概要
佐賀県武雄市では、図書館が遠くて行けない方や、子育てのため行けない方、障がいをお持ちの方など、全ての市民に等しく図書館の図書に親しむ機会を提供するため、iPadを活用した電子図書サービス「武雄市MY図書館」を、平成23年4月13日(水)に開始。図書館に行かなくても自分のiPadで図書を借りることができる全国初のサービスであり、実証実験として行う。
開始までの流れ
平成22年夏に 市長がツイッターで武雄市MY図書館構想を発表 、その後、9月に議会 調査研究委託経費100万円を計上し、10月、慶應義塾大学に調査研究委託、中間報告を受け、システム化予算526.4万円を計上。12月システム構築企画提案競技、委託業者決定、契約に至る。平成23年2月議会 光をそそぐ交付金を活用し、システム関係経費を計上(1781万1千円、23年12月のシステム化予算にも充当)、3月、議会で23年度予算としてシステム保守経費等88.8万円を計上。3月 調査研究報告書が提出。4月13日 武雄市MY図書館オープン。7月、「マイコミ・スマートフォンアワード2011」で総合グランプリ受賞
システム 特長
・iPad用アプリを開発、自分のiPadで図書が借りられる(アプリ開発:㈱コアラ)
・iPadを持っていない方のために、図書館でiPadを貸出し(10台)
・複製防止、検索可能
利用方法
App Storeから無料のiPadアプリ「武雄市MY図書館」を入手し、登録申請することで利用する。あるいは、武雄市図書館・歴史資料館で、図書利用カードを提示してiPadを借りる。対象は現行と同じ範囲で、佐賀県内在住者、武雄市への通勤・通学者、武雄市図書館・歴史資料館の図書利用カードを持つ人。ただし、1,000名を上限としている。
○貸出冊数等
5冊まで15日間貸出し可能
○刊行図書
現在、武雄市が著作権を有する図書、個別に了解が得られた図書、青空文庫、国立国会図書館の近代デジタルライブラリー所蔵の図書(著作権処理済)の配信を行っている。
・武雄市が著作権を持つ図書
『たけお市報』、『武雄市史上巻』等
・著作権切れの図書
青空文庫等
・国会図書館近代デジタルライブラリー
徳田秋声著『あらくれ』、
モーリス・ルブラン著アルセーヌ・ルパンシリーズ『奇厳城』
・著作者の承諾が得られた図書
村上龍「歌うクジラ 電子書籍版」(図書館貸出用iPad限定)
「ヌカカの結婚」(図書館貸出用iPad限定)
「元素図鑑」(図書館貸出用iPad限定)
日経電子版(図書館貸出用iPad限定)
導入に要した経費
・調査研究委託費 100万円
・システム開発等 545万3千円(スキャン費、iPad購入費含む)
うちシステム開発分:378万円
今後のシステム改良の予定
・使いやすさの向上
・対応デバイスの拡大(PC、アンドロイド、iPhone)
・twitter・facebookとの連携
・市民書評機能の追加
・障がい者向けデジタルデータ化、テキストデータ化
推進体制
武雄市MY図書館事業を進めるにあたり、著作権の処理の問題や配信における技術的課題等への対応、障がい者や高齢者、子どもなどに配慮した仕組みの構築など、各方面からの助言、提言が必要である。また、 武雄市図書館デジタル化推進協議会を行い、そこでも継続的な議論を行っていく。
(山口 翔)
コメント・取り組み 松原 聡