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【社会】

福島の子 外で遊んで、学んで 移動教室に復興予算を

子どもの保養に国の財政措置を訴える福島県伊達市富野小の宍戸仙助校長(左から2人目)ら=19日、東京・永田町の参院議員会館で

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 原発事故後、被ばくの不安を抱えながら暮らす福島の子どもたちを受け入れる保養プロジェクトに復興予算を使ってほしいと、支援団体が政府、国会へ働き掛けている。プロジェクトは全国に広がるが、財源は自治体や民間頼み。被災地と無関係な事業につぎ込まれる国の復興予算の使途が問われている。

 十九日の参院議員会館。福島県伊達市富野小の宍戸仙助校長は訴えた。「土や草花に触れることは発達段階に大切。学校単位で参加できる移動教室を、復興予算から継続的に出してもらいたい」

 伊達市は本年度、小学五、六年生と教員を新潟県に送り、三泊四日の「移動教室」を九校で実施。普段、屋外活動を制限されている児童たちが、放射線を気にせずに外で遊び回った。

 市が支出した事業費四百三十万円に、国や県の補助はない。さらに不足分はボランティアや受け入れ先の自治体が負担。文部科学省の復興予算からは運営を調整したNPO法人に約三百五十万円が充てられただけだ。市内全二十一校で行うには「国の財政支援がなければ難しい」と話す。

 六月に成立した「原発事故子ども・被災者支援法」には、被ばく量を減らすための保養も盛り込まれた。しかし、保養受け入れは民間頼みが実情で、原発事故から時間がたつとともに参加者に金銭負担を求めるケースも増え、参加できる子とできない子の差が広がってきているという。

 集会では、小学二年と四歳の男児二人がいる福島市の母親が「どの子も平等に保養を受けられる環境をつくるべきだ」と求めた。主催した「子ども被災者支援法市民会議」の吉野裕之さんは「課題は財政面。支援法の枠組みを使い、復興予算を生かせば全県でやれるはずだ」と話す。

 

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