1件あたり数億円も、中国誘拐ビジネス
誘拐されたら交渉人の出番
この誘拐ビジネスは、「ターゲットの行動パターンなど身辺調査をする人」「ターゲットに近づき誘拐のタイミングを謀る人」「誘拐する人」「誘拐した後に身柄を拘束する人」「身代金を請求する人」というように、何人もの人が誘拐に携わり、役割分担を行って、誘拐を成立させるのである。そして、いざ誘拐が行われたら、専門の交渉人が犯人グループと身代金の交渉を行い、できるだけお互いにとってよい終着地点を探るのだ。
「あまりにもすぐに、犯人が要求したとおりの金額を支払うと、その企業は『金払いがいいぞ』と目をつけられてしまうので、ある程度長期戦に持ち込むのですが、あまりにも長期になってしまうと今度は被害者の方の命が危なくなってしまうんですね。また、すぐに領事館などに駆け込んで、軍を手配するなんて大事になってしまうと、途端に被害者の方の命が危なくなってしまいます」
しかし、現地の警察などの公的機関もイザという時にアテになるかというとそうとも言い切れない。
「そもそも、誘拐ビジネスが行われているような国などは、地域を麻薬組織や反政府組織などが支配していて、司法も機能していないし、警察も賄賂で買われている。だから現地の公的機関は頼りにならないと思っていいでしょう。そのため、秘密裏でその手の知識に精通した専門のスタッフたちが交渉を進めていくことが何よりも大事なのです」