パソコン遠隔操作事件で、これまで犯罪予告に関わったとして逮捕された男性4人は、いずれも冤罪(えんざい)だったことが分かってきた。
真犯人は犯行声明で〈またいつかあそびましょうね〉と、いったん休止もにおわせていたが、当然、これで一件落着とはいかない。
「冤罪だったということは、自白を強要された可能性が極めて高い。それも含めて、今回の事件では、警察のサイバー犯罪に対するずさんな捜査ばかりが浮き彫りになってしまったわけです」(捜査事情通)
少々のことをやっても警察には捕まらない――日本中の悪質なハッカーを勢いづかせてしまった恐れがある。残念ながらこの先、模倣犯が続出する可能性は大だ。
「現在、警察庁の指示で全国の警察が他に誤認逮捕がなかったかについて洗い直していますが、そんなところに次々と模倣犯が現れたら、とても手が回らない。パニック必至ですよ」(捜査事情通=前出)
ITジャーナリストの井上トシユキ氏が言う。
「犯行声明を全文読みましたが、真犯人は一通りのプログラミング知識を持っているという印象を受けました。まったくの素人ではなく、情報系の学科で勉強し、技術者としてIT企業に就職できるレベルにはある。とはいえ、その程度のプログラマーは大勢います。それに今回の事件では、自戒もありますが、新聞、テレビが結構細かく犯行の手口を報じています。〈なるほど、そうすればいいのか〉と、愉快犯を刺激してしまったかもしれません」
困ったことになってきた……。
(日刊ゲンダイ2012年10月18日掲載)