今年4月に宝塚歌劇団を退団した元月組トップスターの霧矢大夢が、10月12日からファーストコンサート『Amore e Musica 夢は果てしなく…』を青山劇場で開催中である。(14日まで)
演出に酒井澄夫、音楽には吉田優子、鞍富真一、振付にANJU(安寿ミラ)、AYAKO(宝樹彩)と宝塚関係のスタッフで固めたこのコンサートは、宝塚時代の懐かしい曲や有名ミュージカルからの曲が次々に登場し、親しみやすく感動的な構成となっている。
幕が上がると、宣伝ポスターそのままにブルーのホリゾントに横向きに立った霧矢がいる。
ゴールドに黒の刺繍がある変わりエンビ風の衣裳で、髪はウエービーなショート、男役時代の面影をまだ残している。
このほかに衣裳は3着ほど着替えている。白のガウンの下に着ていたワインレッドのスーツ、黒っぽい織り地のもの、最後は赤系のヴァイオレットで全部パンツスタイル。デザインも宝塚のエンビやタキシードをアレンジしたような形でまとめている。
場面は6つに分かれていて「愛と音楽、祈り、情熱、心の故郷、思い出のミュージカル、愛の歌 夢は果てしなく」と、それぞれシーン名がついている。
コーナーの合間に出演メンバーの紹介とトークが入ったり、オーケストラの紹介があったりするが、幕間休憩なしの100分で30曲近いナンバーが登場、そのうちで霧矢が歌わないのは2曲だけという、まさにシンガー霧矢大夢ならではの、歌三昧のコンサートだ。
「愛と音楽」
オープニングで歌われるタイトルソングの「Amore e Musica 」は覚えやすく、霧矢の伸びと張りのある歌声を生かしたスケール感のある楽曲になっている。そこからジャズのスタンダードを中心とした流れで、4人の男性ダンサーとともに踊りまくり、リフトされる場面もある。
「祈り」「情熱」
白のガウンでアヴェ・マリアなど2曲を歌い、ガウンを脱ぎ捨て赤い衣裳になって、ラテンの世界に。男性ダンサーとタンゴをセクシーに踊る。
宝塚を象徴する「宝塚我が心の故郷」のコーラスから始まった宝塚コーナーでは、『スカーレット・ピンパーネル』の「ひとかけらの勇気」にはじまり、次々と懐かしい出演作品のナンバーを歌い上げる。サヨナラ公演やショーの主題歌や「ノバ・ボサ・ノバ」など、ファンにとっては涙なしには聴けないものばかりで、どの歌も霧矢ならではの圧巻の歌唱が続く。
「思い出のミュージカル」
宝塚コーナーからの流れでミュージカルのナンバーに入る。『West Side Story』『Guys and Dolls』『Me and my girl』『エリザベート』などからチョイスしたお馴染みの曲を楽しげに歌いあげる。ファーをまとってのアデレイドは相変わらずキュートだ。
いよいよラストのコーナーで、ソフト帽を片手にかっこよさも全開させ、最後はドラマチックな「My Way」を劇場いっぱいに響かせる。金色の吹雪が舞い散り、感動的なフィナーレである。
アンコール曲は今回のテーマソング。そしてカーテンコールでは「これからも歌い続けていく」と力強く挨拶。
宝塚でもそれが魅力だった霧矢大夢のパワフルな歌声と明るい個性は、ミュージカルナンバーでは一段と魅力を発揮する。また、男役的な歌唱から解放されて楽曲本来の表現に取り組んだことで、霧矢の歌唱力、声の魅力を改めて感じさせてくれた。酒井澄夫をはじめとする愛に溢れたスタッフたち、その大きな力に支えられて、女優・霧矢大夢は幸せなスタートを切った。
宝塚歌劇団を卒業して半年間、ステージから離れていましたが、やっぱりお客様の前で歌えることは幸せです。ぶっとおしの100分ですが、お客様にも楽しんでいただければ最高です!
霧矢大夢ファーストコンサート
『Amore e Musica 夢は果てしなく…』
構成・演出◇酒井澄夫(宝塚歌劇団)
音楽◇吉田優子(宝塚歌劇団) 鞍富真一(宝塚歌劇団)
振付◇ANJU AYAKO
出演◇霧矢大夢 ほか 男性ダンサー4名
●10/12〜14◎青山劇場
〈料金〉S席9500円 A席8000円
〈問合せ〉
サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00〜19:00)
ticket-info@quaras.co.jp
【取材・文/榊原和子 撮影/冨田実布】
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