社会:「電磁波」で日弁連が意見書/総務相ら4大臣宛
2012年10月16日
日本弁護士連合会は「電磁波問題に関する意見書」をまとめ、総務、経済産業、環境、厚生労働の4大臣宛てに提出した。電磁波による健康被害として懸念される疾患に小児白血病、がんなども含まれ、厳密な科学的知見の確立を待っては取り返しのつかない大きな被害を発生させてしまう危険性もあるとして、「電磁波安全委員会(仮称)」を新たに設置し、暫定的規制や実態調査を実施するよう求めた。
意見書によると、わが国の電波防護指針は電磁波の熱効果しか考慮しておらず、慢性影響や非熱効果も考慮すべきだとして、予防原則に基づいて幼稚園、保育園、小学校、病院などがある地域をセンシティブエリアに指定し、他の地域より厳しい基準を設けることを検討すべきだとした。
また、携帯電話中継基地局などの電磁波放出施設を新設する場合、住民に説明し、新設の是非を住民と協議する制度の実現を図り、設置場所を情報公開すべきだ、とした。
電磁波過敏症対策として、人権保障の観点から公共の施設や公共交通機関にはオフエリアを作るなどの対策を検討するよう求めた。
スイス、スウェーデンを視察し意見書作りに携わった久留米第一法律事務所の高峰真弁護士(日弁連公害環境委員会化学物質・食品安全部会長)は「たばこや排ガス同様、公害を防ぎながら開発していくべきだ。携帯電話が利用できる範囲で、できるだけ厳しい規制を設けていくべきだ」と話している。【勝野昭龍】