政治は政治家だけがするのではない!「復興予算の流用問題」をスクープしたフリーランス記者・福場ひとみ氏はどうやって「泥棒シロアリ役人の悪行」を見抜いたか

2012年10月19日(金) 長谷川 幸洋
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 つまり国会レベルでも、いまになって初めて取り上げられたわけではなかったのだ。残念ながら、桜内の質問は当時のメディアには注目されなかった。

---それで記事化したのが8月10日号だったんですね。

 そういうことです。

大新聞の記者にはできない仕事がなぜできたか

 その後、NHKがNスペで報じたのが先に見たとおり、ほぼ2ヵ月後である。NHKが報じると、まもなくテレビ朝日の「報道ステーション」や東京新聞、毎日新聞など各紙が報じ始め、一挙にラッシュ状態になった。

 以上の展開をどう考えるべきか。私も当初、NHKが最初に報じたと思い込んでいたくらいだから偉そうに言えないが、やはりポストと福場の功績が大きいと思う。たしかに桜内は国会で質問していた。だが、それは大きく報じられず問題視もされなかった。いまとなっては、国会をウォッチすべき新聞やテレビの怠慢とも言える。

 NHKという影響力のある大メディアがスペシャル番組で取り上げてから、各メディアが一斉に報じ始めた。そうなると「これでもか」という具合に、連日の大報道になる。それはそれでメディアの重要な役割と評価すべきだと思う。だが、だからといって福場の功績が消えるわけではけっしてない。

 福場は大学院を出てから、シンクタンクや雑誌で仕事をした後、現在はフリーランス記者として『週刊ポスト』を中心に仕事をしている。インターネットと多少の「カン」、それに人脈があれば、こういう仕事ができるという見本だ。大新聞の記者も記者クラブで安住している場合ではない。

 それから、もう1つ。国会議員もせっかくいい仕事をしたなら、どうやって世間を注目させ、議論を盛り上げていくかを、しっかり考えてほしい。政治は政治家だけがするものではない、という見本でもある。

(文中敬称略)

 

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