尼崎・床下遺体:謎多い関係 64歳被告が精神的に支配か
毎日新聞 2012年10月16日 00時13分(最終更新 10月16日 02時52分)
一方、長女の一家は約10年前には高松市内で住んでいた。近所の男性によると、夫婦と中高生の姉妹の4人家族だったが、知らない男が家に上がり込んで一緒に生活していたという。男性は「奥さんが弟の借金の保証人になっていたらしく、男から取り立てを受けていたようだ。男がホースで家に水をかけるなど嫌がらせをしているのも見たことがある」と振り返る。
長女らは「元々住んでいた関西に移る」とあいさつして引っ越していったという。この一家の妹が、後に美代子被告の息子と結婚した角田瑠衣被告(27)だ。
捜査関係者によると、瑠衣被告はドラム缶事件の大江さん一家との最初の接点となる。瑠衣被告のベビーカーが電車のドアに挟まり、その対応を担当したのが電鉄会社に勤務していた大江さんの次女の元夫(42)だった。
これを機に美代子被告と知り合った元夫は、民家遺体事件の長男と同様に美代子被告の勧めで職場を退職し、同居するようになった。周囲に「出会いで人生が開けた」と話したという。
捜査関係者は「会社を辞める手伝いなど小さな“恩”を積み重ね、逆らえないようにした。元夫を手掛かりに大江家を精神的に支配した」と指摘する。元夫らは大江さんに対する傷害致死罪などで起訴された。
一方、瑠衣被告は2〜3年前からは遺体が見つかった民家の借地代の支払いに出向くようになり、女性と長男の年金を盗んだとして窃盗罪で起訴された。【山川淳平、藤顕一郎、鈴木理之】