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気仙沼の打ち上げ漁船 船主、解体の意向を市に申し入れ

所有会社が撤去の意向を示している第18共徳丸

 東日本大震災で宮城県気仙沼市鹿折地区に打ち上げられたままになっている大型漁船「第18共徳丸」(330トン)について、船を所有する水産会社「儀助漁業」(福島県いわき市)が気仙沼市に解体の意向を伝えていたことが19日、分かった。船の保存を目指している市は解体を延期するよう申し入れているが、両者の考えの隔たりは大きく、調整は難航しそうだ。
 同社の柳内克之社長(39)が8月20日に市に文書で申し入れた。震災後1年7カ月が経過しても放置したままになっている現状を踏まえ「解体を了解してほしい」という趣旨だという。
 解体を決断した最大の理由として柳内社長は、地元で保存への反対論が根強いことを挙げる。「『もう見たくない』と思っている市民は多い。苦痛に感じている人がいる以上、早期に解体しなければならない」と言う。
 鉄製の漁船がそもそも長期保存に向かないことなど、ほかの問題点も指摘。「船主としては船の悲しい姿をこれ以上さらすのはつらい」と率直な思いを語る。
 一方で「気仙沼には世話になった。住民の多数が残してくださいとなれば、考え直すこともある」と話し、議論が活発化することに期待する。
 同社によると、共徳丸は気仙沼港に係留中、津波で流され、600メートル離れたJR鹿折唐桑駅近くに上がった。一時は海に戻すことも検討したが、費用面などで断念。その後は市の要請もあって現場に残している。
 市は、共徳丸を含めた復興祈念公園構想を掲げ、津波の記憶を伝える施設として船の保存に積極的な姿勢を示している。9月20日ごろには、早期に解体しないよう求める文書を同社に送った。
 菅原茂市長は「住民に苦痛を強いてまで残すことはできないが、時間をかけ話し合えば理解してもらえると思う。船主さんには少なくとも年内までは待ってほしいと言っている」と、協議を継続したい考えだ。


2012年10月20日土曜日


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