1件あたり数億円も、中国誘拐ビジネス
世界の誘拐はビジネス化
海外駐在員や留学生に向けた保険を専門に扱い、海外生活でのセルフセキュリティに対するセミナーや指導なども行っている株式会社JITの松本伸二氏は、「今後、日本人にターゲットを絞った身代金目的の誘拐が増えるのではないか?」と懸念している。現に、過去に2回の身代金目的などの日本人の誘拐が中国では起きている。「中国人の赤ちゃんや子どもを1人誘拐して、人身売買を行ったり、臓器移植のために内臓を売ったりしても、数十万円から数百万円。けれども身代金になると、数千万~数億円とケタ違いの額が動きます。そのため、手っ取り早く儲けられる身代金目的の誘拐に手を出す犯罪者グループは増えてもおかしくないということは容易に想像がつきます。元々、外国人を被害者にした犯罪は中国では重罪になるため、それほど多くなかったのですが、これだけ反日感情が高まると不安です」
しかも、現在、世界の誘拐事情は“ビジネス化”している。身代金誘拐の歴史が浅い中国ではそれほどシステマティックに整ってはいないが、コロンビアやメキシコ、アフリカ諸国などでは、誘拐ビジネスが大きな仕事として成り立っているのだ。
「駐在員向けのセミナーなどをしている弊社では、南米やアフリカ諸国へ行かれる方には、誘拐されないようにはどうしたらいいのか? と自分の安全を守るためのセミナーも行うことがあるんですよ」
実は、過去には96年に、メキシコのティファナでサンヨー・ビデオ・コンポーネンツの社長が誘拐され、9日後に解放された事件がある。これは、まさにこの「誘拐ビジネス」の餌食になったものである。