阿部寿一市長の辞職に伴う酒田市長選と酒田市議会議員補欠選挙(欠員1)は、21日の告示(同28日投開票)が目前に迫った。市長選にはこれまでに、前副市長の本間正巳氏(65)と前衆院議員の和嶋未希氏(40)の両新人が、市議補選には新人で元団体職員の江口暢子氏(51)が立候補を表明している。選挙戦本番を控え、市長選と市議補選の立候補予定者、さらに有権者を対象に本紙が独自に行ったアンケート調査の結果を掲載する。(掲載は五十音順、敬称略)
各立候補予定者から本紙のアンケートに回答してもらった内容を掲載する。掲載は五十音順、敬称略。
本間正巳(65) 無所属・新人、自民党推薦 前酒田市副市長 東北学院大学法学部卒、北今町 |
和嶋未希(40) 無所属・新人 前衆議院議員 日本大学芸術学部卒、大宮町3丁目 | ||
【1】市庁舎の改築はどうしますか 現庁舎は建設後約50年を経て老朽化が著しく、耐震診断の結果、補強工事も困難とされている。市民代表や有識者の提言に加え、市議会の判断としても、防災・災害対策の拠点となる市庁舎は、現在地での建設に理解を得ていることから推進する。 【2】市の現状をどのように認識していますか 【3】雇用の場の確保・拡充に向けた政策はどうしますか 【4】最優先して取り組む政策は何ですか 【5】酒田駅前と駅裏をつなぐ車専用地下道の建設はどうしますか 【6】利用期限が2020年まで延びた合併特例債について、前市長は満額約330億円を使い切ると言っていましたが、どう考えますか。使うとしたら何に利用しますか 【7】市民の声を直接市政に反映するための施策は考えていますか |
【1】市庁舎の改築はどうしますか 老朽化による改築の必要性は否定しないが、規模や事業費の見直しは必要。今後の職員数の減少や維持管理費のコストを見据えれば、直接的に生産や雇用を生まない市庁舎に現在規模の2倍、50億円をかける必要性はない。 【2】市の現状をどのように認識していますか 【3】雇用の場の確保・拡充に向けた政策はどうしますか 【4】最優先して取り組む政策は何ですか 【5】酒田駅前と駅裏をつなぐ車専用地下道の建設はどうしますか 【6】利用期限が2020年まで延びた合併特例債について、前市長は満額約330億円を使い切ると言っていましたが、どう考えますか。使うとしたら何に利用しますか 【7】市民の声を直接市政に反映するための施策は考えていますか |
本間氏は推進、和嶋氏は見直し
酒田市長選は、本間氏と和嶋氏のほかに出馬の動きはなく、両氏による一騎打ちが見込まれる。すでに両氏とも決起集会を開くなど、市内全域で激しい前哨戦を繰り広げているが、阿部市政からの転換を唱える和嶋氏に対し、本間氏も阿部市政の継承を否定するなど、対決の構図は分かりづらいものとなっている。
しかしアンケート調査の結果をみれば、進行中の大規模事業に対する考え方や阿部市政の評価などで、両氏の間に大きな隔たりのあることが浮き彫りとなっている。(左の回答結果参照)
それを象徴するのが、すでに基本設計の策定を終えている酒田市庁舎の改築に対する両氏の考え方。市はこれまでに、基本設計などで新市庁舎本体の延べ床面積は現市庁舎の2・2倍、事業費は約50億円に上ることなどを示している。
これを踏まえ「酒田市庁舎の改築をどうするのか」を聞いたところ、本間氏は「現庁舎は老朽化が著しく、補強工事も困難とされている」と指摘。その上で「市民代表や有識者の提言に加え、市議会の判断としても、現在地での建設に理解を得ている」として、推進していく考えを示した。
これに対し和嶋氏は、老朽化による改築の必要性は否定しないとしながらも「今後の職員数の減少や維持管理費を見据えれば、直接的に生産や雇用を生まない市庁舎に現在規模の2倍、50億円をかける必要性はない」と強調。新市庁舎の建設計画について規模や事業費の見直しは必要、との考えを明らかにした。
新市庁舎については、有権者を対象にしたアンケート調査の結果(3面参照)でも、約7割の市民が「計画よりも小さく建て替える」ことを望み、「計画通りに建てるべき」という市民は約1割にとどまった。
阿部市政の評価でも違い
阿部市政への評価を反映していると考えられる「酒田市の現状をどう認識しているか」を尋ねると、ここでも違いがみられた。
本間氏が「地域の活力が停滞傾向にあった」、和嶋氏が「産業都市としての活力が低下している」と、両氏とも酒田市が沈滞ムードに覆われているととらえている点では共通していた。
だが、それに続けて本間氏は酒田港の利用拡大や高速道路の整備促進などを挙げて「地域一体の頑張りが実を結び、地域経済再生の環境が整いつつある」と、これまでの成果を強調。
それに対して和嶋氏は「従来の市政運営の継続では現状克服は困難」と阿部前市長の市政運営を批判し、地域の産業振興と若者定住のための集中投資、旧3町の地域活力の動向把握と対応策が必要、と訴えた。
また、酒田市の最重要課題となっている「雇用の場の確保・拡充に向けた政策」を問うと、本間氏は酒田市に進出する(株)プレステージ・インターナショナルに触れながら「不断のトップセールスに加え、地元産業の振興に対する支援、優秀な人材の育成など、若者や女性の働きやすい環境づくりに取り組む」と答えた。
和嶋氏は産業振興に向け「地元企業の経営資金対策・新規投資・新分野開拓・技術支援等の経営体強化のほか、入札や発注、物品調達、指定管理者制度等の優先条件の設定等を行う」と回答。さらに産業振興による雇用創出に10億円を新規で集中投資するとした。
有権者を対象にしたアンケート調査で「酒田市は雇用の場の確保・拡充に成果を上げていると思うか」を聞いた結果、「上げていない」「あまり上げていない」の回答が計約75%に上った。
4人に3人は、市の雇用対策に不満を持っており、両氏の政策に期待が集まる。
市民の声を聞く施策多様に
酒田市が進める「酒田駅前と駅裏をつなぐ車専用地下道の建設をどうするか」の問いでは、本間氏が「ジャスコ跡地の再開発ビルや駅前広場整備効果の増幅が期待できる。中期での実現を考えたい」と回答した。
一方の和嶋氏は「駅前優良建築物等整備事業と進捗を合わせて駅前広場等の整備を進める必要がある。企画調査設計の結果を踏まえ、費用対効果等を勘案して判断する」と答え、ここでも両氏の姿勢は違った。
また有権者アンケートで「酒田市は市民の声を十分に聞いて市政を進めていると思うか」を問うと、「ほとんど聞いていない」「あまり聞いていない」を合わせ77%に上った。これを踏まえ「市民の声を直接市政に反映するための施策を考えているか」を聞いてみた。
本間氏は「市議会との議論をはじめ、各種団体との懇談会、市長へのふれあいの手紙などによる意見の反映に取り組む」と回答。
和嶋氏は「検討会・審議会方式以外に、事業の企画・計画段階から市民参加が可能なワークショップ方式を導入し、専門分野における市民公募枠を拡大する」との考えを示した。
このほか「最優先して取り組む政策は何か」の問いでは、本間氏が「山形新幹線の庄内延伸や日本海東北自動車道(日東道)、高規格道路の新庄酒田道路の整備促進に全力で取り組む」との考えを強調。和嶋氏は「現役世代の雇用確保が不可欠として、産業振興・地元企業の育成・経営支援による雇用拡大」を挙げた。
阿部前市長が満額の約330億円を使い切るとの方針を示していた合併特例債については、本間氏が「自己財源負担が事業費の約3割と大変有利な地方債。学校施設の耐震化、市庁舎建設、斎場の改築、消防署の改築などに活用し、旧3町地域の整備も図る」と回答。
和嶋氏は「特例債事業の増加に伴い市債残高も増加する。学校改築や消防施設整備など必要性の高い事業は実施するが、満額使い切りは前提としない」とした。