特集ワイド:シロアリを追う 復興予算問題−−被災地の声 生活を、産業を、早く何とかしてくれ
毎日新聞 2012年10月17日 東京夕刊
女川町役場は2階建ての仮設庁舎。須田善明町長は「全国の皆さんからの税金や将来負担で莫大(ばくだい)な予算が町に投入され、感謝しています。それだけに『なぜあの事業に予算が付くのか』と声高には言えません」と何度も繰り返した。そうして言葉を選びながらこう続けた。「シー・シェパード対策費よりも、近くの石巻市鮎川の沿岸捕鯨基地再建に予算を付けてもらった方が直接的に復興に役立つと思います。霞が関の庁舎の耐震工事も必要でしょうが、町役場を新設する際の耐震工事の予算としてプールしておけないのでしょうか。町の復興計画を進める上で必要な事業費はこれから出てくるのです」
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被災した中小企業の支援も課題だが、予算は十分に行き渡っていない。
宮城県第2の都市、石巻市では中心市街地も津波で浸水した。商店街には建物が取り壊された後の空き地、シャッターを閉めた店舗が目立つ。石巻での再建を目指す経営者らは、仮設店舗を集めたエリアなどで模索を続けている。水産加工品などを扱う仮設店舗の女性従業員(53)は「商品には他県の工場を借りて生産したものがある。経営者が工場再建を考えても二重ローンなどの負担が重い」と話す。
中小企業が支援策と期待するのが、中小企業庁の「中小企業組合等共同施設等災害復旧事業」(グループ補助事業)。商店街や漁業関係者などがグループを作って施設の復旧などを行う場合、国が2分の1、県が4分の1を補助する制度で、県がグループの復興事業計画を認定し、補助金交付を決める。第1次募集を昨年6月から開始し、今年8月に第5次募集の認定企業が決まった。
ただ「国の予算が足りない」「計画が不十分」などの理由で、認定企業は少ない。石巻市の仮設店舗で営業する男性経営者(56)は「再建資金が必要だから申請したいが、却下されたり、減額されたりしたという話を聞くと、どうしていいか分からなくなる」。