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サイレント・マジョリティ

Last-modified: 2012-08-24 (金) 10:52:51 (58d)
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カテゴリープロモーション戦略マーケティング・リサーチ購買行動・心理IT関連
サイレント・マジョリティ(Silent Majority)

 サイレント・マジョリティとは、積極的な発言行為や意思表示をしない大多数の勢力のこと。
 物言わぬ多数派。声なき声。無言多勢。
 対義語はノイジー・マイノリティ(Noisy Minority)声高な少数派。声高無勢。

 1969年11月、アメリカのニクソン大統領の演説で、ベトナム戦争に対する国民の姿勢を表す際に用いられた。
 特別な感情や意見を持つ少数派は積極的に意思表示を行うが、特別な感情や意見を持たない多数派は意思表示が難しい為、波風の立たない多数派の意見は注目されず、際立った少数派の意見にはスポットが当たるということが起こる。
 ニクソンは、ベトナム戦争のデモ活動を行っている人々は少数派であるとし、大多数は現体制に賛同していることを主張した。
 実際に選挙では50州中49州を獲得し、大多数のサイレント・マジョリティに支持され圧勝した。

 もともとは政治学で使われていた用語だが、マーケティングにおいては、顧客の声や市場のニーズを汲み取る際に注意すべきポイントとして取り上げられることが多い。
 また、社会学ではメディアの偏向報道ややらせ問題において取り上げられる概念である。

 マーケティング・リサーチを行ったとしても、顧客の声を正しく捉えることは難しい。
 顧客調査では、自社がターゲットに設定している特定の顧客層やロイヤル・カスタマーの意見を重視してしまうことも多く、それが大多数のユーザーの意見と乖離していると、リサーチを基に策定したマーケティング施策の効果が低くなってしまう場合もある。
 防止策としては、標本数を拡大して偏りが少なくなるようにすることや、リサーチャーがユーザーに寄り添った感覚を持つことで偏りの無い意見かどうかを判断し調査の質を高める、といったことが求められる。

 また、近年隆盛を見せるCGMにおいても、サイレント・マジョリティの存在は注視されている。
 多くのCGMにおける訪問者の構成は、閲覧のみのユーザーが大多数を占め、投稿するユーザーは僅かであることから、CGM上で行われる書き込みやクチコミ評価の多くは、一部の積極的なユーザーによる投稿であると見る向きもある。

 本来、CGMは利用者が自由に情報発信できる仕組みであるにもかかわらず、一部の積極的なユーザーがノイジー・マイノリティとなって場の雰囲気を形成してしまい意見が出し辛くなり、利用者の大多数である閲覧者、つまりサイレント・マジョリティの声が表に出せない状況が形成されつつあるという警鐘もある。
 そのため、気軽に書き込みやクチコミができる参加しやすい仕組みを作り、アクティブユーザーを増やす為の研究開発が進められている。

 サイレント・マジョリティの声は、ノイジー・マイノリティの大声によってかき消されてしまうことも多く、声なき声に気がつくことができるかどうかといった感覚は、重要なマーケティングセンスのひとつといえる。
 また、サイレント・マジョリティのニーズを汲み取る方法として、ログ解析や行動観察法、心理学や脳科学からのアプローチといった手法への期待が高まっている。


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