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2009-06-26 論理的な話が通じないワケ。行動経済学から学ぶ20のバイアス
■論理的な話が通じないワケ。行動経済学から学ぶ20のバイアス
日産自動車の柏木吉基さんが書かれた『人は勘定より、勘定で決める』という本を読みました。
行動経済学についてまとめてある本です。
人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク
- 作者: 柏木吉基,四六
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2009/06/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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行動経済学の本は、『経済は感情で動く』(マッテオ・、オッテルリーニ著)や『予想通りに不合理』(ダン・アリエリー著)など翻訳本が多いですね。それぞれの本で、独自性があるのですが、『人は勘定より、勘定で決める』は特に分かりやすくて、すぐに読めました。行動経済学の初心者は、この本から入った方がいいかも。
この本を読みながら、「バイアス」についてまとめてみました。
論理的思考力や客観性を私達は、日々の仕事や学習でトレーニングをしています。しかし、実際の私達の行動は、案外、論理的ではありません。なぜか?
その答えがバイアスなのです。事実を目の前にして、私達はその事実をスンナリ受け入れるワケではなく、心理バイアスをかけてモノを見てしまう。(同じカップラーメンでも、「定価120円が100円に」と書かれたA店のカップラーメンと、B店の100円とただ値札のかかったカップラーメンでは、A店の方が得と感じてしまいます。)
人は、論理的、合理的なようで、実は論理的ではない。バイアスがかかりながら、論理を考える生き物なのでしょう。
部下のモチベーション、顧客のモチベーションをしていこうとする際に、単に論理的に正しいことを言ってもダメ。
よく、「論理的に考えればすぐに分かるような話なのに、どうしてあの人は違ったことをするのだろうか?」などと思うような出来事に出会うと思うのですが、そのような場合、相手にはバイアスがかかっているのです。
相手はどんなバイアスを持って、あなたの話を聞くのか?この事をしっかり考えながら、コミニケーションをしていくのが大事になってくるのではないでしょうか?
では、人はどのようなバイアスでモノを見ていくのか?どのようなバイアスに影響されて判断をしていくのでしょうか?
ここで、代表的なバイアスをご紹介。(行動経済学の中では、これから紹介する名前と違う表現になっていますが、私が、自分用にすぐに使えるように加工したモノをここでは紹介します。ご興味がある方は、上記の本などで、また詳しく勉強してください。)
- 損失過剰評価バイアス
- 得する話、利益額より、損する話や損失額の方に、人は敏感に反応していくバイアスがかかる
- 得する話、利益額より、損する話や損失額の方に、人は敏感に反応していくバイアスがかかる
- 事前期待比較バイアス
- 同じ給料が3万上がるにしても、今年は給料は上がらないだろうなという事前期待を持ったA君と、5万は給料アップするだろうと事前期待をしていたB君では、給料アップ3万という事実に関してのバイアスがかかる (相手の事前期待のコントロールの重要性)
- 同じ給料が3万上がるにしても、今年は給料は上がらないだろうなという事前期待を持ったA君と、5万は給料アップするだろうと事前期待をしていたB君では、給料アップ3万という事実に関してのバイアスがかかる (相手の事前期待のコントロールの重要性)
- 損の確定は、先延ばしバイアス。利益の確定は、今すぐバイアス
- 損する意志決定は、先延ばしをしてしようとしない。逆に、利益を得る話は、すぐに決めようとする。
- 損する意志決定は、先延ばしをしてしようとしない。逆に、利益を得る話は、すぐに決めようとする。
- 数増加に伴う感覚麻痺バイアス
- 損は、低確率に評価バイアス。得は、高確率に評価バイアス。
- 悪い占いは外れることもあるさと思い、いい占いは当たると信じる。
- 悪い占いは外れることもあるさと思い、いい占いは当たると信じる。
- 低い発生確率は、過剰評価バイアス。高い発生確率になると、過小評価バイアス。
- 新型インフルエンザも発生率が低い時は、過剰に警戒していた。しかし、近所で発生し、ほとんど避けることができない発生確率まで高まったら、気にしなくなった。それと同じ話ですね。
- 新型インフルエンザも発生率が低い時は、過剰に警戒していた。しかし、近所で発生し、ほとんど避けることができない発生確率まで高まったら、気にしなくなった。それと同じ話ですね。
- 「みんな」バイアス。少数を全体バイアス
- 子供がよく言う「みんなもやっている」。マスコミがよく言う「国民は」。ホントにみんななのか?全国民なのか?と論理的に考えれば、ツッコミを入れたくなるのですが、「みんな」と、少数の話を一般化して言われると、「そうなのか」とつい考えてしまいがちになります。
- 子供がよく言う「みんなもやっている」。マスコミがよく言う「国民は」。ホントにみんななのか?全国民なのか?と論理的に考えれば、ツッコミを入れたくなるのですが、「みんな」と、少数の話を一般化して言われると、「そうなのか」とつい考えてしまいがちになります。
- 自己決定権優先バイアス
- 誰かから与えられたものよりも、自分で決めたことの方が達成確率、成功確率を高く感じてしまうバイアス。(宝くじも、勝手に与えられたものより、自分が指定したモノの方が当たるような気がするというヤツ)
- 誰かから与えられたものよりも、自分で決めたことの方が達成確率、成功確率を高く感じてしまうバイアス。(宝くじも、勝手に与えられたものより、自分が指定したモノの方が当たるような気がするというヤツ)
- 一貫ストーリーバイアス
- 一貫したストーリー。一貫した論理的な話を聞くと、それをキチンと検証しようとせずに鵜呑みにしてしまうバイアス。
- 一貫したストーリー。一貫した論理的な話を聞くと、それをキチンと検証しようとせずに鵜呑みにしてしまうバイアス。
- 過去の努力をムダにしたくないバイアス
- 過去に努力してきたもの、過去にたくさん投資をしたものについては、「もったいない」と思い、それを辞めることが損をしてしまうと考えるバイアス。(これから将来に損をする話であっても、過去の投資がもったいないと考えてしまう)
- 過去に努力してきたもの、過去にたくさん投資をしたものについては、「もったいない」と思い、それを辞めることが損をしてしまうと考えるバイアス。(これから将来に損をする話であっても、過去の投資がもったいないと考えてしまう)
- 現状維持バイアス
- 10とも関連するが、今のままではマズイとは分かっていても、現状を変えるということには抵抗を感じてしまうというバイアス。(余程のことがない限り、現状を変えようとはしない)
- 10とも関連するが、今のままではマズイとは分かっていても、現状を変えるということには抵抗を感じてしまうというバイアス。(余程のことがない限り、現状を変えようとはしない)
- 保有したものは、手放したくないバイアス
- 一度保有したモノは、他人が思っている価値(客観評価)より、自分だけ高い価値を感じてしまうようになる(愛着バイアス)
- 一度保有したモノは、他人が思っている価値(客観評価)より、自分だけ高い価値を感じてしまうようになる(愛着バイアス)
- ポジティブフレーミングバイアス。ネガティブフレーミングバイアス
- 得するためなら、リスク回避趣向バイアス。損失回避のためなら、リスク選択趣向バイアス
- 間違った記憶バイアス
- 「自分の記憶」は間違いないと、普通の人は思っている。しかし、これは間違い。記憶なんていい加減なもの。
私達の記憶に残っているものは、「インパクトのある記憶」「なじみのある記憶」「最近の記憶」「第1印象」「具体的な記憶(五感に訴えられた記憶)」など、ごく僅かの記憶。それらの代表的な記憶しか覚えていない。それらの一部の記憶により、物事を判断しているにすぎない。
- 「自分の記憶」は間違いないと、普通の人は思っている。しかし、これは間違い。記憶なんていい加減なもの。
- 最初バイアス 最後バイアス
- 何社かから競合プレゼンを受けた場合、記憶に残るのが、最初のプレゼンターと最後のプレゼンター。
一つのプレゼンでも、プレゼンの最初の部分と最後の部分だけが強烈に記憶に残る。(間に話したことは、それ程記憶には残らない)
- 何社かから競合プレゼンを受けた場合、記憶に残るのが、最初のプレゼンターと最後のプレゼンター。
- 比較物バイアス
- 比較順番バイアス
- 大福を食べた後にたべるスイカ。スイカの後に大福を食べる。食べる順番でスイカの味はバイアスがかかる。
- 大福を食べた後にたべるスイカ。スイカの後に大福を食べる。食べる順番でスイカの味はバイアスがかかる。
- %バイアス
- 某石けんは、洗う成分の100%が植物成分と歌っている。一見、これは全てが植物成分で出来ていると勘違いするが、洗う成分の100%であり、全体の100%ではない。何を分母にするかで%は変わる。%は、一見分かりやすいが、計算式を教えて貰わなければバイアスがかかりやすい。
- 絶対値バイアス
- 宝くじは3億円の当選本数40本とか、絶対値をアピールしているので買いたくなる。確率が0.00001%なんて書いてあったらどうだろう。絶対値によるバイアスもある。
これらのバイアスが本来客観評価10のモノを13に感じさせたり、7に感じさせたりするのです。(悪用すれば、13に感じさせたり、7に感じさせることもできるということ)
モチベーションを上げたければ、正しいことを論理的に、客観的に伝えるだけではダメ。相手には、バイアスがかかっている事を理解しながら、伝えていくことも重要になるのです。
bowbow99 2009/06/26 09:03 typo@1行目: 本のタイトルが『人は勘定より、勘定で決める』(どっちも「勘定」)になってます
nolokoro 2009/06/26 16:05 コビットではなくホビットです
Ivan_Ivanobitch 2009/06/27 11:16 >4.数増加に伴う感覚麻痺バイアス
これは行動経済学上の理論ではなく、ミクロ経済学の「限界効用逓減の法則」ではないでしょうか?