二本松病院:産婦人科医派遣を知事に要望書 来年4月から休診で−−安達地方市町村会 /福島
毎日新聞 2012年10月19日 地方版
安達地方の中核医療機関で、周産期医療を担う社会保険二本松病院(二本松市成田町)で、来年4月から産婦人科が休診することになり、同地方市町村会は18日、佐藤雄平知事に対し、医師派遣の要望書を提出した。医師の補充ができない場合、市内で出産できる医療機関が無くなる。
休診は、現在の常勤医が来年3月で退職するためで、後任のめどは立っていない。妊婦検診は3月で終え、4月からの出産予約は受け付けていない。病院は同地方の年間の新生児700人のうち、約400人の分娩(ぶんべん)を扱ってきた。今後は出産のため福島、本宮市に行かなければならない。
要望書の提出には、二本松市、本宮市、大玉村の首長に加え、原発事故で二本松市に役場ごと避難している浪江町の馬場有(たもつ)町長も出席。「休診により、安達地方で子どもを産み育てる人へのダメージになる」と主張。応対した村田文雄副知事は「簡単に見つからないが、さまざまな手を尽くしたい」と応じた。
二本松市では原発事故後、人口が約2100人減の5万7595人に。市民らで作る「二本松病院を守る会」の屋田悠爾事務局長は「避難した若者が戻って安心して生活できる環境整備が必要。最寄りの医療機関が車で数十分かかるようでは、妊婦の精神的ストレスは大きい」と存続を訴えた。【深津誠】