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遺体発見女性の弟 悔しさにじませ…尼崎事件

安藤さんの遺体が見つかった民家の床下。「まさか埋められていたとは」と、弟は絶句した(兵庫県尼崎市で)=前田尚紀撮影

 兵庫県尼崎市の民家から男女3人の遺体が見つかり、多数の行方不明者が出ている事件で、19日に遺体の身元が確認された安藤みつゑさん(71)の弟(64)ら親族が読売新聞の取材に応じた。40年以上前、ドラム缶遺体事件の主犯格とされる角田(すみだ)美代子被告(64)(傷害致死罪などで起訴)らと出会ってから家族と絶縁状態になり、突然、金の無心に現れてはおびえた表情を浮かべていた。「姿を見せた時に強く引き留めていたら」。弟は悔しさに声を震わせた。

 安藤さんは同市出身で、5人きょうだいの3番目の次女。中学卒業後、大阪市内の機械製作会社に勤めたが、入社10年後に会社を辞めた。その頃から、友人などとして「角田」の名前を出しており、角田被告やその兄らと付き合うようになったとみられる。

 その後、尼崎市内の不動産会社に転職。200万円の手形の裏書を誰かに頼まれて借金を背負い、30歳頃から消息不明になった。

 約10年後。同県宝塚市で三女が経営する美容院に現れ、「金を貸して」とせがんだ。「何があったんや。借金ならみんなで返したる。絶対戻ったらあかん」。集まった家族全員で引き留めたが、泣きそうな、おびえた表情で飛び出していった。

 その後、両親は安藤さんと再び会うことなく、相次いで亡くなった。

 約10年前、安藤さんは尼崎市内の弟宅を訪れ、「親の遺産が残ってるやろ」と真っ白になった髪を振り乱した。「ないわ」と答えると、「結婚するから、式に出席してくれ」と言い出した。それも断ると、「もう来ない」と姿を消した。

 きょうだいの一人が最後に安藤さんと会ったのは約5年前の晩秋の頃。薄着で素足にサンダルを履き、いきなり自宅を訪ねてきた。お茶だけ飲み、「バス代に」と2000円を渡すと、無言で帰っていったという。

 弟は「角田被告と出会い、姉の人生は狂った。心配しながら亡くなった両親も浮かばれない」と目を伏せた。

 捜査関係者によると、安藤さんは、角田被告の義妹・三枝子被告(59)(窃盗罪で起訴)の夫名義で購入された尼崎市長洲東通の角田被告の自宅マンションの連帯保証人で、角田被告らと同居。2008〜09年頃に遺体が遺棄されたとみられる。

2012年10月20日  読売新聞)
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