2012年10月09日

若松監督、無事帰国

アジアの映画人賞を受賞した若松孝二が
無事、帰国した。
帰国の翌日は、柏市の商工会議所での講演を行い
本日は、いつもと変わらず、若松プロダクションの椅子に座っていた。

「マスタークラスでの講演会は、通訳の女性が涙ぐんでいたとの報告もありましたが
 監督はどんな話しをしたのですか」と聞くと
「連日、トークや取材の嵐だったから、もうよく覚えてないよ…」
 と言いつつ、
「若い頃に家出して、警察にぶち込まれた怒りが原動力だとか、
 今の原発の問題は、補助金漬けという根深い問題だ、ということを
 話したかな」
 と、振り返っていた。
 いずれにせよ、何十年と変わることなく、等身大の言葉で
 言葉と表現を続けて来た、若松孝二らしい講演だったのだろう。

 次の週末、監督は、井浦新とともに、函館映画祭へ向かう。

2012年10月06日

若松孝二のてのひら

昨日は、「海燕ホテル・ブルー」に引き続き
「11.25自決の日」「千年の愉楽」の上映とティーチイン。
それぞれ、詳しい情報は入ってきていないが、
恐らく、刺激的な会話が交わされた事と思う。

そして本日は、現地メディアの取材をこなした後
夕方から、若松孝二の「ハンドプリント」(=手形を押す)イベントが行われた。
釜山の地に、若松孝二の手形が残された。
監督の手は、労働者の手だ。

17歳で宮城を飛び出し、ニコヨン、和菓子やの丁稚小僧、あらゆる仕事をして来た。
そして、映像の世界に飛び込んでからも、バカマツと言われながら
下積みを経て、映画監督に。
監督になってからも、自ら交通整理をしたり
小道具の料理を作ったりと、手と身体を動かさずにはいられなかった。

以前、東京映画祭で「実録・連合赤軍」がある視点部門に招待され
レッドカーペットを歩くように言われた時
「映画作りなんて、偉そうに赤いカーペットを歩く商売じゃないんだ。
 俺は所詮、映画作りしかできないから、映画を創ってるだけだ」と言って
正装してカーペットを歩くことを断固として拒否した。

あれから数年の間に、ベルリンで銀熊をとり、
カンヌとベネチアに招待され、今回も釜山で名誉ある賞を受賞した。
歩けと言われれば、正装してカーペットの上も歩く。
取材も、求められれば応じる。
話せと言われれば、登壇する。

監督の周辺は一気に華やいだ。
しかし、監督の手は、やはり労働者の手だ。
ものづくりへの気持ちも、何も変わっていない。

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井浦新から送られた、この写真を見ながら、
改めて思った。

そして、今夜、マスタークラス講演会に登壇している。

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ものづくりへの思いを、どのような言葉で語るのか。
そもそも、語る言葉を十分持ち合わせないから
若松孝二は映像で表現するのであるが、
それでもなお、どんな言葉が飛び出したのか
帰国後の報告が楽しみである。

2012年10月05日

「海燕ホテル・ブルー」上映後、熱く語る!

再び、釜山より速報レポートあり。

先ほど、「海燕ホテル・ブルー」の上映が終了し
監督とキャストが登壇した。
と、井浦新より、最新の情報が入った。
井浦、自ら登壇しつつ、監督を激写。

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観客からは、プールでの色の変化、カメラ目線で原発を語る意図などの質問のほか、
現金輸送車の強奪回想シーンの少女の傘と
梨花の番傘とのつながりについて、といった新しい視点での問いかけも。

監督、1つ1つの質問に、楽しそうに丁寧に答えているという。
3つめの質問は、なかなかに鋭い!
当初、現金輸送車にぶつかってしまった少女の魂として
梨花を描こうか、という案も出ていたのである。
しかし、それをそのままリアルに描くと、妙にオカルトっぽくなるので
監督が、最終的にその案を退けた、という経緯がある。
が、監督の頭にわずかに残っていたその余韻が
映像を飛び越えて観客に伝わった、という事に、やはり映像表現の醍醐味を感じる。

井浦に対しても、様々な監督と仕事をすると刺激になり想像力が豊かになるか?
との観客からの質問が出て、井浦自身も「熱く語ってしまいました」という。

もうすぐ、「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」の上映が始まる。
韓国のお客さんたちから、どのような反応が飛び出すか
それに、監督や井浦らがどう応えるか、楽しみだ。

釜山からのフォト便り

先ほど、監督の現地メディアのロングインタビューが始まった。
監督の体調はすこぶる良好。
との連絡が、同行する井浦新より入った。

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いずれもphoto by Arata Iura

昨晩の開幕式写真は大西信満撮影。
同行するキャストも一丸となって
釜山初参加の若松監督をサポートしてくれる。
若松塾の熱い仲間たちである。
この仲間たちあってこその若松組である。
と、改めて思う。

釜山映画祭にて、アジア映画人賞受賞!

昨夜、釜山のシネマセンターは、熱気と大歓声に包まれた。
第17回釜山国際映画祭が開幕したのだ。

そして、その初日の大舞台で、「今年のアジア映画人賞」という
栄誉ある賞を受賞したのが若松孝二。
夕方の飛行機で釜山入りした監督は
そのまま慌ただしく開会式の会場へ移動。
大観衆の前で、トロフィーを手にした。

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本日の地元新聞は、若松孝二の受賞を大きく取り上げている。

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本日は、午後から夜にかけて
「11.25自決の日」「海燕ホテル・ブルー」「千年の愉楽」と
3本の特別上映と舞台挨拶が行われる。
現地入りした、井浦新、片山瞳、大西信満らも監督とともに登壇する。

2012年09月26日

ベネチアの風

少しタイミングを逸してしまったが
ベネチア国際映画祭での写真が届いたので、
向こうでの風が感じられるような写真を数点アップ。

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しみじみ、若松監督は、人間に恵まれている、と思う。
時に毒舌で、強引さも際だつ一方で、屈託ない素直な性格が、
こうして多くの人を惹き付ける。
ベネチアに同行してくださった皆さま、ありがとうございました。

いよいよ、来年春の公開に向けて
様々なイベントの企画の準備が本格的にスタートする。

2012年09月11日

さよならベネチア

受賞こそ何もなかったが
ベネチア国際映画祭で、高良、高岡らと一緒に
ワールドプレミアの瞬間を過ごし、
上映後には暖かな拍手に迎えられた若松監督。

カンヌの時より健康状態もよく
ベネチアでの日々を、ゆったりと満喫した。
作品を「作りたい」と思い、作り、仕上げ、
そして観客の前に差し出すこと。
ひたすらに、その事を繰り返してきた。
そして、これからも、という思いを胸に(多分)
映画祭最後の夜、ベネチアでの夕暮れを見つめる若松監督。


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そして昨日、無事ベネチアより帰国した若松監督。
気合い十分で、次なる作品に向けた構想を練り始めている。
そしていよいよ、年明け早々から、「千年の愉楽」公開に向けた
各地でのイベントがスタートする。

ベルリン、カンヌに引き続き、通訳とコーディネートをしてくださった
高橋晶子さんのご協力のもと、ささやかではありますが、
ベネチアレポートをお届けすることができました。
現地でお世話になりました皆さま、ありがとうございました。

2012年09月07日

ベネチアでの日々

ベネチア国際映画祭が開かれているリド島からは
空港へ行くのもどこへ行くのも全て船で移動。
早朝の便で日本へ帰国するキャストを空港まで送ると
ちょうど空港から帰る頃には、船上から美しい朝日が見えのだという。

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(毎日、若松組一行を、全面的にフォローして下さる
現地通訳兼コーディネータの高橋晶子氏撮影)

さて、この「千年の愉楽」、以前のブログでもご紹介した通り
黒田征太郎氏が、ライブで200枚のポスターをペインティングしてくださった。
今回の映画祭に、そのポスターを2枚持参した若松監督。
会場内に貼って、記念撮影。
中上健次と黒田征太郎と若松孝二がベネチアにて邂逅。

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2012年09月05日

若松孝二、ベネチアのレッドカーペットを踏む

夢だった、三大映画祭の制覇が実現した。

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権威主義になるわけではないが、
「バカ松」「バカ松」と、インテリ映画人からアホにされ
「今にみていろ」とコツコツ制作アシスタントから助監督
そして監督となって独立プロを立ち上げ、
異色の映画監督として孤軍奮闘してきた若松孝二が
密かに抱いていた夢だった。

「国辱映画」と罵られても
「どぶ川に咲く一輪の花だってあるんだ」と
自分の表現したいものにこだわり続けた。

大きな資本の後ろ盾もない。
配給宣伝会社の力も借りない。
全て、自主製作自主配給でやってきて
ここまでたどり着いたのだ。

現地時間の9月4日午前11時。
最新作「千年の愉楽」の公式上映が始まった。
上映に先立ち、レッドカーペットを歩く
若松孝二とキャストの高岡蒼佑、高良健吾、原田麻由ら。

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会場内でも、上映前にそれぞれの名前が紹介され
立ち上がって挨拶をする。

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上映終了後、場内は暖かな拍手で包まれたという。
特に、監督にサインを求める人たちの勢いは
ベルリンやカンヌ以上だったと、全での映画祭でコーディネーターを務めた
高橋晶子氏は言う。

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圧倒的な存在感を持つ中本の男たちを演じた
高岡蒼佑、高良健吾も、マスコミの取材を受け、
自分たちの作品への思いを語った。

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リド島の夕暮れの空をバックに
現地メディアの取材を受け続ける若松監督。

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公式上映の慌ただしい一日は、こうして終了しました。
応援してくださった皆さま、感謝申し上げます。

2012年08月24日

「千年の愉楽」湯布院映画祭にて上映!

昨日夜、湯布院映画祭にて「千年の愉楽」が
上映された。

日本国内での初の公式上映とあって、
立ち見のでる満員の場内。

上映後は、若松監督、佐野史郎、高岡蒼佑、高良健吾らが
登壇し、活発な議論が交わされた。

「キャタピラー」以来の湯布院映画祭、
監督は、亀の井別荘の女将らと旧交を温め、
映画を愛する人たちによる映画を愛する人たちのための映画祭を
心ゆくまで堪能した。

いよいよ、ベネチア国際映画祭での公式上映を十日後に控え、
国内での嬉しい出陣式となった。