空の軌跡エヴァハルヒ短編集
第一話 LAS短編 早く身長が伸びたい!


僕は碇シンジ。
第三新東京市にすむ中学二年生だ。
昔から気になっている女の子が側に居るんだ・・・・・・。

その子の名前は惣流アスカ。僕の家の隣に住んでいる幼馴染。
僕の両親とアスカの両親は、僕たちが生まれる前から親しい付き合いをしてきた。
だから赤ん坊の頃から僕とアスカは一緒に居ることが当たり前だったんだ。
アスカはドイツ人の父親と日本人の母親の間に生まれたハーフだったから、
小さい頃は目の色や髪の色が違うっていじめられていた。
でも、僕はアスカの蒼い目やキラキラとした金色の髪もかわいいと思ったから、
いつも学校から泣いて帰ってきたアスカにそういってあげたんだ。
そうしたら、アスカはいつもニコニコして僕の側を離れないようになったんだ。
僕の両親もアスカの両親も仕事で忙しくなることが多かったから、
晩御飯はどちらかの家で食べたり、テレビやゲームも同じ部屋で、お、お風呂も小学校に上がるまで一緒だった。
学校でもベッタリだったから、よく友達にはアスカはシンジの奥さんだってからかわれる。

幼馴染のアスカを女性として意識し始めたのは中学校に上がったころだったかな。
アスカも僕の事をいろいろ気にかけてくれて、いい感じ……なんだけど、僕には悩みがある。
もともとアスカは活発な子だから、男の子がやるような遊び、サッカーとかに参加するようになって、
さらに牛乳も大好きで、小学校高学年のころにはグングンと背が伸びて行ったんだ。
中学二年生になった今でも、アスカの方が僕より身長が高い。



「ねえ、シンちゃん。お菓子が無くなったから新しいの出してよ」

アスカは僕の家のリビングで、ソファーに寝転がり、ポテチをかじりながらテレビを見て居た。
タンクトップにショートパンツと言う露出の多い服装は、目のやり場に困ってしまうよ。

「もう、夜も遅いし家に帰って宿題をした方がいいんじゃないの?」
「えー、今日泊めてよ。ウチも今夜両親いないし」

僕はアスカのこの言葉にあせって、体中から汗をたらしながら大声で言い返した。

「と、泊まるって、父さんも母さんも居ないんだから、絶対ダメだよ!」

「僕たち、もう中学生なんだよ!付き合ってもいない男女が一緒に泊まったりしないのは当たり前じゃないか!」

僕がそう言うと、アスカは身を乗り出してその可愛い顔を僕に近づけてきた。

「じゃあ、付き合えばいいじゃない。この前も返事を先延ばしにしてなかったっけ?」
「そ、それは僕の身長がアスカに届いてから……」

僕はアスカに聞こえないような小さな声でボソボソと言い返すしかできなかった。
下を向いてうつむいていると、アスカは台所にある戸棚の側に立っていた。
お菓子の入っている引き出しは、踏み台がないと取れない位置にある。
アスカは椅子では無くて、古い木の踏み台を使おうとしているみたいだけど……。
いけない、確かあの台は相当古くなってもう捨てようと思って出していたものだ。
怪我でもしちゃ大変だ。僕は急いでアスカの下に駆け寄った。

「アスカ、その台は……」
「なあに、シンちゃん?」

台に乗ったアスカが僕の方を見ようと後ろに振り返る。
そしてバランスを崩してアスカは正面から僕に倒れこんできた。体が折り重なる。
アスカの体は意外と軽い。そして柔らかい。甘いにおいがする。
僕がアスカの倒れる衝撃に慄いた(※注1)時に閉じた目を開くと、至近距離にアスカの柔らかそうな唇があった。
アスカは僕と目が合うと、突然僕の顔を両手でつかんで、唇同士を遭遇させた……つまりキスをしてしまったんだ。

何秒くらいキスをしていたんだろう。僕らは夢のような体験から目を覚ますと、お互いの体を解き放した。

「えへへ。シンちゃんとキスしちゃった。」

アスカは真っ赤な顔で上目遣いで僕の事を見ている。とてもかわいい。
こうなったら僕も覚悟を決めて言うしかない。

「アスカ、順番は前後しちゃったけど、ぼ、僕と付き合ってくれないかな?」

アスカはそのかわいい唇に指を当てて考え込むような仕草をして、こう答えた。

「あれ?アタシの身長を追い越すって話は?」
「え?わかってたの?」
「普段からシンちゃんの事見てたらわかっちゃうし」

はは、すっかりお見通しか。アスカにはかなわないよ。
アスカは僕の後ろにまわって、腕を僕の首に巻き付けて背中からギュッと抱きついてきた。

「シンちゃんはこれから背が伸びて行くんだから、こんなことができるのも今のうちね。」



今日、僕とアスカは幼馴染に別れを告げて、彼氏彼女と言う関係になった。



※注1 慄く おののく。とってもビックリすると言う意味。
<後書き>
甘いLASを書こうとしたら甘すぎるものとなってしまいました。
ネタは漫画版エヴァでユニゾンの説明を受けているアスカとシンジの身長の差を見て思いつきました。

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