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2012 知事選

【「相乗り」の事情】

(下)再稼働 慎重姿勢に共鳴

2012年09月27日

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推薦状を泉田知事(左)に手渡す社民党県連合の小山代表(中央)=6月14日、県庁

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候補者擁立が難航した末、自ら出馬すると決めた共産党県委員長の樋渡氏(右)は竹島良子県議(左)らと記者会見に臨んだ=9月21日、県庁

 社民党県連合代表の小山芳元は語気を強めた。「与党とか、野党とかいう分け方はしてほしくない」

 6月14日。知事・泉田裕彦の陣営から推薦を請われた政党のうち、どこより早く推薦状を泉田に渡した後、記者団に「オール与党にならないか」と問われたときのことだ。

 2004年の知事選。社民党は民主党県連とともに独自候補を立て、泉田と戦った。08年は自主投票。今回、初めて泉田を推薦する大義名分は「原発」だ。

 泉田は原発再稼働をはやる政府への批判を続け、柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢をとっている。小山は「知事の姿勢を支え、とにかく再稼働をさせないという気持ちだ」と言う。

 社民党県連合は今年初めから泉田県政の検証を始めた。再稼働問題で泉田への評価が高く、4月に推薦願を受ける前から、推薦する方針に傾いていた。

 背景には、党の組織力の衰えもある。県議会の議席は2。県連合幹部は「独自候補を立てて自分たちの考えを訴えるのが理想だが、その力のない現状では圧倒的に不利だ」と漏らす。

 推薦にあたり泉田に申し入れた文書に原発対応の項目はない。「脱原発」を明言しない知事の立場を配慮したからだ。ただ、「推薦すれば再稼働議論の時、うちに相談があってしかるべきだ」との党県連合幹部の思いは、期待でしかない。

 泉田が選挙後、考えを変えたら――。県幹部や他党からは「推薦の効用」をいぶかる声が出ている。

     ◇

 タイムリミット、だった。知事選の投開票日まで1カ月となった今月21日、やっと設けられた共産党の候補者発表の席の中央に座ったのは、候補者を探し回っていた党県委員長の樋渡士自夫(ひわたし・しじお)だった。

 「擁立を1年以上やってきて、断念せざるをえない。私の立候補がふさわしいだろうと思った」

 候補者が見つからず、県組織のトップとして責任をとっての立候補だ。

 党県委員会は昨年秋から、市民団体「民主県政を実現する新潟県みんなの会」と候補者を探した。

 当てはあった。当人も立つ意思を固め、3月に候補者発表会見の場まで用意したが、体調不良でドクターストップがかかった。

 その後、何人かに当たったが、次期衆院選の小選挙区への候補者擁立との並行作業に。相手は、自民、民主など5党が相乗りする泉田。樋渡は当時、「互角の戦いになるなら手を挙げる人もいるだろうが、知事とは大差になるだろう。難しい」と漏らした。

 泉田は柏崎刈羽原発の再稼働問題について「福島第一原発事故の検証が先」として議論にも入らない姿勢をとる。これに対し、共産党はもっと踏み込み、はっきり「廃炉」を打ち出すべきだと考えていた。対立候補を出さないという選択肢はなかった。

 樋渡は国政選挙にも地方選挙にも立ったことはなく、知名度は低い。「泉田さんは『廃炉』を言わない。原発やTPP(環太平洋経済連携協定)の問題で違いを訴えれば、支持を拡大できる」と話す。
(この連載は勝見壮史、水野梓が担当しました)

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