【アンタクヤ(トルコ)】シリアの反体制派と地方当局者によると、一部の反政府組織が最新型携帯式対空兵器を手に入れている。事実であれば、シリア内戦の行方が変化するほか、こうした兵器が反欧米のイスラム過激派の手に渡る恐れがあることに米国は懸念を強めている。
今週前半にインターネット上で掲載されたビデオ映像では、軍事専門家や反体制派が赤外線誘導の肩撃ち式対空ミサイルだと指摘する兵器をアレッポの反政府組織が使用している場面が映し出されているようだ。今回のシリア内戦でこうした状況が映像に収められたのは初めてのケース。
携帯式地対空ミサイルとしても知られるこうした種類の兵器は、ここ2カ月余りの間にトルコを通ってシリア、およびそれよりは少ないがレバノンにも密輸されているもようだ。シリアの反体制派および、地方政府が設置した「作戦指令室」を通じて反体制派に武器を供給している勢力が明らかにした。
地方政府と連携して武器の調達に従事するシリア人の1人は、「シリア北部は最新式の対戦車や対空砲火で溢れている。状況は非常に迅速に変化している」と話した。さらにこの人物は、地方政府は携帯式地対空ミサイルの譲渡について制裁措置を取っていないと述べた。こうした地方政府はシリア反体制派の武装を支援するとともに資金を提供しているという。
反政府組織の兵士らは17日、同国北部イドリブ県の町で政府軍のヘリコプターを撃墜したとしている。今週、シリア各地で撃墜したとするヘリコプターと戦闘機の少なくとも4機のうちの1機だという。ただ、どのようにして撃墜されたかは判明していない。報告されたこれらのケースのうち3件についてはビデオに収められたが、独自には確認できていない。しかし、こうしたケースは、今夏から同国でほぼ毎週報告されている撃墜のペースが加速している兆候とみられる。
米当局者はシリアにこうした兵器を持ち込むことに反対している。反欧米の民兵の手に渡り、米国とその同盟国に対して使用されたり、あるいはテロ集団に売却されれば、長期的な懸念材料になるためだ。ある米当局者は「われわれが携帯式地対空ミサイルの拡散を懸念するのは当然だ」と述べた。