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経済
【産経抄】10月22日
2012.10.22 03:07
[産経抄]
中国の反日デモが狼藉(ろうぜき)の限りを尽くしてから、1カ月あまりが過ぎた。被害を受けた日系企業の工場や店舗は、ほぼ通常の営業に戻ったらしい。それでも、自動車や家電、衣類など日本製品の不買運動は続いている。
▼日本を訪れる中国人観光客も、大幅に減った。どれほど魅力的な市場であっても、やはりリスクが大きすぎる。多くの経営者が、中国への過度の依存を改める戦略へ、転換を図っているはずだ。
▼米国では2007年、ペットフードや玩具、練り歯磨きなどの中国製品から危険物質の検出が相次ぎ、大騒ぎになったことがある。安全面での不安を解消しようと、「チャイナフリー」、つまり、中国産品を使っていない商品がもてはやされた。
▼この数年前、中国製品の氾濫に疑問を感じたサラ・ボンジョルニさんという米国の女性ジャーナリストが、夫や幼い2人の子供とともに1年間、中国製品なしの生活を試みている。その奮闘ぶりをコミカルに綴(つづ)った『チャイナフリー』は、日本でも出版された。
▼ボンジョルニさんによると、中国メディアも早速興味を示し、取材にやって来た。ところが報道の内容を知って仰天したという。米国人は中国製品に完全に依存しており、それなしの生活は悲惨だ。そんな実例として紹介されていた。
▼先週発売の「サンデー毎日」で、「『脱中国ライフ』をやってみた」、とのタイトルが目に留まった。ただ中身といえば、立ち食いそば店で中国産を使わないと、月見そばでは卵しか残らないなどと、泣き言が目立つ。脱中国は、着実にしかも上手に進めていかなければならない。でないとかえって中国に、日本の依存を世界に宣伝する材料を与えかねない。
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