【月舘彩子】脳の「若返り」が、ホルモンでできるかもしれない。そんなことを期待させる論文を、帝京大などのチームが英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。生まれた直後のヒヨコが親を覚える学習「刷り込み」が、少し成長したあとでもホルモン投与で可能になることを示した。
刷り込みは、生後間もないニワトリやカモのヒナが、初めて見る動くものを「親」と思い、追いかける行動。通常、孵化(ふか)から2〜3日目までしか起きない。
帝京大の本間光一教授らは、孵化直後のヒヨコで実験。孵化から1日目にブロックを「親」に見立てて3時間刷り込みの訓練をしたら、ヒヨコの脳で甲状腺ホルモンが増えていた。このホルモンを阻害する薬を与えたヒヨコは、訓練を受けても「親」を覚えられなかった。