IS インフィニット・ストラトス 荒鷲の軌跡 (ズタボロのかかし)
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まだ始めなのに長ったらしい。

どなたか文の構成能力を自分に下さい。

遅くなりましたが、本文中の

「」は普通の会話
『』は集団の会話
【】は固有名詞
〈〉は通信
()は読みがなや心の心

になります。

では、第1話です!



第1話 学校に男子2人だけはかなりキツい

IS学園とは……

ISの操縦者育成を目的とした教育期間であり、その運営及び資金調達には原則として日本国が行う義務を負う。但し、当機関で得られた技術などは協定参加国の共有財産における公開する義務があり、また黙秘、陰匿を行う権利は日本国にはない。また当機関内における如何なる問題にも日本国は公正に介入し、協定参加国全体が理解出来る解決をする事を義務づける。また入学に際しては協定参加国の国籍を持つ者には無条件に門戸を開き、また日本国での生活を保障すること。

――IS運用協定『IS操縦者育成機関について』の項より抜粋。





side神薙

「全員揃ってますねー。それじゃあSHR(ショートホームルーム)始めますよー」

黒板の前でにっこりと微笑む女性副担任の山田真耶先生(さっき自己紹介していた)。
身長はやや低めで、生徒のそれと殆ど変わらない。しかも服はサイズが合っていないのかだぼっとしていて、益々本人が小さく見える。

何故俺が今先生の話をしているかというと…

……クラスメートがほぼ全員女子だからだ。

決して先生に惚れたとかでは無いので気を付けてほしい。

一夏は窓の隣の女子に顔を向けるが無視されてるし、俺意外の唯一の男子生徒の一夏自身はかなり前にいる。

…あぁ…周りからの視線が辛い…。想像以上に辛い。いくら前まで居た所が近い状況だとしても、こっちとは大違いだ。
向こうがシャキッとしてカクカクしてるなら、こっちはフワフワでやんわりだな。

「織斑くん、織斑くん」

一夏の奴、自分の思考の中に埋まってるな。…無理もないか。俺みたいな経験が無いんだもんな、あいつは。

「織斑一夏君!」

「はっはい!」

…予想通りをありがとう、一夏。

「ひゃっ!」

そして良いリアクションをありがとうごさいます、山田先生。

「あ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってる?怒ってるかな?ごめんね、ごめんね!でもね、あのね、自己紹介って『あ』から始まって、今『お』の織斑君なんだよね。だからね、ご、ゴメンね?自己紹介してくれてるかな?だ、ダメかな?」

先生が謝罪の言葉のオンパレードなマシンガントークを披露してる。

…オイ一夏(ばか)、早く自己紹介しろ。後がつっかえてる。そして先生が困ってる。

「いや、あの、そんなに謝らなくても…っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いて下さい」

「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ。絶対ですよ!」

山田先生が“本当”の3段活用して、一夏(ばか)の手を握る。

一夏がこっちを向く。かなり緊張してるな。

まあ、俺にゃ関係無いがな。さて、本の続き続き…

「えー…えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」


…………



「以上です」


…よし、一発決定。

スパァン!!


「いっ……!?」

一夏が此方を振り向く。


「げぇっ、関羽とジャンヌダルク!?」

二発目決定。


スパァン!!

「誰が三國志の英雄で…「誰がフランスの聖女だ、馬鹿者』

「…千冬先生、お久しぶりです」

「神薙か、久しいな」

俺は千冬さんを見上げて挨拶する。だって俺、背が低いから。確か154㎝だった気が…


「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

「い、いえっ。副担任ですから、これくらいしないと…」

山田先生は千冬さんのファンだったんだ。ビックリ……するかボケ。

「……千冬先生。…俺、席に…「戻らなくても良い。神薙はちゃんと自己紹介しろよ」……はい」


千冬先生…酷い。俺、後ろの方が良かったのに。…まぁ、状況は変わらんがな。

「……師鳳…神薙。好きなモノは…本…昼寝…静な所。………よろしく」

面倒臭いから簡単にで。さっさと自分の席に…

着けなかった。理由は1つ。

このクラスを女子のほぼ全員が暴走したからだ。

「きゃ~!かわい~!」//////

「こっち向いて~!」//////

「一緒の部屋になって~!」//////

「織斑君とは違って、“格好いい”って言うより“可愛い”って感じだよね!」//////

「守ってあげたくなるね~!」//////

「織斑君との絡み合い……ハァハァ…」/////

物凄く暴走してる。めっちゃ黄色い声を出してる。1人頭を改革させねばならない奴がいた。

「……五月蠅いの…嫌い…」

“助けて下さい、千冬先生。あなたの力が必要です”

目でそう伝えると…

バァン!

教卓を叩く音。暴走していた生徒が静かになる。

「静かにしろ馬鹿共。私は織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言う事はよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15才を16才までに鍛え抜く事だ。逆らってもいいが、私の言う事は聞け。いいな」

千冬さんの自己紹介が終わる。すると…
黄色い声援の雨が。

「キャーーーー!千冬様、本物の千冬様よ!」

当たり前だ。本人居るのに千冬さんに失礼だろうが。

「ずっとファンでした!」

そうだと思ったよ。ってか大体の奴がそうだろうが。

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

別に何処からでもいいだろ。海外から来てる奴だって居るんだぞ。因みに俺もその一人だ。

「あの千冬様の為なら死ねます!」

死ぬな馬鹿。まだ志途中だろうが。

「…毎年、良くもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」

「きゃあああああっ!お姉様!もっと叱って!罵って!」
「でも時には優しくして!」
「そしてつけあがらないように躾をして~!」

…確かに、変態の集まりかもしれない。捌き切れない。

「………千冬さん」

「何だ?」

「……静に…させたい。………五月蠅くて……手元が、狂いそう」

「まあ落ち着け。私も似たような事を考えていた所だ」

「……そろそろ、戻ります」

…五月蠅くて本も読めん。


「ああ、解った。そして織斑、お前は挨拶も満足に出来んのか」

「いや、千冬姉、俺は…」

スパァン!!

「織斑先生と呼べ」

「…はい、織斑先生」

今日3度目の綺麗な音は、一夏の頭をえぐった。…俺もアレぐらい綺麗な音出せたらなぁ……先に言っておくが、俺は千冬さんのファンでは無い。
そして一夏と千冬さんの関係が教室に流失した。

「え……織斑くんって、あの千冬様の弟…?」

「それじゃあ、世界で二番目の“男でISを使える”っていうのも、それが関係して…」

「ああっ、いいなぁっ。変わってほしいなぁっ」

前2つはまぁいいとして、一番最後は無理だろう。あの人なりに、一夏の事……この先は黙っておこう。千冬さんの視線が怖い。

「何、何処からか失礼な事を言われた気がしてな」

……俺の心は千冬さんに筒抜けらしい。プライバシーも在った物ではないな。

「そう言えば、師鳳くんも千冬様と親しそうだったね」

…俺もやっちまったか?

「そう言えばそうだね。織斑君叩く時、息ピッタリだったもんね」

「で、どうなの師鳳くん?」

いろんな人が詰め寄ってきた。

“…千冬先生、どうしましょう?”

“仕方ない。今回は頭のキレるやつが居たのが運の尽きだったな”

…はぁ、仕方ない

深い溜め息を付いた後、小さく呟く。

「……少しの間…同じ所…いた」

「いいなぁ~…」

「ねぇ、その時の千冬様ってどんな人だったの?」

「お姉様との関係って?」

「……全部、ノーコメント」

『えぇ~~!』

“えぇ~~!”って言われても…

スパァン!!
スパァン!!
スパァン!!

「落ち着け馬鹿共」

『はい!千冬様!』

…あなたの威厳を俺にも下さい。

「さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えて貰う。その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいか、いいなら返事をしろ。良くなくても返事をしろ。私の言葉には返事をしろ」

千冬さんの独壇場だな。かなりのカリスマ性を感じる。この人にファンが多い理由の1つに、これが挙げられる。

「席に着け、馬鹿者」

一夏、まだ座って無かったのかよ…


sideout


…………


side一夏



「あー……」

参った。これはマズイ。ダメだ。ギブだ。

一時間目の授業が終わって今は休み時間。けれど、この教室内の異様な雰囲気はいかんともしがたい。

“世界で二番目”であって、結局それだけ。ニュースに取り上げられる程有り得ない事だ。だからその物珍しさに学園内の生徒が集まっている。俺以外に男でISを操縦出来る人間は、今この学園内に神薙だけ。かなり心細いが、1人よりはうんといい。

だから俺は、本を読んでいる神薙の席に行った。

「神薙、久し振りだな」

「………」(コクリ)

「神薙もIS使えたんだな」

「………」(コクリ)

相変わらず、無口で“余計な労力は使わない”って感じが出てるな。

「お前はこの学園、どう思う?」

「……いい設備。…申し分ない」

「いや、そうじゃなくてさ、この…なんだ、女子だけって事はどう思うって聴きたいんだ」

「……今更。…ISを使えるのは、女性だけ。それ以外の何者でもない。故に……一般常識としてしか考えない。だから…何ともない」

本から目を反らさずに淡々と応える。時々、こいつのこういう所をすげぇ羨ましく思う。

「…それに…俺、今お邪魔…」

珍しく読んでいた本から目線を逸らし、俺の後ろを見る。

「誰か居るのか?」

「……篠ノ之さん」

そう言われて振り向くと…

「…ちょっといいか」

6年ぶりの再会になる幼なじみ「篠ノ之箒」が昔と変わらずポニーテールにして立っていた。

「廊下でいいか?」

「おう」

すたすたと廊下に行く箒。そこに集まっていた女子がざあっと道を空ける。モーゼの海渡りかよ。
それでまあ廊下に出たんだか、俺と箒から4m程度空けて包囲網が完成している。しかも全員聞き耳を立てているのをひしひしと感じる。

しかし、半分程は教室の前に残っていた。しかも殆ど上級生。
…ありゃ師鳳目当てだな。俺が言うのも何だが、誰から見ても“可愛い”が第一印象だろう。ちっこいし、髪長いし、女顔だし…

それはそれで置いといて、

「そう言えば」

「何だ」

「去年、剣道の全国大会で優勝したってな。おめでとう」

「………」/////

俺の言葉を聞くなり、口をへの字にして顔を赤らめた。……え?何で怒ってんの?褒めたのに。

「何でそんな事知ってるんだ」///

「“何で”って、新聞見たし…」

「な、何で新聞なんか見てるんだっ」////

何を言っているんだ、箒は。意味が分からない。新聞くらい好きに読ませろよ。あと、久しぶりに聞いたけど、口調がなんか男っぽいと言うか、サムライって感じだな。相変わらず。

「あー、あと」

「な、何だ!?」/////

「………」

「あ、いや…」

流石に自分剣幕に気付いたのか、ばつが悪そうにする箒。しかし妙に興奮しているな。不思議なやつだ。

「久しぶり。6年ぶりだけど、箒ってわかったぞ」

「え…」

「ほら、髪型一緒だし」

そう言って箒の頭を指すと、箒は急に長いポニーテールをいじりだした。

「よ、よくも覚えているものだな…」/////

「いや、忘れないだろ。幼なじみのことくらい」

「………」
SHRに続いてまた睨まれた。えー、何で?

二時間目の始まるチャイムで、それまで俺と箒を遠巻きに見ていた包囲網も自然と瓦解する。……うん。流石はIS操縦者、行動が機敏だ。

「俺達も戻ろうぜ」

「わ、わかっている」

ぷいっと俺から目を逸らし、また来た時と同じ様にすたすたと歩き出す箒。この幼なじみは俺を待つ気は無いらしい。6年の歳月はこうも人を変えるのか。いや、うそ。箒は昔からこんな感じだ。
初志貫徹、日月進歩、日々鍛錬、頑固一徹。篠ノ之箒と言えばそういう言葉が男子よりよく似合う女子。小学校の頃から変わっていない。

(個人的には臨機応変とか、その辺も少し入れてほしいところなんだが……そう言えば神薙は真逆な感じが…)

スパァン!!

「とっとと席着け、織斑」

「…ご指導ありがとうございます、織斑先生」


俺の脳細胞は午前中だけで3万個死んだ。


sideout


…………


side神薙



二時間目、一夏は案の定、7発目を喰らうことになった。

一夏は山田先生の言った事ほぼ全てにハテナを浮かべた。

チラッと隣の女子を見ると、山田先生の話に時々頷いてはノートを取っていた。

因みに俺は軍隊出だからなんて事はない。でもこの教室の中で俺の事を一番知っているのは千冬さんだろう。その次が教師という事で山田先生、最後に1年間だけこっちに居たときに知り合った一夏。一夏は“俺が外国から来た”としか伝えて無いがな。

「織斑くん、何か分からない所がありますか?」

挙動不審の一夏に救いの手を差し伸べたのは山田先生だった。

「あ、えっと……」

「分からない所が在ったら訊いて下さいね。何せ私は先生ですから」

山田先生が胸を張って言う。
それに助けられた一夏は思い切って質問した。

「先生!」

「はい、織斑くん!」

「殆ど全部分かりません」


…………。

お前ふざけてる?

「え……?ぜ、全部、ですか…?」
ほれみろ、先生困っちゃっただろうが。

「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階で分からないっていう人はどれ位いますか?」

挙手を促す山田先生。

しかし…


シーン…

「あ、あの…師鳳くんは全部分かりますか?」

「………」(コクリ)

オイ一夏、お前の所為で俺も疑われたぞ。しかも“お前も分かるのか!?”みたいな顔すんな。少なくともこの学年の誰よりも分かってるつもりだから、一応。

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

「古い電話帳と間違えて捨てました」

スパァン!!

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者。あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」

「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと……」

「やれと言っている」

「……はいやります」

流石にこれはキツいかもな。今回は手伝ってやるか……勿論、見返りは戴くが。

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解できなくても覚えろ。そして守れ。規制とはそういうものだ」

全くです。

その後、一夏は放課後に残って参考書を覚える事になった。その時の山田先生と言ったら……さっきまでの自信は一体…。


んで現在、休み時間。先の休み時間同様に一夏が一方的に話し、それを受け流す。

「ちょっと、よろしくて?」

「へ?」
「………」

不意に、女子の声が聞こえた。

地毛の金髪が鮮やかで、白人特有の透き通ったブルーの瞳がややつり上がった状態で俺達を見る。

「訊いてます?お返事は」

「あ、ああ。訊いてるけど……どういう用件だ?」

「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話し掛けられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものあるんではないかしら?」

…俺の一番嫌いなタイプの人間だな。
今のこのご時世、つまり女尊男卑の社会に乗っかった奴。何度も似たようなを見てきたけど、やっぱり嫌いだ。
確か一夏もこういうの苦手だったな。

「悪いな。俺、君が誰だか知らないし」

おぉ!一夏Goodjob!

だけど…俺知ってんだよな~、こいつの名前。どうしよか?

「わたくしを知らない?この…「セシリア・オルコット。貴族出身でイギリス代表候補生。入試での技能試験にて教官を倒し、それが反映され入試主席でここに入学。……珍しく、語った」…お、おほん。ちゃんと知ってらっしゃったんですわね」……」

ホントに珍しく語ったぞ。余りにムカついたから話し途中で入れたけど。

「あ、質問いいか?」

「ふん、下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですわよ。よろしくてよ」

「“代表候補生”って、何?」

殴って良い?良いよな?良いんですね?よし、ぶん殴る。


スパァン!!

「いっつぅ~~!!何すんだよ、神薙!」

「……聴いて分かれ、馬鹿者。…聴いて字の通り、読んで字の如く。………国家代表IS操縦者の候補生と選出される人間の事。つまり…エリート」

「そういわれればそうだ。って、神薙はよくそんな事知ってるな。しかも今日は良くしゃべるし」

「…基本的一般知識。良く話すのは馬鹿共が多いから」

「……すまん」

「そ、そう言う事ですわ。わたくしはエリートなのですわ!本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

今更持ち直そうとしてる。見苦しい事この上ない。

「そうか。それはラッキーだ」
「………」(コクリ)

「……馬鹿にしてますの?」

少なくとも、俺はそのつもりだったんだが。

「大体、あなた方ISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。男でISを操縦出来ると聞いていましたから、少しくらい知性さを感じさせるかと思っていましたけど、期待外れですわね」

「俺に何か期待されても困るんだが」
「……」(コクリ)

「ふん。まあでも?私は優秀ですから、あなた方のような人間にも優しくしてあげますわよ」

……一々ムカつく人間だ。お前がそんなに偉いかよ。

「ISの事で解らないことが在れば、まあ……無いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

……馬鹿め。

「……あなただけではない。この一夏(ばか)も倒した」

「……そう言えばそうかも」

「は……?」

おぉ!“ありえねぇ”って顔してやがる。
と言っても、こいつの場合、突っ込んで来た相手を回避。相手は壁に激突、操縦者は気絶。それでお終いだが…

「わ、わたくしだけだと聞きましたが?」

物凄く動揺してる。

「“女子では”ってオチじゃないのか」

「つ、つまりわたくしだけではないと……?」

「いや、知らないけど」

「あなた!あなたも教官を倒したって言うの!?」

「うん、まあ。多分。そう言えば、神薙はどうだった?」

俺に話振って来やがった!?

「そ、そうですわ!あなたはどうなんですの!?」

これで答えたら絶対にこの人激怒すんぞ。少なくともこの話聞いてる奴全員が問い詰めに来るな。

「………」

「どうなんですの?黙ってないで言っ……」

キーンコーンカーンコーン……

俺は三時間目開始のチャイムに助けられた。

「っ……!また後で来ますわ!にげないことね!よくって!?」

やなこった。めんどいから黙ってるけど。

「それではこの時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」

今回は千冬さんが教卓の前に立つ。山田先生は隅でメモってる。大事なんだな~…

なんて呑気な事を考えていたら…

「ああ、その前に再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

……ん?クラス代表を決める?この調子で行くと……マズい。非常にマズい。今ここで言っても言わなくてもバレる。
どうすれば…

「はいっ。織斑くんを推薦します!」

「私もそれが良いと思います!」

「では候補者は織斑一夏……他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」

「お、俺!?」

やったな一夏。大人気につきクラス代表候補者だ!

「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にいないのか?いないなら無投票当然だぞ」

「ちょっ、ちょっと待った!俺はそんなのやら…「“自薦他薦は問わない”と言った。他薦された者に拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ」…い、いやでも…「待って下さい!納得がいきませんわ!」

更にオルコットさん登場!

「その様に選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥曝し(はじさらし)ですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにその様な屈辱を一年間味わえと仰るのですか!?」


………。


「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからと言う理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ごさいませんわ!」


……………。


「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!」


「………」


「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で…」


「……………」


「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一マズい料理で何年覇者だよ」

「なっ……!」

どうやら一夏が対抗しているらしい。しかし俺は…

……抑え込むのもやっとな程の殺気が爆発寸前だった。
千冬さんは察したのだろうか、2人を止めに入ろうとしたが…

「あっ、あっ、あなたねぇ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」


……うぜぇ。限りなくうざい。

「決闘で…」

その時、俺の中の何かがプツンと、音を立てて切れた。

…もう我慢はしない。

……部分展開、左腕、【トライクラッシャー】…

ドン!!

「少し……黙れ。喧しい…カス共」

『!!!!??』

窓に向けて1発撃つ。勿論、窓は当たったところから半径50cmが砕け散った。
その場にいる全員の驚愕と恐怖の視線を受けた。千冬さんまで震えているみたいだった。

「今すぐ……黙れ。……さもなくば…」

俺は自分の頭に部分展開された左腕を当てた。

「……頭…抉るよ」

「……神…薙?」

「……なんだ、一夏」

一夏は顔を真っ青にしていた。同様にオルコットも真っ青で、今にも泣き出しそうだった。

「その…すまなかった」

一夏が謝ったところで、俺は部分展開を解除。今更後には戻れない。だから…

「……俺…でる」

宣戦布告をした。

「ふ、ふざけた事は言わないで下さる!?第一、あなたは入試の結果はどうなんですか!?先の話からすると教官には勝っていないみたいですが?」

オルコットが噛みついてきた。

「……入試は、してない…」

「へ……?」

「あ、あなたねぇ!わたくしを馬鹿にして…「師鳳の話は真実だ」…!?織斑先生!それはいったい…?」

千冬さんが説明する。

「師鳳は本当に入試免除でここ入学した。理由は1つ。師鳳自身のIS学園への進学希望で、EUから申請された」

「EUですって!?」

「ああ、そうだ。師鳳はEU選出のヨーロッパ代表だ。そしてこの方が、《黄金の荒鷲》【インパルス・イーグル】の操縦者で世界初の男性IS操縦者、ベルギー空軍所属、師鳳神薙名誉少佐だ」

「でも…それだけで……?」

「いや、あとは束ねからも入れるように命令(・・)されている」

『………』

突然のカミングアウトに教室は凍り付いた。山田先生も、一夏も、オルコットも。全員がさも信じられないような、しかし、千冬さんが敬語使うまでの有り得ない真実に固まるしかなかった。

「…俺は、気にしない。静かなら、それでいい。……だから…離れないでほしい」

……それが俺の願い。本当の、切実な願い。

地位、性格、特殊さ…数え上げればキリがない。
地位と特殊さを隠しても友人は出来なかった。だけど中2の夏、変わった。一夏と知り合った。あいつが俺の第一号の親友となった。
ただそれだけが俺の喜びだった。本当の喜びだった。
それを…こんな事で無くしたくなど無かった。

俺の独りきりは、また始まるのか…

「気にしねぇよ、そんな事。“親友”だろ?」

でも一夏は俺を見捨てなかった。

「……一…夏?」

「俺はお前の親友だ。だから、俺はおまえを見捨てない。地位がなんだ。それがどうしたっていうんだ。俺は今まで通りに、親友だ」

「あり…がと、一夏」

今出来る最高の笑みで一夏に礼を言う。今の俺に出来る事はこれぐらいだから……


その後、俺のクラス代表決定戦の出場が決定。日時は一週間後の月曜の放課後となった。




To be continue….


……駄目だ。駄文だ。ひどい出来だ。

泣きたい。




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