高齢者の誤嚥性肺炎、むせる人は予防策を

2012年10月16日 19時30分 掲載

高齢者の誤嚥性肺炎、むせる人は予防策を

細菌やウイルスが気管に入る

 お年寄りの誤嚥(ごえん)性肺炎が多くなっている。高齢になると物をのみ込む嚥下(えんげ)機能が低下するためだが、飲食時にむせるお年寄りは特に注意が必要。予防策について東京病院呼吸器科の寺本信嗣医長に聞いた。

初期は気付きにくい

 誤嚥性肺炎は、唾液(だえき)など分泌液に含まれる細菌やウイルスなどが誤って気管に入り、増殖することによって起こる病気。

 「嚥下機能が低下した高齢者に多いのです。初期には食欲がない、元気がないといった程度で本人も家族も気付きにくく、せき、たん、発熱が認められたときには重症化しているケースが少なくありません」(寺本医長)

 実際、お年寄りの死因の多くを占める。こうした事態を招かないためには、まず予防が第一だ。

 「過度に神経質になる必要はありませんが、食事の時にむせたり、のみ込みが不自由だったりする高齢者は予防を心掛けてください」(寺本医長)

食後にブラッシング

 まずは食事内容。お年寄りが食べやすいように調理してあげるとよい。「よく食材は細かく刻んだ方がよいとか、軟らかい食べものがよいとかいいますが、これは個人差があります。本人が食べやすいように調理してあげることが大切です」(寺本医長)

 口の中のケアも欠かせない。「食事が終わった後、家族や介護者は口の中に残っている食べかすを取り除いてあげてください。その後、ブラッシングやうがいをして口の中を清潔に保つと理想的です」(同医長)

 歯がない場合や、流動食をチューブによって胃に流し込む経管栄養のお年寄りも同様。こうした口の中のケアに加え、寝たきり状態のお年寄りでは時々、体位を左右に変えてあげるとよい。たとえ1日1回でも、体位を左右に変えてあげるとたんが出やすくなるので、多少誤嚥しても細菌やウイルスを排出しやすくなるという。

 このほか、嚥下と発声の筋肉はほとんど重なっているので「よく話したり、歌ったりすると予防効果が期待できます」と寺本医長は勧めている。


(編集部)


2010年9月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)


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