電磁波訴訟:携帯基地局との因果関係認めず 地裁延岡支部

毎日新聞 2012年10月17日 19時18分(最終更新 10月18日 00時33分)

基地局の稼働停止が認められず、会見で厳しい表情を見せる原告団長の岡田澄太さん(右から2人目)=宮崎県延岡市で2012年10月17日、徳野仁子撮影
基地局の稼働停止が認められず、会見で厳しい表情を見せる原告団長の岡田澄太さん(右から2人目)=宮崎県延岡市で2012年10月17日、徳野仁子撮影

 携帯電話基地局が発する電磁波で健康被害が出ているとして、宮崎県延岡市の住民らが携帯電話大手のKDDI(東京)を相手取り、基地局の稼働差し止めを求めた訴訟の判決が17日、宮崎地裁延岡支部であった。太田敬司裁判長は住民が訴える症状の発生は認めたが、「直ちにそれが電磁波による健康被害と認定することはできない」と述べ、請求を棄却した。住民が実際に健康被害が出ているとして起こした初の裁判でも、因果関係は認められなかった。

 太田裁判長は判決で、基地局設置後、住民の訴える耳鳴りや頭痛、鼻血などの症状が実際に出ていることは認めたが、その原因が基地局の電磁波かどうかは現時点で科学的な裏付けがないとした。原告側が提出した「電磁波による愁訴(症状)出現の可能性が高い」とする医師の診断所見も「問診のみが根拠」と医学的価値を否定。原告宅の電磁波計測の数値も国の基準値内で「異常な強度とはいえない」とし、「因果関係について医学的・科学的観点からの立証は不十分」と述べた。

 更に、判決は多くの住民に症状が出ているという事実から因果関係を推認できるかという点も検討したが、「電磁波への不安感が影響している可能性がある」として否定した。

 携帯電話基地局はKDDIが06年、延岡市大貫(おおぬき)町の住宅街にある3階建てアパート屋上に建設し、同年10月末に稼働。その後、周辺住民が次々と耳鳴りや頭痛などの症状を訴え、主に基地局の半径200メートル内の住民ら30人が09年12月に提訴していた。【百武信幸、遠藤孝康】

 KDDIの話 国が定める法律および電波防護基準値を順守して弊社が本基地局を運用していることに対し、適切かつ妥当な司法判断が下されたものと受け止めている。

 徳田靖之・原告側弁護団長の話 全国に波及する結果の重大性におびえた臆病な判決。ただ、裁判所が初めて基地局周辺の健康被害(症状)の発生を認め、携帯電話会社をかなり追い込んだ。住民と相談し控訴したい。

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