ソウル市東大門区に住む中学3年生のキム君(15)は、中学生になってから「1年に本を30冊読む」という計画を立てた。「本をたくさん読むと修能(大学修学能力検定試験、日本のセンター試験に相当)の言語・社会探求分野の勉強を特別にしなくてもよいという話を聞いたからだ。しかしキム君は、1カ月に1冊もまともに読めずにいる。
キム君の1日のスケジュールには、読書の時間はない。午前7時に起きて登校し、午後4時過ぎに学校が終わると、すぐに塾に行く。帰宅すると12時を過ぎる。勉強でストレスがたまったときは、帰宅後30分ほどオンラインゲームをしてから寝る。学校で休み時間に本を読もうとしたが、そのたびに友達から「あいつ、一人で本を読んでつまらないやつだな」と言われた。キム君はいじめられるかもしれないと思い、学校での読書をあきらめた。週末はテレビを見たり、ゲームをしたりする。キム君は「学習漫画以外の本は最近全然読んでおらず、字ばかりの本を読むのは難しい。最近はときどき、よく似た単語のつづりの違いも分からなくなるときがある」と話した。
キム君のように本を読まない児童・生徒が年々増加している。財団法人韓国出版研究所が昨年、全国の小中高校生3001人を対象に読書の実態を調査した結果「1学期に本を1冊以上読んだ」という児童・生徒は83.8%だった。10人中2人は全く本を読んでいないということになる。これは調査を開始した1993年以降最低の水準だ。
しかし、この数値さえも実際より誇張されている可能性が大きい、と専門家たちは話す。児童・生徒の読書量は統計に表れるよりも大幅に少ないとみられる。教科書や入試関連書籍以外に教養書などを1年に1冊も読まない児童・生徒がざらだという。
ある出版社の関係者は「児童・生徒対象のアンケート調査では、本を読んでいないのに読んだと回答する児童・生徒が非常に多い。本を読まない児童・生徒の数は、実際にはかなり深刻なレベルになっている」と話した。