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心因性ストレスによる消化性潰瘍 宮城の患者、震災後3倍に

 東日本大震災後、宮城県内で胃・十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍のうち、心因性ストレスが原因とみられる患者が震災前の3倍近くに増えたことが、東北大病院消化器内科の飯島克則講師、菅野武医師らの調査で分かった。消化性潰瘍は心因性ストレスとの関連が指摘されていたが、ストレスの期間や程度に個人差があるため、立証が難しかった。震災で広域の住民が同時期にストレスを受けたことで、ストレスと疾患の相関関係が浮き彫りになった。
 飯島講師らは、2011年3月11日の震災から3カ月間、石巻赤十字病院、気仙沼市立病院など宮城県内主要7病院で消化性潰瘍と診断された事例を集計し、10年同時期と比べた。
 その結果、消化性潰瘍は、7病院合計で383件と、前年の261件に比べて1.5倍に増加。このうちストレスだけが原因と診断された潰瘍は、前年の20件から55件に増加した。ピロリ菌感染や薬剤服用をしていた住民も増加していて、震災前は潰瘍発症に至らず、震災のストレスをきっかけに発症した患者もいたとみられる。
 消化性潰瘍の発症を地域別にみると、津波被害を受けた沿岸部の病院で増えた。発症時期は、震災発生から10日後ごろがピークだった。年齢別では、65歳以上の高齢者が30%を占めた。
 最近の研究では、消化性潰瘍の大部分はピロリ菌感染や、解熱剤などの薬剤が原因とされ、ストレスを原因とすることには否定的な見解が増えていた。
 飯島講師は「純粋なストレス性潰瘍は高齢者に目立ち、避難所などで高齢者がストレスにさらされたことがうかがえる。ストレス軽減の対策が必要だ」と話している。


2012年10月21日日曜日


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