特集ワイド:原発の呪縛・日本よ! 宗教学者・島薗進さん

毎日新聞 2012年10月19日 東京夕刊

宗教学者の島薗進さん=梅村直承撮影
宗教学者の島薗進さん=梅村直承撮影

 震災前からスピリチュアリティー(霊性)を切り口に、日本人の近代化や世界観、人間観を問い直してきた。07年の著書「スピリチュアリティの興隆−−新霊性文化とその周辺」では、70年代から00年代にかけて「精神世界」に傾倒していく社会を丹念に追った。合理主義的な官僚らエリートが支配する近代が終わり、20世紀後半、環境破壊や都市の貧困が目立つようになった。その時、カルト的な宗教や精神世界へ人びとが向かったのは「近代合理主義こそが善であるという信念が、広い層の人びとによって疑われるようになったから」だと。

 原発事故後の社会の変化がそこにぴたっと重なる。「いろいろな枠組みが崩れてきているのは確かです。自民党の支持基盤だったJAグループや宗教界が脱原発を打ち出し、かつての左右、体制・反体制と違うところで行動する組織、個人が増えている」

 今年7月、大飯原発の再稼働反対の新宿デモに右翼の街宣車が横づけし「右翼だけど脱原発」と書いたプラカードを見せ走り去った。その話を紹介すると、島薗さんは笑いながら「原発問題は左右で区別できなくなった。昔、保守的で教育勅語(ちょくご)を肯定する宗教団体がもっと平和的な憲法を編めと主張するのに驚いたことがありましたが、伝統を尊ぶがゆえに、科学技術で金もうけする社会に疑問を呈している保守的心情の人もいる。生活基盤が壊されることへの反発、『いのち対カネ』、どちらを取るかみたいな発想が行き渡っていますね」。

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