PC遠隔操作:三重の感染ウイルス発見は大阪府警
毎日新聞 2012年10月13日 02時30分
インターネット上に犯罪予告を書き込んだとして逮捕された男性2人が釈放された問題で、三重県の無職男性(28)のパソコン(PC)からウイルスファイルを発見したのは、大阪府警の捜査員だったことが、捜査関係者への取材で分かった。一方、大阪府のアニメ演出家、北村真咲被告(43)のPCからはファイルが遠隔操作で削除されており、この時点で府警は北村さんのウイルス感染を見抜いていなかった。ある捜査員は「三重のウイルスも消されていれば、お手上げだった」と話している。
府警は8月26日、大阪市のホームページ(HP)に無差別殺人予告を書き込んだとして、北村さんを逮捕、大阪地検が9月14日に偽計業務妨害罪で起訴した。三重県警も同日、伊勢神宮の爆破予告をしたとして、津市の男性を威力業務妨害容疑で逮捕。県警と情報交換していた府警が捜査員を派遣し、男性のPCから新種のウイルスファイルを発見した。
捜査関係者によると、ウイルスのファイル名は「iesys.exe」で、遠隔操作で削除することが可能だが、三重では削除前にPCが押収された。府警は、このファイル名を基に、北村さんのPCを約10日間かけて調べ直し、ウイルス感染を確認した。専門家によると、ファイル名が不明なら、削除されたウイルスを検出するのに数年かかることもあるという。
ある捜査幹部は「三重と大阪のウイルス名が少しでも違っていれば、北村さんのPCからウイルスをすぐに検出できなかっただろう」と話し、三重の事件がなければ北村さんの身柄拘束が続いていたという見方を示した。【武内彩、三上健太郎、服部陽】