コシダカは昨年11月、1人専用の「ワンカラ」を東京・神田に開業。休日には約160人が訪れ、昼の待ち時間は1時間以上になる。「カラオケ館」のビーアンドブィ(東京・中野)や「ジャンボカラオケ広場」の東愛産業(京都市)も追随し、現在は1人専用ルームを備える店が全国で約10カ所まで増えた。
■周りの空気読む気質の反動か
各社とも1人カラオケの客層はシルバー層を除けば10~30代が多い。コシダカでは30~40%を占めるという。ただしカラオケ市場全体をみればこの世代の利用者は頭打ち。今も店に足を運ぶのは比較的愛着のある人とみられるが、その中で大人数よりも1人で楽しむ人が増えているのはなぜなのか。
かねてより「周りの空気を読む」と指摘されてきた若者気質の反動では、とみるのは電通総研の吉田将英研究員。この世代は「人生の大半を不況下で過ごし、人付き合いも含め失敗したくない気持ちが強い」。大人数でカラオケに行けば「雰囲気を壊さない」という消極的な理由で曲目を選びがち。これをストレスと感じるようになり「本来の欲求を1人カラオケで満たそうという気持ちが高まってきたのでは」と分析する。
ニッセイ基礎研究所の久我尚子研究員は、交流サイト(SNS)などインターネットを通じた他人とのつながりが濃密化していることの影響を指摘する。「時間や場所を問わずに友達とつながる機会が増えたため、逆に気を使わずに自由に行動したい欲求が強まった」
■ネット交流に多忙な日々、好きなカラオケは1人で
東京都杉並区の女子大生(19)はスマートフォン(高機能携帯電話)向け無料通話アプリ「LINE」や交流サイトで、友人から1日に100件を超すメッセージを受け取る。「いつでも連絡が来るのはわずらわしいけどやめられない」。せめて好きなカラオケは「周りに気兼ねせずに過ごしたい」と週1回、1人で楽しむ。友人から誘われても積極的に行く気にはなれないと話す。
不況育ちで費用対効果に厳しいゆえか、大人数で割り負け、歌い負けすることへの不満もうかがえる。20代の女子大生は「(同じ料金で)歌える曲数が限られるのはストレス。1人で存分に歌いたい」と話す。
カラオケ館、ジャンボカラオケ広場、ワンカラ、コシダカ、ビッグエコー、ラウンドワン、シダックス
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