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【神奈川】「硫黄島の手紙」今、高校生の目に 港北の冨岡さん、鎌倉で特別授業
太平洋戦争で学徒出陣し硫黄島で戦死した伯父の遺品をもとに、横浜市港北区の冨岡直子さん(52)が十一日、鎌倉市玉縄の栄光学園高校で「硫黄島からのキセキ」と題する特別授業をした。冨岡さんは生徒に「戦争は自然災害と違って誰かが意図的に起こす。あふれる情報の中から戦争の芽を見つけ、避ける力を付けて」と訴えた。 (中沢佳子) 授業には、二年生百七十九人が参加。冨岡さんは、伯父の松川正さんが硫黄島に持って行った家族からの手紙百八通や遺品を持参し、太平洋戦争の説明も交え、手紙をめぐる物語を語った。 手紙は元米兵のビクター・ボーゲリンさんが一九四五年三月に硫黄島の浜辺で発見。映画「硫黄島からの手紙」を見たのを機に持ち主を捜し、やがて正さんの弟で冨岡さんの父の正二さんに返された。 冨岡さんはボーゲリンさんと文通を始め、渡米して対面。硫黄島の話になると涙ぐむボーゲリンさんの姿に「勝者の米国人も、戦争で苦しんでいると分かった」と振り返る。 戦争は普通の家族を引き裂き、残された人々を戦後も苦しめた。冨岡さんは「日本が戦場になることも、若者が兵士になることもないように」と願い、日米両国の高校で講演を続けていることを語った。 そして「人間が学ぶのは、真実を手に入れるため。社会には正しいことだけではなく、うそもある。おかしいことに対するアンテナや調べる行動力を付けて」と呼び掛けた。 授業を受けた村上善明さん(17)は「これまでも戦争に関する映画は見たが、その内容と同じようなことが普通の家族に起きていたことに驚いた」と、戦争の傷の深さを痛感していた。 PR情報
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