PC遠隔操作:犯行声明、欧州サーバーから

毎日新聞 2012年10月16日 12時43分(最終更新 10月16日 15時45分)

 パソコン(PC)の遠隔操作ウイルス事件で、東京放送(TBS)に送り付けられた犯行声明とみられるメールは、欧州のサーバーを経由していたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。送信者を特定する追跡捜査を困難にするための工作とみられ、警視庁は他国への協力要請も検討している。【小泉大士、喜浦遊、松本惇】

 警視庁などによると、「犯行声明」は今月10日にTBSに届き、捜査1課などが調べたところ、メールはTBSに届く直前、欧州のサーバーが利用されていたことが判明。同課はサーバーの特定を進めるとともに、複数の国を経由したとみて確認を急いでいる。

 海外サーバーを経由した場合、発信元を調査するにはその国の捜査機関の協力が不可欠で、手続きに時間がかかることが多い。捜査協力を得にくい国もあり、発信元が特定できない一因となることもあるという。

 インターネット上で犯罪予告をしたとして大阪府警に逮捕された男性のPCは何者かに遠隔操作された可能性が高いとされるが、PCはスイスやリヒテンシュタインなど5カ国以上のサーバーを通じて操作されていたことが分かっている。

 また、同様の「犯行声明」は東京の弁護士にも送信されたが、匿名性が高く無料で取得できるフリーメールが使われていたことも新たに判明した。

 一方「犯行声明」は、警視庁や大阪府警などが扱った7件以外にも、脅迫的な書き込みなどが6件行われたことを明かしている。うち1件は9月2日に開かれた人気アイドルグループの握手会に対する襲撃予告とみられ、既に東京湾岸署の要請に基づき削除された。

 また、部落解放同盟に対しても8月下旬、「本部を襲撃する」などと記したメールを送信したとしている。

 同署は威力業務妨害事件として調べており、同署幹部は「一連の事件の関係部局と連携して捜査を進める」としている。

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