷が上皮化しはじめており、今週でもう完治だろうと思われます。やったー！万歳！
初診の翌日の時にかなり肉芽が盛り上がり、もうその時点で看護師さんたちの疑いは晴れたようでした。若いって素晴らしいねといっていました。（笑）
しかし、しかしなのです。アキレス腱断裂でもないのに、安静を指示され、約２か月シーネ固定に松葉杖をされていたおかげで硬縮をきたしており、足を着くと痛いとのこと。血流の悪さも傷が治らない原因だから、初診時に松葉杖やめてちゃんと歩くよう指示し、風呂上りにのばしたり回したりしてといったのですが、やっぱり痛いみたいで、けんけんで処置室に。
これでは傷が治ったのに使えない足になってしまいます。
やはり最初が肝心。恐るべし安静。先生のブログなどには高齢者でも硬縮おこさずかなり深くて大きな傷も治癒しているのに・・・
若くても、安静はこわいです。再認識させられました。
それにしても，2ヶ月間シーネ固定を続けさせた整形外科医は「傷を治さず，歩けないようにした」のですから，傷害罪が成立？ - 昨日の「血糖とアミラーゼ」の話題について，一般の方からの次のようなメールをいただきました。
昨日の更新にありましたアミラーゼと血糖値に関連して私の体験をご報告したいと思います。「アミラーゼ仮説」は医療の素人が考えだしたもので正しいかどうかは不明ですが，非常に魅力的です。今回の「玄米おにぎりと食後の眠気」も面白いです。たかが一例，されど一例・・・かもしれません。
半年ほど前までは普通に炭水化物をガンガン食べておりました私ですが、皆さんがよく言われるように昼食時に炭水化物（ご飯やうどん）を摂っても眠くなるという症状は全く感じた事がありませんでした。
ただし、強烈に、猛烈に眠気を感じた食べ物が一つだけありました。それは、玄米のおにぎりです。
昼食にコンビニでおにぎりを買って食べる事が定番の時期があったのですが、その時期に妻が玄米ご飯を食べだしたので、それならと朝それをおにぎりにして会社に持っていって昼に食べたのです。そうしたら、14時～15時頃の眠気の強烈なこと・・・。とても仕事が出来ずに居眠りする事も何度か。
確認のためコンビニおにぎりと日を変えて何度も食べ比べたのですが、やはり玄米ご飯を食べた時だけ強烈な眠気が生じるのは明らかでした。
しかし、本日の更新でアミラーゼと血糖値の関連を読んで、なるほど！と思いました。
コンビニおにぎりの場合口の中で十分甘く感じるので、すい臓はしっかり前準備できていた。しかし，玄米おにぎりの場合、そういえば甘みを感じる事は少なかった。（しかも塩分補給を兼ねて塩をかなり大量にふりかけて食べてたので余計？）
その結果、胃に入って始めて大量のインスリンがすい臓から過剰に分泌されて急激な血糖値の低下を招いた。
理屈の上では成り立つかと思います。
しかしながら、ではしっかりとすい臓で前準備が出来るコンビニの白米の方が身体に良いのか？等とも考えられなくも無いのですが、そこは個人差や他の栄養素との兼ね合いもあるので何とも言えませんが。
私が体験した事が唾液中アミラーゼの謎を解くひとつの参考情報としてお役に立てれば幸いです。
もっとも、今となっては一切炭水化物を食べないので私としてはどうでも良くなってしまいましたが（笑） - 食物の胃の滞留時間について調べていたら，世の中に相反するデータが流布していることに気が付きました。次の2つです。
- 肉は消化が悪く，炭水化物のほうが消化が良い
- 肉はすみやかに消化されるが，炭水化物はなかなか消化されない
ネットで「胃 滞留時間 食物」で探すと前者を支持する情報が大量にゲットできます。
まず，前者（＝肉は消化が悪く，炭水化物は消化が良い）とするものは掃いて捨てるほど見つかりますが，代表例を2つ挙げます。
一方，「肉のほうがはるかに速く消化される」という情報もあります。
- 学生時代の法医学の講義で聞いたこと（06:00の更新記事）
- 回転式健康法
特に後者のサイトでは，「様々な食物を食べた後，吐いてもらって吐瀉物を調べる」という極めて直接的な方法で証明していて，非常に説得力があるように思えます。
相反する情報があるということは，一方が正しくて一方が間違いということです。私の個人的な感覚としては「肉はすぐに消化されるが，炭水化物はなかなか消化されない」が正しいと思っていますが，それを明確に証明するデータは，上述の個人サイトしか見つけられません。どなたか，このあたりについてご存じないでしょうか。
2012/10/22
【13:30】
- 本日早朝の「子供の頃あまりお米を食べなかった」さんのメールに対し，「一般人」さんからのメールです。
10／22の記事でこの可能性，いかがでしょうか。
「子供の頃あまりお米を摂取していなかった私は、糖質に対する耐性が低い体質になったのではあないか」というメールが掲載されていましたが、この方の投稿内容で「白ごはんは『味がしない』のであまり食べられませんでした」と仰っているのが気になりました。
10／16の記事で「何故唾液にアミラーゼが含まれていなければならないのか」への仮説が掲載されましたが、この方は味がしないということは
咀嚼の不足か唾液中のアミラーゼに問題があって甘みを感じない→膵臓は準備ができず血糖値がドカンと上がってから大量に分泌する→血糖値が急降下して眠くなる。ということではないかと思いました。（お菓子や麺は「味付き」なので食べられたのでは？この方は甘い物を先に食べると膵臓が働きやすいのでは？と妄想します）
この方の食後血糖値を精密に計測すると急上昇急降下、江部先生のいうスパイクになっているのではないかと思います。糖尿病とか心配かもしれませんね。
【13:00】
- 「5年目医師」さんからのメール。
4年前、研修医だった頃に上級医から渡された先生の外傷治療「裏」マニュアルを読んで以来、傷を消毒しない浸潤療法を実践しています
3年目から腎臓内科にすすみ外傷を見ることは少ないですが、透析患者は皮膚のマイナートラブルが多く、軽い褥瘡や皮膚のびらんには浸潤療法、乾燥性湿疹にはワセリンワックス、と治療に役立てています
創傷治療のサイトも読むようになり、糖質制限の普及ももちろん行っておりメタボ体型の上司が10kg減量できたと喜んでいます - 【最安食費研究】
Daily Portal Zの面目躍如，という感じの記事です。要するに，一日の必要カロリーを，推奨される三大栄養素の割合で摂るとどうなるのか，という試みですが，「摂取カロリーの65％は炭水化物でないといけないらしい。そして炭水化物といえば砂糖」という発想で計算し，出てきた値は「砂糖 446ｇ」です。小野法師丸さんは大の甘党ですが，さすがに山盛り一杯の砂糖を見て途方に暮れています。
そうなんですよ。カロリーで計算するとこういうものすごいことになってしまいます。必要カロリーを炭水化物で取ろうとすると，どんぶり一杯の砂糖を摂取しないとダメです。
ということは，普通の食事を食べているあなたは，毎日毎日，どんぶり一杯の砂糖と同等の糖質を，ご飯やうどんやパンの形で摂取しているのです。だから，あなたはデブなのです。実に単純です。
「一日の摂取カロリーは2400カロリーが必要で，その65％は炭水化物にするのが最も健康的な食事です」と宣っている栄養士さんの目の前に，この小野法師丸さんが作った食事をドンと出し，「あなたが推奨している健康的な理想の食事ってこういう食事のことですよね！」と教えてあげたいです。
【12:30】
- 今日はは世田谷の成育医療センターから上肢と顔面の熱傷患者さん（1歳）が逃げてこられました。例によってトレックスガーゼ（シリコンガーゼ）で覆われていて創面は乾燥気味，ガーゼを剥がす際に泣かせてしまいました。成育医療センターさん，こんなトレックスガーゼの治療なんかしていたら，患者さんが逃げますよ。
さて，この患者さんのおばあちゃんも一緒に来られたのですが，なんとポーランドの方です。治療の合間を縫って，ショパンならすべての曲を弾いたことがあるよ，とか，ポーランドのズブロッカが大好き，という話ですごく盛り上がってしまいました。
というわけで，「医者で熱傷治療ができて，ショパンが弾けて，ズブロッカも大好き」というニッチな路線でこれからも行こうと思っております。
【11:00】
- 滋賀県の湿潤治療のスペシャリスト，おかだ小児科医院の岡田先生からのメール。
朝のニュースで電気ケトルでの火傷をやっていました大して深くもないⅡ度熱傷に頻回の皮膚移植手術をして，一生取り返しの付かない傷跡（＝移植皮膚）を残すのが熱傷専門医・熱傷学会・大学病院のお仕事です。私からすれば，人殺しを仕事にしているのと五十歩百歩にしか見えません。
ここにはないですが7時25分ころに乳児が上半身やけどした写真が出ていました。明らかに2度熱傷なのに2ヶ月たった今も植皮を繰り返している！ また手の植皮の後の写真も出ていました。この子も再度植皮が必要になっている！
確かに親の不注意と電気ケトルが原因ですが、この子たちの人生をめちゃめちゃにしたのは、従来の熱傷治療法です。涙が出てきました。
手記が披露されていましたが、私達が湿潤療法で治療した母の手記と全く正反対でした。胸が張り裂けそうです。
録画あるいは画面キャプチャーされた方がおられませんか。
【06:00】
- 「外傷を湿潤治療している医師」，「湿潤治療の講演をしている医師」に，東京都狛江市のファミリークリニックはら／ 原 章彦先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 「美味しい糖質制限食が楽しめる飲食店」に，静岡市清水区のホテルクエスト清水 レストラン「クオモ」を追加しました。
- 講演用のスライドをマイナーバージョンアップしました。最新版は10月21日作成のものです。ご覧になりたい方は本名，所属を明記してメールでご連絡下さい。
なお，以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますのでご利用下さい。
また，今回から45分バージョンも作成しました。 - 次に読んでみようかなと思ってピックアップしている本です。とりあえず，トースターの本から買ってみようかな。何しろ，電熱器のコイルをつくるのに銅鉱石の採掘・精錬から始めたという破天荒な挑戦を記した本らしいです。
- 「イソジン消毒をやめたいのだけれど，医者を説得できない」と悩む看護師さんからのメールです。
今年3月から褥瘡委員となり褥瘡や創傷に触れることが増え早く治してあげたいという気持ちから勉強して参りました。もともとイソジン消毒をすることに疑問がありましたが無知から声をあげることができずにいました。勉強を重ねイソジン消毒が有害でしかなく患者様に負担をかけていると知りなんとか病院でのイソジン消毒を撲滅したいと考えました。情報を積極的に集めるタイプの医者なら，とっくの昔にイソジン消毒なんて止めています。しかし，昔ながらの方法を止めたくない医者，消毒を続けたい医者，新しい方式に変えるのが面倒と感じる医者もいます。もちろん，こういうタイプはそもそも勉強が嫌いです。勉強が嫌いで新しいものが嫌いだから情報を集めることもしないし，昔の方法でいい，昔の方法がいい，と決めつけます。
しかし、当病院長は「傷にはイソジン消毒、PEGの不良肉芽からの出血にはネグミンゲル。」と言う古い考えを持っており説明するだけでは納得せず「感染には消毒！これで治ってきたんや、ちゃんとしたエビデンスだせ論文や。」という感じで全く聞き入れてくれません。
私自身がうまく論文が探せず見つけても英語だったりで資料集めが難航しています。高齢者の方ばかりの病棟で皮膚剥離はすぐ起こります。そのたびにイソジン消毒してゲンタシンにガーゼ処置がルーチンで決まってしまっている現状にガーゼを剥がすときに痛がる患者様を見ると申し訳なく思います。
まずイソジン消毒してガーゼを貼る処置から解放されたいです。院長を納得させられる論文や資料がありましたらせび教えていただきたいです。
この院長は後者のタイプでしょう。勉強が好きな医者だったら，もう時代は消毒ではないことを知っているはずです。そういう世の中の流れを知らないのは，そもそも勉強が嫌いだから，自分で情報を集めるのが面倒だからです。明治維新になってもチョンマゲを結っているタイプの人間がこれでしょう。
このタイプの医者は最初から「新しいやり方をしない」と決めていますから，あなたがイソジン消毒は有害無益という英語論文を持っていけば，「日本語論文はないか」と言うでしょうし，日本語論文を持っていけば，「1つや2つの論文では何も言えない。10編の論文がないと俺は信じない」と言うでしょう。10編の論文を持っていけば，今度は「論文の著者が大学教授でないから信じられない」と言うでしょう。
こういう医者が今更，勉強好きになることはありません。医者に我慢するか，病院を辞めるかどちらかだと思います。 - 本といえば，江部先生がまたまた本を出しました。発売開始は今週25日です。今度は「食品別の糖質量ハンドブック」とのことです。糖質セイゲニスト必携かな？
- 「糖質制限をしていると，脂肪をあれほど摂取しているのになぜ太らないのか。カロリー計算をしなくて本当にいいのか？」という謎に対しての，考察メールをいただきました。非常に鋭いと思います。
以前、マフェトン理論についてメールした大学教員です。食べ物のカロリーって要するに，米とか牛肉とかジャガイモを空気中で燃やし，どのくらいの熱量が発生するか，という数字にすぎません。人間がカボチャやタケノコやサンマを体内にで燃焼させているわけじゃないのに，それをフラスコ内の燃焼で代用しているだけです。だから，「豚の脂身ってカロリーが高いから食べちゃダメ」なんてナンセンスの極みです。
江部先生のブログでエネルギー収支と体重増減の話が取り上げられていました。
夏井先生も以前から、カロリー偏重の栄養学を批判なさっていますが、自分の中で何かモヤモヤしたままでした。摂取カロリーさえコントロールすればよいと言うような考え方はたしかに何となくおかしい。しかし、
［摂取カロリー］ - ［消費・排出カロリー］ = ［体内貯蔵カロリー(≒体脂肪)増減］は恒等式なんだから、体脂肪が増えていくのが結局カロリーのとりすぎだ、というのも一面の事実ではあるだろう、と。
この機会にちょっとがんばって考えてみのですが、カロリーを高糖質食で『ちょうど良く』制限するのは非現実的なのでは、と思うようになりました。
『ある期間(1週とか1日とか次の食事までとか)の摂取カロリーと消費カロリーがまず先に決まって、その結果として脂肪が増減する』つまり、上の式で言うと左辺が先に決まって、その後で右辺が決まるという考え方をついしてしまっていたのですが、これがどうも間違いのもとなのでしょう。インシュリンがそんな先のことまで考えた働きなどするわけがなく、すぐに体脂肪を増やしてしまう(そして脂肪を減らすのは妨げる)ので、高糖質食ではむしろ右辺が先にある程度決まってしまうのではないでしょうか。
糖質を摂取すると、それがいつまでの消費量に相当するかなどと関係なく、インシュリンの働きによってすぐに体脂肪が増えてしまう。仮に、次の食事までの消費カロリーとして十分なはずのカロリーを摂取したとしても、インシュリンがその一部をいわば「横取り」して脂肪に変えてしまう(そして脂肪の燃焼や、脂肪から糖への変換は抑制してしまう)のだから足りなくなる。すると、お腹が空いてしまって、次の食事までとても我慢ができないということになってしまいます。
つまり、人間がアタマで計画して『次の食事までちょうど足りるだけのカロリー』『1日分、ちょうどよいカロリー』をとったつもりでも、糖質が多いとカラダは「とても足りない!もっと食わせろ!」と悲鳴を上げることになる。逆に、カラダがちょうどよい量だけ食べてしまうとカロリー過多になる、と。こういうことではないかと。
人間の体は、余剰カロリーを体脂肪として蓄え、不足時にそれを取り崩して利用する仕組みが一応は備わっています。もし食後に体脂肪が増えたとしても、次の食事までにお腹が空いたらすぐそれを利用することができるならばよいのですが、そこまでスムーズな取り崩しができるようにはなっていないのでしょう。食事ごとに糖質を摂ってインシュリンが出ると、体脂肪は増えるが減らしにくい状況が起きやすくなり、結局つらい空腹を我慢するか肥満するかの2つに一つになってしまうのでしょう。
そうすると、『体重変化は摂取カロリーと消費カロリーの差で決まるのであって、糖質制限食かどうかといった食事の内容とは別だ』とか、『きちんと計画どおりにカロリーを制限すれば、高糖質食でも肥満は防げる』などという考え方は、空論ということになります。カラダにとって快適な量と、カロリーが吊り合う量が、高糖質食では必ずズレてしまうのですから、空腹の苦痛か肥満かどちらかは避けられない。
このズレを避け、ちょうど必要なカロリーだけでじゅうぶん満足して元気に活動できるようにするには、インシュリンを出さない糖質制限食ということになるのではないでしょうか。
まさに「ラヴォアジェの亡霊」が栄養学の世界に彷徨っているのです。 - 糖質制限についてのメールです。糖質制限をしていると，いろいろ小さな変化が起きますよね。これもその一つかもしれません。
先日、ふと気がついたのですが、今まで角質化して爪の様に硬くなっていた両足くるぶしの外側が、柔らかくなっていました。確か、今年の春先までは固かったはずです（それも30年以上）。
同様に、踵部分も角質化して、冬場にはひび割れも起きる程だったのですが、ここも柔らかくなっていました。
更に、目やにが少なくなった気がします。昨年と違う点は、糖質制限食を実施したこと位です。 - 糖質制限についてのメールです。
子供の頃あまりお米を摂取していなかった私は、糖質に対する耐性が低い体質になったのではないか？と最近思いました。（耐性という表現が合っているかどうか分かりませんが・・・） というのは、糖質制限をする前の昼食後の眠気が、他人と比べて異常に強かったように思うからです。糖質は栄養素ではなく嗜好品です。つまりタバコやアルコール，覚醒剤と同じです。違いは中毒性がやや低いことだけ。タバコを吸いたがる人はタバコを吸っている人だけで，タバコを吸わない人でタバコを吸いたがる人はいません。これはお酒も覚醒剤も同じです。
私は昼食後の眠気対策で糖質制限をしており、もう4～5ヶ月ほどになります。眠くならない、空腹感がない、手が震えないなど、効果はてきめんです！ 糖質制限を知ることができて本当に感謝しています。
逆に、炭水化物を食べた後の眠気や体の動きの悪さは尋常ではありません。頭の中にもやがかかり、お腹全体がドーンと重くなり、急にお腹だけ太ったような感覚があります。座らず立っていても倒れそうになるほど眠くなることもあります。
しかし周りを見渡しても、私のような人はいません。なぜみんなは居眠りしないのか？どうして私だけがこんなに眠いのか？と不思議で不思議で仕方ありませんでした。
最近思い出したのですが、私は中学に上がるぐらいの頃まで白ごはんは「味がしない」のであまり食べられませんでした。お茶碗にちょこっと、4口分ぐらいしか盛られていないにもかかわらず、2口ぐらい食べていつも残していました。子供心に「おかずだけじゃダメなのかな・・・」と思っていました。ちなみに焼肉に行っても白ごはんを食べる習慣はありませんでした（今も食べません）。そして中学に上がった頃やっと白ごはんの味が感じられるようになり、お茶碗一杯分を食べられるようになりました。
そんな生い立ちが炭水化物に慣れていない体を作ったのではないか、という推測です。ただしパン・麺類・お餅・お菓子は人並みに食べていたのでちょっと怪しくもありますが・・・しかしごはんはほぼ毎回食卓に上がるものですので、人様と比べるとトータルの摂取量は少ないはずです。
ちなみに私は31歳女性・163cm・48kgぐらいで、昔からガリ体型です。そういえば痩せ形で「ごはんが好物」という人には会ったことがないなぁ、と思いました。
そして，糖質中毒になった人はどんどん太っていきます。糖質はすみやかに皮下脂肪，内臓脂肪に変化するからです。これは糖質食の副作用です。
しかし，タバコや覚醒剤同様，なかなか抜けだせません。そして，抜け出せない自分を正当化するために「大昔から日本人はお米を食べてきた」というデマカセをでっち上げるわけです。 - 生活保護に関するメールを幾つかいただきました。
生活保護については、こんな事例もあります。
福岡市の生活保護受給者が、子女には高等教育を受けさせようと生活費を切り詰め学資保険の掛金を支払ってきましたが、満期返戻金を高校の修学費に充てようとしたところ、福祉事務所は返戻金を収入と見なし生活保護費を減額しました（高校は義務教育ではないからというのが理由）。受給者はこれを不服として訴訟を起こし、最高裁まで争った末に原告（受給者）の勝訴が確定しました（いわゆる「中嶋訴訟」）。
当時でも高校進学率は100%近かったのに義務教育ではないからと杓子定規に判断した福祉事務所は時代錯誤ですが、この事例は生活保護を脱し自立するための教育投資に対するインセンティブが働かなかったのが問題の本質だと思います。
他の方のメールにあったように、生活保護受給者を減らすためには雇用が増えることが必要なのは仰るとおりです。一方で、雇用は需要（企業）と供給（労働力）の間の関係で決まります。まず、企業側は中国などとの競争により安い労働力を求めており、方策としては雇用コストの低減（失業対策のための補助金など）でしょうか。
次に、供給側では労働の質を上げることが方策となるでしょう。もともと日本型雇用では、企業は終身雇用を前提として従業員の教育訓練に多くの費用や手間を投じてきましたが、不況対策として交通費・広告費・交際費のいわゆる3K経費の削減に加え雇用形態の変化に伴い教育研修費も削られ、日本型システムが機能しなくなってしまいました。その部分のテコ入れを政策として行うべきです。具体的には、補助金や優遇税制などにより労働力の質を高める教育的投資を推進する仕組みを作ることです。この仕組みが動き出せば生活保護を受ける人が減り、浮いた生活保護費を教育的投資に回すことができます。後ろ向きの費用が前向きの投資に替わって好循環を形成するわけです。
あと、憲法25条の話が出てましたが、同じ憲法の13条で定められている「幸福追求の権利」について、こんな話を聞いたことがあります。
ここで保証されているのは幸福「追求」の権利であり幸福そのものに対する権利ではない。言い換えれば、個人が主体的に幸福を追求することが妨げられてはならないという意味であり、幸福そのものが与えられるわけではないのだ。というものです。
努力の結果として価値を生み出した人が正当に評価されるのが、インセンティブのあるべき姿だと思います。生活保護は債務者だという考えが気になったので、世帯分類を調べてみました高齢者世帯 42.9% 母子家庭 7.7% 傷病者 21.9% 障害者 11.2% その他世帯 16.2%
債権者から見れば不良債権です
障害者が働くところは作業所しかなく、作業所の賃金は低いので、生活保護から離脱できません
高齢者は社会通念上働く必要がないとされているので、離脱させるとなれば社会通念そのものを変える必要があります
２割弱の人に対してやるなら意味はあるかもしれません。でも、全員に対してやるなら、一人あたりの費用がばかにならないのでやる価値はないと思います
2012/10/19
【15:30】
- 最近，結婚したという方から看護師免許についての情報です。
ホームページで医師や看護師国家試験免許証について話題になっていましたね。A3の不便なサイズの免許証、いつもは封筒にいれて、ぐちゃぐちゃにならないように普段あまりあけない海外旅行用のトランクに保管しています。今回入籍して、トランクから発掘し、免許証の氏名変更に行ってきました。「厚生労働大臣が自分で全部書くのか！？」に大笑い！
保健所の窓口で書類を記載し終えると
「新しい免許証が出来上がるまで、３～４ヶ月かかります。出来上がったら、自宅住所へはがきでお知らせしますので取りに来てください」運転免許証はその場で、クレジットカードは2週間、パスポートの記載内容変更も1週間程度なのに，国家試験免許証が出来上がるまでの期間が無駄に長い！！
厚生労働大臣が自分で全部書くのか！？ 変更手続きが終了したら両面コピーを提出するよう言われていますがいつになるかわからないな～、というぐらい長いですね。 - 福島県会津市からお子さん（3歳女児）の額の怪我についてお問い合わせ方がいらっしゃいますが，NTT DoCoMo携帯からのメールで，パソコンからのメールをシャットアウトしているようで，出した返事が届いていないようです。携帯電話のメール受信のフィルタを修正するか，パソコンでメールを出し直して頂けないでしょうか。メールアドレス： "b●ac●-●ie●d.m●c●y05●6@docomo.ne.jp" の方です。
【13:15】
- 今日も幾つかの病院からの脱走患者さんが受診されていますが，一番印象的だったのが，手の熱傷で神奈川県内の帝京大学附属病院皮膚科に通院していた患者さん。数日前に受傷し，この皮膚科に２回通院していますが，行くたびに医者が違うのはよくあることですが，2人ともにろくに傷も見ないで「これは皮膚移植が必要です。皮膚移植をしましょう」と，やけに皮膚移植，皮膚移植と連呼するんですって。
それで，皮膚移植と聞いた患者さんは皮膚移植でなく治る病院はないかとネットで探し・・・・という，いつものパターンで当科を受診されました。
診察してみると，左母指背側から手背撓側にかけての熱傷で，ほとんど上皮化寸前！ 一体どこに皮膚移植しようと考えたのか，わけがわかりません。この熱傷を見て「これは治っていない。治すためには皮膚移植が必要だ」と判断したとすると，その医者は目が腐っていたか，目が見えていないか，あるいは熱傷の治療経験が皆無かのいずれかとしか考えられません。
後日，今日撮影した写真とその後の経過を添えて供覧（笑いものにする，とも言うけど）しますね。 - 先程の生活保護に関するメールをお寄せいただいた方からの補足メールです。
生活保護全体における不正受給者の割合はどれほどなのか？などと言っておきながら、思いっきり答えを書き忘れましたので再度メールさせていただく次第です。失礼しました。
というわけで、どうやら現状では、金額的割合は全体の約0.4％だそうです（飯田泰之 雨宮処凛「脱貧困の経済学」ちくま文庫版 296ページ 2012より）。だからスルーしてもいいとはもちろん言いませんが（生活保護費は4兆円にも上っているということなので）、そこから先は役所・行政が真面目にやればいいことだと思っています。
ところで、先日指に火傷をしましたが、湿潤治療で医者にも行かず跡形もなく治りました。ありがとうございます。飲食店勤務なのですが、いまだにウチのお店の火傷の対処は、20分冷やしなさいだの、水ぶくれは極力破るな・取るなとか、眠たいことを言っておりますので、折を見て上司に進言してみようと思っております。
【08:30】
- 看護師免許や，ワセリンや，糖質制限などについてのメールです。
看護師免許もA3で面倒な大きさです。あまり実用的じゃなく、だれかに盗まれでもしたら悪用するのが簡単そうです。免許なのに他のもので本人確認しなきゃいけないなんて、運転免許証の便利さに比べたら不便極まりないです。普段眺めているわけでないのでいつ紛失してもわかりにくそうです。はやく実用的な免許証になってほしいです。
今はどうかわかりませんが、ケアマネージャーは研修の修了証と運転免許証サイズのものと2通りありました。
夫は中肉中背ですが、このたびの健康診断で脂質代謝異常を指摘されたようです。ここ数年は指摘がなかったのですが、20代後半から「運動をしなさい」と言われていたそうです。でも、運動をしても採血結果が変わらないので「信用ならない」と放っておいたようです。
そこでまた引っかかったのでわたしが取り組み中の糖質制限を夫の意思で取り入れることに決定しました。ここ2週間夫なりの糖質制限をしていますが、ベルトも緩み内臓脂肪の値も減少しているし、何よりも「お腹があまりすかない」のが気に入っているとのことでした。ご飯（お米）大好き人間だったのに驚く変化です。
「傷はぜったい消毒するな」を面白いから読んでみて、と渡したらとてもわかりやすくていろんな知識も増えて面白かったそうです。
それから夫はアトピーの薬（ステロイドと何かの混合薬で白いもの）をやめて、ワセリンで体を磨いています。引っかき傷がほとんどなくなりました。顔にも遠慮なく塗布できるのもよいようです。自分で納得してやってみたら効果がよく、糖質制限同様これもまた気に入っているようです。
わたしの糖質制限はまだ続いていますが、困ったことに昨シーズンの服が着られなくなってしまいました。ウエストが緩くなったなあとは思っていましたが、腰で一応止まっているのでとりあえず着て、何の気なしに服売り場で試着したらウエストが10cm以上縮まっていました。夫には「じゃあ、前の服が着られるね」と言われましたが、「きっともう痩せることはないんだろう」と思っていたので捨ててしまってました。
新しい服を買わねばなりませんが、デザインを選ぶことなく買うことができるのですからこんなにうれしいことはありません。（ここ数年太っていたので、体にフィットする服やワンピースは以前妊婦に間違えられて親切にされてしまったため着られませんでした…その親切に申し訳なくて）
ここ2週間ほど、糖質制限（体重減少）のことでナースステーションは同じ話をループしています。
お米はやはりやめられないそうです。お米を食べなくてもつらくないのに我慢しているわけでもないのですが、始めるには「お米を我慢しなきゃいけない」と思ってしまうようです。
始めてみたら「我慢」ではなく「食べないでいいもの」になるし、何より「ご飯を食べるとお腹がすきすぎて困る」し、「食後眠くなる」がなくなって快適です。
やってみたら案外楽しいのに、と思いますが，「いつまでも太っていたい方たち」なのでいつもにこにこして話を聞いています。
この間ビオチン療法についてメールの紹介がありましたね。わたしは5年くらい前から指の脇を中心に水泡ができて困っていました。水虫にも見えて皮がむけた手を見るのは嫌なものでした。
今年の夏は特に暑くてたくさん水泡ができ始めてどうしたものか悩みましたが、いろいろと調べて汗庖ではないかと思ってビオチン療法に取り組むことにしました。ビオチン療法のサプリメントを飲み始めてから水泡の出現が激減しました。（日本ではビオチンは病院の処方でないと手に入らないので個人輸入で購入しています）
【06:00】
- 「糖質制限で糖尿病治療をしている医師」に，岐阜市の髙橋内科クリニック／髙橋日出美先生を追加しました。
- 「超小型のLEDライト」を購入。SDカードサイズなのにこの明るさにちょっとびっくり。
- 【シルビア・クリステルさん死去＝「エマニエル夫人」が世界的ヒット】
この記事を読んで，私は映画「エマニエル夫人」を一度も見ていないことに気が付きました。あの有名な籐椅子に座っているフルヌードの映画ポスターは何度も見ているんですが，ついに映画は見ないまま馬齢を重ね，55歳になってしまいました。
ちなみに映画「エマニエル夫人」の公開は1974年で，私は当時，「ピアノ命」の17歳で，とにかく暇さえあれば，ピアノを弾いていました。7歳の頃からレッスンを受けていた先生（武蔵野音大）の元で勉強した最後の年で，この1年でショパンの「練習曲 Op.25」の全曲，「前奏曲集 Op.28」全曲，「バラード第1番，3番」，そしてラヴェルの「水の戯れ」を仕上げるという，かなり無茶な課題を与えられ，それでレッスン終了となりました。以後は医学部受験に全力を傾けたんですが，付け刃の勉強では医学部には歯が立たず，その後，浪人生活に突入するわけですよ。
最後のレッスンの日にピアノの先生がおっしゃった言葉は今でも覚えています。君が今日を最後にピアノの勉強を終えるとわかっていたから，最後の最後まで最も難しい曲に挑戦させた。内容は音大生のレベルだと思う。嗚呼，昭和は遠くになりにけり・・・。
それは，今後も君が独学でピアノを弾く時に手抜きで弾いて欲しくないからだ。アマチュアだからこの曲は弾けないとか，アマチュアだから弾けない音は弾かなくていいとか，テンポを緩めて弾けばいいとか，そういうふうに安易にピアノを弾くアマチュアになってほしくなかったからだ。
プロでもアマチュアでも目指すところは同じだ。その曲が困難な技術を要求しているなら，どんなに苦労してもその技術を習得して演奏すべきなんだ。君はこれから医学部を目指すが，アマチュアだからこの曲は弾けない，アマチュアだからこの程度でいい，というような言い訳をしてはいけない。弾くからにはプロと同じ高さを目指して練習を続けて欲しい。
これからも，自分が弾きたいと思う曲に出会ったら，どんなに難しい曲でも真正面から挑んで欲しい。 - 昨日の問題提起を受けて，生活保護の問題についてのメールが次々届いています。
時給９００円の仕事をしているだと手取りが生活保護と同レベルしかない上に労働に伴うストレスを受けるとなれば、働かない人が出てきても不思議ではないですね…
全員が全員月給３０万以上もらえれば、社会に適応できない障害を持っていない限り働くはずですし，ただ、こうなってしまったのはグローバル化により人件費の低い国と競争せざる負えなくなったので企業が人件費を下げたためにインセンティブが低下したという側面もあります
政治家が企業に圧力をかけて引き上げてくれれば多分この問題は解決すると思いますが、企業にべったりな今の政治では望みは薄いと思います
ヨーロッパのように生活保護水準の所得しかもらっていない人には現金を渡すという手もあるんですが、それに目を付けた企業が賃金を引き下げるという問題が発生しています生活保護の話題を読んでおりましたら、医療ガバナンス学会のウェブサイトに掲載されている小松秀樹先生の報告を思い出しました。
⇒【Vol.518 貧困化と医療・介護】
この中の「生活保護の支給水準」に記されている数字を見るとどうにも歪さを感じてしまいます。 少なくとも制度を是正する必要はあると思います。「結論」で述べられている意見に賛成です。
（略）無駄遣いが許されるわけではない。医療・介護全体として費用を指標化し、全体として質素にしていく必要がある。必要な介護を提供するためには、高額な割に成果の少ない医療を保険診療から外すことも検討しなければならない（略）糖代謝異常や脂質代謝異常の治療のいくらかは、薬物療法中心主義から食事療法中心へシフトできるのではないでしょうか。火傷治療は、・・・、言わずもがな、ですかね。生活保護の不正受給が問題になっている、と、マスコミが言っていますし、貧乏人を切り捨てて益々金持ち優遇の構造を確固たるものにしようという政治家もそういっていますが、では、生活保護受給者のうち、どれくらいの割合で、不正受給は発生しているのでしょうか？
以前、熱傷治療の件で古いやり方（皮膚移植とか軟膏とか）を頑固に守っている人たちが湿潤療法は感染症が心配だとかなんとか言っていた、とかいう報道が出た時、それは湿潤療法を行った症例のうちのどれほどの「割合」なのか？と、疑問を呈していたかと記憶しているので敢えてお伺いした次第です。
まあ、生活保護の不正受給云々と目くじらを立てていらっしゃる方々は、余程の多額納税者でいらっしゃるようですので、ご自身の税金が働きもしない奴らを肥え太らせているのが我慢がならないようですが、そもそも、生活保護受給者が増加してる原因は何でしょうか？雇用がないからじゃないんですか。まあ、こういうことを言うと、必ず「あれこれ条件をつけなければ仕事なんていくらでもある」という、一見もっともらしい反論が出てくるのですが、ホントですかね？自分の問題じゃないからって、無責任にもほどがあると思いますよ。
で、話は前後しますが、年収1000万円に満たない我々は、国家財政に大した貢献はしていないらしいですよ。要するに、あなた方の支払った税金は、生活保護を受給している人たちにはほぼ、届いていないということです。
生活保護受給者を減らす簡単な方法がありますよ。バカでもわかる話ですが、雇用が増えればいいんです。雇用が増えれば、大抵の人は働きますよ。そんなに人間怠けものばかりではありません。というか、現状では、働きたくても働く場所がないのです。だから、生活保護、という流れになるのです。それに、生活保護受給者にだって、働くに働けない事情を抱えた人が大勢いるのです。もうちょっと想像力を働かせましょうね。それに、正社員以上に働いているにもかかわらず、経営者は、非正規雇用の人たちに対して、生活保護以下の賃金しか支払っていないということも、ありますよね。じゃあ、悪いのは誰ですか？低水準の賃金しか支払わず、内部留保をため込み、不思議なくらいに高額なボーナスをお手盛りしている経営者や、それを保護する政治じゃないかと思いますけどねぇ。
それから、生活保護受給者を叩いている皆さん、冷静になって考えてください。我々の税金は、無能な政治家たちの給料にもなってるんですよ。その無能な政治の犠牲になっている、貧乏人をいじめているのが、生活保護バッシングともいえる現状なのです。たたく相手を間違えてやしませんか？性善説を批判する暇があったら、クソみたいな政治家どもに文句の一つも言うべきじゃないですかね？私は、生活保護を受けている人たちよりも、そういう人を増やし続ける間抜けなシステムを変えようともしない連中が税金でぜいたくな暮らしをしている方が、よっぽど腹立たしいですが、皆さんはどうですか？
憲法25条にしたって、健康で文化的な最低限度の生活を、「保障する義務が、『国に』ある」、と言っているのであって、貧しい人に、最低限度の生活に甘んじていなさい、とは、ひとことも言っていないのです。憲法の条文を字義どおりに解釈すれば、わかるはずです。恣意的な曲解さえしなければですが。
なので、私は別に生活保護をもらってる人が、自分の才覚でやりくりさえできれば、年に一度や二度、旅行ぐらい行ったって構わないと思います。たまにはパチンコやったっていいじゃないですか。まあ、それで、生活がさらに苦しくなったとしても、そこから先はさすがに自己責任、と言わざるを得ませんけどね。
こういうことを言うと、すぐ左翼だ共産主義だと、的外れな批判をする人が多いんですが、まあ、それも景気が悪くてみんながイライラしてるからだと思います。もうちょっと、冷静になっても罰は当たらないと思いますけどね。
2012/10/18
【14:30】
- 生活保護について，こんなメールもいただきました。
生活保護の件、私は以下のように思います。性善説をベースにしたシステムは組織（単位）が小さい時は意思統一ができてうまく機能しますが，組織が大きくなったり，異質の考えを持つ人間が加わると破綻してきます。そして次第に，「正直者が馬鹿を見るんだよね」という考えが支配的な社会になってきます（現在の中国は多分これ）。
厳しい見方をすれば生活保護受給者は社会的な債務者です。債権者は我々ですね。そしてこのままでは完全に不良債権化して回収不可能になります。
それを防ぐためには債務者たる生活保護受給者には今よりも厳しい義務を負ってもらうべきでしょう。そして生活保護なんて受けたくないと思わせる「何か」を用意しないといけません。
例えば生活保護者寮なんてのを作って国が生活保護者を管理、監視し、再生させるプロジェクトを立ち上げればいいのではないかなと思ってます。
寝食を保障し、スキルアップのための教育を提供する。憲法が保障する最低限度の生活を提供する一方で講義をサボったりノルマを達成できない人間にはペナルティを課す。全寮制の学校みたいなもんです。
寮は私の妄想ですが、徹底的に管理、監視されるシステムを作ってそのシステムからドロップアウトする人は最低限度の生活を営む権利を破棄したとみなし、社会は一切援助しない。これくらいの厳しさは必要です。
性善説を前提にした生活保護のシステムはすでに破綻しています。生活保護を受けないと損という状態になっています。そう思わせないためには監視を厳しくし、権利を剥奪し、義務を多くするのが一番手っ取り早いでしょう。
【09:30】
- 医師免許証について獣医の先生からのメールをいただきました。
そうか，山本一太先生も二世議員だったんですね。＞ 医師免許証を「顔写真付きの運転免許証サイズのICチップ」にまさしくその通りですよね。
私の場合は獣医師免許なんですが、2年に１度の麻薬施用者免許更新時や、それ以外にも登録番号の書類への記入を要する際に、例の卒業証書入れみたいなのをポンッとあけて、終わったらクルクル巻いてってことをやってました。いまは縮小に縮小コピーを重ねて、財布に入れてます。
クレジットカードにしたって、それこそ運転免許の再発行にしたって、こんなに簡単にできる世の中ですから、カードに情報と顔写真くらいすぐできますね。
獣医師免許は農林水産省の管轄なんですが、免許証に「農林水産大臣 山本富雄」と名前が入っており、「あ～、あの山本一太のオヤジさんだったんだよなぁ」て、思い返すくらいですか、免許証開いて思うのは。
【08:30】
- 【岐路に立つ地震予知】
地震予知についての迷走を見ているとこんな構図が浮かび上がります。
まず、「地震予知は可能だ」と考える人たちが集まって学会を作ります。そして文部科学省に働きかけて予算をつけてもらいます。そして研究を続けます。
10年経ちました。しかし、めぼしい成果は上がっていないし、予知できた地震は一つもありません。ここで方向性は二つあります。
- 地震予知なんて本当はできない。できないことを研究しても意味がない。もっと他の有用な分野の研究をしよう。
- 成果が出ていないのは予算も人員も観測機材も足りないからだ。もっと予算をつけて豪華な観測機材をそろえれば、必ず地震は予知できるはずだ。
ここでどちらの道を選ぶかですが、外科系脳味噌人間の私なら「10年やってダメなら11年やっても15年やってもダメだろう。3日投与して効果が出ない抗生剤をさらに投与を続けても効果が出ないのと同じ。地震予知ができるのなら10年もやっていれば成果の一つも上がっているはずだよ」と考えます。しかし、地震予知の研究をしている人たちは「3日投与して効果が出ない抗生剤でも、7日間、14日間投与を続ければ、絶対に効く日が訪れるはずだ。14日でもダメなら30日投与すればいいじゃないか」と考えるんですね。
湿潤治療も糖質制限も、最初はあーだ、こーだ言われても、それが正しければ5年、10年で必ず結果が出ます。結果が得られているからこそ10年間続けてきた、とも言えます。逆に言えば、10年間続けても成果が一つも出ない研究は、やはり方向性が間違っている可能性が高いのです。
地震予知に生涯をかけてきた先生には「予知」という言葉と研究に未練と愛着があるでしょうが、それは天動説の証明に生涯をかけた天文学者と同じで、最初に進むべき道を間違えただけのこと。天動説を10年間研究して、何一つ証明できなかったら、やはり天動説は間違っているのです。こんなことは科学では日常茶飯事です。錬金術師（＝多くは優れた科学者だった）が生涯をかけて研究を続けた錬金術は，やはり最終的には何者も生み出さないまま終わりました（一時，錬金術は科学の発達に寄与したという考えがありましたが，今ではそれを否定する見方が多く，寄与したにしてもごく一部にすぎない，というのが一般的です）。
【07:00】
- 生活保護について，こんなご意見をいただきました。
生活保護は現物支給がいいとおっしゃってますが、換金可能であれば不正の温床になり得ます。東京都などでは風呂がない生活保護世帯に対し銭湯の入浴券を配っています。でも、これも金券ショップで換金されてしまいました。また、医薬品の類も現物支給ですが、大阪市では生活保護で入手した医薬品を売りさばくという事態に発展していますとにかくこの問題については，いろいろな考えを出し合って「現在よりベターな方式」に変えて行かなければ，社会全体が破綻します。
もし、仮に衣食住がすべて現物支給されたとしても食料・衣料品を売りさばく可能性もあります（アメリカではフードスタンプが支給されていますが、それを売買している人が結構な割合でいます）
なので不正受給を防ぐために現物支給というのはあまり意味がないです。仮にやるとしたら、施設に収容するという形になりますが、この手の事業は結構金が金がかかります（特人厚という生活保護法指定の施設では一人当たり２７万近い金がかかっています）
個人的な意見ですが、金がないのに不正受給対策のためだけにやるのはばかげていると思います
もし、不正受給を取り締まろうというのであれば、年金を掛け捨て方式にし最低生活費に満たない老人だけに支給し、老人はギャンブルをしようが放置。余ったケースワーカーを稼働世帯に割り当てた方がよっぽど有意義ですそして、不正受給のうち何割かは生活保護世帯に対するレセプトチェックは甘いことを利用して行われています
生活保護世帯すべてを国民健康保険に加入させ、病院による不正受給を起こしにくくすべきではないかと思います（同時に所得が一定以下の人に対しては自己負担を段階的に減らせば自己負担の問題は解決すると思います）
現在のシステムでは「働くより働かない方がいい（＝得だ）」という方向にインセンティブが働きます。これは明らかにおかしいです。だから，システム全体を変えて，この方向のインセンティブが生じないようにするしかありません。
【06:00】
- 映画の作り手が才能豊かでセンスも抜群であることはわかるけれど，基本的な設定部分が作り物っぽすぎて，薄っぺらになってしまった感のあるSFホラー映画，《スプライス》を紹介。
- 【医師免許証の原本確認を指導】
医師免許証については以前にも書きましたが，原本はA3サイズで非常に大きいため，現実的に日常的に携帯できるものではありません。しかも，顔写真が添付されているわけでもないので，所有している人が本人かどうかの確認もできません。つまり「証明書」としては極めて不備な代物です。
原本確認は必要ですが，その前に医師免許証を「顔写真付きの運転免許証サイズのICチップ」にして欲しいです。これなら医者は常時携帯できるし，偽造も困難です。 - 【参院「１票の格差」５倍は違憲状態 最高裁、制度見直し迫る 】
国会議員定数を国会議員が決める，という制度がそもそも間違っています。「一票の格差があってはならない」とするのであれば，国会議員定数は国会から独立した第三者機関が人口比に応じて機械的に決めるようにすればいいし，「一票の格差はあるのが当たり前」と考えるのであれば，今まで通りに国会議員連中がお手盛りで決めれば（例：「0増5減」などの「最大5倍でなければいいんですよね」という小手先修正）いいのです。解決法は二者択一で，極めてシンプルです。
この問題こそ，国民投票で白黒決着を付ける時期じゃないでしょうか。国会で議員連中が議論すべき問題ではなく，国民投票で決めるべきです。 - 【生活保護不正受給 対策を議論】
生活保護を現金支給している限り，不正受給は必ず起こります。これを防ぐには，現金ではなく現物支給にするしかないような気がします。つまり，「衣食住関連の生存に直接関連するもの」＋「子供の教育に必要なもの」は現物支給にして，それを補助する程度の現金支給を加算する，というシステムです。
もちろん，これはこれで問題があると思いますが，少なくとも全額現金支給よりは不正が起きる可能性は減らせるはずです。つまり，「働かなくても最低限のものは手に入って生活できる。それ以上に現金が必要なら働く」という社会システムです。
2012/10/17
【09:30】
- 【逮捕の米兵 沖縄出発する当日に犯行】
モラルの問題とか兵士への教育の問題ではなく，単に男ばかりの集団を作るとロクなことが起こらない，というだけのことじゃないかと思います。古来から野郎どもが徒党を組んだり，野郎だけ集めて集団を作ると戦争だ，抗争だ，テロだ，盗みだ，暴力だと「力と勇気の誇示」のディスプレー合戦になり，それがどんどんエスカレートしていったことがわかります。
軍隊は「野郎だけ集団」の典型です。だから，兵士2人以上が集まると「俺はこれだけやれるんだぜい！」，「俺ならもっとスゲエことをしちゃうんだぜい！」と歯止めが効かなくなっちゃうんでしょう。
【08:30】
- ワセリンで鼻血が止まりました，というメールをいただきました。
著書を拝読以来ずっとホームページも拝見し、ちょっとした傷でも実体験して常にワセリンを愛用していましたが、昨夜無意識に傷をつけたのでしょうか。鼻血が出て一時間以上出血が止まりませんでした。昔、母が同じように困っていたこともあり、私も一度何日も鼻血が繰り返して困ったことがありましたので、どうしたものかと悪戦苦闘していました。ポタポタと血が滴り落ちます。
思いあまってワセリンを指に取り、傷の箇所が分からないので、鼻孔の奥まで可能な限りワセリンを塗り回しました。見事に出血も止まり、のどの奥の血糊もきれいにうがいが出来、鼻孔に血糊もかさぶたも出来ないので、普段と同じように仕事にもつけました。考えればボクシングのトレーナーはこうして選手の傷を管理しますし、私が行く散髪屋さんも、昔からワセリンは常備しているとの事。実践の場にいる人々は、経験値でちゃんと正しい治療をしていたのですね。
あの出血が嘘のようで、普通に鼻で呼吸もでき、あまりにうれしいので、メールを差し上げました。ホームページ上に鼻血の記事があるかも知れませんが、どなたかの参考になればと思い、ご報告まで。
【06:00】
- 「前額部の直径2センチの皮膚軟部組織欠損」の治療例を提示。まだ治療中ですが，恐らく，瘢痕はほとんど残らず，瘢痕拘縮も発生しないでしょう。このくらいの組織欠損は楽勝です。
- 湿潤治療のエヴァンゲリスト，【火傷の治療日記】の管理人，鶴田さんからのメールです。
- 【キングジムから「マウス型スキャナ」、大判原稿もなぞって取り込み】
デジタルとアナログの隘路を行くというか，デジタルとアナログの架け橋的スタンスを狙うというか，そういうキングジムの面目躍如たる新製品です。確かに，マウスとハンディスキャナの操作は似ていまsが，それを合体させるという発想はお見事！
私，これは欲しいかも。 - 【カンザスの農地、ランドサット撮影】
先日紹介した『見えない巨大水脈 地下水の科学』にも同様の写真が登場していました。コンパスで書いたような円形の農地は「センターピボット灌漑システム」によるもので，長い腕状のスプリンクラーがゆっくり回転して灌漑するため，農地は円形になり，腕の長さは最大800メートルとか。これだけの面積に灌漑するためにオガララ帯水層から毎日，水が汲み上げられているのですから，いかに日本列島より広大なオガララ帯水層と言えども地下水位の低下が起こるわけですね。納得の一枚です。
2012/10/16
【13:00】
- 糖質制限関連のメールです。
低炭水化物が良い体重に減量するのにいい方法というのは明らかですが、リバウンドはしやすいのかもしれません
【06:00】
- 1960年代の核実験問題をテーマにしたフランス製ホラー映画，《ゾーンA》を紹介。監督は恐らく新人で非常にセンスがいい人ですが，何だか意欲が空回りしちゃったみたいです。
- 【ノーベル経済学賞に米2教授＝ロス、シャプリーの両氏】
ノーベル賞の発表の頃になると必ず「ノーベル経済学賞，ノーベル平和賞，ノーベル文学賞は必要なの？」という事が話題になります。特に，経済学賞については批判が多いです。
例えば，西暦2000年以降の受賞者を調べてみると，アメリカ合衆国 22名，イギリス 2名，ノルウェー 1名とアメリカが突出しています。これが1990年代の受賞者では，アメリカ 11名，カナダ 2名，ドイツ・ハンガリー，イギリス・インドが各1名と，いろいろな国籍の人が受賞していましたから，21世紀になってから，ノーベル経済学賞はほとんどアメリカが独占するようになったことがわかります。
ここで，「アメリカの経済学理論が正しい」と考えれば「アメリカの経済学者がノーベル経済学賞を独占するのは当たり前」となりますが，問題は「アメリカの経済理論が正しい」という部分が正しいのか，というところにあります。 - 以前取り上げた「なぜ唾液にアミラーゼが含まれていなければいけないのか」という問題について，「医療メーカー勤務＠35歳」さんから非常に面白い考察をお寄せいただきました。実に鋭いです。
唾液中のアミラーゼは胃液によって失活するにも関わらず、なぜ膵液だけでなく唾液にもアミラーゼが含まれているのかについて考えていたのですが、要するに，「口の中でデンプン（の一部）を分解してグルコースにし，それを口内レセプタが感知し，デンプンが来たぞと膵臓に予告（警告？）し，それに備えて膵臓β細胞はインスリン分泌体制に入る」というメカニズムですね。これは極めて合目的的な反応と思われます。
口の中で良く噛んでデンプンの甘みを感じることで、その後の急激な血糖上昇に合わせてベストなタイミングで大量にインスリン分泌できるように備えることが主目的であり、デンプンの消化を助ける意味は少ないのでは？と素人ながらに思いつきました。
検索してみたところ、（48人の実験ですが）唾液中アミラーゼの値が高く口内のデンプンを速やかに分解できる群の人々の方が、唾液中アミラーゼが低い群よりも低い血糖値レベルを保っているという報告も見つかりました。
⇒【唾液に含まれるアミラーゼと血糖の関係】
唾液でデンプンを速やかに分解できる方が一気に血糖値が上がりそうなイメージですが逆です。
全くの憶測ですが、以前の更新で紹介されていた「口内の炭水化物受容体」は唾液のアミラーゼの働きがないとデンプンを感知し難いのではないでしょうか。
『一生太らない体をつくる 噛むだけダイエット』の渡辺信幸先生も噛むことの大切さをいつも強調されていますが、人類史において、高々ここ数十年の飽食文化圏を除いては早食いする人は稀で、じっくりと噛む必要のある食べ物の方が多かったでしょうから、「良く噛まないという不自然な行為」が糖質の害に拍車をかけているのは間違いなさそうです。
「（糖質の）早食いはデブ化の近道」というのも，これから考えると納得できますね。 - 電子書籍の Kindle に関する情報をお寄せいただきました。
私が今のところ使っている kindle は第3世代と言われる kindle keyboard です．2010年にアメリカの Amazon.com から直接購入．Amazon.com にアカウントを作れば（あと中学程度の英語力があれば）日本の Amazon.co.jp から普通の商品を買うのと何ら変わりないです．自動で日本円換算してくれ，本体がJPY 16,471，S hipping が JPY 1,828，Import Fees Deposit が JPY 915 の計19,214円でした． Shipping にも特別な手続きは必要ありませんでした．なるほど。とても参考になります。というわけで，私は日本国内での Kindle の発売開始を待つことにします。
使い方としてはほぼ100％自炊した書籍（PDF）を読むだけです．
また kindl eを購入してからは本はほぼ100％ kindle で読むようになりました．紙の本を買って即断裁・スキャンしPDFにして kindle に入れてから読んでいます．主な理由は通勤電車の中で紙の本よりも kindle の方が快適に読めるからです．
- 紙の本はページを開いて見開きにする必要がある分スペースを必要とするが，kindleは何冊入れても新書1冊分の重さ，1ページ分のスペースしか取らない．ハードカバーは重くて片手で持てず，カバンも重くなり私の許容範囲を超えます．
- ページめくりは右と左の縁両方に「ページ送り」「ページ戻し」のボタンがあり，右手で持っても左手で持っても送り・戻しができる．紙の本はページ送りをする際「両手およびページを送る半円分のスペース」が必要になり，特に混雑した電車の中では不可能な場合がある．べつに日本向けではないですが両サイドに2つずつボタンがあるのは Amazon が賢いと思います．
Sony の Reader，楽天 kobo などはボタン1つずつ（もしくはタッチ操作）で，両手を使う必要があったり，タッチ操作はラッシュの中で誤操作をしたりとkindle keyboardより不便です．（ちなみに主人がガジェットマニアで kindle，Reader，Barns & Nobles の Nook まであります．kobo は評判が最悪だったので購入していません．） - 紙の本だと汚損・摩耗劣化するので通勤で持ち歩くのに気を使うが，一度PDF化したデータだと永久に劣化しないので気が楽．kindle本体は劣化するわけですが，良くも悪くも相当にプラスチッキー（チャチ）な質感で，かえって気を使わず楽です．
そこそこ丈夫そうで，家で子供たちにさんざん踏まれたりしていますが問題なく液晶でもないので割れる心配もありません．（絶対に割れないとは言えませんが…）同様の理由でお風呂でも好きな本が読めます． - 大量の本を持ち歩け，本棚を圧迫しない．自炊PDFで文字の本中心だとだいたい150冊くらいまで入れられそうです．家も狭いので場所を取らないのはありがたいです．
- うちの場合の特殊事情かもしれませんが…家の中に外部から接続できるサーバを設置してあり，自炊後のデータはすべて入れてあるので，出先からでも思い立った本を取り寄せられます．
デメリットを挙げれば以下のようなところです．- まず最初に紙の本を断裁・スキャンする必要がある．ピカピカの本をいきなり断裁するのはいまでもちょっぴり罪悪感があります．そのまま資源ごみとして廃棄するのでなおさらです．（記念および購入した証拠にカバーだけは切らずにそのまま残しています．）
断裁機4万，スキャナが4万くらいしました．（断裁機が意外に高い）断裁・スキャンに要する時間は慣れてくれば1冊5分くらいです． - kindleの画面サイズが6インチ固定のため，読める本の大きさ（文字の小ささ）は単行本（ハードカバー）が限界．それ以上の大型本は無理です．業務が立て込んでいる時に原稿を取り込んで通勤途中で作業することはありますが，相当に無理があります．また漫画など細い線が大量にあるものは綺麗に表示されず，セリフも読みづらいです．漫画は紙の本のまま読み，読み終わって保存したい・読み返したい場合に自炊します．
- 白黒でしか読めない（自分の利用範囲では問題になりませんが）．
「kindleの利点（他の電子書籍デバイスとの比較）」と「PDF書籍の利点（紙の本との比較）」が混在してますがお許し下さい．本を読む際の大原則が「PDFにすること」で，読むデバイスとして「今のところkindleがベスト」ということです．
kindle は paperwhite という，よりコントラストが明瞭で解像度の高いデバイスがこの10月に新しく発売になりました．日本向けの Shipping はまだなので転送業者経由で9月から予約購入し到着待ちです．paperwhite はタッチ操作しかなく少しがっかりですが（ボタン式が欲しかった），それでも到着をわくわくして待っています．
ところで他の方の意見で「iPadで読めるようにならないと駄目」とありましたが，現時点でも既に読めるようになっています（他の方からももう指摘されている気がしますが）．AmazonがApp Storeに「kindle for iPad」という公式のアプリを提供しています．それどころかコンピュータ（Win，Mac），ブラウザ，スマートフォン，タブレットと，とにかくあらゆるデバイスで購入した本を読むためのアプリケーションが用意されています．なにしろCEOのJeff Bezos自身が「kindleはガジェットでなくサービスだ」と言ったくらいですから．
kindle単体では原価割れという話もありますし，Amazonはデバイスを売るのではなく電子書籍や現在では映画などのコンテンツを販売するのが中心的な戦略です．
で，kindleをこよなく愛する私ですが，いわゆる「電子書籍」を購入するつもりは今のところ一切ありません．kindleででも他のオンライン書店からでもです．理由はただ1点，「著作権保護機能（DRM）がかかっているから」です．このDRMの仕組みは各社によりまちまちで，ネットワーク通信を必要とするもの，限定されたデバイスでのみ閲覧可能なものなど様々で，購入した書籍が「一生涯読める」のを保証できるものは一切ありません．（サイトで紹介されていたRabooの事例も同様です．）
紙の本で買ってちょっとの手間（断裁とスキャン）をかければ，ファイルを紛失しない限り一生読めるとわかっているのに，わざわざ保証の限りでないものを買う必要は全く感じないわけです．
電子書籍の価格が極端に下がって価格差が広がれば考えますが，出版社にいますのでそこまでの低価格で出すのは無理だろうなと思います．（うちでは紙の本における印刷代，紙代の割合はそれほど高くありません） また流通費（書店および取次の取り分）も，電子書籍販売サイトの取り分とさほど変わりありません．）
ですが電子書籍でも購入する少数の例外があります．それは「著作権保護がかかっていないPDF書籍」です．そんなものあるのかとお思いかもしれませんが，（プログラミングなど）技術系の本では実際にあるんです．ただこれらは購入したPDFに購入者のメールアドレス，氏名等が記録されている，いわゆる「電子透かし」というものが付いています．PDFが大量に流布すれば流布させた人（購入者）の情報がまるわかりというわけです．これで著作権保護機能に代えているわけですね．私の場合はこのパターンでしか電子書籍を買わず，DRMのかかったものは絶対に購入しません．あ，ちなみに私，出版社の人間です（笑）
出版の人間がこれですから電子書籍も現状のままでは先が知れてるなぁとつくづく思います．よく電子化の先行事例として挙げられる音楽分野ですが，iPhone（Apple）は当初こそDRMを付加していたものの，現在では全部DRMなしで販売しています．で，Appleの好調ぶりは誰もが知っているところですよね．音楽業界も縮小はしつづけているものの，そこそこやっていっているようですし．出版業界が電子書籍からDRMを外すようになったら本当の電子書籍の幕開けだと思っています．
ただDRMなしで書籍が販売されるようになると，例えば私の会社のように限られた領域の学生向けをメインターゲットとしているような本は売上ガタ落ち確実です．1クラス100人の学生の間で，電子透かし（購入者情報）が入った本1冊がコピーされてクラス内の100人に流布しようとも，購入した1人の学生は痛くも痒くもないわけですから．でも出版社としては売上100分の1になるわけです．とても現実的ではありません．
実際にもう医学生の間では「自炊したうちの本」が大量に流布しています．ただのPDFで検索性などが悪いのでかろうじて紙の本の売上ももっているような状況ですが，PDFの文字読み取り機能（OCR）の精度がちょっとでも上がれば一気に崩れかねません．で，売り上げ落ちる→出版社潰れる→特定の分野の本が作られなくなるの流れになる可能性もあります．オーファンドラッグならぬオーファンブックです．
情報の単価がどんどん下がっていく時代ですから，参考書のような本はいずれ誰かが趣味で作った，誰もが手に入れられる無料の本になるのかもしれません．フリーソフトウェアを昔からいくつも愛用し，クリエイティブ・コモンズの考えを素晴らしいと思う私は，そういう未来もありかなと思っています．出版社の社員としては食いっぱぐれ確実ですが（笑）
もしくは教科書などの「本（紙でも電子書籍でも）が絶対必要」な分野であれば，最終的には「税金を投入する」しかないのではないかと考えています．
佐々木俊尚さんは有名な「電子書籍の衝撃」で，「本はいずれ無料になる」という趣旨のことを書いていました．が，最近，忍法帳シリーズの山田風太郎先生のエッセイで「誰もが小説家になりたがる時代．ひとに小説を読んでもらうということはそのひとの限られた時間を自分の小説に消費してもらうということ，いずれ小説家は金を払って「私の本を読んで下さい」と頼まねばならなくなる」とありました．風太郎先生の文章のほうが確実に古いはずですが，より先進的だと思います（笑）
夏井先生でしたら出版社を介さずに電子書籍を販売するという方法も十分ありだと思います．
- 普段から無料のコンテンツを大量に発信し
- 本を書き，しかもそれが本業でなく
- プログラミングなどに造詣がある
どれも電子書籍の制作・販売には有利です．先生が普段本を出されている際にどのぐらいの編集および宣伝がかかっているかにもよりますが．
2012/10/15
【12:30】
- 先日，『砂糖の歴史』という本を紹介しましたが，その中で産業革命後のイギリスでは，労働者を働かせるために「疲労回復用に砂糖たっぷりのお茶とクッキーを与え，短時間の休憩でまた働かせた」とありました。似たような記事をどっかで読んだよ，と思って検索してみたら，これでした。
⇒【絶好調アップルを支える中国の搾取工場】
中国のフォックスコンの労働者さんたちと19世紀イギリスの労働者の違いはお茶に砂糖が入っているかいないかだけのようです。こういう準強制労働があるから，安いお値段でiPhoneが手に入るってわけね。
【09:30】
- 掌蹠膿疱症についての整形外科の西堀先生からの情報です。
当院では掌蹠膿疱症に対して、「ビオチン療法」を行っています。
「ビオチン療法」は、秋田県の本荘第一病院の前橋先生が、始められた治療法です。掌蹠膿疱症に対して、非常に有効な治療法なのですが、なぜか皮膚科の先生方は否定的な考えの方が多いようです。数年前、女優の奈美悦子さんも、ビオチン療法で掌蹠膿疱症を克服しました。
10年ほど前、まだ勤務医だったころ、掌蹠膿疱症性関節炎による激痛で入院中の患者さんから、家族がネットで調べてきた「ビオチン」を処方してほしいと言われ、「ビタミンなので副作用もなさそうだし、まあいいか」と考えて処方したら、劇的に痛みが無くなったことが、「ビオチン療法」を始めたきっかけでした。
以来、専門は整形外科なのですが「ビオチン療法」を続けています。先ほど書いたように、皮膚科の先生はビオチン療法に否定的な先生が多いので、茨城県内の各所から当院にビオチン療法を受けにくる患者さんがたくさんいます。ステロイド外用などで治療しても、全くよくならなかった患者さんが、「ビオチン療法」を始めると、徐々にではありますが良くなっていきます。
掌蹠膿疱症の主原因は「喫煙」です。掌蹠膿疱症で受診する患者さんのほとんどが喫煙者、または、家庭や職場で日常的に受動喫煙にさらされている方です。なので、治療においては「禁煙」が絶対条件です。禁煙できない患者さん、受動喫煙を避けられない患者さんは、「ビオチン療法」を始めても、なかなかよくなりません。
【08:40】
- さらに電子書籍情報です。
私はkindleをamazon.com(アメリカ)から購入しほぼ毎日読んでおります。
私の場合はたまたま英語学習をしているのもあり多くの英語で書かれた本を読むために以前はペーパーバックをオークションで買い、読み終えたらオークションで売るということを繰り返していましたが、
今は電子書籍が非常にありがたく大変役に立っています。
ダイエットについて研究しておりますので、low carb , paleo , atkins などで検索し片っ端から読んでいます。英語を学習したい方には電子書籍の多読は非常に効果のあるものかと思います。
またお金を節約したい方はサンプルが無料でダウンロードできるので、買う前にサンプルを読むことでタダで英語学習もできますよ。
【08:30】
- ふと考えたのですが，「食べたあとに眠くなる食べ物は，その生物本来の食べ物ではない」という仮説が正しいとすると，「食べて眠くなる食事を食べると太る」という仮説も生まれます。すると，「ヘンゼルとグレーテル」の魔女の戦略の意味とか，相撲取りの食生活とかに話を広げられるかな，なんて考えたりしています。
- 今日の朝，ちょっと書いた「電子書籍」についてのメールです。こういう「生の声」が一番役に立ちます。
電子書籍ヘビーユーザー（書籍数1000冊オーバー）ですので一言。
Koboはやめた方が良いと思います。コンテンツだけで言うなら年内10万冊越えを目指す、とそれなりにがんばっているように見えますが。。。
楽天は以前Panasonicの電子書籍リーダーUT-PB1に楽天Rabooとして電子書籍を提供してましたが、koboを買収して自社ハード展開を始めてRabooを閉鎖しました。で、やめたあとの対応がこれです。
UT-PB1が壊れたらあとは知らないよ、フォローはPanasonicに聞いてね、Koboへの移行もこれまで買った金額の半分出せばコンテンツを買い直せるよ、というのが楽天のやり方です。
Amazonも日本でどこまで成功するか疑問です。Kindleの発売が遅れているのはコンテンツ提供する出版社がAZW（amazon独自の電子書籍フォーマット）に対応しようとしているためだと思われますが、本来ガラパゴス言語である日本語（縦書き右開きルビ付きなんて世界中探しても日本しかありません）を無理矢理AZWに当てはめようとしているために苦戦しているのではないかと推測しています。また、Amazonがkindle以外のタブレット、特にiPADにソフトを提供しないようであればソニーリーダーに毛が生えた程度の普及しかしないと思います。
ソニーリーダーやkobo、kindleの6インチ電子インク画面は新書の場合はフォントを拡大すれば問題無いですが、コミックスを読むなら老眼の方には厳しいですし、そもそも書籍選択画面が見にくいと思います。
ただ、電子書籍そのものは便利です。私は現状ソニーリーダー（これは現在Android2.3以上のタブレットならどれでも読めます）を使ってますが、SDにデータを落としておけばコミックスでも1000冊まるまるデータの持ち運びが可能ですので自宅と同様の本棚環境が出張先・電車・飛行機内でも維持出来ますし、なんと言っても保管に場所を取りません。
現状ではBookLiveがコンテンツ数最多ですが、クラウド以外には書籍保管が出来ないのが大きな欠点です。コミックスのような大データだと1000冊まるまるをタブレットに保管することは不可能ですので、必ず一旦削除が必要ですが、復帰させる方法は再ダウンロードしかありません。
こんなところが電子書籍の現状です。
【06:00】
- 『見えない巨大水脈 地下水の科学』という本のレビューを追加。「糖質⇒穀物⇒灌漑農業⇒地下水」という関連で読み始めましたが，シャレで済ませられない未来予測になっています。
- 「映画レビュー」に「製作国別表示」モードを追加しました。レビューを書いた映画の半分はアメリカ映画ですが，パキスタンやイラン，ボスニア・ヘルツェゴビナなどで作られた映画も結構見ていたことがわかります。
- 掌蹠膿疱症についての質問メールをいただきましたが，実は私もこの病気についてはよく知りません。どなたか，ご教示いただけないでしょうか。
鍼灸師です。掌蹠膿疱症って独立疾患なんでしょうか。それとも症候名なんでしょうか。そのあたりからして私はよくわかっていません。皮膚科の先生，よろしくお願い致します。
治りづらい手指手掌の荒れのことでお尋ねしたいのですが。女児を出産後、手掌とくに両手指の荒れがひどくかれこれ1年と7ヶ月。ワセリンがけを念入りにとアドバイスしてからはだいぶ良くなったのですが、家事を育児で水を使う機会が多く思うようには治らない。
最近皮膚科にかかると掌蹠膿疱症と診断されたみたいです。アドバイスありましたらよろしくお願いします。 - 糖質制限関連で，こういうニュースを教えていただきました。
【少女が糖分の過剰摂取で死亡】どういう状況だったのか，この記事だけではよくわかりませんが，高血糖昏睡の状態になったのでしょうか？
９日、タイ東北部ノーンブワラムプー県ムアンノーンブワラムプー郡で、中学３年生の少女が糖分の過剰摂取で死亡した。
タイ地元紙によると、この少女（１４）は、以前からダイエットに励んでいたが、炭酸飲料を好んで毎日大量に飲んでいた。数日前から頭痛がひどくなり、度々病院に行くも医師からもらった薬では治らなかった。そして同日、ついに呼吸困難に陥り死亡した。その後の検死の結果、糖分の過剰摂取が原因であることがわかった。 - 糖質制限の体験記です。
先日，日本酒の血糖値を測定しましたものです。ご参考になればと思い、私の検診データ、感動の入院時手記（笑）をお送りいたします。ステント治療を受けた病院の糖尿病専門家の反応と，現在の糖尿病専門医の反応の違いですが，これは多分，糖質制限の認知度の変化もあるのかもしれませんね。1年半前だったら「糖質制限？ それ何？」でしたが（何より私がそうでした），今年の夏だったら「糖質制限？ いつの間にか，医者で糖質制限をしている人が増えてきたみたいですね」に変化していると思います。
私は2年ほど前，狭心症へのステント治療と糖尿病の検査入院をしております。で、ステントを入れる2カ月ほど前から、そろそろオレ健康状態ヤバいじゃん、と思って糖質制限を始めておりました。まずは主な検査データの推移ですが糖質制限開始時、1年後、1年半で並べます（身長183ｃｍ、現在のBMI：22.4）。体重 HbA1c TG HDL LDL 空腹時血糖 開始時 87 9.8 850 40 150 240 1年後 75 5.8 80 50 70 130 1年半後 75 5.5 80 50 70 100
入院当時で糖尿病療養指導士の資格をもつ方が27名いらっしゃるという施設ですので、DM治療では非常に積極的です。ただ糖質制限に理解のある方が非常に少ない状況でした。- 循環器内科主治医S部長
- あなたのDMが食事制限（＝糖質制限）だけで治るとは思えませんね。
- 血糖値は炭水化物以外でも上がりますよ。
- 糖尿病センター主治医F先生
- 私は糖質制限は腎への影響を考えてお勧めしません。
- 栄養士の先生方
- 基本的にバランスがいい食事を心がけるようにとの指導でした。
- 糖質を規定量摂らないのは身体に悪い
- 一定量の糖質を摂らないとインスリンの効果を確かめられない
- 野菜はいくら食べても良い
で、やはり出てくる食事は糖質60％のカロリー制限（1800kcal/day）で、たとえば昼食だとうどん二玉だったりします。入院中は持効型インスリンと三食毎超速効型インスリンを打っていましたので、これでピーク180ぐらいに抑えられてましたが…。
現在は転勤し東京で治療を受けておりますが、こちらで診ていただいているDr（DM専門医）も糖質制限は否定的でした。しかし1年半通院し私のデータを見た結果、今は糖質制限を認めてくださるようになりました。
1年半前みたいに「糖質制限をしたら能にブドウ糖が回らなくてバカになるぞ」と患者を恫喝できましたが，今そんなことを言ったら「この医者，馬鹿じゃね？ 少なくとも勉強はしてないな。この医者じゃダメだ」と患者に馬鹿にされます。
それにしても，糖尿病だけど糖質制限で血糖値もHbA1cも正常化している人が，たまたま何かの病気で入院したとします。「既往歴：糖尿病」ですから，その病院の糖尿病専門医に紹介され，食事は糖尿病食に変更です。ということは，カロリーの6割が糖質となり，ウドン二玉（＝角砂糖28個分の糖質！）だけの昼食を食わされることになります。当然，血糖値は上がります。すると糖尿病専門医は「血糖が上がったからインスリンを打ちましょう」と宣言するわけです。
・・・・って，なんか変だなぁ。
さらに，このかたへの私の返事に対するレスもいただきました。確かに最近の先生方の反応は違ってきていると思います。実際一年半前の段階でも患者が医師に催促するかのような形で▲▲病院DM専門医のチームが糖質制限を始めておられかなり成果を挙げていました。この方がされているように，人間の代謝に関するあらゆるデータを「糖質ゼロ」状態で測定し直し，それを元に，食品に含まれる成分を観直して「理想の糖質オフ食」を見つけていくことがいずれ必要になると思います。そして，その作業の中で「理想の食べ合わせ・食材の理想の組み合わせ」が見つかっていくんでしょう。
ところで私の体重はBMI22前後で安定しておりますが、腹回りを見るといまだ二周りほどの皮下脂肪で覆われています。この脂肪を落とすためにつらつらと以下のようなことを考えました。
- 糖質制限にカロリー制限を併用する。
- 同じく運動を強化する。
- 糖質制限の中身を再検証し更なる減量（体型の変化）を試みる。
もちろんカロリー制限も運動もしたくありませんから、選んだのは当然3です。
3週間ほど前まで、昼食には枝豆をまず食べ、夕食には大量の葉物野菜のサラダを選んでいました。これをやめてステーキやから揚げなどの肉類に置き換えるようにしてみたところ、75～76kgの体重が72～74kgほどに変化しました。
ここから次のような考え方にいたりました。- 糖質制限では肉、魚を食べる事を問題視しませんが、それが分かっていながらいまだ（糖質の少ない）野菜を信奉している、つまりまだまだ余計な野菜を食べている。（野菜類はビタミンが不足しない程度に摂ればいい？）
- 今まで糖質を減らすことに主眼を置き、落ち着いた体重がその人の至適体重と考えていたが、もしかしたら脂質やたんぱく質の種類を変化させることでより細かい体重コントロールや各種検査値のコントロールが可能？
このあたりは脂質では飽和、不飽和脂肪酸、ω-3系あるいは6系脂肪酸、またたんぱく質では糖原生アミノ酸とケト原生アミノ酸の違い等を考えなければいけないのでしょうか？ 学生時代、生化学の授業は優良可不可でようやく可をいただいた私ではこれ以上の考察ができませんが、もうしばらく肉食中心の食事を続けてみます。
2本ステントが入っている身ですので本来ならご法度の食生活ですが、なぜかあまり不安は感じませんが…。
なぜ，こんな作業が必要になるかというと，さまざまな動植物は「人間に食べてもらうため」に存在しているわけではないからです。皮下脂肪の不飽和脂肪酸の組成も，枝豆と大豆のデンプン含有量の違いも，果物に含まれる糖質とビタミンの量も，全て「彼らの生存」に必要だから含まれているのです（・・・もちろんん，人間による品種改良で変化した部分もあるけど）。私達の身の回りにある野菜も果物も家畜の肉も全て，そういう食品です。だから，「より緻密な選択と組み合わせ」を得るには改良の余地があるはずです。 - 循環器内科主治医S部長
- 【ｉＰＳ細胞治療で大半うその森口氏帰国へ】
すっかり化けの皮が剥がれて「嘘つき森ちゃん」の評価が定着してしまいましたが，今回もしも，山中教授がノーベル賞を取っていなかったらどうなっていたでしょうね。その場合，今回のようにマスコミに知られることもなければ注目を浴びることはなかったでしょう。また，超マイナーな学会で発表しても関心を惹くこともないだろうし，超マイナーな雑誌に投稿すれば論文はそのまま吟味されることもなく掲載されます。もちろん，そんな論文は誰も読みませんから，「この論文，おかしくね？」と批判されることもありません。
そして，10数年後にiPS細胞による治療が一般化した時に，治療の歴史についてまとめようとした研究者がたまたま偶然にもこの森口先生が10数年前に書いたヘッポコ論文を見つけちゃう。そして，「オイオイ，これぞ忘れられた先駆者じゃないのか？」なんてことになっていたかもしれません。
もちろん，その後，この論文を詳細に検討する研究者が登場し，「この論文には疑義がある」と指摘するでしょうが，もう数十年前の論文で，その頃には森口先生は死んでいるでしょうから，痛くも痒くもありません。
そう考えると，森口先生の唯一の誤算は，学会発表の数日前に山中教授がノーベル賞を受賞したことでしょう。あと数年受賞が遅ければ森口先生は逃げ切れたかもしれませんね。 - 【電子書籍のメリット 夜中に漫画の一気読みしたい時に“大人買い”】
こういう記事の割りに，電車や地下鉄で電子書籍を読んでいる人を見かけることはあまりないような印象ですが，いかがでしょうか。電車で電子書籍を読んでいる人はほとんど，Kindleで英語の本を読んでいる外国の方だけです。
そのKindleにしても，10月中に日本発売というニュースは目にしますが，それ以上の情報は流れていません（少なくとも今日の段階では）。Kindleなら本体だけでも欲しい気がするんだけど，売ってないんじゃしょうがありません。
楽天Koboの本体は魅力的な値段設定ですが，肝心のコンテンツが貧弱で，読みたいと思う作品がほとんど見つかりません。いろいろな出版社の新書の新刊書が読めるのならKoboを買ってみてもいいんだけどねぇ。
というわけで，実際に電子書籍をお使いの方はいらっしゃいますか？ 実際に使ってみていかがですか？
2012/10/12
【11:30】
- 獣医さんからのメール。
本日の熱傷の記事（05:30更新）ですが、
担当医に湿潤療法の効果を話した所、「あの初期の段階では、湿潤療法はできなかった」もしかしたらこのコメントは、「噂には聞いていたが、ここまでよくなるのか、次は試してみようかなぁ」と思いつつのごまかしの発言だったのではないかと思ってしまいました。私なら素直に「これは素晴らしい、勉強し直します」と言っちゃいますけどね。
ところで数日前の猫の真菌ですが、一つの疑問は本当に真菌だったのかということです。うちでは培養して確定させます。（暫定的に治療も開始します）
基本は犬猫では人間とたぶん違うと思いますが大部分は「角質」ではなく「毛や毛根」に感染します。なので実際は脱毛ではなく毛が根元近くから折れている状態です。ですから患部および患部周辺（防火帯のように）の毛刈りと抗真菌剤の塗布です。
その方の猫が真菌だとしてワセリンで治ったとしたら、ただ単に空気（酸素）の遮断だったのかなと思います。真菌は基本的に好気性で、嫌気性真菌はなかったと思います。
前に書いたように「毛」に感染するので、折れた根元の毛根部分に擦り込むことによって酸素が遮断され増殖できなくなったのかもしれません。これで治るなら湿潤療法と一緒で目からうろこです。
もし真菌が来たら試してみたいとは思いますが、長毛種だと無理ですねべちょべちょになってしまうので。
【10:00】
- アメリカ在住の方からのメール。
どうして往診というものがなくなってしまったのでしょう。少なくとも私が育った昭和40年代にはありました。その頃と比べて医師の数は減っているどころか増えているはずです。確かにろくな設備も持ち歩かないで立派な治療が個人宅では行えないかもしれません。
しかし子供が高熱を出しているとき、往診に来てもらって「ただの風邪ですね。」と医師に言ってもらうことがどれだけ安心感を与えるか。また体調の悪い人間が病院に行って、待合室で何時間も待たされる苦痛がどれだけのものか（息子が昨年、扁桃腺でERに行って3時間も待たされたあげく、ここでは処置できないと言われて Children's Hospital に行かされた時の苦痛は忘れることが出来ません）。救急車の出動回数も大幅に減るでしょう。
このように考えてみると病院・医院ももちろん必要ですが、往診も医療の形として今でも必要なのではないかと思うのです。ピアノに喩えるなら調律や整調、整音といった作業は調律師を呼んで家に来てもらいますが、これをわざわざ修理工場にトラックでピアノを運んでやってもらうのに等しいと思うのです。もちろん響板交換など、修理工場に運ばないとできない作業も沢山あります。
それからアメリカの医療レベルについてですが、日本でももちろん医療事故のニュースなどは目にしますが、私の交友関係で日本で医療事故にあった者はおりません。ところがアメリカでは、一人は出産時に脳血栓を起こし（酷い頭痛がありながら2日間放置），植物人間になってしまいましたし、もう一人は盲腸の手術で失敗され、数ヶ月も苦しみました。異国での限られた交友関係で二例もこのようなことがあるというのはちょっと考えさせられます。しかもいずれも Brigham and Women's とか Mass General といった、日本からも留学に来るような有名な病院で起きたことです。
【08:30】
- 内科の先生からのメールです。
最近は、医療者と医療を受ける側との視点についての話題が多いですが、私の感じたことを述べさせていただきます。
私は医療者なので、医療を受ける側の方の意見にも、医療者の意見にも当然ながら頷ける部分がありますが、お互いがそれぞれの立場から意見を述べても、視点が異なるので結局は平行線にならざるをえないのではないでしょうか。
医療を受ける側として意見を述べる方の大半は医療に従事したことはないはずです。日本の人口と医療従事者の数からすれば当然です。
一方、医療従事者で病気にならない人はほとんどいないはずなので、実は医療従事者は医療を受ける側の視点でも感じたり考えたりしています。
「医 療に従事したことのない、医療を受ける側の人」も、医療従事者の体験をしてみると、感じ方や考え方が変わるかもしれません。
医療者側が多くの問題を抱えているのは確かですが、無理なことを要求してきたり、常識はずれのことをする来院者が少なくないのも事実です。
これは、歩行者と自動車運転者との関係、視点の違いとも共通するのではないでしょうか。多くの大人は歩行者の立場になったことも、運転者の立場になったこともあると思いますが、一人の人間でも、視点が異なれば感じ方や考え方が異なってくるものだと思います。
【07:00】
- 昨日の「ある小児科医」の先生からのメール（10月11日 12：00）に対するレスです。
10/11の小児科医さんのコメントについてちょっと気になったので、少しばかり私も患者の視点からコメントさせて頂きたくメール致しました。こういう視点，医者はなかなか気が付きにくいですね。例えば，たまたま食べに行ったレストランで美味しい料理を食べ，感激したので後日，シェフにお礼を言いにそのレストランに行けるかというと，たしかに難しいです。
お世話になったお医者さんにお礼をしたいという気持ちは誰でもあると思っています。
ただし、ここで書かれているように別の病院への入院を手配してもらった場合、完治してからこの小児科医さんのところに戻ってお礼を申し上げたくても、まず病院には受付が居り、お医者さんも治療中でしょうから、そこでお会いしてお礼をするということは躊躇しがちです。近所を散歩していてそこですれ違えば、当然挨拶してお礼をすると思います。また普段からメールなり電話なりで連絡している関係であればすぐにお礼をするでしょうが、そういうケースは少ないでしょう。
昔のように往診もない時代ですし、我々患者からするとお医者さんというものはいつも壁の向こうに居る存在で、なかなか直接お話できる相手ではないということです。しかしながらお世話になった方に感謝の念がないわけではないと思います。
逆にある医院で病状が悪化しても、患者は他の医院に逃げるだけで、よほどのことがない限り、その医師に直接文句を言いに行くこともないでしょう。
余談ですがアメリカでは医療訴訟専門の弁護士がいて訴訟が多いために、それが医療費全体の高騰を招いたわけですが、裏を返せばそれだけ出鱈目な医療が多いということでもあると思っています。
【06:00】
- ラジオ出演，無事に終了しました。いつものように患者さんに説明するように喋っただけですが，大丈夫だったかな？
【05:30】
- ある事件で離れ離れになり，50年ぶりに再開したオールド・ジャズメンたちが感動のステージを繰り広げる感動映画・・・になるはずだったのに，妙に感動が盛り上がらなかった映画，《ふたたび SWING ME AGAIN》を紹介。感動作になる条件を全て揃えているのに，ラストの演奏は素晴らしいのに，なぜかそれらが映画としての感動に結びつきません。理由は単純で，主人公以外のメンバーの人生がまるで描かれていないからですね。
- 熱傷の湿潤治療の普及に獅子奮迅の活躍をしている「火傷の治療日記」の鶴田さん（2106racingさん・・・昨日の8：30の更新参照）からのメールです。
昨日の更新履歴では私のブログを参考にしてご自分で足の火傷に湿潤療法を行って無事上皮化された女性のブログが紹介されていましたが、たとえ自己責任といえども、おかしな事をして悪化したらそれこそ目も当てられない大事（アンチ湿潤療法医師の絶好のネタ）になると思って、こまめにアドバイスを続けていました。鶴田さんのような「プロ（＝医者）を凌駕する正確な知識を持った素人」が増えることで，「いい加減な知識しか持たない医者／そもそも知識がない医者」はいずれ淘汰される・・・と，私は信じています。
実はこの女性よりも少し前に、調理人の旦那さんが仕事中に手に酷い火傷を負い、労災で掛かった病院では植皮の可能性を言われていた女性のブログを見つけたので、さっそく湿潤療法を勧めるコメントを入れておいた所、私の同じ様な手の火傷のブログを参考に、病院へ行くのをやめてご自分で見事に治しちゃいました。
こちらがそのブログの＜ブログテーマ 旦那の火傷＞です。
ただ、どちらの方も共通して言える事は、最初の病院の医師が水疱膜を残しておいた事で、その方が良いと思い込んでいた事です。
湿潤療法では、これを残したまま閉鎖しておくと感染源になるのは周知の通りですのでさっそく除去する様アドバイスさせて頂きましたが、逆にこれさえ無ければ感染する事なく、誰でも簡単に上皮化するのが普通です。
ちなみにこの方は上皮化後にその病院に行かれて担当医に湿潤療法の効果を話した所、「あの初期の段階では、湿潤療法はできなかった」などとと言われて？？？だった様です。
これで間違いなく言える事は、湿潤療法経験者やその経験者のアドバイスを受けた方は、古臭い知識しか無い医師よりも簡単に火傷や傷を治す事が出来ると言う事です。 - 【村上春樹氏また受賞逃す 中国の莫言氏にノーベル文学賞】
私は35歳以降，小説というものを一切読まなくなったので，実は村上春樹さんの作品はひとつも読んだことがありません。そんなわけなので，過去15年間のノーベル文学賞受賞者を見ても誰一人知らないことに気が付きました。唯一名前を知っているのは1999年受賞のギュンター・グラスですが，彼の作品も読んだことがありません。
10代，20代の頃はあれほど貪るように小説を読んでいたのに，30代に入ってからはパタッと憑き物が落ちたように小説を読まなくなりました。そして，40歳頃にこのサイトを作り始め，45歳以降は生物学，物理学，数学，歴史学，社会科学系の本しか読んでいません。45歳になってようやく，自分の無知さ加減に嫌気が差し，遅れを取り戻そうとして泥縄的に必死に勉強を始めたのが45歳だった，というわけですね。受賞年 ノーベル文学賞受賞者 国籍 2012年 莫言 中国 2011年 トーマス・トランストロンメル スウェーデン 2010年 マリオ・バルガス・リョサ ペルー 2009年 ヘルタ・ミュラー ドイツ 2008年 ジャン＝マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ ドイツ 2007年 ドリス・レッシング イギリス 2006年 オルハン・パムク トルコ 2005年 ハロルド・ピンター イギリス 2004年 エルフリーデ・イェリネク オーストリア 2003年 J・M・クッツェー 南アフリカ 2002年 ケルテース・イムレ ハンガリー 2001年 V・S・ナイポール イギリス 2000年 高行健 フランス 1999年 ギュンター・グラス ドイツ 1998年 ジョゼ・サラマーゴ ポルトガル 1997年 ダリオ・フォ イタリア
2012/10/11
【12:30】
- 【Android端末に最適。断線しにくくて暗闇でも挿しやすいmicro USBケーブル】
これは便利そう。ちょっと欲しいかも。
【12:00】
- 医療とサービスの件について，ある小児科の先生からのメールです。
うちは入院設備のある小規模病院なので、近くの開業医（内科小児科）の手におえなくなると、ほぼ丸投げ状態で、紹介されます。アナムネもいい加減で、すべてとり直しです。
その中に年に数例、おいおいと思うぐらいの重症例が含まれてきます。それから、病院探しをし（大きい病院にも当然向き不向きがありますゆえ）、電話をして、病状の説明と入院のお願いをして、断られれば、次を探し、なおかつ救急車に同乗して、不安がる家族を慰め、1日これで終わりかという思いをして、どっと疲れますが、退院されてから、お礼に見えられる方は、かかりつけ以外には全くいません。
家族にしてみれば、病気の子が治ってやれやれというだけで、途中経過は無視でしょうね。またどうしようもないかかりつけに戻っていったのだろうなあと、思います。
ありがとうを期待すると心が折れるので、やめました。うまくいったという自己満足のためだけに動くことにしました。そうしたら、楽になりました。感謝されれば、ラッキーです。心がなごみます。
患者さんの選択ということに関しては、選択の科学、という本を読んだときに、人工呼吸器をはずすかはずさないか、決定しなければならなかったアメリカの親より、その選択は基本的に医師がするフランスの親の方が、立ち直りが早かった、という文を読んでから、やり方を変えました。
これとこれがあるので、どっちにしますか？ではなく、これこれしたいのですが、それでよろしいですか？と聞くことにしました。だめ、と言われてから、別のやり方を提示する、または転院をおすすめします。専門家ってそれくらいの知識と自分の治療に対する責任感があってもいいのではないかと思っています。
大学病院のなかのたらいまわしは実際夫が末期がんだったときに経験しました。大腿骨に転移があったので、整形外科を受診しろ、夫が、ラジオ波の話をしたら、消化器外科を受診しろ、はては、もうあと1か月と言われて入院してから、歯科や、褥瘡チームの回診です。なんで、腫瘍内科、放射線科や緩和ケアだけで、完結しないのだろうと思いました。4期ですから、治癒の見込みはないので、主治医が、無理だと思う、でもよかったのではないのでしょうか？
医療費の問題は大きいのでしょうが、実際診療をしている側は費用の問題はすっとんでいます。費用のことだけ考えていたら、やってられません。こんな仕事。お金のことも問題にされたときに一緒に考えることにしています。みなさんそうではないのでしょうか？
しかも勝手に値段を上げることも下げることも、基本的にはゆるされないので、ほかのサービス業とは少し違うと考えています。自己満足の部分に、患者さんの満足度や費用に対する納得が乗ってくれれば、うまくいった、ということなのではないでしょうか？ - さらに，ある薬剤師さんからのメールです。
一連の「医療とサービス」の話題について浮かんだキーワードは「自由」です。恐らく，「自由に選択したことに関しては，結果がどうあれ，他人に文句は言わない。他人のせいにしない」というのが，「成熟した自由人」の条件でしょうね。
- 医者が治療を「自由に発想」する
- 病院同士が「自由に競争」する
- 患者が病院を「自由に選択」する
- みんなが「自由に意見」する
どれも「ある程度」という条件は付きますが、「自由」だからこそ今までの「医療の発展」があったし、これからも「医療は発展」していくのだ、と思います。
例えば「医者は教科書に書かれていること以外の治療をしてはいけない」，「患者は決められた病院にしか行ってはいけない」，「医者も患者もインターネットをするな」とか決められていたとしたら、「湿潤療法」も「糖質制限」も生まれてこなかったかもしれないし、こんなに早く世の中に浸透することは無かっただろうと思います。
私は「自由」を享受する一人として患者にだけ「『自由に文句』を言うな」とは言えないよね・・・と。
【09:30】
- サービス業と医療の問題についてのメールをいただきました。
ちょっと過激な内容も含まれている「医療を受ける側」としての意見です私はおおよそ，「買いたいものを買いたい店で買う、売りたくない客には売らない」というスタンスに近いですね。
サービスやサービス業は、たまに勘違いされますがボランティアではありません。物品販売、技術提供はそれの「対価を得て」いるわけですから、医療も例外ではないのです。
医師（歯科医師）が提供する医療行為がサービス業とは異なるように解釈するのは、行為に必要な条件取得が難しいことが一つではないでしょうか。医師としてなんとか一人でできるようになるまでには、医学部の入学時点から計算しても、10年～15年はかかります。また、医学部に入学するために、進学塾に通うのみならず、都市圏では中学から有名進学校に入るために小学生のころから勉強している人も多いでしょう。また、商品（医療行為）代金に医療保険がからみ、患者が一部負担する形で購入することができている点ではないでしょうか。
大変な苦労です。しかし、それは医師として働くために必要なコストかもしれません。医師になりたくてなった苦労なんて、それは医師の単なる自己満足でしかありません。「俺はこんなに苦労して医師になったんだ」、でも、我々患者としては知ったことではないのです。
医師、患者それぞれ患者、医師を選ぶことができますが、その力関係はサービス業である以上患者の方が強いのです。しかし、家電製品を買う店選びと少し異なるのは、「経済学に興味を持つ理系の研究者」さんのメールにある「情報の非対称性」が原因です。
それでもインターネットで簡単に情報が集められるようになり、その構造を崩しつつあります。患者が病院を選びやすくなる反面、患者は医師にいろんな注文をつけるようになっていると思います。患者の自己都合や不当な要求があれば、医師は拒絶すればいいだけです。患者は自分に都合のいい他の病院を探すだけです。
買いたいものを買いたい店で買う、売りたくない客には売らない、この構造は医療でも成り立っているのではないでしょうか。
湿潤治療については十分に説明するし，それでどのくらい治るのかも実際の症例写真を見せて説明します。でも，治療は押し付けません。他の選択肢も示して，患者さんに選んでもらいます。
「どうしても消毒してくれ」という患者さんがいたら，「ここでは消毒薬は置いていないので，別の病院を探して下さい」と説明するだけです。
治療法の選択肢を提示して，それぞれがどういう結果になるかを説明するのは医者の仕事，その中から治療法を選択するのは患者さんの仕事，患者さんが選んだ治療を提供するのは医者の仕事，もしもその治療を医者が提供できなければ患者は別の医者を探す・・・と割り切っています。
【08:30】
- 「ヤケドを自力で治しました」というメールをいただきました。この方の質問に熱心に，そして真摯に指導して励まし続けた2106Racingさんも素晴らしいです。
去る2012年9月22日(土)夕方、左足に熱湯をかけ火傷しました。その後近郊の総合病院に通いましたがガーゼ＋リンデロン軟膏の治療と看護師さんの荒っぽさに疑問を抱き(くるぶしのあたりに水ぶくれが出来ている状態なのに鋏を使わず力で引っ張って紙テープを剥がそうとしてました…ものす～～～～～っっっごく痛かったです……)この方のブログはこちらです。治療経過を克明に記録していて，これまた素晴らしいです。そこらの大学病院などにはびこっている「消毒・ガーゼ医者」より，この方のほうがよほどしっかりした知識を持っています。
知恵袋→2106Racingさん→夏井先生のサイト、で湿潤療法に巡り合えました。
湿潤療法のおかげで先日無事完治した模様です。
「あの」ガーゼを貼られた痛みから救って頂いて感謝の言葉もありません。ガーゼをラップに換えて5分もしない内に痛みが消え、世界が明るくなりました。
【06:00】
- 一昨日、保育園のピアノの蓋に左小指を挟んだという4歳の女の子が受診されました。見ると，指尖部の不全切断で，掌側の皮膚と軟部組織でつながっているのみのブラブラ状態ですが，遠位部の血流は良好です（指の動脈は掌側にあるのだから当たり前ですね）。縫合するかどうかでしばし悩みましたが、「縫合しなくたってかなりの確率で組織はつながるはず。縫合しないことで万一、遠位部が壊死したところで、このくらいの組織欠損なら大した変形は残らないはずだ」と考え、アルギン酸炎被覆材でとりあえず被覆。
- 昨日，埼玉県から受診された患者さんは，先週金曜日に作業中にプレス機で示指先端を潰し，県内某病院整形外科で治療を受けていたそうです。そして昨日，受診したところ診察した医者（金曜日に処置をした医者とは別）が一目見て，「これは状態が悪いねぇ。切断しなければいけないかもしれないが，金曜日の先生に判断してもらいましょう。また金曜日に来て下さい」と言われたそうです。
それを聞いた患者さんはもちろんびっくりし，同時に「指を切るかもしれないという不安を抱えて金曜日までなんて待っていられない。この病院じゃダメだ」と直感し、会社に相談したところ，実は同じような怪我をして私の外来できれいに治った社員がいたと聞き，当科を受診されたそうです。
診察してみると別に大したことがない圧挫で，なんでこれを診察した整形外科医が「これは切断が必要かも」と判断したのか意味がわからんなぁ、という程度でした。
それにしても，なぜ診察した医者は「金曜日の医者」に回したんでしょうか？ 金曜日の医者が指の外傷の専門家だから回したんでしょうか？
多分，違うと思います。単に「初診で治療をしたのは俺じゃないから，面倒な事はしないでおこう」という判断で，初期治療をした「金曜日の医者」に回しただけでしょう。じゃあ，「金曜日の医者」はどうするかというと，多分自分では判断がつかなくて，同じ病院の手の外傷を多少でも得意にしている医者の診察日に回すか，あるいは大学病院整形外科に紹介することになるはずです。こういうのを「たらい回し」といいます。
総合病院の外来ではこういう「患者のたらい回し」は珍しくありませんし、医者の都合を優先すれば「たらい回し」にすればとりあえず問題解決です。
しかし，「指を切るかもしれない」と言われて不安になっている患者さんの気持ちのことは全く考えていません。「指を切る」と言われた患者さんがどれほど不安な気持ちになるかなんてどうでもいいし、とりあえず自分の外来で面倒さえなければそれでいい・・・と。
ちなみに，患者さんに「多分，10月いっぱいで治ると思うし，元通りの指になるよ」と伝えたところ，「今まで，治らない，治らないという話ばかり聞かされました。治ると言う言葉を初めて聞きました」と喜んでいました。
患者さんが「なぜこの指を見て切断が必要，と言ったんでしょうかね」と質問されたので，「それは，本物のオオカミを見たことがない人が，オオカミが来た，と騒いでいるのと同じ。その人は本物のオオカミを見たことがないから、チワワやハムスターを見てもオオカミに見えちゃう。それで、チワワを見てオオカミが来たと騒ぐのです。それと同じですよ」って答えておきました。えらく納得されたようです。 - 東京都文京区で湿潤治療をしているてしま皮膚科・形成外科の手島先生からのメール。昨日のこのコーナーの記事についてです。
昨日9時更新の「湿潤治療で治って当たり前」という患者さんを嘆く医師のメールと、それに対する夏井先生の返信記事を拝見しました。以前にも書きましたが，患者さんが医療に求める要求のレベルと，医療者側が帝京できるレベルには，実はかなりのギャップがあるんだと思います。例えば，形成外科医は移植皮膚を見て「綺麗！」と感じますが，患者の芽にはその移植皮膚は「蛇の鱗みたい！」に映ります。
私は今年の5月に都内で開業しましたが、クリニックのHPに湿潤治療のことも掲載したため、夏場にも関わらずたくさんの熱傷患者さんが「湿潤治療」を求めて来院されました。擦り傷や切り傷などの外傷でも、「湿潤治療」をキーワードに当院を見つけて、少々離れたところから受診した患者さんもいました。夏井先生のHPからのリンクで見つけてくれた方もいます。
他院で治療を受けた後、当院にうつってきた患者さんは
「処置の痛みも少ないし、（前医で脅かされたほどのこともなく）きれいに治ってよかった。」と、比較した上で評価し、喜んでくれる方がほとんどです。
難しいのは「湿潤治療」を求めて初診で当院を選んでくれた患者さんです。こちらも大半の方は、
「けがしてエラいことになったと思ったけれど、良い治療を受けられてよかった。」と喜んでくれますが、中には
「湿潤治療なら、どんな怪我でもまったく痛みもなく、跡形なく治る」と思い込んでいる方もいらっしゃいます。「期待はずれだった」と、あからさまにガッカリされることもあります。そんな時には私のほうまでガッカリいたしますし、患者さんの反応があんまりな感じだったりすると
「医者は神様じゃないんだから、ケガ自体を『なかったこと』にはできんわい！！」とお腹の中でつぶやいて、やさぐれた気分になっていました
ただそんな中、
「［お礼をいう客］／［客全員］の比率がすこしずつでもいいから上むいてくれば，それで十分なんですよ。」という夏井先生の一文が、何かストンと胸に入ってきて、心を温めてくれる感じがしました。
夏井先生は、湿潤治療という未知の領域に踏み込んで、手探りで治療方法を確立すると同時に、普及活動にも勤しんで来られたのですよね。
今では、従来法に拘泥する権威を相手に牙を剥く武闘派、というイメージも目立つ夏井先生ですが（失礼！）、あふれるバイタリティーの原動力は、患者さんの「ありがとう」なのかもなあと、勝手に想像しました。
「医者からみると湿潤治療で綺麗に治ったのに文句言われる」という医者の愚痴も、先生にしてみると、求めていたステージが確実に近付いている証として、むしろ痛快なのではないでしょうか。
患者さんも、人生いろいろ、人柄いろいろ。一人でも多くの患者さんに、湿潤治療で笑顔を与えられたら、それで良いんだろうなと。
そしてまた、湿潤治療という、10年後も患者さんに胸張れる方法を身につけられた自分は、医者として幸せ者なのだろうなと。（少なくとも私は、10年前に自分が行った植皮手術の患者さん全員に対し、「絶対に必要な手術だった」と胸を張る自信はありません。）
多分，同様のギャップは医学界にはゴロゴロしているんだと思います。
その中で，湿潤治療はそういうギャップが比較的少ない治療だと思います。だから，患者さんに嘘をつく必要もないし，治療結果の説明を嘘で取り繕う必要もありません。だから私は，この治療を始めてから，自分が嘘をついていると自覚しなくて済むようになった分，精神的にすごく楽です。 - いつもの「医療素人ソフト屋」さんからのメール。
サービスは確かに奉仕の意味もありますが、有用などの意味もあります。辞書からちょっとコピーしますと・・
a 奉仕
community service
地域（社会）奉仕
b 役に立つこと, 有用, 助け
do a person a service
人の役に立つ私は職業としてのサービスは有用な技術を提供する事と認識しています。「掃除」「医療」「弁護」などの技術を提供するサービス業と認識してます。
当然その人がもっている技術を正しく使わないと、そら商売にならないでしょう。ましてや、「技術」でなく「権威」を商売ネタしても・・・それは違うと思います。
一応補足としてサービス業としての医術は患者さんを患者様と呼ぶことではないですよね。 - 「経済学に興味を持つ理系の研究者」さんからのメールです。
基本的に、医療もまたサービス業だというのは全くその通りだと思います。ただ、医療には、市場取引(トレード)がうまく働かなくなる大きな要因があります。
それは、「情報の非対称性」と呼ばれるものです。サービスの買い手(患者)の側には、売り手(医師)の提供するサービスの質を判断するための十分な情報がないことが多いでしょう。治療手段の選択に必要な知識がなかったり、個々の医師や病院の治療成績の情報が広く利用できなかったり。
医療や医療類似行為を完全に市場に任せると、それこそ今の化粧品業界で見られるような呪いめいた製品やダイエット法のようなものまで医療と混ざってしまい、知識のない患者側には、効く医療と効かない医療を区別する手段がなくなってしまうでしょう。プラセボ効果や麻薬のようなものまで含めた場合、「金を出す本人が満足していればいいんだ」という単純な話では済まないと思います。
これに対する部分的な解決策として、公的なスクリーニング(たとえば資格試験や治験)があります。また、医師免許を取得するには、そのための期間も含めて大変な努力が必要です。それだけの労力を支払って自らの能力を証明する「シグナリング」という効果もあると思います。
かといって、「だから医療に経済原理は全く適用できないのだ」という逆の極論も不適当だと思います。ガーゼと消毒で事足れりとしている医師も、進んで湿潤療法を取り入れるような医師も、みんな仲良く横並びで同じ条件で働くべきだとは思いません。一筋縄ではいかない話ですが、鍵は「情報」にあるのだろうと思います。
なお、別の話題ですが「医療の費用を担っているのは、ほとんどが国民の税金」というのは少し事実と違います。医療費のうち国庫負担額の割合は20%弱です。 - 【タリバンが暗殺したがった14歳少女】
この14歳の少女の写真を見ると，彼女がいかに聡明で強い意志を持っているかがわかります。その聡明さと意志の強さの故に彼女は銃撃されました。
イスラム原理主義の最大の問題点は，歴史という時間軸が希薄なことではないかと思います。ムハマンドの時代の栄光を取り戻そう，というのは，日本で言えば「蘇我入鹿の時代に戻そう」，中国で言えば「随の煬帝の社会に戻そう」というのと同じです。
2012/10/10
【13:00】
- ある医師の方からの下記の問題についてのメールです。
私は医師ですが医療行為についての話題が出たところで、一言発言したくなりました。みなさんはいかがお考えですか？
医療の費用を担っているのは、ほとんどが国民の税金ですから 医療は公正に皆に分配されるべきかと考えます。個人負担の部分もありますが、税金が投入されているため不必要な医療を行わないことは義務と考えております。たとえ患者さんが希望しても、不必要な検査をしない投薬をしないといったことも必要になるかと思います。
製造業などでは、顧客が商品を購入することを拒否することはまずありませんが、われわれ医療者は医療の購入希望を拒否する場面も多々あるようにおもいます。そのあたりは医療はサービス業と違う点かと考えております。
差し出がましいようですが、ひとこと意見したくメールいたしました。
【12:00】
- 「医療を受ける側」さんからのメールです。
夏井先生の、医師と患者の関係とサービスについてのコメントで以前知人と話題にしたことを思い出しました。完全に医療行為を受ける側の目線です。
先生のおっしゃるとおり、医療はサービス業です。売っているものが、食料品か燃料か酒か医療かの差でしかありません。病院がちょっと特殊というか、サービス業として異質に感じるのは値段のない寿司屋と同じで、会計するときに初めて費用がわかることです。
診察、検査、投薬、処方、などにはすべて保険点数や料金が設定されているはずですが、診察のときにそれらを「見積書」として提示されて「今日はこのくらい費用が発生するけどいいですか？」などと聞かれることはありません。開業していないサラリーマン医師の多くは、オーダーした検査の保険点数なんて知らないのではないでしょうか。
病気やケガを治したくて病院に来ているのですから、嫌とは言わないでしょうが「こんなに高い検査をしないとわからないの？じゃ、この検査抜いた診断でいいから」と言う人もいるでしょう。
ここでポイントだと思うのは、患者が医療費として病院に支払うのは「治る見込みへの投資」が含まれていることです。医療に限らず「絶対」などというものはありえませんので、診断の誤りや、薬の効果があまりみられないことがある、ということを私は承知しています。
患者が医療過誤と感じることや、治らなかったことに対するクレームは、「医療行為を受ける」という商品を「承諾したかたちで買わされた」という意識を少なからず持っているからではないでしょうか。
インフォームド・コンセントで病気の説明は受けますが、医療費という「治る見込み」が含まれた実費用について、医師から説明を受けることはありません。サービスする側と受ける側、医師と患者それぞれの認識や期待に乖離があるのはこんな要素もあるのではないか、と思うのです。 - 先ほど埼玉県から「指尖部切断後の composite graft 後の断端壊死」の患者さんが受診されました。この症例の経過写真を見て勇気を出して主治医に申し出て，紹介状を書いてもらったそうです。
ちなみに composite graft というのは切断指の治療の一つで，指の先っぽの切断で，落ちた先っぽの方を切断部位に乗っけて縫合し，うまくくっついてくれればいいな，という一種の成り行き任せ的治療です。私の経験だと，ほとんどくっつきませんが，とりあえずの治療としてはよく行われています。
もちろん私はこんな面倒な事はせず，切断部をアルギン酸塩被覆材などで覆うだけです。こんな切断指でも再生するからです。
そういうわけで，久しぶりに composite graft の創部を見たわけですが，指先に3ミリくらいの厚さの真っ黒な壊死組織が乗っている様子を見て，「かけている手間暇の割には，得られるものがほとんどない治療法」であることに気が付きました。湿潤治療以前の時代にはこんなことは全く意識に上らなかったですね。
それと，手術をした医者とすれば「こんなに手間隙かけたんだから，乗っけた部分が壊死してもやるだけのことはやったし・・・」と満足していると思いますが，それは治療をしている医者の側の論理であって，composite graft の手術代を支払っている患者からすると「ほぼ確実に壊死することになる治療法」に金を払わされていることになります。
これが，ほぼ確実に切断指が生着する手術法なら手術代を請求するのは正当な行為ですが，composite graft がほぼ確実に壊死することを誰よりも知っているのは手術をした医者なんですよ。
そのあたりが，何だか釈然としない今日この頃です。
【09:00】
- ある先生からのメールです。
（湿潤治療で）患者さんは喜んでもらいますが、必ずしもみなそうではありません。「治って当たり前」という態度の人も多くいます。［サービスの提供側の意識］と［サービスを受ける側の意識］のギャップは，客商売の永遠のテーマでしょうね。
大学病院で植皮を示唆されていたので、もう少し喜んでもらってもいいのにと内心思ったりする時もあります。（中略）
価格.comで少しでも安いものを探すように少しでもいい治療をネット探しているように思います。そのこと自体否定しませんが、医者・患者の信頼関係が薄れてきている気がします。医療も商品のように考えなければいけない時代になってきたのでしょうか。
私はいつも「医療は客商売」と考えています。患者さんに選んでもらえなければ，そもそも治療をしたくてもできません。だから，他よりよい医療と医療情報を提供して客に選んでもらうことしか，医療者側にできることはありません。
「治って当たり前」という客がいるのも当たり前。これはラーメン店側が「この店のラーメンは心を込めて作っています。他より美味しいはずです。だから，食べ終わったらお礼を言いなさい」とつい言いたくなるようなものです。
でも，客の味覚も評価の基準も千差万別です。「美味しかったよ」とお礼をいう客もいれば，同じ物を食べて「こんなもんで金を取るのかよ」と捨て台詞で帰る客もいます。それは客商売にはつきものでしょう。
［お礼をいう客］／［客全員］の比率がすこしずつでもいいから上むいてくれば，それで十分なんですよ。
【06:00】
- 「アメリカ製のディザスター・パニック映画って要するに，崩壊寸前家族の再生がメインテーマの映画なんでしょう。だからつまんないんだよね」と，常日頃感じている人は絶対に見てはいけない映画，それが《サイレント・ワールド 2012》です。あと，この手の映画ではやたらと核兵器を使って解決したがるのがアメリカンな人々ですが，この映画でも健在です。
- 10月4日のこのコーナーで紹介した臀部熱傷の患者さんですが，紹介先のいりえ内科クリニックの入江先生から，メールをいただきました。
先生からご紹介の臀部熱傷のお子さんが本日受診されました。すでに軽快しつつあります。
それにしても、この熱傷で皮膚移植の話が出るのは驚きですね大学病院皮膚科から逃げてきた患者さんを内科クリニックの先生に紹介，って面白いでしょう？ でも，大学病院で「皮膚移植しないと治せない」症例が，いりえ内科クリニックで手術なしできれいに治せるんだから，問題はないのですよ。
大学病院ではこの程度の軽症熱傷でも［創面が白いっぽい］⇒［白いからⅢ度熱傷］⇒［Ⅲ度熱傷は皮膚移植しないと治らない］と機械的に考えて，機械的に説明しちゃうんでしょうね。
でも患者さんは，「皮膚移植手術」と言われてびっくりしちゃうし，何よりショックを受けます。手術とか入院って，患者さんにとっては大事件だからです。「手術のために入院しろ」と医者は気軽に言うけど，患者は「仕事（学校）があるのに困ったなぁ。そんなの無理だよ！」と困惑するはずです。
そのあたりが，大学病院の医者はまるでわかっていません。だから，患者は逃げ出します。多分，なぜ患者が逃げたのかも，わかっていないのかもしれません。
そういう，患者さんとの意識のギャップに気が付かない限り，今日もまた，熱傷患者が逃げ出します。「入院して手術」では生活ができないからです。 - 【5年前の首相辞任理由はねじれ国会での困窮 “チーム安倍”の問題点と「本当の課題」】
安倍さんが自民党総裁に歳選出された時，5年前の安倍政権で何が起きたか，なぜそれが起こったのかについてまとめて書こうと思っていましたが，この記事が全てまとめてくれました。「チーム安倍」の持つ問題の本質を浮き彫りにしています。
2012/10/09
【10:00】
- 滋賀県高島市の湿潤治療医にして糖質セイゲニストの岡田先生からのメール。
昨日、日経メディカルの記者がはるばる取材に来ました。たっぷり2時間 取材に答えました。
久々に日経メディカルonline見ましたところ，こんな記事がありました。
こうでもしないと砂糖が肥満を招くというエビデンスが出来ないのですね。
「これらの飲料はこの試験のために製造したもので、味も外見も全く同じになるよう作られている。」糖質でこれをやるのは無理ですね。
【08:30】
- 美味しく糖質制限食が楽しめる飲食店に金沢市の堀田洋菓子店を追加しました。低糖質スイーツを作っているそうです。
【06:00】
- これまで何度か紹介した『砂糖の歴史』について本格的にレビュー。
- 奈良県の大学生さんからのメールです。
9月22日に大学のクラスで琵琶湖旅行に行きまして、その夜にキャンプファイヤーをしてのですが、楽しかったのもあり、調子に乗りすぎて、自分の腰の高さほどあるキャンプファイヤーに右足を突っ込んでしまいました。 その後、救急車で運ばれて応急処置を受けて、次の日に奈良に帰宅しました。奈良に帰宅して、3日間くらいは自宅から近くの皮膚科に行ったのですが、そこでは従来のガーゼ治療がなされてて、毎日、消毒液が痛いなーと思いながら通院していました。またその病院では皮膚移植の可能性もあると言われていました。マミ皮フ科クリニックの岡田先生，グッジョブ！
そこで消毒も痛いし、皮膚移植も嫌だー！！ ということでネットで調べたところ、夏井先生のこのホームページを発見しました。
翌日、僕は奈良で湿潤治療を行なっている、マミ皮膚科クリニックの岡田先生の元に行きました。岡田先生の診断では深い方の熱傷2度と診断されました。
岡田先生のもとで湿潤治療を受けることで、傷もみるみる治って行き、火傷からちょうど2週間の今日、もう通院しなくても良いという程度まで回復しました！
これからはまた自由に歩けることがとても嬉しいです！ - ネコの飼い主さんから，猫の白癬がワセリンで治った，という報告です。
わたくし猫を飼っているのですが8月の暑さで以前から彼の鼻に時々出ていた白癬が顔面全体に一気に広がり困っていました。彼は腎臓の調子もあまりよろしくなく、毛繕いをするゆえ抗真菌薬の使用は躊躇していたのですが、ふと馬の調教師さんの投稿が目に留まりました。なんとワセリンだけで治る？ 人間でもペットでも白癬は難治性で有名。というわけで，ペットの白癬でお悩みの方は，とりあえずワセリンを塗って見られてはいかがでしょうか。少なくとも，ワセリンで状況が悪化する音はないと思いますし・・・。
猫は毛玉対策でワセリンを食べさせるぐらいで、まさにうってつけの安全な方法です。それで白癬の傷に朝晩毎日ぬりぬりしてみました。毛繕いしますので30分もすればほとんど舐めとってしまいますが、夏井先生のワックス法の通り、舐めとっても薄い皮膜は残るようです。
それで塗り始めてから、ばっちり拡散は止まりました。抗真菌薬ほど根絶は速くないかもしれませんが、確実に治っていきます。というか約1か月半ほどでほとんど治ってしまいました。
これで一つ新しい証明ができたと思います。動物の白癬はすべてワセリンで完治する、と宣言したいと思います。ペットも白癬が進行するとただれて悲惨な状態になります。これがワセリンだけで簡単に治るのですから感激です。 材料ワセリン代のみ、しめて数百円。是非、全国の悩めるペットオーナーに推奨してあげてください。
それと，獣医の先生方もこの方法を試してみていただけませんか？ - 足利市で糖質制限メニューを提供している「文楽」のご主人からのメールです。初注文，良かったですね。
糖質制限を広めるには、夏井先生のおっしゃるように田舎なりのマーケティングもしっかりしていかないといけませんね。私は糖質制限自体への認知度を高くしないと，糖質制限食への需要も高まらないと思います。つまり，
そんな中ですが、糖質制限の和食を開始して初めてのお客様がとうとういらっしゃいました（嬉泣～）
真剣に話を聞いてくださり、江部先生の著書「高雄病院の糖質制限給食」を購入していただき、早速、挑戦するそうです。今までとの認識の違いに驚いていました。
今日お客様をお迎えできたことに感謝で一杯です。たった一組かもしれませんが、大変大きな一歩です。何か新しく出発のような気持ちです。
ちなみにTarzanの糖質制限特集もお見せしました。（すばらしい特集ですね）
［糖質制限が話題らしいがよく知らない］⇒［どういう味なのかよくわからないのでレストランで食べてみよう］という客はほとんどいないと思うのです。いるとすれば
［糖質制限を行なっている］⇒［しかし素人の家庭料理なのでいつも同じ料理ばかり］⇒［プロのお店で食べてみたい］というパターンでしょう。だから私なら，糖質制限をしている地元の医者と組んで，「話題の糖質制限の講演とお料理の夕べ 」というイヴェントをお店で企画するなどして，糖質制限の認知度をまず上げる方向工夫するのがいいと思います。 - その糖質制限についての新書を書いている最中です。この3連休は，暇さえあれば原稿を書いていました。ポメラDM100，フル稼働状態です。
2012/10/05
【12:00】
- 例によって『砂糖の歴史
』という本の内容を要約していますが，その中で気になる一文を見つけました。
中国における砂糖の遺産がユニークなのは，中国人型のほとんどすべての民族と違って砂糖を食べ物として使って来なかったので，今も砂糖が大量消費される品目ではないからだ。中国人はサトウキビの茎をかじったり，熱い絞り汁を飲んだり，砂糖を薬または調味料として使ったり，果物や野菜を漬けたり，月餅に入れて焼いたり，動物をかたどった飴細工の飾り物などを作ったり，絞り汁や糖蜜を発酵させて酒を作ったりしている。だが，お茶に砂糖を入れる習慣はなく，外国から清涼飲料や砂糖菓子が入ってくるまで，食べ物にはあまり，または全く甘味をつけていなかった。この記述を読んで，「でも，紹興酒に氷砂糖とか入れて飲んでるけど・・・」という疑問が生じ，調べてみたら，紹興酒に砂糖を入れるのは本来の飲み方でなかったことを発見。なんだ，私が物を知らなかっただけのことじゃないか。
というわけで，紹興酒に砂糖を入れるのは，紹興酒を作った人に対して失礼な飲み方だと判明しました。
【09:30】
- 糖質制限特集を組んでいる雑誌「ターザン」についての情報です。
記事を読んで読んでみたいと思い近所を回るも売り切ればかり。セブンイレブンが近くにある人なら利用できますね。
結局7netで取り寄せることにしました。セブンイレブン受け取りなら送料・手数料無料なので、2冊1,000円で注文。まだ十分に在庫ありそうです。
【08:30】
- 下記の雑誌「ターザン」ですが，自宅近くの2軒のコンビニではどちらも売り切れでした。私はとりあえず2冊確保してあるので，1冊を「自炊用」にバラバラにしてスキャンニングの準備を始めたところです。
【06:00】
- 史上最悪の飛行船事故となった1937年のヒンデンブルグ号炎上の謎を丹念に解き明かすドキュメンタリー映画，《ヒンデンブルグ大爆発》を紹介。タイタニック号とほぼ同じサイズのヒンデンブルグの巨大さに驚きます。
- 「美味しい糖質制限食が楽しめる飲食店」に，和歌山県和歌山市のカルパの月，和歌山県岩出市の天結（てんむす）を追加しました。
- 昨日取り上げた雑誌「ターザン」ですが，リアル本屋さんにはまだかなりあるようで，私は昨日2つの書店（練馬区，中野区）を回りましたが，どちらにもまだ結構残っていました。ネットだとFujisan.co.jpなどではまだ入手できます。
ちなみに，内容は昨日書いた通り，極めて充実していて，恐らくこれ一冊あれば糖質制限についてはすべてが分かります。そして，レシピ集が恐ろしく充実していて（家庭で糖質制限をしようとすると，どうしてもレパートリーが偏って単調になりますよね），おまけに，複数の記者が実際に糖質制限を2週間してみてどう変化したか，なんて記事もあり，説得力十分です。糖質オフビールの味についても言及されています。 - 【Google、新日本語入力配列「Godanキーボード」を発表。Android版を提供開始】
これはちょっと便利かも。インストールしてみようっと。
2012/10/04
【14:30】
- 今日も，大学病院から熱傷患者さんが逃げてこられました。乳児の臀部熱傷で，2日前に杏林大学皮膚科を受診し，そこでは「これは白くなっているからⅢ度熱傷だ。皮膚移植しないと治らない」と説明されたそうです。どんなにひどいヤケドなのかと思ったら，これがもわず失笑しちゃうくらいちっちゃくて浅いヤケドなんですよ。だって，女性の小指くらいの幅で，長さも2.5センチくらいというミニサイズ。
杏林大学皮膚科では，このミニサイズの浅いヤケドに植皮するんですね。そりゃあ，儲かるだろうなぁ。いやはや，大学病院というところはすごいところです。
大学病院はいつも，このサイトにお笑いネタを提供してくれるんで助かってます。これからも「お笑いネタの治療」をお願いします。
【13:00】
- 「ターザン 第612号」についてのメールが続きます。
Tarzan、612号すばらしいです。発売日翌日に一冊購入し、内容の充実度と価格に感激。SNSやメールで知人に紹介しまくり、さらに二冊購入しました。①閲覧用、②保存用、③メタボな同僚にプレゼントです。私もどっかでもう一冊購入しようと思っています。一冊は保存用，もう一冊はバラして「自炊」用です。
これ一冊で「糖質制限のすべて」がまるわかりですね。
【09:00】
- 下記の雑誌「ターザン」は楽天ブックスでもアマゾンでも品切れのようです。私は通勤途中にコンビニ（セブンイレブン）で買いました。基礎知識からかなり高度な理論的説明までまとめられていて，しかもレシピも豊富だし，最後の方には「運動しながら糖質制限をするには」という特集まであります。
【06:00】
- 来年3月9日（土）に愛知県小牧市で開催される尾張北透析セミナーで講演することが決まりました。
- 「美味しい糖質制限食が楽しめる飲食店」に，茨城県ひたちなか市の「エンメビーノ」を追加しました。
- 昨日紹介した雑誌「ターザン」についてのメールをいただきました。糖質制限が特集されています。
雑誌ターザンの内容は５００円にしてはエクセレント！ 患者さんに配布（無料で）しています。
- 昨日紹介した「火力発電所の技術者」さんのメールの最後に，次のような一節がありました。
さて、熱傷専門医側で植皮治療に発生しているインセンティブを変える事が出来なくてもも、移植治療から湿潤治療への移行は起こり得ます。と言うのも、治療とは患者と医師の間で行われるトレードだからです。従って、患者側に湿潤治療に発生しているインセンティブが大きければ、熱傷専門医も移植治療から湿潤治療へ移行せざるを得ず、現にそれは起こりつつあると言えます。結局は，患者がどちらの治療を選ぶのかにかかっています。これは「糖尿病の治療は糖質制限食か，インスリンか」でも同じです。客が来ないスナックが潰れるように，患者が来ない治療をしていれば病院も潰れます。
これは次のように場合分けするとわかりやすくなります。
- 「患者が湿潤治療を知らず」で「湿潤治療をしている医者が少ない」
- 「患者が湿潤治療を知らず」で「湿潤治療をしている医者が多い」
- 「患者が知識を持っていて」「湿潤治療をしている医者が少ない」
- 「患者が知識を持っていて」「湿潤治療をしている医者が多い」
そして，社会が上記のどの状況にあるのかによって，医者の選択（＝どちらの治療を選べば得か）は決まります。つまり，
A，B，C では医者は従来通りに皮膚移植を続けた方が有利，
D では湿潤治療に切り替えたほうが有利熱傷治療に関しては現在はまだ A か C のあたりでしょうか。
2012/10/03
【14:00】
- 昨日紹介した『もうダマされないための経済学講義』について，「火力発電所の技術者」さんからのメール。
若田部氏の「もうダマされないための経済学講義」が解り易いのは、インセンティブ、トレードオフ、トレード、マネーの四つの概念に絞った見通しの良さに加え、これらが何れも身の丈スケールでイメージし易いことも理由だと思います。
一方、巷間の経済学書が解り難いのは、需要や供給や市場といった抽象概念が次々と出てきてイメージが掴めないうちに話が進んでしまうからだと思います。私も例えばミクロ経済学の固定費、変動費、限界費用、平均費用あたりは発電原価の計算で実感が持てますが、株価、為替、貿易、国民総生産になってくるとお手上げです。
もちろん、身の丈の経済感覚が直ちに巨大市場や国際経済に適用できるものではありません（宇宙サイズだとニュートン力学が通用しなくなるのと似ています）。しかし、四つの概念を身の丈サイズで理解していれば、致命的な誤りを生じることは少ないと思います。もっとも、専門家でさえ身の丈サイズを大きく超えた規模の経済は理解できていない筈です。その証拠に為替や株価や景気に関する予測はまるで当たりません。
なお、若田部氏は触れていませんが、負のインセンティブも存在します。例えば、石油ショック後に日本の省エネ技術（製鉄所の熱効率改善など）は飛躍的に進歩しましたが、最初からインセンティブとして省エネの補助金や優遇措置などの制度があった訳ではありません。そうではなくて、石油の価格が上昇したことで、企業などに石油を消費することに対する「負のインセンティブ」が発生し、結果として省エネに相対的な正のインセンティブが発生したのと同等の効果がもたらされた訳です。
さて、熱傷専門医側で植皮治療に発生しているインセンティブを変える事が出来なくてもも、移植治療から湿潤治療への移行は起こり得ます。と言うのも、治療とは患者と医師の間で行われるトレードだからです。従って、患者側に湿潤治療に発生しているインセンティブが大きければ、熱傷専門医も移植治療から湿潤治療へ移行せざるを得ず、現にそれは起こりつつあると言えます。
【10:30】
- 糖質セイゲニスト＠口腔外科さんから「糖質制限とレディー・ガガ」というメールをいただきました。
昨日発売の女性自身に、１１キロ激太りレディー・ガガの記事が載っていました。それによると、彼女は「炭水化物抜きダイエットをすれば、１ヶ月で１０～１５キロの体重は自由にコントロールできるわ」と豪語していると書かれています。「日本のドクター・エベの本を読んだら簡単に痩せられたわよ！ ドクター・エベはファンタスティックよ！」と是非ともマイクの前でレディー・ガガに言って欲しいですね。
豪語でもなんでもないと思うのですがｗ
次はどんな姿で現れるのか、今から注目が集まっている、と記事は締めくくっています。あのレディー・ガガの発信力ですから、その通りになれば、世界中に与えるインパクトは大きいのではないでしょうか。
【06:00】
- 足利市赤十字病院の望月先生からのメール。これは面白い論文です。
面白い記事（nature：ダイジェストから2012年10月号から）を見つけたので，PDFで添付いたします．ご参照ください．私は以前から，乳児のアトピー性皮膚炎や乳児湿疹の原因はボディーソープとシャンプーだといってきました。もちろん，皮膚の局所的な破壊がこれらで起きていることを見ているからです。しかし，この論文はさらに，全身の免疫状態まで悪化させている可能性に言及しています。
要旨は，皮膚細菌叢が宿主の免疫応答に影響を及ぼすことを初めて，証明したとの論文です．
これが，本当なら，消毒はもとより，シャンプー，石けんなどで，正常皮膚細菌叢を乱すのは，宿主の全身免疫応答に影響を及ぼすことになります．
この論文にもありますが，腸管常在菌についてはいろいろ分かって来ましたが，実は皮膚常在菌についてはわかっていない事だらけです。 - ついに雑誌「ターザン」が糖質制限礼賛記事を載せました，というメールをいただきました。
今朝、コンビニの書棚でこんなのを見つけました。まだ、ちらっとのぞいた程度ですが、江部先生のコメントも載ってますし、大衆紙としては信頼ができそうです。マガジンハウス刊行の「ターザン」です。数冊買って，周りの人に「ほら，ターザンだって特集を組んでるよ」と配っちゃう，という手もありますね。
みんなが糖質制限の良さに気づいて、健康でスタイリッシュに過ごしてもらいたいです。体型が変わってから、服を選ぶのが楽しくて仕方がありません。奥さんの目と財布のひもが厳しいですが・・・・・・。 - 昨日，ちょっと取り上げた『砂糖の歴史』は知識の宝庫です。私は例によって，愚直に1ページ目から「内容の要約」作業に入っていますが，87ページの文章は，労働を強いる側にとって，砂糖が強力な武器だったことがわかります。「もしもサトウキビが地球上に存在しなかったら，産業革命はどうなっていたのか？」と考えるのも一興です。
（産業革命時代の）労働者たちは，退屈で骨の折れる仕事の最中も，短い休憩時間に一杯の砂糖入り紅茶を飲んで元気を回復した。それは「休憩時間に取り入れられた最初の食品」だった。砂糖入り紅茶付きの休憩は，工場が従業員を管理し，やる気を起こさせる方法として極めて重要だった。（中略）
さらに，砂糖入り紅茶は，自尊心や社会的地位の上昇という幻想を助長した。また，労働者たちにとっては歓迎すべき元気付けとなった。つまり，彼らにカロリーを補給して，休憩後にまた元気よく仕事に戻れるようにした。砂糖入り紅茶を伴う休憩は，労働者たちに，もっと一生懸命働いてもっと金を稼ぎ，それによってもっと多くの砂糖入り紅茶やその他の楽しみを手に入れたいという気を起こさせた。それが彼らを熱心な消費者に変えた原動力だった。（中略）
砂糖は庶民の麻薬とも言うべき役割を果たした。砂糖は人を元気づけ，楽しみを与え，心理的習慣性を引き起こす食品だった。砂糖は食欲を弱め，空腹の苦痛を紛らした。そして，かつては特権階級しか享受できなかった消費やちゃんとした暮しという新しい可能性の扉を開いた。（中略）
19世紀後半には，イギリスの最貧層は，労働者から乞食に至るまで，富裕層より多くの砂糖を食べており，イギリスは世界最大の砂糖消費国となっていた。 - 【国連が恐れる高齢化の津波】
2050年か。私が生きているとして93歳・・・。十中八九，死んでるな。
私の生死はどうでもいいけど，この「途上国を含め，世界の5人に1人は60歳以上」という数字は強烈です。世界各地で高齢者が増えるということは，若者の失業率は現在より上がることを意味するでしょうし，それは社会を不穏化させる大きな要因になるはずです。
それとは別に，2050年までに地下水の枯渇はより深刻になるのはほぼ確実だし，地下水による灌漑農業が支えている穀物生産が維持できるのかという問題もあるし（何しろ，淡水利用の60％以上が農業です）・・・。これらの予想が，1970年代の「石油枯渇予想」みたいに杞憂に終わればいいんだけど。
2012/10/02
【13:00】
- 【責任の所在 中国反日デモファイナル】
デモ隊が同じサイズの国旗と毛沢東の写真を掲げていたのは，そういうわけだったのね。納得，納得。 - シャンプーレスと糖質制限についてのメールをいただきました。
今日、ネットをみていたらこんな記事がありました。前半の「シャンプーとカツラ」の話題は面白いですね。同じような話は別のところでも読んだ記憶があります。
その中になんと
「材料の髪の毛は海外からの大量輸入で対応しているので、基本的に個人から髪の毛を買い取ることはしていません。そもそも、日本人の髪の毛は長年のシャンプーなどで傷んでしまっていて、カツラの材料として使えないことがほとんどなんです」という記述が有り、（かつら？）業界の人はシャンプー被害（？）が周知の事実であるのがうかがい知れますね。
今、巷では栗が旬ですが、我が家でも食卓にのりました。食しながらふと思ったのですが、栗はナッツなのかと・・・？、っていうのはあの実はいかにも「デンプン質」に感じたので・・・。改めてググったらこんな記事が出てました(笑）【栗の栄養】
「栗は種子ですのでナッツ系ですが 他のナッツ系は脂質が多いのですが、栗はでんぷんは多く、脂質が少なくヘルシーです。しかも ナッツ系の特徴であるミネラルが豊富です。」実は枝豆食べてる時も主成分は炭水化物じゃないか？と思ったらやはり1/4超は炭水化物みたいですね。他にも種子系は炭水化物がそれなりに含まれるので、人間の体の機能として一連の糖質分解の作業が必要だったのではないでしょうか？
後半の栗と枝豆のデンプンの問題ですが，これはあくまでも現在の栽培種であって，ご先祖様たちが食べていた野生種とはかなり違っている可能性があります。そこでちょっと調べてみました。
- 栗について
- 原産地は中国，北米，地中海沿岸
- 日本に自生している野生種はシバグリ。
- シバグリは現在の丹波栗に比べるとかなり小さい。食べると甘いそうだ。
- シバグリの成分についてはググっても見つけられなかった。
- 甘さはデンプンによるものだろうが，実がかなり小さいので，シバグリだけでお腹いっぱいにするのは大変そうである。
- 大豆について
- 原産地は中国東北部からロシアのアムール川流域にかけて
- 日本に入ったのは弥生時代（約2000年前ころ）
- 日本に自生している大豆の野生種がツルマメ。この記事によると多摩川河川敷でも生えているようだ。
- ツルマメのみは現在の大豆に比べると，やはりかなり小さい。サイズは1/4程度だろうか。つまり体積は1/64くらいか？
- 1本の蔓に生っているさやの数も少ないので，ツルマメだけでお腹いっぱい，というのも難しそうだ。
栗にしても大豆にしても，野生種は自分の生存と子孫を残すために最善の戦略をとっているはずです。デンプンが必要であればそれを作りますが，一方で，デンプンを作るためのエネルギーも必要です。そして，栗や大豆にとってのデンプン含有量の最適値が決まります。毒を含む植物も生存の最善の戦略として「毒を作って体内に貯める」という戦略を選んだだけです。
一方，栗にしても大豆にしても，他の動物が食べて栄養になるように，なんて考えていないし，毒で食べた動物を殺そうとしているわけでもありません。ある用途で作った化学物質が，それを食べた動物種によってたまたま「毒」として作用したり，あるいはたまたま「栄養」になっただけでしょう。 - 栗について
【12:00】
- 9月27日に放送されたNHKの「ためしてガッテン」についてのメールです。
NHKのためしてガッテンを見ました。インスリン過多がアルツハイマーの要因となっているのには驚きました。炭水化物がその原因というのは理解できるのですが、一方、アルツハイマーの患者数で言えば、和食を好む日本人よりもアメリカの方が多いのではないでしょうか。アメリカ人の場合は、和食でなくポテトチップとかコーラの糖質がその原因だろうと予想できますが、あの番組だとあたかもお米やラーメンが悪く、ステーキを食べる欧米人には無関係の問題のように感じ、ちょっと違和感を覚えました。NHKとしては「和食」とぼかした表現にするのが精一杯だったんじゃないでしょうか。「インスリン過多の原因は糖質を食べるから。つまりコメや砂糖が大量に入っているコーラなどの清涼飲料水やスポーツドリンクを摂取するからです」と言い切ったら，農水大臣を先頭に農林水産省幹部と農協幹部が大挙してNHKを取り囲んじゃいますよ。
- 鳥谷部師匠からも糖尿病治療についてメールをいただきました。
綿田裕孝巨頭（順天堂大学糖尿病内分泌内科教授）の記事を、「糖質制限」を「インクレチン関連薬」に置き換えて添削しました。というわけで，糖尿病学会方面から，プンプンと金の匂いが漂ってきます。あっ，金の匂いには患者の悲鳴も混じってますね。
（原文）「何より、糖質制限に対する長期にわたる追跡データは、いまだにありません。短期的にはやせたり、血糖値が下がる可能性は確かにありますが、5年後、10年後にはどうなっているのか、今後起こりうるリスクがわからないのです。それは健康な人のダイエットにもいえます。バランスの良いカロリー制限をしたほうが安全だと思います」↓ （添削後）「何より、インクレチン関連薬に対する長期にわたる追跡データは、いまだにありません。短期的にはやせたり、血糖値が下がる可能性は確かにありますが、5年後、10年後にはどうなっているのか、今後起こりうるリスクがわからないのです。それは、新薬一般に言えることです。長年使われ評価の定まった薬を使ったほうが安全だと思います。」この30年の間にいろんな薬が出ては消え、偉い先生方の推奨する薬が変わってきました今度はインクレチン関連薬（ジャヌヌビア®など）インクレチンです。これもそのうちどうなることやら。
30年前、経口糖尿病薬は、SU剤（オイグルコン®など）とビグアナイド（メトフォルミン®など）だけでした。ビグアナイドは乳酸アシドーシス（10万人に一人）の副作用が喧伝され、SU剤が市場を支配しておりました。SU剤は低血糖を起こしやすいし、インスリン分泌能が無くなるしで、長期的には問題ありの薬であるのは、みんな知っていたはずだったのですがね。
40年前に発売されて以来、何百（千？）万人もの患者に使われ、評価の定まったビグアナイドをさておいて、新薬（インクレチン関連薬）をことさらに推奨するのは、￥＄ですかね。
日本糖尿病学会は、過去何十年もの間、ビグアナイド（メトフォルミン®など）のような安くてよく効く薬を低い評価にとどめ、SU剤（オイグルコンなど）を推奨してきました。そのため、SU剤の処方がやたら多いのです。ところが、近年海外の学会がビグアナイドの再評価をし、ガイドラインの第一選択薬にすると、「新しいエビデンスが出た」と言って、追随するかのようにガイドラインに追加しました。
でもやっぱりインクレチン・ファーストのようです。
門脇孝（日本糖尿病学会理事長）、綿田裕孝先生両巨頭は、インクレチン関連薬（ジャヌヌビア®など）を推奨しています。江部先生は、インクレチンに関し、もう少し控えめな書き方をしております。
ビグアナイドの歴史について、このサイトがわかりやすいです。「新薬」を売り込むためにビグアナイドのリスクが過度に喧伝されてきた経過が伺えます。
【10:30】
- 練馬区の情報番組「ねりまほっとライン」の「平成24年10月前半放送分」に数分間だけ登場しています。多分，ネットでも視聴できます。
【09:30】
- 500ページにも及ぶ大著『砂糖の歴史 SUGAR : A Bittersweet History』をようやく読み終えました。面白かったです。
サトウキビのプランテーションが「史上最大・最悪の環境破壊」と言われる所以（サトウキビは成長が速い分，大量の水と養分を吸い上げ，土壌が荒廃する），栄養はないのに疲労を回復させた気分にさせてくれる砂糖の魔力（これがあるからアフリカから奴隷船に積み込まれて家畜同然に働かされた黒人奴隷は，なんとか働き続けられ，そして栄養不足で死んでいった），そして，砂糖による健康被害の研究を潰し，人間を砂糖漬けにしてまで利益を貪るために強力なロビー活動でクリントン政権の環境政策を捻じ曲げた「ビッグ・シュガー」など，苦くてどす黒い砂糖の歴史が滔々と語られる好著です。
【06:00】
- 「外傷を湿潤治療している医師」に，東京都三鷹市のじんだいじクリニック／菅野弘之先生にもご参加いただきました。ありがとうございます。
- 久し振りに大当り映画です・・・悪い方で・・・。「この映画を最後まで見た猛者は日本全体で何人くらいいるんだろうか」級のクズ映画，それが《エイリアン・アルマゲドン》です。多分，普通の意味での「映画」の範疇には入らないと思われる完成度の低さ，ストーリーがあるんだかないんだか全くわからない展開，見ていて気の毒になるくらいの貧乏CG，気の毒になるくらい華のないヒロインなど，堂々たるクズ映画っぷりです。
- 糖質制限について，こんなメールをいただきました。
他の方からもメールが来ているかと思いますが、こんな記事が掲載されると面白い限りです。糖質制限に対する批判として必ずあるのが，上記の記事にある「糖質制限を5年，10年続けても安全かというデータがない」という愚批判ですが，これは例えていえば，発見されたばかりのペニシリンに対し「5年，10年と使って安全というデータがないだろ！」と批判するのと同じくらいのオバカさんです。あるいは，プロ野球の横浜DeNAに対し，「球団創設から10年経過したデータがないので，球団として認められない」とかね。
マスコミも記事としては面白いのでしょう。糖尿病の「偉い」先生からコメントを得ています。所属や肩書きからすれば、日本での権威中の権威であったり、それに賛同する（もしかしたら、せざるを得ない）専門家たちです。
EBM（根拠に基づいた医療）を旗印に現代の医療はなされている「ことになっている」わけで、もちろん医学部の教育でもそういことになっていのでしょう。しかし、祖先からの生活習慣や慣習を「根拠」にされても、治療を受ける側としてはまったく迷惑な話です。
それと糖質制限長期データを出せとわめく前に，「糖質食を5年，10年，20年と食べ続けて，病気になった人は一人もいない」というデータを出して，「糖質を食べ続けても安全である」という証明を先にすべきでしょう。
その上で初めて，糖質食 vs 糖質制限食でどちらが安全か，という議論が成立します。 - 【生命体、岩に乗って宇宙空間を移動？】
パンスペルミア説はロマンに満ちた楽しい仮説です。宇宙に生命が満ち溢れているんだ，というのはどっかの新興宗教の教えにもありましたね。まさに，殺伐とした人間社会を癒してくれます。
でも，生物学サイドからすると，それは生物というものを全く知らない宇宙物理学者の机上の計算の話であって，生命というものをよく知らないからそんな夢みたいなお伽話を夢想できるんだろうなぁ，という感じがします。「宇宙には莫大な数の星があるんだから，そこに生命がいたって不思議ないよね」程度の大雑把な話をしてもらっては困るのです。
「地球は広いし，生物は数え切れないほどいるから」と確率論的に考えれば，ペガサス（＝足が4本で背中に羽が生えている）が地球のどこかに生きていてもおかしくありませんが，哺乳類の体の基本構造からは，ペガサスは絶対にありえない動物です。それと同じです。
地球最初の生命体がどのようにして誕生したのか，というのは生物学界最大の謎の一つですが，誕生した環境についてはかなり条件が絞られてきています。それは海底の熱水噴出孔近くの比較的温度の低い噴出口で，泡のような構造をしている岩石でしょう。そして，最初のエネルギー代謝は間違いなく水素を利用したものです。ここまではかなりの確率で絞られています。
そして，最初に誕生した生命体がエネルギーを環境から取り出すためには，最低限，「特定の性質を備えた岩石と，水と，熱」が必要であった，というのもほぼ確実です。それができたから，彼らの末裔として私たちが生きています。
その後，原始生命体は水素を利用した呼吸（＝電位差によりATPを作ること）から，二酸化炭素や硫黄，メタンなどを利用した化学的呼吸を多様化させることで「岩石」から離れることができ，同時に触媒となる金属を取り込むことで，「高温」環境も必要ではなくなります。
しかし，最期まで手を切れなかったのは水です。地球は「水の惑星」だったからです。H2O は常に豊富にあり，「水がない」という条件は設定しなかったのでしょう。その結果，細胞質内の媒質として水が使われ，細胞外の媒質としても水を想定しました。水が豊富にある環境だから，「常に得られるもの」として「水」を想定し，「常に水が得られる」ことを初期設定として組み込んだのです。そして，海底の熱水噴出孔で誕生した生物にとって，この初期設定が最も合理的だったのです。
もしも， H2O に乏しい環境で発生した生命体なら， H2O を使わない代謝系しか選択の余地がないし，そういう代謝系を初期設定にした生物が進化したはずです。
このように考えると，原初の生命体とそれから進化した生命体は，生まれた時点での惑星の物理的・化学的環境を初期設定にするしかなかったと考えることができます。つまり，火星に生命体が誕生していたら，それは火星の環境を初期設定にしていたし，アルファケンタウリの惑星で誕生した生命体は，その惑星の環境を初期設定にするしかありません。つまり宇宙には，誕生した惑星の物理的・化学的環境の数ほど，生まれた生命体の初期設定があるはずです。
逆に言えば，火星に生命体が誕生して隕石に乗って地球に到達したとしても，火星と地球では大前提となる環境が違いますから，恐らく火星生命は地球では生きていけないだろうと考えられます。これは，エウロパの生命，エンケラドスの生命についても同じです。
そういうわけで，パンスペルミア説が成立するためには，「生命体はありとあらゆる環境で生きていける代謝系を予め備え，あらゆる環境でもエネルギーを取り出せる多種多様な代謝系を備えていた」と考えるしかなくなります。隕石などに付着した生命体は，自分の行き先を選べないから，ありとあらゆる状況に対処できるよう，膨大な数の代謝系とそれを記憶するゲノムを備えている必要があります。
しかし，そのような莫大な量のゲノムを備えた生命体は，分裂速度が極端に遅くなります。古細菌には1000年に一度くらいのペースで2個に分裂すると考えられているものが見つかっていますが，それよりはるかに遅いはずです。
となると，そういう「ほとんど分裂できない」生命体は，それより速く分裂する生命体より不利になり，もともと生まれた環境ではすぐに淘汰されます。これでは，隕石に乗って宇宙に旅立つ可能性はゼロです。
2012/10/01
【09:30】
- 下記の NEC Lavie Z に関連して，こんなメールをいただきました。
NEC LaVie Zですが、まだNEC DirectにてCore i7 買えました。
昨年Mac book Airを買ったばかりなのに、朝一で注文してしまいました。
やはりWindowsマシンは仕事に要るよね ということで
【08:30】
- 今日は，都内世田谷区のかるがもクリニックの看護師さん2名が見学に見えられています。先日の「外来小児科学会」で院長先生とかなり長い時間話をさせていただきましたが，その折，看護師さんの見学が決まったものです。ちなみに，世田谷から光が丘までって，結構時間がかかります。
【07:00】
- 先日から，「インスリンとグルカゴン」についての刺激的な考察メールを頂いている福岡の角田先生のブログです。「インスリンの意味論」がとても面白いです。ぜひ，御一読ください。ちなみに，ブログタイトルはちょっとベタですね。
【06:00】
- 「乳児の手指熱傷例」を追加しました。まぁ，湿潤治療ではこれが普通の治り方ですけどね。
- 来年8月9日に水戸市の茨城大学で開催される第51回全国大学保健管理協会関東甲信越地方部会で講演することが決まりました。
- 10月12日（金）の朝のTBSラジオ「生島ヒロシのおはよう一直線」に電話出演することが決まりました。この番組には2008年にも一度出演しています。
- 11月3日（土）の日本テレビ『世界一受けたい授業』で湿潤治療が取り上げられます。私の出演はありませんが，私の著書（『さらば消毒とガーゼ』 春秋社）が私の代わり（？）に出演（？）する予定です。
- 講演用のスライドをマイナーバージョンアップしました。最新版は9月30日作成のものです。ご覧になりたい方は本名，所属を明記してメールでご連絡下さい。
なお，以前ダウンロードしたことがある方は同じアドレスからダウンロードできますのでご利用下さい。 - これは良い本でした。経済学に対する私の偏見を一掃してくれました。そして何より，読んだだけで頭が良くなった気分になります。それが『もうダマされないための経済学講義』です。
- 上記の本に何度も登場するのが「インセンティブ」と言う概念で，例えば「政治家に議員定数を減らすインセンティブはない」というように使いますが，様々な現象を説明するのに使えます。例えばこんな感じです。
- 糖尿病学会に糖質制限を受け入れるインセンティブはない。
- 糖尿病患者にとって，インスリン治療より糖質制限を受け入れるインセンティブが発生する。
- 熱傷専門医が植皮で熱傷治療をするのは，移植治療にのみインセンティブが発生するからだ。
- 熱傷患者が皮膚移植以外の治療を望むインセンティブがある。
- 褥瘡学会が（いわゆる）ラップ療法を推奨するインセンティブはない。
ちなみに，インセンティブを決めるのは「制度」です。「政治家に議員定数を減らすインセンティブを持たせる」には，政治家であることのメリットをなくす「制度」に変えればいいだけですが，実際には難しいです。もちろん，諸悪の根源は「議員定数は議員が議会できめる」という「制度」にあることは言うまでもありません。 - 久しぶりにジャズ・ピアノネタです。Kenny Drew Jr.にです。
Kenny Drew（1928～1993年）といえば軽やかなタッチとリリカルな歌心に満ちた演奏で知られたピアニストですが，今回紹介するKenny Drew Jr.はその息子さんです。息子といっても一緒に暮らしたことはなく，ピアノの手ほどきを受けたわけでもないようです。
そのKenny Drew Jr. の演奏ですが，クラシックピアノマニアが聞いてもうまいというか，テクニカルにしっかりしています。ジャズピアニストというと「右手は動くけど左手は和音を押さえているだけ」という人が大多数ですが，この人は違います。まず，次のYouTube動画を御覧ください。左手だけのジャズ演奏です。
左手だけのピアノ曲はクラシックピアノでは定番とも言えるジャンルですが（「左手のためのピアノ協奏曲」の作曲者を何人言えるかでピアノヲタク度がわかります），ジャズで左手だけで演奏というのは，私は浅学にしてこれしか知りません。しかも，細かい高速パッセージの連続を楽々ときれいな音色で弾いているし，重音も跳躍も難なく余裕でこなしているし，しかも音色の弾き分けがきちんとできているため，重層的な響きを生み出しています。
その他の演奏も素晴らしいです。Caravanのラストのオクターブの連続や両手交互のマルテラートなんてまるでリストだし，3度の半音階をさり気なく演奏する部分もあります（さすがにここは「高速」というほどではありませんが）。
- 本屋さんで見つけて購入するかどうか迷っている本がこれです。どなたか，この本を読まれた方はいらっしゃいますか？
- 私が日々持ち歩いている NEC LaVie Z ですが，病院の SE さんによれば，すでに生産終了で新規に作ることはなく，現在市場に出回っているものが売り切れればそれでおしまいとか。理由は予想を超えて注文が入り，部品調達ができないことのようです。また，後継機種を作る予定もないそうです。
NEC のあらゆる先端技術と特殊材料を詰め込んで作られた脅威の軽量マシンですが，さすがに量産は難しく，初期受注分で手一杯だった模様です。
現在，市場では Core i7 のものは姿を消し，Core i5 のものしかありませんが，このマシンに込めた NEC の心意気と技術に敬意を払い，もう一台，予備に買っちゃおうかな，なんてお馬鹿なことを結構マジで考えたりしています。