オランダ総選挙:「頻繁な実施を憂慮」下院議長

毎日新聞 2012年09月11日 19時18分(最終更新 09月11日 19時27分)

 【ブリュッセル斎藤義彦】財政緊縮策の是非を巡り4月に連立政権が崩壊したオランダで12日、下院(定数150)総選挙が投開票される。ヘルディ・フェルベート下院議長は選挙を前に毎日新聞のインタビューに応じ、02年からの10年間で5回も総選挙が実施されるオランダの政治状況に触れ、「政治不信が高まり、社会が不安定になりかねない」との憂慮を示した。各政党が反・欧州連合(EU)色を強めている現状に懸念を表明、対EU不信を払拭(ふっしょく)するために「EUの民主的コントロールの強化が必要」と指摘した。

 フェルベート議長は選挙が頻繁に実施される背景として、社会の多様化による大政党の影響力低下と小党乱立があると分析。欧州で顕著となっている多党化傾向がオランダにも大きく影響しているとの認識を示した。

 議長はまた、年金財政や欧州債務危機など「大きな問題」について「選挙のたびに政治家が単純な解決策を訴え、市民の怒りを買っている」と述べ、こうした政治家の態度をジグソーパズルにたとえて「途中まで作って、解決もみないまま投げ出している」と批判した。

 さらに、グローバル化についていけない低所得者層と、政府の規制をうとましく思うビジネスエリートの双方が、前進しない政治に対して「不信感を高め、無関心になっていることを心配している」と話した。

 ユーロ離脱やギリシャ救済の見直しなど、与党も含めた多くの政党が反EU路線を掲げている点も問題視。市民が欧州の連帯に「熱心でないのは理解できる」としたうえで、不信の最大の原因は「議会を通じた市民のコントロールが弱い点にある。早急に改革が必要だ」と提案した。

 一方、今回の総選挙後の連立交渉は多党化の影響で「半年はかかる」との見通しを示し、「その間は政治決定が難しくなり、望ましくない」と指摘した。

 10日発表の世論調査によると、獲得議席予測はルッテ首相率いる中道右派の自由民主党と、左派系で中道寄りの労働党が35議席で並んでいる。一方、EU懐疑派は最左派の社会党が勢いを失い、20議席にとどまるが、EU離脱を訴える極右・自由党の19議席と合わせて定数の2割以上の勢力を保っている。

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