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尼崎・角田被告関係者が他県3遺体の身元証言 

新たな行方不明者が浮上

 兵庫県尼崎市の民家で3人の遺体が見つかり、多数の行方不明者も出ている事件で、岡山県や香川県など、民家以外の場所に遺棄されたという3遺体について、ドラム缶遺体事件の主犯格とされる角田(すみだ)美代子被告(64)(傷害致死罪などで起訴)周辺の関係者が、県警に、民家の住人女性(87)以外の2人として、角田被告の妹の夫の母(84)、同じく妹の夫の弟(54)の名を挙げていることがわかった。

 このうち、角田被告の妹の夫の母については行方不明者届が出ておらず、県警はこれまで、行方不明者に数えていなかった。

 民家の3遺体は、住人女性の孫で高松市に住んでいた姉妹の長女(29)とその伯父(68)、角田被告の兄の交際相手の女性(71)とみられ、県警が確認を急いでいる。

「すり寄るしかなかった」角田被告の遠縁男性

 主犯格とされる角田(すみだ)美代子被告(64)(傷害致死罪などで起訴)の遠縁にあたる兵庫県内の50歳代の男性が、読売新聞の取材に応じた。2年間にわたり、角田被告から暴力的支配を受けたという男性。服従を強いられ、親類同士での暴行を余儀なくされた屈辱の日々を振り返り、「やられないため、みんながすり寄るしかなかった」と表情をゆがめた。

 男性によると、きっかけは約15年前、初めて顔を合わせた尼崎市内の親類の葬儀だった。葬儀の段取りのトラブルなどを巡り、角田被告が激高。「話し合いが必要や」と、父や男性ら約10人をこの親類宅に集めた。

 背後に暴力団がいると誇示しながら帰宅を許さず、「何で違う宗派の僧侶を呼んだ」「お前が悪い」などと激しい口調で罵倒する角田被告。味方になる親類にはほめそやし、逆に刃向かうと徹底的に攻撃した。男性は帰宅できたが、父や他の親類は軟禁状態に置かれ、結局、男性も毎日通わざるを得なかった。

 この間、角田被告が「お手伝い」と呼ぶ女性がいた。これが、同市内の民家で見つかった3遺体の1人の可能性がある、角田被告の兄の交際相手の女性(71)。角田被告は食事など家事全てをやらせ、手間取ると「グズ」としかりつけたが、女性は抵抗もせず、無言で指示に従っていたという。

 4か月後。問題解決のためとして男性は数百万円を支払わされ、通帳も取り上げられて、収入を管理されるようになった。

 さらに軟禁生活は続く。葬儀から約1年後、男性の自宅がある集合住宅の別の階に角田被告が部屋を借りた。父や親類を移り住ませた。「言いつけに従わない」などと因縁をつけては全員で車座になり、一人を責め立てた。

 対象者は日替わり。「私がこんなに頭にきてんのに、あんたらは何もせんのか」。角田被告の言葉を合図に、殴る蹴るの集団暴行が始まった。父が角田被告に口答えすると、男性は機嫌が悪くなることを恐れ、父に暴力を振るった。かつ、男性も標的にされた。もっとも角田被告自身は決して暴行に加わらなかった。大半の人が何度も逃げ出したが、その都度、残された者が脅され、みんなで連れ戻した。

 「殺せるんやったら、殺してみろ。私一人でもあんたらには負けへんで」とどう喝する角田被告に、男性は恐怖で身がすくんだ。「悪口を言っていた」と告げ口する者は優遇された。みんなが「姉さん」と呼んでご機嫌を取った。

 男性はその後、家族で家出し、2000年1月、県警に出頭。角田被告の指示で行った万引きを申告し、窃盗容疑で逮捕された。「事件になって、やっと逃れられた。あのままなら誰かを殺すか、自分がやられていた」と男性。ドラム缶事件発覚後、男性は県警に過去の被害を打ち明け、捜査に協力している。

2012年10月18日  読売新聞)
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