モチベーションは楽しさ創造から このページをアンテナに追加 RSSフィード

モチベーションアップは、仕事、職場を楽しくしていく事から実現します。
自分自身、リーダーとして、組織、会社、お客様へのモチベーションアップのヒントが満載です。

過去の人気記事はこちらをクリック

2009-06-26 論理的な話が通じないワケ。行動経済学から学ぶ20のバイアス

論理的な話が通じないワケ。行動経済学から学ぶ20のバイアス 07:40 論理的な話が通じないワケ。行動経済学から学ぶ20のバイアスを含むブックマーク 論理的な話が通じないワケ。行動経済学から学ぶ20のバイアスのブックマークコメント

日産自動車の柏木吉基さんが書かれた『人は勘定より、勘定で決める』という本を読みました。

行動経済学についてまとめてある本です。

人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク

人は勘定より感情で決める ~直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク

行動経済学の本は、『経済は感情で動く』(マッテオ・、オッテルリーニ著)や『予想通りに不合理』(ダン・アリエリー著)など翻訳本が多いですね。それぞれの本で、独自性があるのですが、『人は勘定より、勘定で決める』は特に分かりやすくて、すぐに読めました。行動経済学の初心者は、この本から入った方がいいかも。



この本を読みながら、「バイアス」についてまとめてみました。



論理的思考力や客観性を私達は、日々の仕事や学習でトレーニングをしています。しかし、実際の私達の行動は、案外、論理的ではありません。なぜか?


その答えがバイアスなのです。事実を目の前にして、私達はその事実をスンナリ受け入れるワケではなく、心理バイアスをかけてモノを見てしまう。(同じカップラーメンでも、「定価120円が100円に」と書かれたA店のカップラーメンと、B店の100円とただ値札のかかったカップラーメンでは、A店の方が得と感じてしまいます。)



人は、論理的、合理的なようで、実は論理的ではない。バイアスがかかりながら、論理を考える生き物なのでしょう。

部下のモチベーション、顧客のモチベーションをしていこうとする際に、単に論理的に正しいことを言ってもダメ。

よく、「論理的に考えればすぐに分かるような話なのに、どうしてあの人は違ったことをするのだろうか?」などと思うような出来事に出会うと思うのですが、そのような場合、相手にはバイアスがかかっているのです。

相手はどんなバイアスを持って、あなたの話を聞くのか?この事をしっかり考えながら、コミニケーションをしていくのが大事になってくるのではないでしょうか?


では、人はどのようなバイアスでモノを見ていくのか?どのようなバイアスに影響されて判断をしていくのでしょうか?



ここで、代表的なバイアスをご紹介。(行動経済学の中では、これから紹介する名前と違う表現になっていますが、私が、自分用にすぐに使えるように加工したモノをここでは紹介します。ご興味がある方は、上記の本などで、また詳しく勉強してください。)

  1. 損失過剰評価バイアス
    得する話、利益額より、損する話や損失額の方に、人は敏感に反応していくバイアスがかかる


  2. 事前期待比較バイアス
    同じ給料が3万上がるにしても、今年は給料は上がらないだろうなという事前期待を持ったA君と、5万は給料アップするだろうと事前期待をしていたB君では、給料アップ3万という事実に関してのバイアスがかかる (相手の事前期待のコントロールの重要性)


  3. 損の確定は、先延ばしバイアス。利益の確定は、今すぐバイアス
    損する意志決定は、先延ばしをしてしようとしない。逆に、利益を得る話は、すぐに決めようとする。 


  4. 数増加に伴う感覚麻痺バイアス
    一杯目のビールは美味しいが、10杯目のビールは・・
    数や経験量が増えてくると、感覚、感動が麻痺していく


  5. 損は、低確率に評価バイアス。得は、高確率に評価バイアス。
    悪い占いは外れることもあるさと思い、いい占いは当たると信じる。


  6. 低い発生確率は、過剰評価バイアス。高い発生確率になると、過小評価バイアス。
    新型インフルエンザも発生率が低い時は、過剰に警戒していた。しかし、近所で発生し、ほとんど避けることができない発生確率まで高まったら、気にしなくなった。それと同じ話ですね。


  7. 「みんな」バイアス。少数を全体バイアス
    子供がよく言う「みんなもやっている」。マスコミがよく言う「国民は」。ホントにみんななのか?全国民なのか?と論理的に考えれば、ツッコミを入れたくなるのですが、「みんな」と、少数の話を一般化して言われると、「そうなのか」とつい考えてしまいがちになります。


  8. 自己決定権優先バイアス
    誰かから与えられたものよりも、自分で決めたことの方が達成確率、成功確率を高く感じてしまうバイアス。(宝くじも、勝手に与えられたものより、自分が指定したモノの方が当たるような気がするというヤツ)


  9. 一貫ストーリーバイアス
    一貫したストーリー。一貫した論理的な話を聞くと、それをキチンと検証しようとせずに鵜呑みにしてしまうバイアス。


  10. 過去の努力をムダにしたくないバイアス
    過去に努力してきたもの、過去にたくさん投資をしたものについては、「もったいない」と思い、それを辞めることが損をしてしまうと考えるバイアス。(これから将来に損をする話であっても、過去の投資がもったいないと考えてしまう)


  11. 現状維持バイアス
    10とも関連するが、今のままではマズイとは分かっていても、現状を変えるということには抵抗を感じてしまうというバイアス。(余程のことがない限り、現状を変えようとはしない)


  12. 保有したものは、手放したくないバイアス
    一度保有したモノは、他人が思っている価値(客観評価)より、自分だけ高い価値を感じてしまうようになる(愛着バイアス)


  13. ポジティブフレーミングバイアス。ネガティブフレーミングバイアス
    一度、相手をポジティブな固定観念ができると
    、ポジティブな面ばかりが目に入ってくるようになる。逆に、ネガティブな固定観念がつくと、ネガティブな面ばかりが目に映り、客観評価ができなくなるというバイアス。


  14. 得するためなら、リスク回避趣向バイアス。損失回避のためなら、リスク選択趣向バイアス
    得する話は、早く得を確定したくなり、できる限りリスクを回避しようとする。
    逆に、損失が目の前にある場合は、それを避けようとする為のリスクを採ろうとする。
    できる営業マンは、相手にリスクのある提案は目の前にある損失にスポットライトを浴びせ、逆に、リスクのない提案は「得の」の部分を強調する。


  15. 間違った記憶バイアス
    「自分の記憶」は間違いないと、普通の人は思っている。しかし、これは間違い。記憶なんていい加減なもの。
    私達の記憶に残っているものは、「インパクトのある記憶」「なじみのある記憶」「最近の記憶」「第1印象」「具体的な記憶(五感に訴えられた記憶)」など、ごく僅かの記憶。それらの代表的な記憶しか覚えていない。それらの一部の記憶により、物事を判断しているにすぎない。


  16. 最初バイアス 最後バイアス
    何社かから競合プレゼンを受けた場合、記憶に残るのが、最初のプレゼンターと最後のプレゼンター。
    一つのプレゼンでも、プレゼンの最初の部分と最後の部分だけが強烈に記憶に残る。(間に話したことは、それ程記憶には残らない)

  17. 比較物バイアス
    バスケットボール選手と映っているあなたの写真。指輪物語のコビット?と映っているあなたの写真。当然、あなたの姿は、全く違って見えます。何と比較するかで、バイアスがかかる。

  18. 比較順番バイアス
    大福を食べた後にたべるスイカ。スイカの後に大福を食べる。食べる順番でスイカの味はバイアスがかかる。


  19. %バイアス
    某石けんは、洗う成分の100%が植物成分と歌っている。一見、これは全てが植物成分で出来ていると勘違いするが、洗う成分の100%であり、全体の100%ではない。何を分母にするかで%は変わる。%は、一見分かりやすいが、計算式を教えて貰わなければバイアスがかかりやすい。
  20. 絶対値バイアス
    宝くじは3億円の当選本数40本とか、絶対値をアピールしているので買いたくなる。確率が0.00001%なんて書いてあったらどうだろう。絶対値によるバイアスもある。

これらのバイアスが本来客観評価10のモノを13に感じさせたり、7に感じさせたりするのです。(悪用すれば、13に感じさせたり、7に感じさせることもできるということ)



モチベーションを上げたければ、正しいことを論理的に、客観的に伝えるだけではダメ。相手には、バイアスがかかっている事を理解しながら、伝えていくことも重要になるのです。

bowbow99bowbow99 2009/06/26 09:03 typo@1行目: 本のタイトルが『人は勘定より、勘定で決める』(どっちも「勘定」)になってます

nolokoronolokoro 2009/06/26 16:05 コビットではなくホビットです

Ivan_IvanobitchIvan_Ivanobitch 2009/06/27 11:16 >4.数増加に伴う感覚麻痺バイアス
これは行動経済学上の理論ではなく、ミクロ経済学の「限界効用逓減の法則」ではないでしょうか?