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「海馬」を鍛えればストレスに勝てる!

@DIME 10月16日(火)9時40分配信

●脳細胞も筋肉と同じ。鍛えれば増える!

 人間の脳細胞は生まれた時がピークで、生涯を通じて減っていく。そう習った人は少なくないだろう。だが、1990年代以降、脳に高い可塑性がある、つまり良い環境であれば脳が発達することが解明されてきた。

「人間の場合、認知機能を司る海馬は、生涯にわたり再生することができます。筋肉が運動によって太くなるように、海馬の脳神経も運動により発達し、脳の神経そのものが増えるのです」しかも、海馬を刺激するためには、軽い運動でも十分であることが、筑波大学大学院人間総合科学研究科・征矢英昭教授の研究によって明らかになった。「心拍数でいうと1分間90〜100ぐらいの運動でも効果があります。ランニングよりスローペース、速く歩く程度の速さのジョギングを1日10分で構いません。2週間続ければ脳神経が増え、6週間で認知機能自体が向上することがわかりました」

 脳神経細胞は1000億個あると言われているが、1つの神経は1000個の神経とつながっている。その媒介となるのが脳内ホルモン(神経伝達物質)だ。運動によって、脳が骨や筋肉を発達するためのホルモンを取り込み、機能がアップするという。

●海馬を鍛えるとストレスにも勝てる

では、海馬が刺激されると、どういう効果が期待できるのだろう。

「海馬は学習や記憶などの役割を持っています。昔のギリシャでは哲学者が歩きながら議論していましたが、彼らは軽い運動が発想を豊かにすることを知っていたのでしょう。加えて海馬は、欲望やストレスの脳である視床下部が暴走するのを制御しています。つまり、海馬を鍛えることで、ストレスに強い脳を作ることができるのです」

 さらに、ランニングやエアロビクスなど中強度の運動は、前頭前野にある、情報を統合する役割の46野を活性化させる。46野は分析や判断、集中力に関係している部位で、この活動が低下すると認知症や鬱病を患う可能性がある。46野を刺激することで、仕事の判断力が向上するとともに、認知症の予防も期待できるというのだ。ちなみに、46野を刺激する中強度の運動は、心拍数110〜130が目安だ。これ以上激しい運動では、視床下部を刺激してしまい、ストレスや雑念を感じるようになってしまう。脳のためには、苦しくない程度の運動で十分なのだ。ただ、軽い運動でいいと言われても、運動する習慣がない人は、なかな腰を上げることができないかもしれない。ジョギングの目安は、分速110〜120m。歩くスピードを限界まで速くして、同じ速度で走る、それが本来のジョギングだ。「ジョギングでは大きく腕を振る必要はない。肩の力を抜くことがポイント」(征矢教授)。

「走ろうと思った時に音楽を聴くのが効果的です。音楽は感情を生み出す回路を活性化しますから。『健康のため』『(タイムなど)パフォーマンスを上げたい』『気持ちいいから』。この3つが担保されれば運動を習慣化することができるでしょう」


■医学博士・征矢英昭氏 
筑波大学大学院人間総合科学研究科 体育科学専攻(専攻長)教授。文部科学省の「たくましい心を育むスポーツ科学イノベーション」プロジェクトリーダーをも務める。

最終更新:10月16日(火)9時40分

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