胴上げ、いただきました!! 3連敗の崖っぷちからはい上がった原監督は、選手の手で10度、宙を舞った。次は3年ぶりの日本一で舞う(撮影・森田達也)【拡大】
体をよじりながら、原監督が10度、宙を舞った。オレンジに染まった東京ドームが、大歓声とともに一体となる。一度死にかけたチームは、劇的な3連勝で日本シリーズ進出を決めた。
「選手はだいぶ疲れていると思ったんで、きょうは(胴上げは)辞退すると。もうひと山、最後の山のときにと思ったんですが、選手たちがぜひぜひという風に言ってくれたので、大変ありがたく頂きました!!」
独走のレギュラーシーズンとは、あまりに対照的に、苦しみ抜いたCS。だから、選手の心遣いに、原監督の声のトーンが跳ね上がった。充血しきった目を、大きく見開いて感謝した。
予想さえしなかった、3連敗でのスタート。レギュラーシーズンで10・5ゲーム差をつけた中日に下克上を許せば、進退問題にも発展しかねない空気が漂った。だが原監督は、ベンチ裏でも、焦りを見せなかった。「窮地だと全く見えない。それが伝わったから誰も動じなかった」。今季加入した橋上戦略コーチが驚いたほどの不動心で、難局を乗り切った。
「伏兵と言いますか、古城、テラ(寺内)が非常にいい打撃をしてくれた」。打線が機能しない。6試合で3番・坂本はわずか5安打、4番・阿部も長打なしの6安打。そんなCSで、この日の連打は5番・高橋由から始まった。二回、高橋由、村田、古城の3連打で無死満塁として寺内が2点適時打。ホールトンの犠打を挟み長野もタイムリー。脇役の力で3点をもぎ取った。