kyoちゃん~市長への手紙

kyoちゃんのお母さんは、kyoちゃんの思いを伝えるために
名古屋市長に手紙をかきました。
市長が読んでくれますように・・・
kyoちゃんの思いを受け取ってくれますように・・・

  *  *  *  *

名古屋市長
河村 たかし様

いつも市のためにご尽力くださり有難うございます。
本日はお願いしたいことがございまして、初めてお手紙差し上げます。私は瑞穂区に住んでおります、林 有香と申します。
娘の京香(きょうか)は、ウェルドニッヒホフマン病(脊髄性筋萎縮性SMA 1型)という個性をもって生まれ、24時間人工呼吸器を装着して在宅で生活する6歳児です。
筋肉の緊張がないため、首から下は脱力しています。自分で動かすことが可能なのは手の指先、足の指先、目や口角などの顔の表情などがあり、わずかに動かせる部分で意思表示をしています。目をキョロキョロさせ、YESのサイン。手指をパタパタ動かし、気持ちの高まりを表現します。「学校で友達と勉強したり、遊んだりしたい?」の問いには、目も
指も両方でYES!の合図を送ってくれます。
私たちは、義務教育についても、子ども本人の意志が尊重されなければいけないし、自分の人生は自分で選択する権利が誰にでもあるべきだと考えています。京香は気管切開をしていて、言葉を発する事が難しいので、自分の意志を自ら相手に伝える手段がありません。ですので、京香の代わりにお手紙を書かせていただきました。
京香はストレッチャータイプの車イスに人工呼吸器をのせ、東京、大阪、各地、色々なところへお出かけするのが大好きな元気な女の子です。3歳から、肢体不自由児、重複障がい児が通う、児童福祉センター内の中央療育センターに通っています。そこは、名古屋の療育センターでも唯一の“母子通園施設”ですが、今年から年長になった娘は、来年就学に向けて、親の付き添いなしで月2回は看護師さん配置で単独の学園生活を楽しんでいます。その他では、地域の保育園にも月1回で通っています。娘も他の子どもたちとの関わり合い、親から離れる時間を持つことで、自立することへの自信がもてるようになりました。
私達親と娘の希望としては、「地域の堀田小学校の普通学級」に通いたいという願いがあります。子どもは子どもが好き!同じ年の友達みんなで生活する大切さ。その重要な意味や地域に通いたいという思いは、『なごや子ども条例』にもあります。子どもは、子どもどうしのふれあいや、様々な人、自然、社会、文化との関わり合い、他者と共生することの大切さ。障害などにかかわらず、子どもにとって大切な権利を保障する。なごやのまちを市民が一体となってつくる決意。これらは、インクルーシブ推進国に加入している日本国においても、国の考えと同じ意向でもあります。大阪府などでは、難病、障がい児に“医療的ケア”などの『合理的配慮』を基本とする、看護師配置や、介助員制度などを府が配置し、地元校通学している子どもが15年以上前からいます。そんな時代の流れの中、今回のような医療的ケアを含む要望が、我が家が初めてだという事を知り、名古屋市の現状の遅れに正直驚きました。大阪だけではなく、千葉やその他の県でも地域の学校に医療的ケアが必要な子どもは看護師配置があり、介助員が必要な子どもも同じように合理的配慮がなされ、たくさんの子が普通学級に通っています。子どもにとって、学校での親の付き添いは不自然ですし、当たり前の環境とは言えません。それも含め、障がいがあるからこそ、自分で生きぬく力が必要ですし、将来人に支えられ暮らすには“他者との協調性”も小さいうちから身につけなくてはなりません。自分一人では生きていけない壁があるからこそ、親と一心同体ではいけないと考えています。
私たちは、6月15日、『堀田小学校へ看護師配置をし普通学級入学希望』する要望書を名古屋市教育委員会へ提出しました。堀田小学校へも2回訪問し、先生方との関わりも深めつつあります。現在のところ、市教委は「今はまだなにも言えない」との返答のまま時間だけが過ぎていきます。このまま医療的ケアが必要な子どもと理解しながらも、何も配慮がなく、親の付き添いを求められ入学を迎えることになってしまったら…と不安でなりません。子どもの就学については、教育長、教育委員会へ要望する事項であることは承知していますが、前例のない看護師配置等については、市や議会のご理解ご協力が欠かせないものと思います。障がい者基本法も新たに改正された今、なごやを愛する私達は、このなごやの町の一市民として、地域に溶け込んでいきたいと心から願っています。キラキラと輝いて生きたい〝みんなと一緒にいたい〟という当たり前の子どもの願いをどうか実現させて下さい。
突然のぶしつけなお手紙で恐れ入りますが、私どもの苦衷をぜひご理解いただき、適切な措置を賜りたく、お願い申し上げます。

2011年8月17日      

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)