胴上げ、いただきました!! 3連敗の崖っぷちからはい上がった原監督は、選手の手で10度、宙を舞った。次は3年ぶりの日本一で舞う(撮影・森田達也)【拡大】
「徳俵に足がかかった状態から、きょうを迎えることができた。きょうは決戦だ!! 全力で、一つになって戦おう」
試合前のミーティングで、声を張り上げた。この状況は、現役時代に経験している。1989年の近鉄との日本シリーズ。3連敗の崖っぷちから4連勝。原は第5戦で満塁弾、最終第7戦でも2ランを放った。
「われわれはギリギリの勝負の世界で戦っている。そこに喜びを感じながら、どっぷりその世界につかって、これが勝負だ、これがプロ野球だという感じでいました」
見る者に思いは伝わった。前日第5戦の視聴率は17・5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。月曜ナイターとなったこの日も、当日券が飛ぶように売れて観衆4万4351人。6試合合計26万324人はCS史上最多の観客動員だ。決して望んだ3連敗ではない。しかし、ギリギリの勝負で、注目を取り戻した。
「2、3発ひっぱたかれて、はい上がり、七転び八起きの精神で、一つランクが上がったと思います。進化しました」
苦しんだ分だけ、巨人は強くなった。目指すべき場所はここではなく、3季ぶりの日本一だ。相手は3年前と同じ日本ハム。現役時代から親交の深い栗山監督率いるパ・リーグの覇者を相手に、いよいよ「最後の山」を登る。そこで、さらなる進化を見せる。 (高橋かずみ)
(紙面から)