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【東京】

新大久保駅事故 「秀賢を忘れないで」 千代田

李秀賢さんの遺影前で表彰状を受け取る奨学生=千代田区で

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 JR新大久保駅のホームから落ちた人を助けようとして二十六歳で亡くなった韓国人留学生李秀賢(イスヒョン)さんの遺志を継いで設けられた奨学金の授与式が十八日、千代田区内であった。秀賢さんの父、盛大(ソンデ)さん(73)は各国の奨学生二十九人を前に「母国に帰っても日本のことを思い出し、李秀賢のことも忘れないで」と思いを語った。

 盛大さん、辛潤賛(シンユンチャン)さん(63)夫妻は毎年、授与式に出席している。盛大さんは「年々、自分の子どもが増えている気がする」と奨学生の広がりを喜ぶ。

 揺れる日韓関係には「この草の根的な活動が十年以上続いていること自体、若い人同士が強い絆で結ばれている証し」と話す半面「息子のことが忘れられてしまうのではないか」と風化への不安も口にした。

 事故は二〇〇一年一月二十六日に発生。酒に酔って線路に転落した男性を助けようとした秀賢さんと横浜市のカメラマン関根史郎さん=当時(47)=の計三人が電車にはねられ死亡した。奨学金制度は翌〇二年、両親に寄せられた見舞金を元に創設された。「日韓の懸け橋になりたい」という秀賢さんの思いを受け継ぐ。運営するNPO法人「エルエスエイチアジア奨学会」によると、対象は日本で学ぶ留学生。今年の奨学生を含め、これまでに十六カ国五百八十九人に奨学金を贈った。

 中国人の朴民赫(ボクミンカク)さん(24)=台東区=は「IT技術を学ぶために日本に来た。命を懸けた李秀賢さんのように誰かを助けられるよう勉強に励みたい」と話した。 (末松茂永)

 

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