【ニューヨーク＝小川義也】ソフトバンクが買収を決めた米携帯電話３位スプリント・ネクステルは18日、出資する米高速無線通信会社クリアワイヤの経営権を取得することを明らかにした。他の株主から株式を取得、出資比率（議決権ベース）を48.1％から50.4％に引き上げる。ソフトバンクはクリアワイヤとスプリントを高速携帯電話サービスで連携させ米ＡＴ＆Ｔなど大手に対抗する。

　米証券取引委員会（ＳＥＣ）にスプリントが同日提出した資料によると、クリアワイヤの他の株主から同社の株式を約１億ドル（約79億円）で買い取る。

　ソフトバンクは15日、201億ドル（約１兆5700億円）を投じスプリントの70％の株式を取得すると発表した。ソフトバンクはスプリント買収の条件として、同社がクリアワイヤの経営権を握ることを求めていた。

　ソフトバンクの狙いはクリアワイヤが持つ電波。同社は高速無線通信の「ＷｉＭＡＸ（ワイマックス）」を手がけているが、来年から高速携帯電話の「ＴＤ―ＬＴＥ」に順次移行する計画。ソフトバンクはスプリントとクリアワイヤの電波を相互活用してサービス品質を高める。

　ソフトバンクは米携帯電話５位のメトロＰＣＳコミュニケーションズ買収の準備も進めている。メトロは10月３日に米４位ＴモバイルＵＳＡとの合併を決めたが、ソフトバンクはスプリントを通じ対抗買収する考え。実現すればソフトバンクは米携帯電話大手２社と高速無線通信会社の計３社を傘下に持つことになる。