国語世論調査:「むかつく」と言う人 半数を超える
毎日新聞 2012年09月20日 21時17分(最終更新 09月20日 23時41分)
「腹が立つ」ことを「むかつく」と言う人が半数を超え、「ゆっくり、のんびりする」ことを「まったりする」と表現する人も3割いることが、文化庁が20日発表した「2011年度国語に関する世論調査」で分かった。また、インターネットや電子メールの普及で「漢字を正確に書く力が衰えた」と感じる人も7割近くに達している。同庁担当者は「若者言葉が広まる一方、ネットの普及で『書く』能力が落ちており対応が必要だ」と分析している。
同庁は1995年度から、日常生活での言い回しを7〜8年ごとに調べている。「むかつく」と言う人の割合は、96年度が43.2%、03年度48.1%。11年度は51.7%と半数を超え、「言わない」(11年度48%)人を上回った。また、新たな設問で「ゆっくり、のんびりする」ことを「まったりする」▽「しっかり、たくさん食べる」ことを「がっつり食べる」▽「中途半端でない」ことを「半端ない」−−と言うかどうか聞いたところ「まったり」という人は29%、「がっつり」が21.8%、「半端ない」は20.1%だった。
日本人の日本語能力についても調査。01年度と比較したところ「低下していると思う」と回答した人が「読む力」で9.6ポイント増の78.4%、「話す力」が10.7ポイント増の69.9%になった。パソコンや携帯メールの影響を複数回答で聞いたところ「漢字を正確に書く力が衰えた」と感じる人が25.2ポイント増の66.5%、「手で字を書くことが面倒臭く感じるようになった」が10.1ポイント増の42%となった。
文化庁の氏原基余司主任国語調査官は「『むかつく』は感情を投げつけるような言葉で使う人の気持ちに沿うのかもしれない。また、手書きの機会が失われ『書く』能力が衰えるのは好ましくない。子供への対応を考える必要がある」と指摘する。
調査では「にやける」の意味や「他人事」の読みも聞き、本来の意味が捉えられていない言葉や読み方を誤った漢字もあった。
調査は今年2〜3月、全国の16歳以上の男女3474人(無作為抽出)を対象に面接方式で実施。2069人(59.6%)から回答を得た。【石丸整】