「かいなん人権フェスティバル」（同市など主催）がこのほど、海南市下津町下津の海南市民交流センターで開かれ、ジャーナリストの江川紹子さんが「混迷の時代を生きる　命の重さ〜私の取材ノートから〜」と題し、約４４０人の市民を前に、原発事故や検察改革の取材から、人権について考えたことを講演した。

　江川さんは、チェルノブイリ（現ウクライナ）原発事故で被害を受けたベラルーシの被災地域を取材。差別され人権侵害を受けていた地域にフランスなどの国際支援が入り、少しずつ住民が生活を立て直してきた経緯を紹介した。「自国の政府だけでなく複数の情報源を持つこと、プロセスを透明化することが、福島第１原発事故からの復興でも絶対に必要」と話した。

　大阪地検特捜部の証拠改ざん事件などを受けた検察改革は、「事実の検証に全く外部の目が入らず、不十分だった」と指摘。「人権を守るためには、絶えず人々が関心を持ち続けることも大切」と話した。【中村好見】