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2012年10月20日7時0分

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宮内庁発表「皇后さまのこの一年のご動静」全文

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 宮内庁が発表した「皇后さまのこの一年のご動静について」の全文は次のとおり。

 皇后さまには、本日、満78歳のお誕生日をお迎えになりました。

 この一年も皇居内外で様々のお務めを果たされ、ご多忙な日々をお過ごしになられました。この間、天皇陛下は、昨年11月6日から24日まで気管支炎及びマイコプラズマによる気管支肺炎で東京大学医学部附属病院に入院され、また、冠動脈バイパス手術のために今年2月17日から3月4日まで同病院に再び入院されました。皇后さまは、お心を込めてご入院の準備に当たられたほか、ご入院中は、延期のできないご公務をお一人でお務めになりながら、毎日、陛下のお側に付き添われ、献身的に看病されました。とりわけ、陛下が冠動脈バイパス手術をお受けになられた時は、ご手術の前後6回にわたり病院にご宿泊になりました。ご退院後も陛下の健康維持に心を配られています。

 この一年間、皇后さまとしてのお立場でお務めになったお仕事は289件ありました。

 昨年3月に発生した東日本大震災に関しては、発生後からこれまでに46回にわたり関係者から被害状況や復旧状況等について説明をお受けになっていますが、昨年のお誕生日以降も復興状況、支援活動や放射能除染活動の状況等について10回にわたって説明を受けられました。昨年11月の東日本大震災消防殉職者等全国慰霊祭、今年3月の東日本大震災一周年追悼式は、いずれも陛下にはご退院後間もない最初のご公務でありましたので、陛下をお支えになるようにしてのご臨席でした。また、今年5月に宮城県仙台市で開催された第14回IACIS国際会議の開会式に臨席された折に、同市の応急仮設住宅を訪問されたほか、7月には東日本大震災の翌日に発生した長野県北部地震により甚大な被害を受けた長野県栄村を、また、10月には放射能の除染作業が行われている福島県川内村と田村市をそれぞれ訪問され、陛下と共に被災者を見舞われ、支援者をお労(ねぎら)いになりました。

 公的な地方行幸啓としては、この他にも昨年10月に第31回全国豊かな海づくり大会ご臨席のため鳥取県に、今年5月に第63回全国植樹祭ご臨場のため山口県に、9月に第67回国民体育大会総合開会式ご臨席のため岐阜県にお出ましになりました。また、6月には国際幹細胞学会10周年記念セレモニーご臨席のため神奈川県横浜市を、9月には敬老の日にちなむ施設等ご訪問として埼玉県和光市・さいたま市を、10月には昨年11月に予定されながら陛下ご入院中のためお取りやめとなった山梨県の恩賜(おんし)林「武田の杜(もり)保健休養林」ご視察のため甲府市をそれぞれご訪問になりました。地方行幸啓は10県16市2町2村に及びました。

 なお、ご公務としての都内へのお出ましは、陛下との行幸啓の29回に加え、この一年は東日本大震災支援関連行事への願い出が増えた関係で皇后さまお一方の行啓も26回を数えました。

 皇后さまは、この一年もまた、産業、文化、科学、芸術、スポーツ等の振興や社会貢献に尽くされた人々を労い、励まされました。陛下のお側で18にわたる授賞式や記念式典などにご臨席になり、その受賞者等と懇談され、また、「昭憲皇太后と赤十字展」等の展覧会をご覧になったり、東日本大震災支援のためのチャリティーを含む各種のコンサートを鑑賞されました。皇后さまお一方では、いのちの電話開局40周年記念式典、全国赤十字大会へのご臨席や、「ねむの木賞」受賞者とのご接見があったほか、日本赤十字社の活動状況や国立ハンセン病療養所の現状についての説明ご聴取等がありました。

 献穀者、賢所勤労奉仕団及び皇居勤労奉仕団へのご会釈は65回を数えました。

 外国を訪問され、多数の外国からの賓客を接遇されるなどして、国際親善の増進にも尽くされました。

 天皇陛下には今年3月のご退院後もしばらく胸水がたまる症状がおありでしたが、症状が改善された5月16日から20日まで、両陛下して英国を訪問され、英国女王陛下ご即位60周年記念午餐(ごさん)会並びにチャールズ皇太子殿下及びコーンウォール公爵夫人主催の晩餐(ばんさん)会に出席されました。現地では、東日本大震災支援に携わった英国の日本関係者を招いてお会いになり、協力への感謝をお伝えになりました。

 国賓の接遇については、陛下ご入院中の昨年11月に来日されたブータン国国王陛下及び王妃陛下には皇后さまがお一方でご挨拶(あいさつ)になりましたが、今年3月に来日されたクウェート国首長殿下とのご会見、10月に来日されたマレーシア国国王陛下及び王妃陛下の歓迎行事、ご会見、宮中晩餐には陛下と共にお出ましになりました。また、陛下と共に、コスタリカ国大統領閣下、ペルー国及びスロバキア国の大統領閣下及び同令夫人を公式実務訪問賓客としてお迎え、午餐を催されたほか、ザンビア国大統領閣下及び同令夫人とご会見になり、ベトナム国首相夫妻、モンゴル国国家大会議議長夫妻、マレーシア国上院議長夫妻をご引見になりました。さらに、スウェーデン国国王陛下及び王妃陛下、ベルギー国皇太子同妃両殿下、リー・クァンユー・シンガポール国前首相府内閣顧問を御所でのご夕餐に、リヒテンシュタイン国皇太子殿下を御所でのお茶に、第6回太平洋・島サミット首脳会議に出席する各国首脳夫妻等23名を宮殿での茶会にお招きになりました。皇后さまお一方では、デンマーク国王子ヨアキム同妃両殿下(陛下ご不例中)、ポーランド国大統領夫人を御所でのお茶にお招きになりました。

 在京の外交団との関係では、この一年間に着任後間もない32か国の大使夫妻をお茶に、着任後3年経過した16か国の大使夫妻を午餐にお招きになり、離任する12か国の大使夫妻にご引見を賜りました。日本から赴任する45か国の大使夫妻にも出発前にお会いになり、帰国した53か国の大使夫妻をお茶に招いて任地の話をお聞きになりました。

 今年6月6日に寛仁親王殿下が薨去(こうきょ)され、両陛下はお悲しみのうちに5日間の喪を服され、ご遺族と悲しみを共にされました。こう薨去の直後4回にわたり寛仁親王邸を訪問されたほか、斂葬(れんそう)の儀及び百日祭の儀の後に拝礼のため豊島岡墓地に行幸啓になりました。

 宮中祭祀(さいし)については、天皇陛下のご不例によりご代拝となった冷泉天皇千年式年祭の儀、大正天皇例祭の儀、春季皇霊祭の儀・春季神殿祭の儀及びおみ足の捻挫によりお取りやめとなった元始祭の儀、暗くなってから行われる御神楽(かぐら)の儀については欠席されましたが、それ以外の祭祀には全て列せられました。

 今年のご養蚕始の儀は5月に英国をご訪問となったことから、例年より1か月遅い6月初旬となりました。恒例の行事を含めご公務の合間に26回にわたり桑畑、野蚕室、御養蚕所等においでになり、野蚕の山つけや収穫、桑つみ、ご給桑、わら蔟(まぶし)作り、上蔟(じょうぞく)、繭掻(か)き、毛羽取り等の仕事に当たられました。今年は約145キロの繭の収穫がありました。

 皇后さまは昨年喜寿をお迎えになられましたが、この一年もまた、土日や祝日も含めほぼ連日お仕事を続けてこられました。

 昨年夏には、頸椎(けいつい)症性神経根症による左肩から左手にかけての強いお痛みと痺(しび)れにより、行事の一部をお取りやめになりましたが、ご回復の後も、左指先に軽い痺れを折々にお感じのようです。また、昨年10月には、「下腿(かたい)筋膜炎」による右膝(ひざ)下の下腿外側の圧痛と腫れが強まり治療を受けられました。最近では、ご起床時にかなり強い腰痛がおありのようですが、早朝のご散策により軽減するとのお話でした。長年にわたりお体を酷使されてきた影響が少しずつあちこちに現れ始めているようで、難しいことですが、これからはもう少しご休養の日数を取っていただくよう考えなくてはなりません。幸いなことに、この一年間はご病気によりご公務をお取りやめになることはありませんでしたが、この間、陛下のご看病とご手術後の健康維持にお心を配られると同時に多くの公的な仕事を果たされ、また、絶えず東北の人々への心配りをされつつ、お気の休まる暇なくお過ごしになった日々と拝見しております。

 連日お仕事が続く中、自由な時間のおありのときには、読書をされたり、陛下やご訪問になるお子様方、お孫様方のために料理をされたり、ピアノを弾かれたりされています。今年も8月に草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルに参加され、アンサンブルを学ばれました。音楽家たちの奏でるヴァイオリンやチェロの音に誘われるようにピアノの音が引き出される中で、多くのことを学ばれ、中一日の短いご滞在ですが、毎年この時を心から楽しまれ、感謝されつつお過ごしになっているご様子です。

 陛下のご手術後のリハビリをお支えになるためにも、毎朝のご散策を今も変わりなく続けておられますが、6月からは短い時間ですが再びテニスをご一緒にされています。

 10月20日のお誕生日当日は、午前10時半から12時までは皇族方始め内閣総理大臣、衆参両院議長、最高裁判所長官、閣僚、宮内庁職員等による祝賀を6回にわたりお受けになります。正午からは皇族方始めとのご祝宴、午後からは旧奉仕者による祝賀、元側近奉仕者等との茶会、母校の先生方やご進講者等との茶会が催されます。夕刻には敬宮さま始め未成年の内親王、親王殿下方のご挨拶をお受けになり、夜にはお子さま方ご夫妻とお祝御膳を囲まれます。

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