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「まんだらけZenbu」

「Zenbu」はおもちゃやカード、セル画など興味外の内容が増えたので関心外となっていたが
貸本に関心を持つようになった今年、成瀬さんの連載が非常に役に立つと知ってとりあえず37号から15冊ほど買ってみた
アマゾン中古だと送料を入れても一冊300円~650円くらいで手に入る

毎号載る書影やデータはデータベース化できるのだろうがそんな本まで出版されることはないでしょう
仕方ないから自分で必要な作家・雑誌を抜き出してエクセルファイルで保存する予定
書影は今の倍あればスキャンして整理に使えるのだが、このサイズでは参考までの図版程度にするか

作家の方はこんな本があるんだとすぐに記憶と照らし合わせることもできるが
雑誌の内容はいちいち自分記録で確認しないといけないので手間
それでも手間をかけて雑誌閲覧で抜けている事実を確認しておきたい

少し守備範囲からはずれるが、往年活躍した作家が青年・成人まんが分野で描いているということも多いから
そっちの雑誌データも気になるところ
ただし、成人雑誌は閲覧するところがないので絵を楽しむことは難しそう
少年誌なら文学館に所蔵があるかもしれない

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山川惣治「少年エース」61年

産経新聞出版社、200円、158P「北海編」
元は「中部日本新聞」に1961年から翌年まで連載されたもの
産経新聞社単行本は三巻あるがとちゅうまでしか収録されていないという
その一巻目が京都マンガミュージアムにあるので閲覧

1947年、砂金を掘り当てた信氏信一は妻と赤ん坊を連れ久しぶりに日本へ戻る船ユーコン号でアラスカから出航する
途中、巨大な怪物が現れ船は壊れボートで乗客が逃げ出すが赤ん坊の誠は見つからない
誠は海を漂い、オットセイのハニーに育てられる
51年になり、オットセイを殺して毛皮をはぐ猟師が島に現れたのを見た誠は仲間に逃げるよう呼びかける
若いオスのボス格ビックロックは反対しけんかとなるが持っていた棒でビッグロックを倒す
誠の合図でオットセイが次々島から逃げ出す
これを見たオットセイ狩りの漁師たちは少年を「エース」と呼ぶようになる
しばらくしてエースは数匹のシャチに襲われ困っているところ、巨大なシャチが出てきて追い払ってしまう
このゴールドフラッグというシャチにエースは恩義を感じ、ゴールドフラッグもエースを快く思っている様子だった
オットセイを狙うアリュート人の少年をじゃましてエースは槍を足に受けた時、同じアリュートの老人エサックとその孫娘カテーナに介抱される
カテーナはこの12才ほどにも見える精悍な少年が身につけていたロケットから生まれて5才4ヶ月になると知る
エースの存在を知った漁師たちが押し寄せてくるがエサックから短刀をもらって逃げ出す
漁船で追ってくるのがゴールドフラッグが現れ沈めてしまう
やさしカテーナが忘れられないエースは秋になって小屋を尋ねるが、村人のためエサックが追い出されたことを知る
そのとき、海に落ちた少女を鮫から救うがそのおじいさんがエサックを追い出したマカーラ
マカーラの所でひと騒動起こし、村人から追われて海に逃げるが今度は大きなぶつぶつがある島があってなんと目もある巨大な怪物
この登場で村人が追う舟も大混乱、エースは逃げ出す
その後、いるかを食うシャチを退治しようした漁師たちはフラッグのメスを倒す
怒ったフラッグは大暴れしていつまでも沖のとどまるので漁に出られない
困ってはかりごとをして、フラッグを岩の間におびきよせ上からさんざんに槍を撃つ
16本の槍がささってフラッグは血を流しながら逃げてゆく
血をかぎつけた鮫が集まるが死んだようなフラッグが動き出すと鮫もかなわない
エースがこれを見つけ一本一本槍を抜いてやる
狙う鮫は抜いた槍で突き刺してしまう
すべての槍が抜けるとフラッグの血も止まりしだいに傷が癒え始める

この巻の終わりのエピソードは、海に不時着したアメリカ軍の飛行機からエースはスタック中尉を救い出す
連絡を受けた軍の飛行機が救援にかけつてロープで中尉を引き上げるがエースはまた海に戻ってゆく
少年がこの大海を自由に動き回っているのが信じられない中尉というところまで

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「幼年クラブ」57年~

1970年までの学年雑誌を一通り閲覧した後、雑誌群を読み返して絵物語を見ている
57年の「幼年クラブ」を再度、絵物語中心に追ってみた

57年1月号で絵物語
南村喬「いけ!錦之助」6Pが新連載
奉行の父は輸送の金30万両を海賊に奪われて行方不明となる
副奉行の赤池仙波が父に金品強奪の容疑をかけ一家は家を追い出される
息子の錦之助は手裏剣が得意な妹なぎさを連れて海賊の出現した佐渡に向かう

父の行方を知るというアイヌ老人ラシベを探すが、海賊につれさられていた
二人の前にあらわれたのは山犬に襲わせる人さらい集団山犬組
その頭領であるおばばのけむり玉に錦之助も苦戦する

その後も宝を狙う山犬組と戦いながら、海賊が金を隠した鬼子島へ向かう
たびたび助けてくれるどくろ仮面は奉行の父が奪われた金を探している仮の姿
最後は島で海賊を倒し、一味の黒幕副奉行の悪事をあばいて終了する
Nagamatu57dorome

松井義夫「ドロメ」松永健夫絵7P新連載
舞台は南アメリカアマゾン流域
調査の父について現地へ出かけたタダシ一家
大昔の怪人ドロメが原子力で復活して暴れ出す
同僚のドン博士はタダシと父が事件でなくなったというので
母と妹ユリは犬型ロボットのブルに乗りアマゾン川へ
タダシと父は死んでいず、ライフストーンで生き返った古代の王子ヒットと会う
ドロメは王子の部下で同じくライフストーンで生き返った
10万年前、ここは科学力も発達していたが原子力のため人々は死んでしまった
3つのライフストーンを集めると素晴らしいエネルギーが得られるが悪いことに使うと世界が滅びる
それを正しく使うため王子たちが復活したのだという
母とユリは川に落ちたので王子の原子鳥で救出に向かう
原子鳥はイナゴの大群に襲われ火となって大爆発する
ジャングルは大火事となるが、鎮火した森の中に光る3つめのライフストーンを運良く見つけることができた
三つそろって強い原子力を生むことができるという
ドロメ王国は滅びたがこの石の効力を正しい人間に伝えることができて使命は果たせた、よいことに使ってくれと言い残しヒット王とドロメは石に変わる
ブルとワンのロボットがつぶれたのでまた新しいロボットを造ろうと結び10月号完結

久米みのる「ロケット五郎」中村猛男絵9P新連載
プロレスラー型のロボットを操るロボット団
ロボット団にさらわれた川上まり子は他の女の子と同様アフリカの女王の遊び相手をさせられていた
五郎が女の子たちを救いこの巻は終了し、5月より始まるTV怪人は6月で終わり連載も終了する

1月号では 横溝正史「のろいの王冠」伊勢良夫絵6P新連載
久米みのる「OK王子」矢車涼絵6P読み切り という小説も

4月号に不定期掲載の鈴木光明「たつまき小僧」9P一話完結
漁師をしているたか子の父が襲われたという化け猫が海から何匹も現れてたか子をさらってゆく
スーツを着た人間に猫の顔という不気味な化け物が何匹も逃げだしタツマキ小僧が追いかけると海に入ってしまう
海の中でタツマキ小僧も化け猫に襲われるがなんとか切り抜けて
見破った正体は網元の手下たちが猫の面をつけているだけだった
漁師を襲い、網を盗んだりしては困った彼らに高利貸しをして大もうけしていたという真相だった
Yosida57tokyuu

6月号は吉田郁也「特急探偵」8P
みんなの乗るボートが襲ってきた大型ボートに転覆させられ、まり子がさらわれる
英一が秘密の図を拾い敵本拠地の大雪山へ乗り込むことに
大助と英一は洞穴を進む、つかまり天井からつるされ火の中に落とされ一大事というところで、体をゆすって大きくふれ団長の首を足ではさみ縄も抜ける
逃げ出した敵をボブスレーに乗って追跡するというもの
一話完結で毎号事件を解決する形式

12月号で「へいきの平助」(横木健二)、「さなだだいすけ」、「のろいの王冠が終了する
Nagaki57jiraiya

この号巻末に永樹凡人「大あばれ自来也」17P読み切り
花丸城に夜撃ちがかかる
家老矢目源之助が裏切り殿は殺される
若を家老のはなつピストルからかばって母も死ぬ
火の中に老人が現れ若殿を連れて逃げ去る
10年、老人の元で修業して自来也と名乗り復讐に出る
守を守るおろち丸、龍に乗ってがまがえるに乗る自来也と決戦する
おろち丸のほのおで焼けてしまいそうになるが天が助けの雨を降らし火が消え自来也の勝利に

1月号から始まった南村喬作の絵物語「ひざくら頭巾」は3月号20P
100万両の宝のありかを知る九官鳥を運ぶ行列を勤王派が襲う
勤王派に味方するひざくら頭巾も手裏剣の名手鬼頭太平を倒せず引き分ける
この騒動にまぎれた千代之助はかごを持って逃げ、お春の家に隠れる
お春の父木田兵吾は城で鳥の守りをしていたが鳥のしゃべった言葉を教えろと家老に閉じ込められている
口を割るよう家老一味がお春を連れ去ってくる
兵吾はひざくら頭巾がすり代わっていて、出てきた太平を今度はピストルでとらえ、いよいよ宝の眠る極楽島へというところで途中終了

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2011年のまんが周辺

参考にさせてもらっているHP・ブログを挙げると
「ごろねこ倶楽部」 2週間ごとの購入古書解説が魅力
わからないところは掲示板で教えてもらってわがままに迷惑かけどうしでご容赦
「まんが研究の背骨」 ETさんの研究姿勢を述べるブログ、こちらも2週間ごとの更新
毎回載る少女まんが黎明期の作家さんのデビュー作などが魅力、1960年頃の事情をこれほど知る人もまれ
「古書漫画の世界」 HP「冒険活劇文庫」のマキ・イチローさんのブログ
1955年以前の雑誌・単行本の蒐集は半端ではないが、中断の「活劇文庫」雑誌解説が再び開かれるのはいつか

「まんだらけ」の成瀬さん貸本解説は空前絶後ものだが、ネット上でも余談を載せて欲しいところ
どれもディープな世界で頭が下がります
他にイラストが主戦場の「郷愁倶楽部」も気になるブログです
オールマイティに漫画を極める「漫棚通信」、海外漫画を専門にやってほしいなぁ
「ビランジ」に少年雑誌書誌を極めたFMロッカーさんのHPというのも見たいもの

ついでこの年の発見まんが家を
めろめろなのが1957年以前のオオトモヨシヤスさん
わたなべくにをさんもすばらしいと知る
少女ものの元祖として星城朗二や谷悠紀子さん
絵物語では福島鉄次さんに魅了された
アメリカンコミック風の絵柄は苦手なはずが福島さんの色遣いがいい
週刊誌時代になるが谷口ひとみさん、ただし一作だけしか読めない

みやわき心太郎さんの旧作品が「漫画OnWeb」で読めるようになったのも大きい
こんな形式で他の作家も読めるようになったらいいのだけれど
復刻は値段が高く、選定が偏っているのであまり期待しなくなったが藤子Fの初期少女・幼年作品集はよかった

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小松崎茂「海底王国」55年

沖縄南での海難事故を飛行機で撮影に出て山形英二の兄、正は遭難する
不審な事故が相次ぐ中、パーコンステレーション号の乗客45人が突如現れた怪潜水艦にさらわれる事件が起こる
英二はこの事故で救助され、敵の正体を探ろうと研究を重ねているホルヌ侯爵や彼を補佐するジョー青年と知り合う
侯爵が建造している秘密兵器、原子力潜水艦アトムフィッシュ号に乗り込んで出発する
海上でゴムボートで漂流している男を救い上げると敵から逃げてきたクラウスという博士
博士の教える方角へ進むとチョウケイ竜が現れ、伯爵の妹エリザをくわえてさらってしまう
エリザは海底の王国へ連れ去られそこで女王と会う
海底の人間が地上で暮らすためどこか国を譲ってくれるよう交渉するという
一方、損害を受けたアトムフィッシュ号は補修、改造を始める
侯爵を襲う海底王国の手先から救った日本人小林青年
彼は造船技術に詳しく新たにアトムフィッシュの一員に加わることになる
アトムフィッシュの改造が完成し再出発し、海底王国軍と交戦する
英二とジョーは小型潜水艇に乗り込み、敵のXZ3号を倒すが
スカイシャークの攻撃に片翼が取れ潜水艇を脱出して王国軍のとりことなり海底王城に連れて行かれる
そこで二人が驚いたことは、英二の兄正が生きていて海底王国に協力していることだった
この頃、小林青年はアラビア海セイシェル付近に海底王国の本拠があると発見して向かっていた
海底王国を支配する女王には秘密があり、実は300才を越えていて、今度も老婆の姿に戻ってしまう
アブラマズダ神の薬を浴びて何度も若返ってきた
この秘密をエリザに見られ生かしておけないと迫ってくる
正は従うふりをして王国脱出の機会を狙っていたが、英二・ジョーと逃げだし、エリザやさらわれた乗客たちも連れて王国の入り口めざす
入れ違えにアトムフィッシュは原子砲を撃ち王国を壊滅させるのだった

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大野きよし「南海小僧」54年

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曙出版12月刊行、130円、126P
孤島で白頭仙人に育てられたチョビ丸
仙人が死に際にチョビ丸の秘密を明かし、宝の地図を託す
仙人はもと武士で将軍の命令を受け、南の島に住む雷火鳥の黄金の卵を取りにやって来た
幼い息子チョビ丸は連れ、姉のおはぎは残してゆく
島へたどり着き、配下の黒べえが裏切って卵を持って仙人を置き去りにしたとのこと
チョビ丸は丸木舟に乗り日本をめざす
同じく島に残され怪人ドンバに助けられた侍、太刀丸はチョビ丸を討つよう命令を受け丸木舟で追いかける
日本へ戻ったチョビ丸は姉を捜して江戸へ
将軍家でも黒べえの悪事をさぐっていたところで
おはぎと再会できたチョビ丸は将軍家からの遣いに招かれ身分を認められる
黒べえを退治し、味方となった太刀丸と宝を求めて再び島へ向かう
ドンバが宝を狙って攻めてくるが、拠点奇厳城にはるすにしていた主の女王が戻ってきたところだった
女王が白頭仙人に助けられた時に宝の地図を譲ったということでドンバが勝手に部下を動かしていたとわかりチョビ丸はドンバを倒して物語は終了する

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011年回顧

国際児童文学館に通うようになってから次第に最近のまんがとは縁が薄くなっている
08年から「その一年の作品」を上げていない
今年はさらに拍車がかかり、新作であげる単行本がない(新作は一冊も買っていないかもしれない)

絵・映像関連で気になったものをあげると
ペコロス「夢の混じり合う場所」(漫画研究誌「ビランジ」最新号に載る2P16コマの小品)
フレデリック・バック「木を植えた男」(かつての映像だが、今年展覧会があった)
クワクボリョウタ「10番目の感触」(中之島国立美術館の展覧)

今年は文学館で学年誌を閲覧できた
また、京都マンガミュージアムで貸本が閲覧できることを知った
「まんだらけZenbu」の「護美之山」「砦」の存在を知る、とにかく37号~51号を購入
本棚が満杯になってよほどでない限り新規購入しないと決めたくらいだから、この15冊は行き場なく床に平積みになっている
暇ができれば本を処分してスペースを作らなければ

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山川惣治「幽霊牧場」53年

120円、120P
「少年」25年8月~52年12月に連載されたものの単行本の前編
アリゾナのトーマンの町
インディアンのペピロ一家は白人に牧場をだましとられ
抗議の父は撃たれ、病気の母は死に絶える
怒りの息子サンドロは白人を一人殺して追われる
銃の名手で知られるアンの一行に救われ以後恩義を忘れない
サンドロはヒラ族に拾われしだいに頭角を現し酋長ミギナには重んじられる
ガバサは白人を憎むためアン一家をかばうサンドロとは仲が悪し
一年後、がいこつが出ると噂になって買い手がつかない牧場にバニオン一家がやってくる
がいこつは釣り竿でつって浮かしているのだと見破った一家は住み着くことになるが、インディアンの襲撃にあい両親は連れ去られる
一人奥の部屋にいた5才のトニーは一家を訪れた親友のリーガンに育てられる
その後、ディック少尉の討伐隊がジェロニモが集結したインディアン達を襲う
ジェロニモがあやういところをサンドロが救い、戻ってみると酋長ミギナは瀕死の状態だった
酋長は部族の者にサンドロに酋長を譲ると宣言する
対立していガバサは部族から出てゆく
ここまでが前巻の内容
後巻では、サンドロとアリスは愛情がめばえながら、成長したトニーと銃で対決し、サンドロは命を落とすというラストを迎えるらしい

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「こども世界」49年、赤とんぼ改題

Zkodomosekai4912


実業の日本社刊行 50円、52P
副題に「小二三四年生」とあるので小学校低学年向けプラス少々

カラー童話「赤い花」5Pや「きつねとにわとり」3Pが巻頭を飾る
漫画は 二色刷の塩田英二郎「ピータンパンをウェンディ」4Pくらい 
巻末は「ウィリアムテル」の物語と童話、名作が中心

2月号より ジョージ・西田「ジャンガのぼうけん」4Pの連載漫画が12月まで
赤ん坊をさらったサル
サルの予言者がこの子はサルの王国を幸せにすると教えるので大切に育たれよう
ママモンドがジャンガを育てる
12月号
60円、80P
Nisida49jyanga

「ジャンガ」は4Pのカラー最終回
ドラゴンを退治してまたサルの国を救ったジャンガだが人間の国へ戻ろうする
やなぎまさお「いたずらケンちゃん」2P六回目
入江しげる「ピンちゃん」2P六回目
おさるのピンちゃんのユーモアもの、登場するのは擬人化された動物ばかり
野球で遊んでいるとボールが幼児に当たり泣くのでおぶってやる
おぶったまままたボールを探しに行くと土管の中にあったのだが
土管はトラックの荷台にあり、幼児だけが連れて行かれて大騒ぎというお笑い
動物たちのまるっぽい子供まん絵を見ると、まだ入江さんらしい絵柄にはなっていないようだ
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「こだま」61年(京都MM)

若木書房刊行の「こだま」に巴さんやしのぶさんの名が見えるので閲覧
24号も27号も岸田さんの表紙が美しい

24号は143Pでこういう作品集
田中美智子「あしたお別れ」28P
赤松セツ子「星のまたたく夜に」30P
鳥海やすと「あんちゃん」47P
木内千鶴子「明日のしあわせ」35P
ともえさとお「こだまよ消えることなく」25P

赤松さんは練れた絵柄だが、他はは完成前
63年以前の巴さんの絵柄は初
顔立ちが上下にとがった楕円形で幾分不自然
その中に丸い目が目立ちすぎて柔らかな表情がない
内容は
旅館しのやにたきぎを運んできた少女和江
泊まり客の女性が和江のかざしの花きんらん草をきれいだとほめてくれる
和江は両親をなくし山で炭を焼くおじいさんと暮らしている
花をあげるとおばさんはペンダントをくれる、スキーで足をくじきしばらく治療で温泉にいるという
チョコレートをもらって初めて食べる味がうれしい
おじいさんはつきあうなとしかるが和江は旅館に遊びに行く
おばさんには娘がいて明美というが娘のことばかり言うので不満の和江は
ここにいる間はわたしのお母さん代わりになってとお願いする
おばさんも足が治って帰る時が来るのでおじいさんは和江を無理に連れ帰る
いよいよ出発の日になり、馬車が迎えにくる
あんなに親しくしていたのに見送りに行かないのかと周りの大人が言うが置き去りにされるようで気が進まない
それでも最後は楽しい思い出に感謝して見送る和江

27号、150円、143P
田中美智子「少女の小路」40P
赤松セツ子「わすれなぐさは水の色」56P
しのぶゆき「お母さま許して」44P

絵柄からみてしのぶいっぺいさんでしょう
よし子の母は社長秘書をしている
クラスのちづ子はねたんで、じゃがいものおかずなんかお弁当に持ってきてとからかう
よし子は母が服を買ってくれないし、鎌倉へも連れてくれないのでけちだと不満に思う
夜、PTAから特別教室設置のための寄付にくるが母は断る
実は会社がつぶれて暮らしが苦しくなっていたのだった
町で会った同僚の村上さんは焼き芋屋をしている
自分もなんでも働かなければといやがっていたお手伝いの仕事に応じることにする
それがクラスの体が弱いみね子のお宅だった
偶然ちづ子の母に知れてしまいちづ子にも知れる
みね子のパーティに呼ばれたよし子は来て行く服がないので困っていると
母は自分の時計を売って服を買ってやる
ただ呼ばれる先が自分の仕事する家だと知り娘に知られるのを恐れる
みね子は優しい子供でそれを聞いてその日はパーティの部屋の用事はかまわないと言ってくれる
それがよし子はちづ子からお手伝いをしている母の姿を見せられ恥ずかしくて逃げて帰る
家にはみね子が母と連れ立ってきて事情を説明してくれ、よし子も母親と和解することができる

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「少年日本」49年

Zsyonennihon4911


10月号、60円、134P
樺島勝一「サーバルタイガー」口絵
小西茂木「国境の赤リス少年隊」澤田重隆絵8Pカラー
石田英助「びっくり床ヤ」3P読み切り
杉浦茂 4コマ中心に4P
篠崎寿「ゆかいなテレビジョン」
益子善六「陽気な洋ちゃん」2P
那須良輔「とんちゃんの夢」2P
秋永義郎「原子野の花」佐藤泰治8P、広島関連
野村胡堂「大地の上に」三輪孝絵8P連載
赤川武助「エピロスのねずみ」佐藤泰治絵3P
芳賀まさお「コロ犬」5P二回目
山岡荘八「紅顔三剣士」玉井徳太郎絵9P続く
澤田謙「少年隊の凱歌」都竹伸政絵8P読み切り
南洋一郎「鬼丸と月姫」西藤五百枝絵9P

杉浦さんの作は4コマ2本、6コマ2本
牛やおやじなど脇役には彼独特のデフォルメきいたキャラがすでに登場している
Sugiura49koma

12月号より新連載怪奇冒険絵物語 武蔵野寂「天空馬」丘ひろし絵
1回目の内容しかわからないが
東アフリカ、バリアン高原の怪人頭という不気味な形の岩壁近くで土人たちが娘を生け贄に捧げようとしている
これを見た薬物学のエリオット博士一行は助けようと、岩から発煙筒をたいて神の怒りを演出するが
博士の令嬢ローラに身の危険が迫るというもの
絵・構図が美しく注目される
丘ひろしさんは「譚海」や「少年倶楽部」などにも名前が見えず誰かの別名義なのだろうか
Okah49tenkuuma

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「少女サロン」50年

Wsyojosalon5006


6月創刊号、80円、236P
トルストイ「復活」梁川剛一絵が口絵
映画「山花物語」のスティールが4P
柴田錬三郎「涙の紅花」8P三色(赤青)読み切り
「6月のヘアスタイル」も三色(赤緑)
三橋一夫「コルシカの女」美樹英治絵(「コロンバ」より)8P
松下井知夫「こつぶノコさん」2P
吉村貞司「輪つづみの少女」高畠華宵絵6P読み切り歴史小説
筒井敏雄「思い出の白百合」糸井修二絵7P読み切り
倉金章介「白雪姫」、妹に白雪姫の話しを姉が語ってやる形式、9月修了
円地文子「荒野の虹」花房英樹絵16P
「スター物語 田中絹代」8P
柳家金語楼「ラジオ狂少女」市川十士絵6P
大庭さち子「くだけぬ珠」三枝順絵12P読み切り
鹿島孝二「エミ子頑張る」津田穣絵16P明朗小説
加藤てる緒「火影のもとに」渡辺鳩太郎絵6P読み切り
村上元三「たそがれの尼寺」伊藤幾久造絵11P読み切り
ツヅキ敏三「アン子ちゃん」4P、雨降りになって洗濯物を入れたアン子ちゃん
お父さんも迎えに行ってあげると傘持って駅まで行き、履いている長靴を貸そうと脱ぐとぞうりで困った
お父さんがおぶってやるというがかえって恥ずかしいので逃げ出したアン子の足ははだしという落ち
穂積純太郎「ママの椅子」矢車涼絵
高木彬光「死神の馬車」伊勢良夫絵14P少女探偵小説
伊藤佐喜雄「友よ誓わん」三枝順絵42P読み切り

8月号は80円、248P
「こつぶノコちゃん」は
スイカ包んでお使いに持ってきたノコ
おばさんがスイカを出してあげようと奥へ行ったので困って逃げ出すと
帰ってきたいとこの兄さんがスイカを持っているので井戸に冷やそうと投げ込む
そこへおばさんがスイカを出してくれるのでたちまち食べて皮も隠してしまう
兄さんが来るとスイカがすっかりないので井戸から持ってくるとおばさんは新しいスイカのそのまま縁側にあるので不思議顔
Wsyojosalon5107

51年7月号は90円、218P
倉金章介「ピカドン娘」4P、八回目
石田英助「カナリヤ王子」絵物語4P、七回目
入江しげる「WaiWaiグループ」2P、八回目

Wsyojosalon5303

53年3月号、 98円、266P
松田トシ先生の「歌のおばさん」
松島トモ子のグラビア3P
藤田将吾「中将姫物語」高畠華宵江8P
うしおそうじ「あまぐり物語」4P
サトー・ハチロー「桃栗五十三次」太田じろう江
茨木啓一「ミス迷探偵」4P二回目
高野よしてる「おてんばテン子ちゃん」4P
矢代未知「黒いバラの騎士」8P最終回
入江しげる「えくぼのポン子」
シラチナオト「ヒバリちゃん」2P
Usio53amaguri


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「コドモ漫画」46年

Zkodomom46


川津書店刊行、2円50銭で12P
名前は同じだが薄い冊子でカラー頁が多く漫画を見せようという意図から戦前の「こども漫画」とは全く違うもの
会社も名前が変わったとかではないでしょう
ニイゼキケンノスケ「Z光線」4P続きもの、父の発明のZ光線で小さくなったススム少年の冒険もの
芳谷まさる「テッポ玉テッチャン」2P、28コマ
井上タケシ「チンチャンの商売」7コマ
カマダ・ケン「ママゴトシマショ」6コマ
袋三平「勤勉画伯」8コマ この3作が2Pに配置されている
たかのてつじ「チョン吉捕物帖」2P
カタヒラススム「七ヒキノコヤギ」2P、狼に食べられたコヤギを母ヤギが腹を切って救い出す
かわりにつめた石が重くて狼は井戸に落ちて死んでしまうという内容はそのまま
青木しゅん介「太い肝っ玉をもった少年の話」グリム童話より2P
Nizeki46z

2巻3号は 47年 4月刊行で「第3集」となっている
太田二郎「オカメノメン」カラー2P、太田さんの絵柄でなく顔大きなライオンを描くところは童話風の絵でうまい
ウヘノセキヨウ「トンキチノシリモチ」1P
キタダタカシ「ブタノオクチ」1P
ニイゼキケンノスケ「クロスケサン」2P
輪投げ得意なクロス家はダチョウの首を的にして投げている
ダチョウは卵を産み、蛇が狙ってやってくる
クロスケは蛇の口に輪を投げてかめないようにして卵を守ってお母さんダチョウに
大城のぼる「カヘルノカアチャン」2P
タガワスイホウ「カニノカンヅメ」2P二回目
二匹のサルが缶詰拾うがカニが出てきてはされてしまう
今度はアヒルが缶詰に首をつっこんでとれないのでカニがとってやる
亀が来て缶詰をかもうとするが固くてかめない
次に人間が来るので缶詰にカニは隠れるが
火をたいて湯を缶でわかそうとしたので中のカニもゆがいてしまって思わぬごちそう
話しはおもしろいが、田河さんの絵柄は硬い

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「コドモ漫画」40年

Zkodomom4006


6月号、30銭、190P大隆社刊行
表紙は原やすをの「馬とび」
本誌
Hara40sab

原やすを「冒険サブちゃん」7P、10回目
スパイのオートジャイロを追うサブ
縄ばしごにつかまるが切られて墜落するところ、カラスたちに救われる
ジャイロが落とした通信文を横取るとガソリン不足だとわかる
仲間が近くにいるはずとすみかを探す
山口晁作「オ山のコン吉」8P、アヒルの親子相手の狐コン吉のユーモアもの
南よしろ「発明チビ博士」、急な雨で洗濯物取り込むのが大変だと思ったお兄さん博士は滑車ですぐさま取り込める物干しを考案
Imamura40hogaraka

今村つとむ「朗らかポン太」7P、当時標準のゆったりした絵柄
八代宗彦「足軽才助出世話」8P読み切り、中島菊夫風
高橋春雄「ワン吉の絵日記」8P読み切り、はがまさお風
瀧本尚郎「密林の少年王」泉量一絵11P●
秋田四郎「とんだ蛍狩」高橋春雄絵6P読み切り
青柳雪夫「痛快絵物語 無敵孫悟空」志水学6P
新井五郎絵「怪力少年 河野八郎」10P
志野陽次「愛国探偵団」田口邦於絵10P●
北浜登志夫「こっけい絵物語 魚になって」高橋春雄絵6P
阿部義郎「発見物語 ジェンナー」泉量一絵6P読み切り
芝佳吉「幕末の怪剣士」新井五郎絵12P●
速水達雄「少年少女小説 兄さんの戦友」田口邦於絵12P読み切り
山野文夫「おもしろ絵話 不思議国物語」新井五郎絵6P
野原完二「広野の白馬団」田口邦於絵12P 熱血小説●
杉田武四郎「勇将ボルバン」泉量一絵12P読み切り
島垣柳影「塙団右兵衛門」槇戸浩絵8P●

11月号は30銭、160P
戦前の雑誌で漫画はこども風、素朴なものばかりだが、日常ユーモアから冒険ものと幅広く、小説も豊富で「譚海」を思わせる豪華な内容

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金園社の谷悠紀子

谷悠紀子作を求めて何冊か金園社刊行の雑誌「すみれ」「虹」を閲覧する
「すみれ」は60年2月の創刊らしい
年代については「ばくのお宿」の以前アップされていた「虹・すみれ発行月推定表」による

「すみれ」9号
60年10月頃、150円、180P
谷悠紀子「湖への招待」30P
木内千鶴子「白い言葉」30P
花村えい子「夢に見し父」40P
横内ひろみ「ママ早く帰ってね」25P
新城さちこ「海鳴り」46P

水色の表紙に左側にすらっと立つ少女
表紙はモダンなしゃれたセンスで描く谷さんだが
作品、特に扉絵は唇厚く、目がくっきり、下まつげもばっちりの妖艶な少女像
夏に姉と別荘に出かけた水江は湖を見つけ、王子と踊ったという記憶があるが、あまりに現実離れしていて、姉からは夢と片付けられている
別荘のじいやさんが白鳥の剥製を持ってくるが、その下が夜のうち水がたれたのか朝になると濡れているという不思議なことが起こる
じいやがかつてこの地で、殿様の一人娘が若者を恋して山で時々会っていたが、それを知った殿様は怒って若者を殺してしまう
泣く娘の涙で辺りはたちまち湖となり後には二匹の白鳥がなかよく泳いでいたという話を聞かされる
それがこの白鳥事件と関連あるのか興味深くなったところで姉妹は急用で町に帰ることになったと終わりが告げられる

木内さんの絵柄はまだ練れていない、谷さんのような下まつげを描くこともなくおとなしい少女まんが風
花村さんは下まつげも描き、谷さん風絵柄
高校生の明子が毎日出会う中年のサラリーマンは母が別れた父と似ている
そこで最近タンスに偶然見つけた写真を取りだしてながめている
母が写真を見ているところを発見して、話すうち、それは別人で本当の父は遠い所に住んでいると告げる
ある日、男性が手帳を落としたので、そこに自分の父ではないかと説明書きをして当人に落ちていましたと戻したところ
それは人違いですという男性からの手紙が届く
明子は気が晴れて母とまた仲良く暮らすようになるというもの

横内ひろみ「ママ早く帰ってね」
絵柄は普通の感じで建物・調度などの書き込みが多いのが特徴
中学生のルリと妹弓子
弓子が家に戻るとルリが泣いていて母が出て行ったという
学校でもつらそうなルリに担任の女の先生は相談にのってあげ、父親の春野氏も交えてお母さんを早く見つけようと励ます
父と娘たちの暮らしが始まったある日、ルリの友達みどりのお兄さんが修学旅行で東京に行った時、レストランで働いているルリのお母さんを見かける
兄さんはルリちゃんたちのために帰ってあげるよう説得したという
お母さんは自分から家を出て戻りづらいという気持ちだったらしい
居場所もわかったのでさっそくお父さんが電話して迎えに行くという
明日には戻って来るというのでうれしさで終わる
新城さちこ「海鳴り」
絵はゆるめだがこの頃からストーリーには厳しいものがある
両親を失った兄妹が紀ノ村で暮らしていた
妹は中学生で由紀という、兄が働いてなんとか暮らすのだが
映画を見た帰り、着物を着ている千鶴という古風な女性と知り合う
兄と千鶴はしだいに親しくなって行くが、ある日、兄が酒を飲んで帰ってくる
やけになった様子に心配した由紀が聞くと、千鶴は魚問屋へ嫁入りしたという

「すみれ23号」
表紙は薄紫色の谷さんの絵、エレガントですがリアルな顔立ちのヒロイン像
170円、148P
谷悠紀子「悪夢」
小坂井ひさ「マリと相沢先生」
楠恵子「和解する日」
嵯峨みゆき「黒い白鳥」

「すみれ25号」
170円、148P
木内千鶴子「花の命を・・・。」絵はゆるめ
小酒井ひさ「少女の道」構図は少しくずれ気味
楠恵子「ママ!って呼びたい」絵柄はデザイン風
矢代まさ子「太陽の下」
この号は谷作品がなく矢代作品が注目される、39P
「太陽の下」は絵柄がゆるく構図も今ひとつだが内容は矢代さんらしく光るものがある
母は志穂に友達の野々木ゆきなとつきあうなと言いだす
父を死なせた医者の娘だとはじめて聞かされる志穂
志穂もゆきなが幸せに暮らしているのがにくいと思うようになり、しだいに遠ざける
「憎しみが憎いだけ」と言い残してゆきなから去ってゆく
その話をゆきなの父は江島さんと志穂の苗字を聞いて複雑な気持ちに
ゆきなの姉ゆきえはしばらくして歌の発表会があり第一部が終わった後、不審者がコップにいれた薬のため声が出なくなる
逃げ出した人影を見て志穂のしわざと知るゆきな
学校の教室でゆきなは志穂に問いかける
答えない志穂にゆきなは黒板に「姉さんが病室で待っている」と書く
病室を訪れた志穂に対しゆきえはのどが悪くなるのもかまわず父の弁明を始める
「父は医師として力を尽くしたが病気の方が強かったのだ」と
志穂はただ「許して」とだけ言い残して去る
母の悲しみをみてなにもかも憎くなったのだと気が付き、追ってきたゆきなとようやく和解することができた
空に浮かぶ太陽は二人の希望に見えるというラスト

「虹31号」62年
170円、148P
谷悠紀子「あこがれと悲しみと」30P
楳図かずお「あなたの青い火が消える 後編」25P
桑田知子「虹を心に抱いて」30P
新城さちこ「偶像」40P
花村えいこ「のんきなママ」は軽いエッセイ
大阪の川舟生活者の那須智子
陸地に住むおばさんの家に住みたいと言い出す
母の妹とその夫は同じような川舟の生活をしていたが10年陸に上がって以来成功し金持ちになっている
そこの娘和子は智子と同じ年で住んでも良いと引き受けてくれる
ただし姉さんはあまり家に寄らないでほしいと釘をさされる
中学からハワイ水泳大会出場予選に二名選手を出すことになり和子は校内予選で勝つ気がまんまんだったが
予選直前、智子も出たいといいだし、水着もないのにシュミーズ姿になり出場
これが二位に入り和子は3着となったから腹立たしく納まらないというところで次号へ続く
楳図さんのものは後「少女フレンド」でリメイクされたもの、この号は後編になっている
今日子はボールが頭に当たってから、人の頭の上に火が見えるようになる
それが消えるとその人が死ぬということがわかってくる
花田さんも自動車事故で急になくなったし、近所のおばあさんも火が消えかけている
友人の恵子に打ち明けるが、恵子の頭の上を見る勇気はない
自分のことも恐ろしくて鏡を見られないという状態
左目が熱を持つようになり、翌日熱がさめると火は見えなくなったという奇妙な話

「虹34号」
170円、148P
谷悠紀子「春の日のゆめ」30P
花村えい子「白いレインコート」38P
さがみゆき「黒い花かげ」31P
山谷ルミ子「白い花咲く丘で」25P

「春の日の」
草の実学園で暮らす奈津子
親面会の日に、小さい美代がお母さんが来ないと泣いている
野原に出てあやしていると臨時出勤があって遅れたと母親がかけつける
自分には訪ねてくる母親はいないと思っていると
通りがかった夫人と親しく話すうち、昨年奈津子によく似た娘を亡くして思い出してしまったという
その人は奈津子の母になりたいと言ってくれる
デパートで買い物したり楽しい時間を過ごすが、追われているらしくその日は奈津子にお金を渡して別れる
帰りがけ、その夫人がつかまって連行されてゆくのを見る
偽金を作っている一味だったらしい
奈津子がもらったお金も偽金だと思い川へ捨ててしまうが、それは夫人がためた本物のお金だったという皮肉
ところでデパートの中で「谷悠紀子」が靴の買い物をしていて、誰かが「漫画家の谷悠紀子よ」と言うので奈津子が「誰なの?」と思う場面が挟まっている
呼んだ女の子に谷さんが「サインしてあげようか」と言うと「いらない」とそっけなく去るというユーモアが
「白いレインコート」
文化学院の声楽科に通う妹チャコを待つ桃子は白いレインコートを羽織る気取り屋さん
自分も同じビルの演劇部で勉強を始めたばかり
演劇をやる元気なさつきという女の子と知り合うが継母が病気になり故郷へ戻るという
元は継母がいやで逃げるように東京へ来て演劇に打ち込んでいたさつきだがいざその継母が病気になると悲しくなったらしい
「黒い花かげ」
少女スター白鳥みち子の付け人をしている美和かすみ
みち子が崖から足を踏み外し落ちそうになるのを見ぬふりをして見殺しにした
かすみはその後、みち子の後をついでスターになるが・・
目撃した少女がいて、その後見つかった手帳の指紋がかすむのものと一致して逮捕に至る
警官がかけつけた劇場、舞台からマネージャーたちがかすみの最後の舞台になるのだろうと見守るラストは厳しい
「白い花咲く」
中学二年生のバスケット部クリちゃんは元気者
絵を描いていたおとなしい少女ユキと親しくなるが、ユキの知っているマツ江という不良少女がクリちゃんに似ているという
マツ江は父が事件を起こして死刑囚となり、まわりからは理解されず一度は不良を止めようとしたが父のことがあり自殺してしまった
山谷さん描く少女像はわりに大柄

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「冒険王」63年2月号

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ミサイル式洋弓/ゼロ戦レッド/烈風五郎/ジャジャ馬くん/ザンバ/ミスター巨人
160円、288P
関谷ヒサシ「ジャジャ馬くん」8P
貝塚ひろし「ゼロ戦レッド」7P
小沢さとる「烈風五郎」9P
伊東あきお「ミスター巨人」16P
くぼたまさみ「おいら孫悟空」24P
吉田竜夫「ハリケーンGメン」25P
ムロタニツネ象「ピカドンくん」16P
一峰大二「パンチ・ケン」24P

「ジャジャ馬くん」
おじいさんは息子竜太郎が反対を押し切りプロへ進んだのでプロ野球を憎んでいる
球場作りには応援してくれたが、プロの猪木さんが練習に参加するのは認めない
それならと、部員は野球を止めると言いだし、隣町との対抗ではなをあかしてやりたいおじいさんは大弱り
仕方なく猪木参加を認めるが

「烈風五郎」めくらの剣士烏丸信秀に戦いを挑まれた五郎
この場は分けたが、信秀は服部半蔵に狙われていて傷を負い五郎の所へ逃げてくる
小屋に逃げ込んだと見た半蔵たち忍者が入ってきて五郎達ともみあいになりそうだが
肝心の信秀はどこにもいず、無礼をわび引き揚げて行く
しかし、付近まで来ていた信秀は様子をうかがっていたらしくすでに小屋の中へ忍んでいた

「ジャジャ馬くん」はプロ球団イーグルスに入った
村雨コーチはなにかと天馬の欠点を指摘し姿勢を直すように求める
自分で悪い所がないと思う天馬は村雨コーチを怪しむようになる
実はコーチは他球団の回し者で、さすがに良心がとがめるのかやくざ風の男にもう止めたいと言い争っている場面を見る
男がなぐりかかるのでその場を納めた天馬、コーチは翌日引退を表明する
水を得た魚のようにホームランを打ち出す天馬
ジャガーズの谷川投手は監督から天馬を敬遠するよう指示されるが真っ向勝負してくる
天馬はみごとに25号ホームランを打つ
12月号で終了し、64年からは「ジャジャ馬球団」、名前こそ似ているがそちらはユーモアものなので「ジャジャ馬くん」とは随分違う内容

10月号より「烈火烈風」
竜城寺大助は本丸を守っている
父と弟三郎は国境の鳴海城を固めていたが、斎藤道三が裏切り侵攻してきたため鳴海城は風雲の灯火となっていた
30騎の精鋭と助けに駆けつけたが城へは近づけない
天守閣からは火の手があがっている
12月号で大助は城へ戻り道三の軍に備えている
使者がやってきて馬の上では捕らえられた三郎がはりつけになっている
大助が降参しないと三郎の命はないと脅してくる
大助は槍を持ち出して三郎をさそうとするがさすがに思いとどまる
しかし覚悟した三郎は大助の前で舌をかみ切って死んでしまう
大助は父弟の仇、道三を倒す決意を固める

4月号では道三の陣地へ攻め込む
川をはさんで対峙するが道三の軍勢が数で圧倒的に勝り
出陣した前進隊の勝ちを信じて道三は陣営で構えている
川原に煙幕をはり敵をかくらん、泥田に誘い込んで馬を動けなくしたり、立てた竹槍につっこませたり道三の軍勢を翻弄する
一方で大助たちは川上を迂回して本陣を急襲し道三を討ち取り物語は終了する

1月号では12月で終了した「サーカスジン太」に続いて「メチャクチャNo1」が連載される

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内田善美「ソムニウム夜間飛行記」82年

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10/10に一刷が出て25日にはもう2刷が出ているからけっこう人気だったみたい
ただし、これは内田さんの幻想的画集で一枚の絵に1頁の文章がついた11の小品集
「パンプキン」のようにまんががあるわけでなく、「白雪姫幻想」のように何頁にわたるストーリーがあるわけでない
ローカル・ニュース 「その夜 星に魚が降った」で始まる不思議な詩、絵は魚が多数空から降っている
郵便配達夫 テレポートできない天使ゲイブリエルは気球自転車で郵便物を届けている
東の地に郵便受けを持たない家の快活な娘マリアに手紙を届けることで、彼女は懐妊する
謎々遊び(リドルズ)
コレクター 写真趣味の少年は写したはずのない少女が写ることに不思議で夢中で写真を撮りまくり
行方不明となったある日、母が少年の部屋に飾られた多くの写真の中で少女とおさまっている少年を発見する
月物語 南北戦争頃、月に有翼人が住むという記事が新聞に載る

卵(夏の卵) トムとチャーリーが浜辺で見つけた卵が孵り、チャーリーは行方不明に
結婚したトムはある日、孵った「それ」(絵は恐竜風)をかくまうが、チャーリーを食べたのが「それ」だと確信する
ソムニウム これのみカラー見開きで文なし、右に赤電話ボックス周辺を泳ぐ深海魚たちと浮遊する宇宙飛行士
左にムーンプラネット社のウィンドウに宇宙飛行士の模型?、車道ではオープンカーを運転するペンギンが
ラグタイム
機械人形
航空家
あとがき

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石川球太「ザンバ」冒険王連載

62年6月号
火の水(温泉)はザンバの足やコンゴの傷を治す力があると知ったサンバ
赤毛族の槍がささっているのをぬいてやりコンゴを火の水にひたし治してやる
これ以後、コンゴはザンバの仲間となる

10月
つかまっているイグアナだが、ザンバがひそかに治す水を与え回復している
ゴンゴロと戦わされるが、両側から弾の出る鉄棒を武器にゴンゴロを倒す
赤毛族が襲いかかるが、チョムンガが機転をきかせ、しまうまの檻をあけ部落へ追いやると大混乱
これに乗じてみんな逃げ出し、大門を間一髪抜けてる
イグアナたちは七つの部族長と会談し、今まで自分たちを押さえつけていた赤毛族へ反乱を企てることで同意する
赤毛族はゴンゴロの遺言に従い死体を死の谷の火の水へ沈める
毛長部落へ戻ったザンバは自分がピオ川の岸辺でかごに乗って流されてきた赤ん坊だったと知る
その時、星の声がして、この子が部族を救うことになると予言し、髪の毛に力を与えると言い残した
ザンバの怪力は髪の毛に秘密があるらしい

63年2月号
赤毛族は敗れ、ガルボ婆と酋長は砂漠を逃げ落ちる
シバ女王率いるペピ族が二人をとらえるが、日食を利用してガルボ婆はすっかりペピ族を手なずけてしまう
ペピ族の標的はザンバたちとなり、数多くの豹をさしむける
豹を倒すと、ブーラという巨人が登場、これはザンバ以上の怪力
さらにザンバが投げるたびにブーラに力を吸われるのか相手が力付いてくる
象のテンホーが助けに来てくれその場を逃れることが出来る
9月号では
女王はブーラを鏡で脅して手なずけていたが、その鏡をなくしてコントロールがきかない
目をやられたザンバはブーラを湖の方へ誘い出し、ともに水中に落ちる
目つぶしのききめが消えて自由に見えるようになったザンバはブーラを倒す
女王にだまされ髪の毛を切られて力を失ったザンバだが、毛長族の信仰を信じて力を失ったと思っただけで
力はザンバの中に備わっていたので思いを克服して力を取り戻していた
女王は幼い時、魔王がさらってきたとわかり、父を殺した魔王を仇と追う
魔王は金を持ち逃げしガルボ婆とベニン王国へ入ったらしい

10月号でザンバはベニン王国へ入るが、王兵に迫られ、黒ひょう隊のダムレに救われる
12月号
ベニン城へ入りとらわれたシバを助けたザンバ
ベニン王が巨大化して力をふるう
追われて谷に落とされ上から岩が雨のように降る
巨象に乗るローグの使者と名乗る白王が現れ王と一戦交えベニン王も退散する
黒ひょう隊のダムレが白王の配下だと知ったザンバは白王に従うことにする
白王はサムライの術という拳法をザンバに教えてくれる
白王のかぶる仮面はザンバの持つ般若面と似ていてひょっとすると父ではないかとザンバが思う
ベニン王の行列をさぐっているのを悟られ、ガルボ婆につけられたザンバ
ダムレの隠れ家でイグアナ、チョムンガ、シバと再会するが

64年1月号
王軍に火矢を射られて小屋が燃え出す
出てくるところを仕留めようとした軍だが、みんなは地下道を通って逃げ延びる
一気に勝負に出ようとタブー谷で白王勢が集合する
ザンバは白王が父だと気になり、まず白王の所へ急ぐ
ザンバの行方を崖の上から見つめる人影、タブー谷の結集も王軍には知られてしまっているというところで次号へ
「ザンバ」が次は

4月号
いよいよベニン王城を攻める大決戦
城からは新兵器、カブトガニのような戦車が次々と出てきて苦戦する
じっくりと見ようと言う戦法で、鉄の中に二匹ずつ馬が入って動かしているだけのものと知れる
粉砕塔を使って城へ入りこむ白王軍
王は城壁をくずし、付近の地面をくずして混乱させる
次々に繰り出される兵士に白王軍は退却
戦利品として捨てられた木製の巨象ローグを城に運び込んで酒盛りが始まる
夜になって木像の中にひそんでいたザンバたちが出て城門を開け戦闘を有利に
ベニン王は巨大化するが大部分はまぼろしと見破った白王が切る
魔王とガルボ婆は混乱に乗じて宝を持って逃げようとするが城全体が沈んで行くのにのまれる
王は滅び白王は去る
自分の父と思っていたが、白王の口から別に父はいると教えられさらに探す旅を続けることに
シバはバッシ族の母親と再会して国に戻る
シバもザンバと同じお守りを持っていたはずだが、それはザンバの父からもらったものだったのだろうか
4月号の最後数頁でザンバ第四部へ
ジンバブエに向かったザンバは至る所でドクロの死斑が出て死んでいる動物を見かける
恐ろしい病が流行っている土地へ進んでいるというところで次号へ

増刊号にも「ザンバ」が読み切りで掲載される
63年新年増刊号
クレムリン鉱石を求めてジャングルにやってきたA国のタンクをめぐる戦い
A国の探検隊のタンクにはさすがのザンバの力でもかなわない
B国がスパイ飛行機を送ってきていて、付近にあるクレムリン鉱石を求めている
ザンバの投げた石おのも鉱石らしいが、元は上流のコブラ族の土地にある
向かうのは危険だとザンバも同乗するが、目的地に着いて鉱石のありかがわかるとザンバは用がないとタンクの三人はザンバを追い出して

しまう
A国の兵士も鉱石ねらいの悪党とわかったザンバはタンクを崖から落とし、三人を鷲に乗せて追放する

63年夏増刊にキャボキャボの巻32P
イグアナの知り合いであるニジ部落を訪れたサンバたち
キャボキャボの実を奪いに来たと思われ襲われる
ゴロ族の男達はザンバの力と対抗する程の力持ちでつかまえられる
コンゴはキャボキャボの実を食べゴロ族になついてしまう
なんとか逃げ出した一行はニジ部落へついて事情を知る
数年前、大水で流れてきたキャボキャボの実を食べたことでゴロ族は力を与えられニジ族に戦いを挑んでいる
コンゴは敵の仲間になるが、なぐられて正気に戻る
大水が再び到来していて、チョムンガが堤の石垣を壊して大木を流すのに成功する
キャボキャボが流されるとゴロ族たちも正気に戻って平和が訪れる

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「冒険王」62年夏増刊号

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150円、218P
貝塚しげき「ゼロ戦レッド」が8Pで付録へ続く
小沢さとる「少年マーチ」32P、太平洋戦争中の小島での激戦に巻き込まれる日米の少年の物語
加賀五十六「魔影・伏影」24P忍者もの(加賀さんは棚下照生さんの別名義)
金山明博「少年プロレス王」24P
石川球太「ザンバ」18P
田口欣也「発明博士チョンタくん」6P
ムロタニ・ツネ象「ピカドンくん」16P
沢田みのる「ロボットレスラー」16P
井上さとる「潜望鏡をさげろ」16P
Tanakat62makage

増刊なのですべて読み切り、連載ものは番外編が載っている
「魔影・伏影」
伏影の首領は抜刀が得意技
敵、魔影の早抜きで切られる
魔影はねずみを取る猫の動きが自分の早抜きよりすばやいことをヒントに猫と競争
ようやく猫よりねずみを早く切ることができてこの戦いに挑んできた
伏影の部下達は赤ん坊の息子を連れて逃げ出す
息吹丸は水中にもぐり赤ん坊に自分の息をすわせて時間をのばす
それほど長く水の中に潜れるはずがないと忍者達が去った後、赤ん坊を水上に出すが酸素を譲った息吹丸は息絶える
赤ん坊を取り上げたじいやが育てて10年
白刃飛びの術を会得した息子が魔影に挑む
手下たちはじいやが毛術(髪の毛が鉄針のように硬くなり相手を貫く)で倒し、最後は相打ち
魔影をしとめた白刃飛びがなんとも大変な技
じいやが子供を熱い鉄板の上に置いて反射的に飛び上がらせるという修行を繰り返して会得させたものだった

「ザンバ」
クレムリン鉱石を求めてジャングルにやってきたA国のタンクをめぐる戦い
Inoue62bouenkyo

「潜望鏡をさげろ」
イ58号潜水艦は駆逐艦を魚雷で倒すが浮上したところ敵の哨戒機に発見される
機銃で一機は撃ち落とすが一機に逃げられすぐにも新手の駆逐艦が接近する
潜水するが爆雷を浴び、近くの海底で潜む
駆逐艦も離れず浮上を待っている
酸素がもつ時間の2時間を超え、このまま窒息するか浮上して爆破されるか選ばねばならない状況になった時
一計を案じて重油を大量に流してみる
駆逐艦は潜水艦が大破したと見て引き揚げようとしたところ浮上して魚雷を撃ち込む
爆破した駆逐艦はあとかたもなくふっとんでいる
普通なら船の残骸が残るはずなのにと不思議がっている乗組員たち
ナレーションは敵駆逐艦は東京へ落とすための三発目の原爆を積んでいたと語っている

新年増刊号の方は、150円、234P
小山春夫「コマンチェロ」16Pというのが珍しい西部劇
井上さとる「アパッチ牧場」20Pは連載の番外編

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講談社絵本「まんがまつり」55年

Irie55pokkuri


入江作品で検索して閲覧してみると絵本シリーズ
その中にまんが集もあるんですね、珍しいので初めから終わりまで読んでみました
やはり入江さんのものが内容・絵とも光っている

5月刊行、100円、52P
花野原芳明「かみなりごろちゃん」8P
疋田信明「ぞうのおつかい」4P
安孫子山彦「ゆかいなおあま」2P見開きのパノラマ図
入江しげる「ぽっくりちゃん」4P
はがまさお「もりのだいサーカス」6P
瀬越憲「ふしぎなばいおりん」3P、ディズニー風の動物たち
ここまでカラーでここから三色刷
のざわかずお「おなすはん」3P
さいとうくにを「ちびすけ日記」2P、64コマ
宮坂栄一「カメラ」4P
はがけいこ「ぞうのあかちゃん」2P
山根赤鬼「あきらちゃん」6P運動会の巻
畠山一夫「どんぐり大将」6P
小野寺秋風「かばのさかなつり」1P、小野寺さんのくせが見えない普通の絵柄

山根さんが6Pと活躍しているが、ここでは滝田風の絵柄
といっても滝田さんは55年では「カックン親父」の絵柄ではないか

入江さんの「ぽっくりちゃん」は
樽でおみこしを作った男の子
上に乗るのは本当のにわとりでぽっくりちゃんが見ると卵産む
本物のみこしとお宮まで競争しようと挑戦され
二人でみこしをかつぐ
ぽっくりちゃんが急いだため本物にぶつかり
担ぎ手は前のおじさんにぶつかって大目玉
怒った連中は間に合わせのみこしを解体してしまう
樽を作り直そうとしてもうまく行かず
川へ落ちてしまうが、樽に乗って二人はみんなより先に村まで戻ってゆく

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「少年クラブ」46年

1月号は80銭、52P
グラビアが樺島勝一絵、伊藤左千夫歌の「雪の3月」
続いて河目悌二挿絵で「雨ニモ負ケズ」
土屋由岐雄「虹の小道」樺島勝一絵9P新連載、探していた本当の宝は誠の心だったということで7月号で完結
帷子すすむ「日出(ひで)ちゃん」2Pで10コマ
フクちゃん風の少年が主人公、背比べして近所の子に負けたので下駄はいてゆくと、向こうも竹馬に乗ってくる
それならと日出ちゃんは木に登ってやりこめるが、今度は自分が降りられずべそかいて・・
5月号まで掲載あるが(6月号所蔵なく)7月号にはなし
大佛次郎「楠木正成」斎藤五百枝絵7P

6月号より獅子文六「広い天」田代光絵
7月号より横井福次郎「不思議な国のプッチャー」新連載2P
自然動物園に乗り付けたプッチャーはオランウータンを連れ出す
プッチャーは動物連れだし特別許可No3を受けている
家に戻ってオランウータンがロボットだとわかる
お父さんの博士が作ったもので、今は人間型のロボットを作っている
できあがったのがまるで少年のようなペリー
ところが、博士は間違って十万馬力の

まんがは少なく12月号に佐次たかし「負けずぎらひ」1Pが載るくらい

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謝花凡太郎「海底王マーちゃん」34年

Saka34kaiteiou


謝花さんの作品は随分古いもの
内容はしっかりしている、時々現れるカラーも美しい
戦後出版されて貸本につながる単行本の走りみたいにも思えるがカラー頁が初め16Pとかでない変則なので別物か

中村書店刊行A6版、75銭、160P三色刷り、20頁ごとに2Pずつカラーが入っている
ブルドッグのピイ公とマーちゃんは潜水機で海底の竜宮をめざす
タコが現れマーちゃんにくらいつくのをイカの中隊長がこらしめる
中隊長は水中薬を飲ませてくれたので潜水機なしで呼吸ができるようになる
イカとタコの戦闘が始まると、マーちゃんたちはタコの城を見つけて大将をやっつけて降参させる
タコのはしごを作って海上に出ると、そこには海賊船
見張りは一人なのでやっつけて、近くに見える岸に上陸
海賊の洞窟に入り手下になるが、スパイとわかって海賊王につかまってしまう
鷲に乗って牢屋から逃げ出し、沖の海賊船へ戻る
そこから弾こめて砲撃して海賊を退ける
100Pではひきがえるの王様と戦い、倒すが出てきたあぶくに閉じこめられる
森の神が現れ、かえるを退治したほうびにあぶくごと海へ吹き飛ばしてくれる
イカ・タコと再会し、大敵くじらを倒してくじらに飲まれた仲間を救出
6人はすでに溶け去っていたので忠魂碑を作り
この手柄で竜王の御殿へ呼ばれ海底王となるマーちゃん
竜宮の執権は平知盛(とももり)
マーちゃんの薦めで新式の兵器を採用し海底を大改革して大団円

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「少年クラブ」47年

1月号は5円、80P
巻頭がカラーの名作紙芝居シリーズで新年号は「レ・ミゼラブル」火野千與脚色、松野一夫絵8P読み切り
吉田甲子太郎「兄弟いとこものがたり ヒロシの元旦」河目悌二絵7P、12月号まで連載
花沢光治良「新しき学校」猪熊弦一郎絵7P
横井福治郎「不思議な国のプッチャー」4P
街のど真ん中、空中でペリーが歩いている
これを見た悪人達がペリーを悪事に使おうと怪飛行機を出してさらってゆく
バルンバルン博士は透明外套を発明していてプッチャーとともにペリーを奪い返しにゆくことに
獅子文六「広い天」田代光絵7P、10月号完結
サンド「もにをいふカシの木」(杉捷夫訳)耳野卯三郎絵

2月「少年絵解きブック」というタイトルで山川惣治が世界の七つの驚異を描いている、これより時折挿絵を入れているがやはり山川さんの

絵はリアルで目をひく
4月、海野十三「宇宙の迷子」松野一夫絵が10月まで連載
11月に冒険物語、小出正吾「無人島の四年間」松野一夫絵が12月と二回連載

少年クラブ挿絵の筆頭は松野さんという感じ

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酒井七馬「ビックリ坊ヤ」47年

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児訓社5月刊、5円、16P三色刷り
酒井さんの漫画は文学館にはほとんどなく、問題となる「宝島」系統の冒険ものは皆無でこれが唯一の漫画、幼年向けのもの
各頁はだいたい4コマ、「坊ヤ」は12Pであと4Pに大阪ときたの「ヒロッタ玉子」が
ケンちゃんは隣のお姉さんに配給を取りに行くので赤ん坊をみていてと頼まれる
ぐっすりねていると見て、赤ん坊を横に置いて勉強を始めると寝ていたはずの赤ん坊二階にのぼってゆき
洗濯物が珍しくつかもうとして下に落ちてしまう
クリーニング屋の配達自転車かごに入って連れられて
自転車が止まると横に止まっていた野菜つんだトラックの荷台に乗り移る
車はそのまま配給所につき、お姉さんがもらった野菜から赤ん坊が顔を出す落ち
この本の大きさがだいたいB6サイズ
ほんの少し長いサイズで同じく酒井さんの「ロバ物語」同年5月児訓社刊で6円、16P
はらぺこのロバが猿から炭俵を町まで運べば食べ物やると言われ、背負うが多すぎて落としてしまう
今度は荷車引く馬をさがす熊さんの所へゆくがこれも重くて引けず腰抜けロバと言われる
狐が山羊の所に連れて行くが、ロバは自分から腰抜けなのでと正直に言うので食べ物をもらう
狐の家が火事になるとロバは飛んで入って子供を救い出しみんなから感謝される

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「少女クラブ」46年

4月号、5銭、56P
吉田弦二郎「野ばらの歌」田代光絵7P、シューベルト伝記
光吉夏弥「蜜蜂さん」耳野卯三郎絵8P
大原富枝「昌子と珊瑚細工」蕗谷虹児絵8P読み切り
細川武子「乙女の國」吉澤廉三郎絵7P
サトー・ハチロー「それから物語」河目悌二絵8P
最後の2大連載が12月まで続く
まんがはなく
5月号でカタビラススム「まいた種」という8コマが1P載るのを皮切りに毎号一つくらい四コマまんがが載るくらい
連載ものは46年にはない

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木山シゲル「月光の天使」57年

「少女クラブ」10月号付録
9月号に始まって、ロッテ夫人の過去という肝心部分がわからなかった所を付録で確認できた
レハール氏が娘ロッテを屋敷の屋根裏に閉じこめていたのは
20年前にマイヤ夫人との間に生まれた娘エレーヌがさらわれ、探し求めて見つからずマイヤは気が狂ってしまった
10年後、ロッテが生まれるとマイヤ夫人は正気に戻る
レハール氏はロッテがさらわれてはと屋敷に閉じこめるが、マイヤ夫人は哀れんで娘を連れ出す
連れ去ろうとしたマイヤ夫人をレハール氏が鉄砲で撃って死なせてしまう
レハール氏は気がおかしくなっているとこの件は無罪となり、以後、ロッテを厳しく閉じこめ出さないでいた
そこへバイオリンを弾く怪盗月光夫人が現れ、ロッテの屋根裏へ忍び込み、ロッテに演奏してきかせる
夫人は演奏代金として多額の金を盗んで行く
フィールド新聞社のピート少年が事件をさぐりに登場
月光夫人はかつてサーカスでいたことをつかむ

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「少女クラブ」61年夏の増刊号

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150円、392P
牧美也子「白い星座」16P
細川千栄子「二つのバレー帽」24P
赤塚不二夫「しろいかっぽうぎ」15P
横山たかし「緑の川風」15P
桑原えみ子「あけみのやしん」16P
細野みち子「ふたりの歌」24P
キクチヒロコ「のんちゃん」8P
山根あかおに「めだかちゃん」8P
よこたとくお「アンコさん」12P
西谷祥子「ふたごの天使」8P
古井戸のりこ「二人のぼうし」14P
下川洋子「母のかんざし」18P
東浦美津夫「そして今もしらさぎがなく」18P
谷ちはる「もぼろしとりでの少年」24P
石森章太郎「龍神沼」48P
あすなひろし「霧と森と泉と」24P
武内つなよし「黒い島」
Hosono61futari

「白い星座」
湖の山荘を訪れた青山ノリコ
湖の向こうに見える白い山荘を訪れると同じ年くらいの由紀という少女がママがなかなか来ないとさびしそう
時々おじゃますることになるが、ノリコがある日訪れた時、由紀はいず昨日食べ残したお菓子が置いてあってそれを見て驚愕する
自分が食べた分は減っているが由紀が食べたはずのものがそっくり残っているのだった
実は由紀はすでに死んでいてママへの未練でこの世に残っていた
嵐の夜、天に昇ってゆく
由紀が待っていたママも先に別荘へ来る途中、交通事故に遭いなくなっていて天国で二人は再会することに
Kuwabara61akemi


「あけみの」
お金を盗んだと疑われ、孤児院を出て行くあけみ
戻ってくるが働き口もなく倒れていたのを見つけたリカが助けて近くの小屋で住まわせる
リカが食事を残して運んでいるのを知ったマリ子はリカを問い詰めるが・・
「ふたりの歌」
村の中で目が見えない少女と出会った美佐子
少女はマリというが友達になろうという美佐子の呼びかけを拒否する
マリをいじめる子供達に反対したりするうちにマリも心を許すようになる
しばらくして美佐子は東京へ戻るが車にひかれ、それが元でなくなってしまう
美佐子はマリのことを思い、死ぬ間際に自分の目をマリに提供するように申し出る
そしてそのことは決してマリに告げないようにとも
目が見えるようになったマリは今も美佐子が現れるのではないかとあの野原で待っているというラストはしんみりする
Takeuti61kuroisima

「黒い島」
ケイ子は医師の兄花丘一郎と無医村の島へやってくる
島では祈祷師のおばばが病気を治しているので医師が来ることを猛反対している
一郎たちは着くなり、道でのっぺらぼうの男と出くわす
おばばが崇拝するお光さまをじゃまされないよう仕組んだ仕業とわかり一郎たちが認められる

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アニメ「仮りぐらしのアリエッティ」

最近、映画館に行くことがほとんどなくなり、ジブリの映画もごぶさた
「ポニョ」は子供向けすぎみたいでパスしたし(テレビで見るとけっこうよかった)
「アリエッティ」の時は行こうかとも思ったが暇なくて見に行けず
「コクリコ坂」もさらに地味そうでパス
それでDVDも借りていず、テレビでやるのも期待はそうしていなかった
のだけれどよかった
冒険ものではないし、お母さんがつまかる事件もけっこううまく解決するし
少年とアリエッティに深い出会いがあるわけでないので、別れもあっさりめ
アリエッティには自分たちの暮らし、未来が大切そう

何がよかったといえば
背景の家具とか草花とか、翔の家の部屋もなかなか素晴らしい色遣い
それより
初めの方でアリエッティたちが最後の小人かも知れないと言う場面にはどきっとする
アリエッティたちは人間の姿を借りているが「平成狸合戦」のように人間のすぐ側に暮らしながら追いやられて行く生き物の喩えのようだ
翔は心臓を病む弱い存在だが、それでもアリエッティたちの世界とは交わることはない
アリエッティたちの行くすえがとても気になって見て行くアニメなのだが
その裏に人間の存在があるということが、この映画を平静で見ておれない大きな理由なのかもしれない

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「冒険王」63年2月号

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ミサイル式洋弓/ゼロ戦レッド/烈風五郎/ジャジャ馬くん/ザンバ/ミスター巨人
160円、288P
関谷ヒサシ「ジャジャ馬くん」8P
貝塚ひろし「ゼロ戦レッド」7P
小沢さとる「烈風五郎」9P
伊東あきお「ミスター巨人」16P
くぼたまさみ「おいら孫悟空」24P
吉田竜夫「ハリケーンGメン」25P
ムロタニツネ象「ピカドンくん」16P
一峰大二「パンチ・ケン」24P
Kubota62songoku

「ジャジャ馬くん」
おじいさんは息子竜太郎が反対を押し切りプロへ進んだのでプロ野球を憎んでいる
球場作りには応援してくれたが、プロの猪木さんが練習に参加するのは認めない
それならと、部員は野球を止めると言いだし、隣町との対抗ではなをあかしてやりたいおじいさんは大弱り
仕方なく猪木参加を認めるが
Ozawa62reppuu

「烈風五郎」めくらの剣士烏丸信秀に戦いを挑まれた五郎
この場は分けたが、信秀は服部半蔵に狙われていて傷を負い五郎の所へ逃げてくる
小屋に逃げ込んだと見た半蔵たち忍者が入ってきて五郎達ともみあいになりそうだが
肝心の信秀はどこにもいず、無礼をわび引き揚げて行く
しかし、付近まで来ていた信秀は様子をうかがっていたらしくすでに小屋の中へ忍んでいた

「ジャジャ馬くん」はプロ球団イーグルスに入った
村雨コーチはなにかと天馬の欠点を指摘し姿勢を直すように求める
自分で悪い所がないと思う天馬は村雨コーチを怪しむようになる
実はコーチは他球団の回し者で、さすがに良心がとがめるのかやくざ風の男にもう止めたいと言い争っている場面を見る
男がなぐりかかるのでその場を納めた天馬、コーチは翌日引退を表明する
水を得た魚のようにホームランを打ち出す天馬
ジャガーズの谷川投手は監督から天馬を敬遠するよう指示されるが真っ向勝負してくる
天馬はみごとに25号ホームランを打つ
12月号で終了し、64年からは「ジャジャ馬球団」、名前こそ似ているがそちらはユーモアものなので「ジャジャ馬くん」とは随分違う内容

10月号より「烈火烈風」
竜城寺大助は本丸を守っている
父と弟三郎は国境の鳴海城を固めていたが、斎藤道三が裏切り侵攻してきたため鳴海城は風雲の灯火となっていた
30騎の精鋭と助けに駆けつけたが城へは近づけない
天守閣からは火の手があがっている
12月号で大助は城へ戻り道三の軍に備えている
使者がやってきて馬の上では捕らえられた三郎がはりつけになっている
大助が降参しないと三郎の命はないと脅してくる
大助は槍を持ち出して三郎をさそうとするがさすがに思いとどまる
しかし覚悟した三郎は大助の前で舌をかみ切って死んでしまう
大助は父弟の仇、道三を倒す決意を固める

4月号では道三の陣地へ攻め込む
川をはさんで対峙するが道三の軍勢が数で圧倒的に勝り
出陣した前進隊の勝ちを信じて道三は陣営で構えている
川原に煙幕をはり敵をかくらん、泥田に誘い込んで馬を動けなくしたり、立てた竹槍につっこませたり道三の軍勢を翻弄する
一方で大助たちは川上を迂回して本陣を急襲し道三を討ち取り物語は終了する

1月号では12月で終了した「サーカスジン太」に続いて「メチャクチャNo1」が連載される

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「少女クラブ」61年

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正月増刊号(雪の増刊号)、140円、288P
よこたとくお「赤いセーター」縦4/5サイズで8P
藤井千秋画「ロミオをジュリエット」6Pカラー
細川千栄子「友情のともしび」24P
あすなひろし「まぼろしの騎士」24P
新井よしお「死んだカナリヤ」24P
赤塚不二夫「ママはやっぱり話がわかる」24P
西岡たかし「ピンクと王さま」16Pユーモア
松浦重光「ミッコちゃん」16P
山根赤鬼「めだかちゃん」16P
水谷武子「パパがあかちゃんになった!」12P
東浦美津夫「東海道の青い空」16P
太田三千雄「木の葉落ちる月」32P
石森章太郎「きょうはもうこない そしてあしたも」48P
横山まさみち「見えないさけび声」16P
たんのゆうじ「まどのあかり」24P

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「友情のともしび」
絵柄は美しい、内容はあっさりめ
学校の旅行費を落とした美穂は由美子のお金を机から盗んでしまう
静江が見ていてお金は貸してあげるから戻すように助けてくれる
しかし人がいて由美子の机に戻すことができない
たまりかねて静江につきそってもらい由美子の家まで出向いてあらいざらい打ち明ける
お母さんがよくわかった人で気持ちがよくわかったので問題にしないと収めてくれ
三人が仲よしとなるという一部始終
「まぼろしの騎手」
王さまが毒殺されドルクス侯が王位を継ぐことになる
宮殿で仕えていたローラ姫はドルクスに結婚を申し込まれる
ドルクスが毒殺の張本人だがローラには断れない秘密があった
その日、王に毒を盛ったのはドルクスに命じられたこととはいえローラそのひとだったから
王の仕えとしてひそかに事実をさぐっていたジュリアス青年は兵を整えドルクスを倒す
あすなさんのデビュー作となる
既に絵は完成されていて、やはり水野さんの影響が強い
ややあっさりめの絵柄がかえって美しく、まだ背景の細かい書き込みはない
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絵柄では太田さんのものが美しい(少しプロポーションは不整合のコマもあるが)
父上が江戸にいるので地元のお城も退屈したみゆき姫は若衆すがたに身をやつして江戸へ向かう
たちまち現れた雲助たちだが腕が立つ姫の敵ではなかった
これを見ていたすりのお龍は同行してすきをうかがうが、宿屋で隣に寝るすがすがしい姿に盗みを断念する
お龍はそのまま若衆について行く
お城では姫がいなくなったことで大騒動
腹黒い大槻はこれをチャンスと姫の命を狙おうとする
ちょうど戻ってきた剣客黒井はこれを聞いて里ですれ違った若侍がきっと姫だと知って大槻に注進
そのまま姫暗殺に向かう
そのころ姫はたくさんの雲助に囲まれ今度は危ない状況
来合わせた侍、宇津木康介がたちまちけちらしてしまう
その強さに姫も康介に心を寄せる
康介は江戸の殿が姫のナイトとして差し向けた侍で
この後やってくる黒井を倒していよいよ姫に似合いの相手が・・
お龍がもう少し絡んでくるともっとおもしろかったけれど、なかなかの好編
太田さんははじめて読む作家さんで他作はなんだろう?

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あすなひろし:3枚のハート3話連作

Asuna61jack


「少女クラブ」1961年10月号~12月号各15P
「さいごのジャック」
良太・こずえの所へ侍が舞い込んでくる
彼は先ほどの戦で死んだはずの天草四郎
キリシタンを置くのは反対の母
弟良太が浜で拾った一枚のトランプからキリシタンが潜んでいることが発覚する
そのころ、こずえの前では四郎がトランプ占いを始めていた
ハートのエースとジャックが出れば彼の運命はよい方へ行くという
ジャックは出ず札が一枚足りないことが分かる、それが良太の拾ったハートのジャック
役人が家をあらために来てふとんが怪しいと開けてみると
病気疲れで横になっていたという母親が出てくる
役人が不審に思いながらも立ち去っていった後、ふとんからは四郎が現れる
四郎は最後に母と呼ばせて欲しいと行って一家に別れて行く
これから先の苦難を思うと良太の拾ったジャックが恨めしいこずえだった
「ミルのおはなし」
やす子の飼う小鳥ミルはとってもおてんばで何でもくわえてくる
今度はトランプを一枚くわえてくる
ミルについて町へ出ると14番地の家の二階から青年がミルを呼ぶ
ミルに持たせた手紙を見るとトランプは自分の大事なものなので返して欲しいと書いてある
家に呼ばれて事情を聞くと、彼の母を描いた一枚だという
確かにふつうの夫人が描かれていた
自動車事故で母がなくなり自分も足が不自由になったと語る青年
これから親しくなったやす子だが、父の転勤でミルも連れて行けないと言われ
4日後には引っ越すのでミルは青年にあげる
青年が追いかけてくるが松葉杖のため線路で倒れてしまう
ミルがトランプを取ろうとするので必死で動いたため男の子は列車に轢かれるのを免れる
かわりにミルが轢かれて死んでしまうが、彼を助けるためわざと大事なトランプを取ろうとしたのだと天に昇ったミルを慕う二人
「右むきのキング」
トランプのカードが一枚落ちていて拾ったくに子、そばで少年が右むきのキングはは幸せを呼ぶと教える
少年はフランス人のママを持ち譲司という、コンクールのため絵を描いているので、くに子に絵のモデルになてほしいと頼む
くに子の母は峯けい子というバイオリン演奏者で公演に出るためいつも一人ぼっちを悲しんでいた
少年の絵が入選するが、その頃、くに子の母が交通事故にあい耳が聞こえなくなる
つきっきりで看病するので少年と会う約束も忘れてしまう
待っていた譲司は怒ってせっかくの入選作を売ってしまう
買った男の人は妻の所へ戻ってきたくに子のお父さんで絵は結局くに子の元へ
譲司に母の病気を説明して誤解もとける、あのトランプはくに子に幸せをもたらしたところでいつの間にか消えていた

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「少女クラブ」61年

新年号、160円、278P
付録が プリンスバッグ/アクセサリーセット/リナ/母の名よべば/おしゃれブック/カレンダースタンド/
スターブロマイド/ゲーム手帳/バレーえはがき/うらないサイコロ/ゲームプレート
赤塚不二夫「おハナちゃん」縦4/5サイズで8P
水野英子「星のたてごと」20P
東浦美津夫「夕日の山びこ」21P
よこたとくお「アンコさん」8P、ここでは普通サイズ
石森章太郎「虹の子」20P(8月終了)
上田とし子「フイチンさん」17P
武内つなよし「わんウェイ通り」21P(2月終了)
山根赤鬼「めだかちゃん」8P
都筑道夫「耳のある家」勝山ひろし絵13P、こわい小説
丹野ゆうじ「南の風と北の風 かべのしみ」16P

丹野さんの物語は毎月一話完結
「かべのしみ」は台風で積み荷を海に落とした松川丸の船長田中氏は積み荷を着服したのではと裁判になっている
積み荷は海をさがしてもなく裁判は不利な結果が出そうで、娘のやよいも心配気味
やよいが壁にいたずらで書いた地図が消したあとしみていて、それを見た船長は海図とそっくりで、しみの付き方から海の溝を見つける
海流の関係でそこへ積み荷が流れ込んだのではと調べてみて積み荷を発見する
翌日になるとしみの後はなくなっていて、やよいが父を思う心がしみになって現れたのだと解説されて終わり
10月号「かあちゃん学校へ来ないで」では
小池和子は母とふたりくらし
家では仲良いが、母が学校に来ると恥ずかしくていや
今日も少しでも早い方がよいと学校まで給食費を届けてくれるが、あかぬけず、ふとっちょでみんなの笑い者にされそうで心配
父をなくして和子を育てるため行商してくれているのはわかっているが
運動会にやってきて、保護者の競争で走ると速い
母の真剣さが身にしみて和子もうれしくなる

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「少女クラブ」61年
10月号、160円、268P
付録が スクールケース/こづかいセット/ランチセット/リナ/母の名よべば/しおりブロマイド/アンコさん/めだかちゃん
赤塚不二夫「おハナちゃん」縦4/5サイズで8P
水野英子「星のたてごと」23P、どれいのモスラがリンダを救う場面
キクチヒロコ「のんちゃん」3P
都筑道夫「耳のある家」勝山ひろし絵13P、12月終了
細川千栄子「母の名よべば」8P
東浦美津夫「夕日の山びこ」16P
丹野ゆうじ「南の風と北の風 かあちゃん学校へこないで」16P
上田とし子「フイチンさん」18P
よこたとくお「アンコさん」8P
山根赤鬼「めだかちゃん」8P
あすなひろし「さいごのジャック」15P
Yokota61anko

「アンコさん」
ママと妹のアイちゃんがデパートに買い物へ出ている
お父さんと居残りのアンコは一足先に帰ってきたアイちゃんの買い物にとびついて
わたしのは?と探し始める
どの箱を開けても自分のものがなく、全部持って「デパート行って代えてくる」と怒って飛び出す
ちょうど道で会ったお母さんが持っている買い物がアンコさんのもの
セーターなど自分のものをちゃんと買ってくれていて喜ぶアンコ
家に戻ってみんなで試着などしているが、お父さんの分がなくて今度はお父さんがふくれる番

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国としひろ「町の太陽」58年

「おもしろブック」12月号付録52P
両親は行方不明の谷洋一、大見家に引き取られている
息子の同級生吉次は頭はよいが人気者となる洋一を恨んで、不良とつきあい指輪どろぼうの疑いを洋一になすりつける
洪水で堤が切れたので水門をしめに自転車でかけつける洋一
途中、火事から女の子を救い出す大活躍
水門もしめ惨事に至らずすみ、町の太陽とたたえられる
大見家の女中、おしまさんは助けてもらった女の子は自分の妹だったと感謝し、指輪は不良の源太から脅されてやったことだと打ち明ける
その頃、洪水で米が値上がるとやくざの光兄貴が、源太、吉次たちを前にしてまくしたてている
持ち出した指輪で米を買い、洪水がおさまればまた土手を壊せばよいとひどい計画を考えた
洋一は柔道をけんかに使ってはいけないと戒められているが、この不良たちをこらすため柔道を使い、吉次を救い出す
この後、迷惑をかけたと洋一は大見家を出て、東京へ向かう

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「少女クラブ」60年

10月号、140円、260P
付録が ジュニア手箱/プリンスラケット/リナ/母の名よべば/みどりのブックカバー/子ねこのかべかけ/スターブロマイド
赤塚不二夫「おハナちゃん」縦4/5サイズで8P
上田とし子「フイチンさん」16P
山根赤鬼「めだかちゃん」8P
石森章太郎「虹の子」20P
よこたとくお「アンコさん」縦3/5サイズで8P
南「金時さん」11P最終回
丹野ゆうじ「南の風と北の風 とけいは十一時をさしていた」15P
小糸のぶ「白い雲のむこうに」佐藤なみ子絵13P、葉山ルミになくしたはずの父が現れる
東浦美津夫「夕日の山びこ」緑川圭子原作16P
水野英子「星のたてごと」18P、ユリウスが死の国へ向かうところ、絵が圧倒的に美しい
武内つなよし「わんウェイ通り」16P

「わんウェイ通り」60年
「少女クラブ」6月より新連載20P
すべて犬が人間のようにふるまう世界
元気な高校生ポッチーは運動が得意
今度の水泳大会でも優勝候補
きどり屋の母は娘のナナにぜひ勝ってほしいとポッチーを退学させようと企み
不良犬グループに申しつけナナに水泳を教える
不良のボスに分け前をもらえなかったノラは仲間からはずれ、ポッチーにクロールを教える
速い泳ぎ方におそれいったボスはノラからクロールを伝授してもらうと、他の者に教えないよう消そうとする
ポッチーがかばい撃たれる
水泳大会間近でポッチーの出場はできるはずもないとみんな思っていたが
不屈の闘志で出場して優勝する
61年になると、狂犬病事件
きどり屋の女中おザザはこきつかわれ家出し、自殺を決意
それを助けた男から命令を授けられる
おザザは狂犬病にかかり、他の犬にかみつき狂犬病を増やして行く
ポッチーもかまれそうになるが、ノラに助けられる
おザザを追うが急に姿が消える
実は次の選挙で市長をねらうガメツ氏が不良のグローたちに指図して狂犬病をはやらせ現在の市長の無力さをみせつけ
一方では密かに直す薬も開発して、自分が市長になれば回復薬を出して人気を決定づける腹づもり
からくりを見破りガメツ一派を倒し6月号で終了する

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鈴木光明「くろがね力士」55年

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「おもしろブック」8月号付録
大関鉄ケ丘は津良の川との決勝で勝つが闇討ちに遭い命を落とす
息子の鉄三は残された印籠を手がかりにしようとするが、黒装束の浪人に狙われる
助けに雨降り浪人と名乗る男が来てくれ助かる
鉄三は父と親しかった波の花関に弟子入りし鉄ケ岳名で相撲に出る
小柄だが一門で力ある雷山も投げる技を持つ
波の花のお嬢さんスズはいじわるで一門の竹の川と戦わす
その竹の川が津良の川部屋の者とけんかに及ぶとあの空手使いの少年が出てきて鉄ケ岳もやむなく対戦する
とっさの思いでなげわざを編み出すがスズに知れ親方へいいつけられる
けんかをすれば破門と決まっているのだが、親方は今度だけは許してやると寛大だった
一年たち入幕を果たすと、おイトちゃんが祝いの着物を持ってきてくれる
それをたいしたものではないとスズは捨てようとする
新しい場所が始まり、頭突きの酒の嶺対戦は強烈な投げで勝つ
親方はこれをくろがね投げと名付ける
七日目が父がなくなったときさっさと出て行った関の山
試合前、まんじゅうを持って謝りに来るが実は毒入り
この関の山も破って、八日目が因縁の津良の川関と最終戦
前日、空手の三吉がけりを入れ片腕負傷する
雨降り浪人も背後から黒覆面に斬られるが、これがなんと津良の川関の行方不明だった息子であった
最終戦は津良の川関も力をつくすが、片腕でくろがね投げをうった鉄ケ岳が勝って物語は完結する

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「少年クラブ」48年

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1月号は20円、72P
口絵が松田穣(みのる)絵のアルキメデス
阿部知二「新聞小僧」三芳悌三絵8P新連載
サトー・ハチロー「ゆかいなグループ」河目悌二絵5P
横井福次郎「ふしぎな国のプッチャー」4P
科学者ペッチャーは10万馬力の少年型ロボットペリーを作る
ペッチャーの息子プッチャーとペリーを連れたバルンバルン博士は宇宙船で旅行に飛び立つが
とらひげ陰謀団が妨害する
この号では火星について冒険が始まる
3月号では地球で不審な地震が相次ぎ、博士たちは地球へ戻ることに
これは地底人の仕業で、4月号からは地底人との戦いが始まる、ここでタイトルは「冒険児プッチャー」に

4月号 小出正吉「海の兄弟」斎藤五百枝絵7P新連載で6月号まで
7月号 那須辰造「みどりの十字架」原研児絵6P新連載、満州での千吉少年の冒険活劇、12月号で完結
12月号 まんがは「プッチャー」のみだが、この号では別冊付録になったので本誌にはなし
Zsyonenc4903

「少年クラブ」49年
1月号は65円、84P
大林清「太陽への道」斎藤五百枝絵8P新連載で12月号まで
佐々木邦「僕らの世界」河目悌二絵7P明朗小説、これも12月まで
横井福次郎「ふしぎな国のプッチャー」4P
南洋一郎「緑の十字塔」、ボリビア生まれの山野富士夫の冒険譚

2月号は「プッチャー」がなく3月号から小川哲夫さんの絵に代わっている
5月号では地底国帝王がプッチャーの計略で愛のエキスを飲み、平和主義者となって地上の人間との戦争が終わる
続いてプッチャーたちは宇宙へ出発、火星での事件に巻き込まれる
Yokoi48pucher

2月号で原一司「スケートぼうや」1P、帷子すすむ「にげだしただるまさん」2P、はがまさお「ポチのちえ」1P

7月号よりセンバ太郎「1、2の3ちゃん名探偵」が久しぶりの連載漫画で12月号まで
9月号には別冊ブックとして「漫画学校」
10月号より島田啓三「カリ公の冒険」4P新連載
これはアメリカコミック風でねずみの主人公カリ公はミッキーマウス風
仕事を探しているカリ公はゆかい新聞の記者について、キバツ新聞のあくどい取材を出し抜いて沈没した汽船から船長さんの書類を取ってくる
キバツの記者たちが襲ってくるのをカリ公が機転で重油を流してたこの墨のように相手を見えなくしてやりすごす
このお手柄でカリ公は新聞記者として採用され、11月号では催眠術を使う強盗を追いかけて樽の中へとじこめ警察からご褒美をもらうことに

12月号には山川惣治「燃えるアリゾナ」16P読み切り西部物
アパッチの襲撃が続くアリゾナ、屈強の首領ボロヤが率いる
ヒコック家はこの地に牧場を作り、アパッチの襲撃を退けている
冒頭、銃の名手トニイと弟ベンは騎兵隊の襲撃を受けた父が乗る駅馬車を救出に向かう
父はなくなり二人が牧場を守ることに
ある日、襲撃された馬車を救うが父がなくなったエリノアを引き取る
エリノアの父は強盗一味でエリノアが連れ去れるが
追ったトニイは一味のガンマンを対決して倒す
彼らは駅馬車を襲ったりアパッチのせいにして荒稼ぎをしていたとわかり物語は終了する

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鈴木光明「スーパー・ミミ子」60年

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「小学三年生」4月号、5月号付録、各48P
4月号
水中列車の設計図を狙う黒ねずみ団が現れ図面を奪ってゆく
ミミ子は糸をくっつけ糸車を持って追跡する
幽霊屋敷に到着して中をさぐる
二階の窓から入ろうとミミ子はリボンからロープを取り出すと窓際にかけてよじ登る
すきをついて設計図を取り返したが、ポテ子を人質に取られ設計図と交換
警察が来たときにはねずみ団に逃げられる
彼らはまだら島へ行くと聞いたので追跡しようとするが恐ろしい島だと止められる
深夜こっそり家を抜け出して三人はモーターボートに乗ってまだら島へ
5月号
まだらばーさんの吸血こうもりに追われ海へ飛び込むミミ子たち
ロープで崖にぶらさがり、ばあさんが去ると崖を登る
地下の入り口を見つけ、ミミ子はトリ子に警官を呼びにやり、一足先に入り込んだポテ子を追う
吸血こうもりと五右衛門が警官を食い止めるうちに水中列車を完成させようと思ったねずみ団だが警官が早くも入り込み
未完成のまま乗って逃げ出す団長たちというところで5月号が終了

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西谷祥子「チェエリー」70年

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オウムのペペが双子に連れ去られる
猿ぐつわをはめて浜の小屋にかくしておかれるが
旅の彫刻家が見つけて逃がしてやるが
探しに来たチェエリーがオウムを彫っている彼に会ってペペが飛び去ったと知らされる
故郷からボーイフレンドのアンディがチェエリーの様子を見にやってくる
車で向かうところバイクに乗るバズをはねてしまう
介抱してもらううちにバズはアンディが好きになって行く
アンディが訪ねてきた女の子の所までついて行くとなんと自分の家で
その相手というのが親同士の結婚で敵意をむき出しにしている相手チェエリー
チェエリーはペペが心配でテレビでオウムを見つけてと呼びかける
この映像でチェエリーと呼ばれているのを見て彫刻家はあれが自分の娘だと知る
土地を歩いているところ行き倒れになった彼をチェエリーのママが発見するが
なんと元の夫グレッグ
小説家を志すが早く認められたママに気兼ねして家を出てしまったという経緯が明らかになる
ママは夫とよりを戻しても良いという気にもなるが
彼の方が病院を抜け出していなくなってしまう
  もゆっくり自分の気持ちを考えたらよいと理解を示してくれる
浜ではママの劇「あぶく姫の物語」が上演され舞台を見てママを見直すチェエリー
グレッグも木の上からそれを見ていたが、ママが追うと逃げ去る
やはり違う道を歩むべきか悩むママ
チェエリーも故郷に戻ってアンディとは仲良くやっているが
バズも心がほがらかにんり、アンディの競争相手になるかもしれないという含みを残して物語りは終了している

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鈴木光明「Zの世界」61年

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「小学六年生」5月号付録、最終回
カリガリ団の怪物ロボットが丈二や城山博士を襲う
結局丈二の父久津下博士は連れ去られてしまう
戻ると田火博士が襲われ、シクロメーターが壊されゆり子も倒れている
メーターの備品があったので修理することに
田火博士は責任を感じてカリガリ団を探しに行くと早朝、屋敷を出ていた
カリガリ団のアジトでは久津下博士がカドミューム爆弾を造らされている
カリガリ団のボスは覆面をしているが実は田火博士
久津下博士はカドミューム爆弾を完成させるが時限装置でアジトごと爆破するつもりでいる
そこへ丈二たちが乗り込んできてZロケットを使ってカリガリ団に向かう
カドミューム爆弾が爆発してロケットもカリガリ団も消えてしまう
ロケットの先をつかんでいた丈二の手は元へ戻っていて、Zの世界に通じる道は完全に消えてしまう

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「別冊マーガレット」71年

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1月号、150円、452P
この号は「チェエリー」の総集編が載るというので、この作品の結末を知るために閲覧
美内すずえ「日本列島一万年」前編50P
高橋京子「火の丘の恋」40P
田中雅子「札幌まであと398日」30P
田谷礼子「華麗なる季節」16P
まるやま佳「いとしのバフ」16P
忠津陽子「花のアイドル伝」30P
木内千鶴子「少林寺拳法の花」30P
城くみ子「雪うさぎ」28P
浦野千賀子「バンカラ太陽」20P
西谷祥子「チェエリー」100P
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忠津作も気になっていたもの
「花のアイドル伝」
ハイスクールの秀才ジェフリー・ゴードンは頭はよいがスポーツ苦手で男らしさもなく女の子にはもてないと卑下している
そこで自分とは反対の性格になる薬を作ることに
薬を飲んだゴードンはメガネも取り、ハンサムできっぷがよい
女の子にもたちまちもてて名前を聞かれてアイドル・ビューティといいかげんに名乗っておく
スポーツも抜群でたちまち転校生として学校の人気者となる
お酒も強くて酩酊したアイドル、薬の効き目は一時間で醒めるとゴードンとして酔いに苦しむという皮肉な結果
ゴードンの部屋をノックする美しい女の子、ハニバル・シュガーは勉強ならゴードンに教えてもらえと彼を紹介してくれていた
ハニバルはアイドルの強引さが好きでないらしく珍しくアイドルになびかない女の子らしい
ハニバルはアイドルを無視することもわかり、ゴードンはハニバルにひかれてゆく
パーティのパートナーを申し込むが、自分を無視する女の子ゆえにかえって気になるアイドルがハニバルを先に誘っていて
「あなたが先に誘ってくれていたら」と言われてゴードンはさらにハニバルに傾く
そのころ、アイドルがニセ学生だと知れ、警察が追いかけることに
これが潮時と考えたゴードンはアイドルとなって警察に追いつめられたパーティ会場から川へ飛び込んで二度と戻らなかった
これでゴードンとしてハニバルに気持ちを打ち明けようとすると
なんとハニバルはアイドルの失踪を悲しんで泣き出す
実はアイドルを愛していたが、気を引くために無視したのだと言われてがっくりのゴードン

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うしおそうじ「探偵漫画」56年

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「少女クラブ」9月号付録、B6版といった小サイズで64P
正式にはタイトルがなく(本当にタイトル部分が枠囲みで中が空白)次回につけてもらおうという犯人当てクイズもついた企画
撮影所で世界的な名女優グロック・キーさん
暑くて飲み物を注文したので、近くの喫茶店のマルコちゃんがソーダを配達してくる
グロックさんは本物でないと感じがでないと3億6千万円もするダイヤの首飾りを持参している
スタジオの上でソーダに毒をたらして部屋を暗くしてネックレスを奪おうと企むスタジオマンが二人
マルコが見ている前で撮影は続き、グロックさんが倒れて部屋がまっくらに
倒れたグロックさんの首からはネックレスが消えていて
さっそく警察が呼ばれスタジオは封印、誰も出られない状態で検証が始まる
マルコの発案で撮っていたフィルムを見ようということになり、一瞬鏡に犯人が電気のスイッチを切っている手先だけが映っていた
鑑識が入ってきてソーダには毒も睡眠薬も入っていなかったと告げる
グロックさんも死んだわけでなく気絶していただけだった
ここで頁は終わり、読者に推理してくださいとある
次号で解答が教えられるという手はず

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遠藤まさお「月に笑う怪剣士」56年

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東京漫画出版9月刊行、130円、128P
越後加納藩が舞台
武士の子弟に学問を教える村田一角塾
城下では辻斬りが毎夜でて、一角塾の生徒も犠牲になる
北辰一刀流の使い手である矢車半次郎少年も襲われが防いで辻斬りは逃げ出す
一角先生は辻斬りを待ち受け、倒したまではよかったが辻斬りの持っていた刀を持ち帰ったばかりにその妖力のため魅入られ
今度は自分が辻斬りを始めずにはおさまらない心境になる
ある夜、追ってくる半次郎と引き分けた所、捕り手につかまって半次郎も辻斬り仲間と断定される
一角先生とさらし者となるが、一角先生は不覚をわび舌をかみ切って死ぬ
夜になって老人が現れて半次郎をさらし台からおろし助けてくれる
追っ手が来るので半次郎だけ馬に乗せて逃がす
馬は山の一軒家に到着し、そこに待つ深雪から事情を教えられる
老人は深雪の祖父、刀師天城三郎助に仕える竹蔵という
祖父は息子四郎助に譲ったところ、殿様からの依頼の品を折ってしまい四郎助は切られてしまう
恨みをこめて引き継いだ祖父は妖気こもる殺人刀を完成させ自決してしまう
それを持つ者は人を斬らないではいられなくなる
深雪は竹蔵とともにその刀を探し求めて旅をしてきたという
今は藩の与力が持つ刀を半次郎は取り返すが奉行につかまってしまう
その奉行こそ、一角や半次郎を辻斬りとみなしてさらし者にした張本人能戸守
しかし能戸守は半次郎の話を良く聞き事実を知って汚名をはらしてくれる

遠藤まさおさんの絵柄はまずまずまとまっている
遠藤政治さんでも信一さんとも違う別人のようで、作品も見ないし雑誌にも描いていたようでない

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望月まさあき「兄と妹」59年

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東京漫画出版少女シリーズ73、130円、128P
花好きのよし子はいつもノーブルという花屋で花を買ってくる
売り子の道子はよし子と顔見知りで仲もよい
帰り道、兄信一も一緒になり戻ると、父がノーブルという名前を聞いてそこで花を買ってはいけないと怒り出す
しかたなく言いつけは守るが合点のいかないよし子
そんなある日、自分の家をのぞいているおばさんを見つける
細野さんというその人は実はよし子の本当の母親
14年前、よし子の父が運転する車に飛び込んできた女性がいた
一年前に夫と死別し、赤ん坊を育てられず死のうとしたのだった
幼い女の子もかけつけ母親を慕っている
よし子の父は女性を説得して女の子のために生きるよう思いを改めさせる
少しでも助かるよう、赤ん坊は自分たち夫婦が子供もいないので育てようと申し出る
こういういきさつを聞いた兄はノーブルに乗り込んで自分たちの家族を乱さないでくれと談判する
よし子は実の母に会いたいと思い、あの親切な道子さんが自分の姉であったことで気持ちが揺らぐ
結局、両親に自分はもとの親の所へ行きたいと伝え、父もそれがよいと納得するのだが
いざ家へ出向くとノーブルは引っ越していて、母と姉は自分たちから身を引いていた
悲しい別れというのが当時のはやりなのか、今なら距離を置いて会うようにするとか、二家族ともうまくゆくとか違った結論になりそうだが
望月まさあきさんは「サインはV」のあきらさんの貸本時代の名前
絵柄は60年頃のバイタリティあるこどもたちを描く以前、まだはかなげな人物が主役の繊細な絵柄
ところどころ人物の外枠が太くなっているのは高橋真琴さんの影響か?
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絵物語の絵柄

ごろねこ倶楽部掲示板で「物語」付録について書き込んだことがきっかけで少し絵物語について気になってたので考えをまとめてみると・・・

絵物語は山川さんが紙芝居を誌面に移したのが最初とも言われている
それで、絵物語の基本は語りを文にしてそれに対応する絵を配置するというものとなる
はじめたのが山川さんだったからか、1950年以降の印刷技術向上でよりリアルな描写が可能になったからか、漫画絵柄より挿絵系の写実的な絵柄が絵物語に採用されて、挿絵系絵柄が物語るという形式がコマを基本とするストーリー漫画にも小説にも浸食してゆく

挿絵系の写実的絵柄で物語を語る形式ならば絵物語と認識されていたらしく、すべてコマで割ってあるものも絵物語と雑誌が記している、今「まんが」と言っているものに絵物語の絵柄があるから、これはと思ってしまいます
当時はコマで割ってあるのは二義的でしかなく、「漫画」とは字の通り写実でなくデフォルメした絵を意味する
漫画がコマ形式を席巻した後、劇画が再び絵物語系の絵を用いた
それ以後のコマ割形式はマンガと呼ぶ方がふさわしいようです

コマ形式から一度、絵物語系の絵がなくなったのはなぜか?
人物の違いが小さなコマでは表現しにくい、ものの動きは単純化した線の方がわかりよい などなどあるのでは
劇画は青年を主人公とした物語なので、デフォルメの強いこども風の「漫画」絵柄ではものたりず、心理の複雑さや絵柄のリアルさを求めた結果、絵物語風の絵柄を取り入れたということでしょう
それでも劇画の作者はたいてい「漫画」(デフォルメされた絵)から出発していますね
デフォルメを通過しなかった漫画家は小島剛夕さんくらいでなのかな

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うしおそうじ「まんが四十七士」53年

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「おもしろブック」12月号付録、130P
子供達に仇討ちやけんかは悪いことなのに赤穂浪士はどうして称えられるかと聞かれて、作者本人が登場して話し出す場面が始めの10Pほど入って、本題の時代劇へ
殿中での刃傷沙汰に始まり内匠頭の切腹、赤穂城の明け渡しなどさらっと流して
40Pころ、大石内蔵助が江戸へ向かう
塩見五郎兵エと藩の用人に姿を変えていたが、宿の主人が名前を張り出したので、たまたま来合わせた本人がどなりこむ
ところが大石と知り、事情を察してあれが本物とおとなしく引き上げるエピソード
江戸では神崎与五郎が堀江安ベエの宿へたどり着き、あんまになって吉良邸の部屋割りを探る
吉良屋敷のそばで火事が起こった時は幸いと、屋根に上って屋敷を上からうかがうなど用意が着々と進む
92P、討ち入り前夜
大石は殿の奥方に討ち入りを報告したいがスパイの多い中で事情を明かすこともできず残念に戻ってくる
宝井其角と会った大高源吉は俳諧で気持ちを通じ合う
其角は討ち入りを予想する

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久留見幸守「戦国やぶれ太鼓」55年

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東京漫画出版6月刊行、130円、128P
大阪夏の陣、手柄をたてたいと佐久丸はあせっている
大阪城に長吉藩としては一番乗りを果たした佐久丸は国に戻って地元の領主に取り立てられる
仲間達は佐久丸の出世を喜ぶが、殿が来て年貢の取り立てを厳しくしろと命じられる
年貢を2倍にしたが、国は不作で百姓は大弱り
取り立ての厳しさに仲間たちは佐久丸から離れてゆく
その頃、やってきた天隆先生は人望がある
洪水が起きたときは人々を率先して助ける
佐久丸は幼なじみにも見限られ、山に入って初心を取り戻す
殿にはやめさせられるとわかっているが城へ出向く佐久丸に部下達も武士をやめ百姓となると好意的

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入江しげる「かなりや姉妹」57年

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「少女クラブ」11月号付録「赤いくつ」の後半64P分
八田笛之原作
両親なく、姉えいこが雑誌社の記者をして妹ゆかりを養う仲良し姉妹
原さんの家に間借りをしている
八年前なくなった父が残した日記に書かれた二人へのメッセージがバイブル、何かあるとその言葉を頼りにしている
NHKへ出て賞金をもらった二人はデパートで買い物しお金を払おうとした時、すられてしまったと気づく
仙台のおじさんがやってきてえいこに縁談相手二人の写真を見せる
いまは妹が大事と結婚は考えずしばらくは仕事に精を出そうと思うえいこだった
前半に載る「赤いくつ」は水野英子作80P
少女ルビーを育てるおじいさんは羊飼い、ナイスという少年を拾って一緒に育てる
ある日、おじいさんは真っ青になって戻ってくる
ヨクバール氏から預かっている子羊を谷へ落としてしまったという
ヨクバール氏は百万円弁償しろと催促、困ったおじいさんは谷に降りて子羊を探そうとするが深い谷でおじいさんは戻ってこなかった
おじいさんの遺言を読んだヨクバールはルビーに残された赤いくつをはけばすばらしく上手に踊れることを知りルビー達を追い出してくつを娘のラーメンに与える
住むところがなくなったルビーは行き倒れの老人を救い、実は森の精の老人から赤いくつを授けられる
そのくつはいつまでも踊り続けさせ、「銀の小人よもう踊れぬ」と唱えるまで踊りは止まらないと教えられる
ラーメンは上手な踊りで知られるようになる
ある日、ヨクバールの下男がルビーが美しい赤いくつを持っているのを見て盗んだのだと持ち去ってしまう
家に二つのくつがあるのを怪しんだ女中が、光っていない方がにせものだと窓から捨ててしまい、見つけたナイスがルビーに返そうと駆け出す
さてダイヤ城での舞踏会、モンド王子の嫁を決める会でもあった
勝ち残った踊りの名手はルビーとラーメン
踊り止まらないラーメンにルビーは呪文を教えてしまい、ラーメンが王子の后になることに
悔しがるナイスにルビーは二人で仲良く野で暮らす方がよいと楽しげに語る
そのころ、王子の顔を見てあまりの醜さにラーメンが驚いているといラストがつけられている
絵柄も美しく、生き生きした流れがこきみいい

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大沼晴夫「孝女白菊」53年

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東京漫画出版7月刊行、130円、128P
これも「白雪姫」と同じ「低学年向け」シリーズ
絵柄はゆるめ
明治初年の熊本が舞台
西郷隆盛の挙兵で熊本城に警備に出た父
戦いが始まるので、白菊は母と下僕と逃げ出す
下僕は城の守りに呼ばれ、母と山野を行くうち母が病気にかかりなくなってしまう
途中道連れになった豆吉を熊本の家に送り届けしばらくやっかいになるが
父は熊本にいないとわかり旅立つ
そのころ家に戻った父は白菊とすれ違いになる
熊本を出て山賊に襲われるが、いまは坊主となった兄に助けられ父と再会を果たし物語は完結する
落合直文の名作として人気を博したこの本は何種か漫画化されたようで、大城さんの戦後の「少女白菊」もそれなのでしょう

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入江しげる「さくらひめ」58年

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「小学二年生」12月号付録
さくらひめと旅するちゃめ丸
村の人が泣いているので理由を聞くと
山のおばばが美しい娘を妖術で醜く変えるのだと教えられる
おばばはかつて醜さでいじめられ山にこもって妖術を手に入れ復讐に村人を醜くした
醜くなった子供達はおばばを慕うようになり村へ帰らなくなる
さくら姫はとっても醜いお面をつけおばばに気に入られ食べ物をもらう
他の醜い子供にわけてやる
様子をさぐると一本しかない黒髪を抜かれるとおばばの術は使えなくなり、その黒髪でなでると元の美しさに戻ると知る
さっそくさくら姫はちゃめ丸も醜いお面をつけ女の子のかっこうをさせ乗り込む
さくら姫が二人になったのに驚いたおばばのすきをうかがってちゃめ丸が黒髪を抜いてしまう
追われたおばばはそのうち消えてしまう
最後に社を作って祭ってくれと言い残して
子供たちを元に戻すと村人たちも社にお祈りをするようになっておばばの魂も安らかに慰められるようであった

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わたなべくにを「白雪姫」53年

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東京漫画出版7月刊行、130円、128P
基本的にはディズニー映画のストーリーと同じ
自分が一番美しいと思っている女王は魔法の鏡のお告げで白雪姫を知る
この鏡の中の悪魔の顔もなかなか恐ろしげ
姫の心臓を取ってこいと狩人に命令して森に連れて行かせるが
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哀れんだ狩人は姫を逃がしてやる
森に迷ってこびと達の家にたどり着いた姫は眠ってしまい
そこへ帰ってきた七人は美しさにひかれて姫の僕となる
白雪姫がまだ生きていることを鏡で知った女王は魔法使いの老婆に命じて毒リンゴで姫を眠らせる
最後はおきまり通り王子が森を訪れ
美しい姫の棺を見つける
低学年向けという読み物のためか、王子が花輪を棺に捧げると姫が目覚めるという終わり方
姫にキスして・・というのはなし
絵柄がすなおで美しい
動物たちはディズニーにならったものだが、少女・少年の姿はわたなべさん独自のまんが
53年という時期にこれだけなめらかな人物像を描けた作家は少ない

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入江しげる「ちゃめ丸くん」59年

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「小学三年生」4月号、48P
父がねぼけ病となって目覚ましの花を探しに南の国へやってきたちゃめ丸とさくら姫
茶屋で、絵がうまいじいさんが目覚ましの花を描いていたと聞いて教えてもらいに行く
絵描きのおじいさんは盗賊たつまきごえもんが隠した宝を守っている付近に花が咲いているので近づけないと忠告する
そこへ、ごえもんをつかまえようとする役人がやってきて同行すると言ってくれる
金持ちになりすまして盗賊に襲わせ、おびきよせ部下達で一網打尽
花を手に入れたちゃめ丸はお城へ戻り、父の目を覚ますことができた
ほうびに江戸旅行を許されて次号からその話に

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中島利行「ぼくらの千代ちゃん」

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鶴書房、130円、70P
日本舞踊から映画に出演し人気者になった東千代之介の日常をまんが化したもの
はじめに映画スチールを配しているのでまんが頁数は少なくなっている
中頃に小学生時代からの生い立ちをいくらかはさんでまた現在のスタジオなどに戻る
千代之介は端正な二枚目のわりに舞踊にいつでも戻れる余裕があったためか人柄温厚でファンにも親切
そこらのお兄さんという親しみやすいキャラクターそのものがまんがで描かれていてスターものにしてはほのぼのした雰囲気
絵柄もほんわかしたもの

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入江しげる「弥次喜多道中膝栗毛」53年

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「おもしろブック」11月号付録、130P
原作通り、日本橋を出発した弥次さん、喜多さん
桑名から京都、奈良の大仏の柱くぐりを経て
金比羅参りから、宮島参詣と一通りの見物を終えて
琵琶湖、関ヶ原から木曽
碓井峠を越えたところで松井田でやくざの出入りに巻き込まれ
頭までまるめられてようよう江戸へ舞い戻るお笑い道中記
手際よくまとめられているが、特にすごい場面を演出することもなく、絵柄もまだおとなしめ
入江さん独特の絵もまだで、凡天風の絵柄といったところか

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鵜飼まさる「こっけい本先生」55年

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東京漫画出版、130円、128P
滝沢馬琴の生涯をおもしろく描いた伝記
江戸で暮らしていた馬琴は物書きになりたく京伝先生に弟子入りを申し出るが断られ
神奈川に出て易者を始める
江戸で地震があったのをきっかけに戻って京伝先生のやっかいになる
下駄屋へ婿入りして執筆活動も
老年期に入って八犬伝を書き始める
第三集の犬館と大塚のとっくみあいを猫のけんかで思いつき下の池にまっさかさまの描写をいただくというエピソード
目が見えなくなるが家族の助けもあり八犬伝を完成するまでの一代記
絵柄はゆるめ、どことなく杉浦茂を思わせるくせもの風のところがあってユーモアが漂う

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松沢のぼる「日本の虎」54年

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鶴書房刊行、100円、128P
柔道に活躍する名村兄弟のストーリー
東京の城北大学で主将の名村次郎は城南との練習で相手を投げた時、傷つけてしまい、わざとやったのではと中傷される
責任を感じて、一時東京を去り、九州で働く兄恭助の所へ行く
探鉱町で会社の用心棒を引き受けていた
土地のやくざと争いになり恭助は多勢相手に奮闘する
次郎がけんかを知りかけつけるがかえって後ろを棒でなぐられ入院することに
恭助は弟の入院に10万円いるため、プロレスの賞金稼ぎに出る
外人選手相手に健闘して賞金も得るが、これを機にプロレス界に進む決意を固める
次郎は東京へ帰り、城北大学で優勝を果たす
その知らせを聞きつつ、兄はプロレス修行に飛行機で旅立つ
入江しげる「めぐみちゃん」57年
「りぼん」7月号付録、48P
女の子よけようとしたロケのバスが車に当たる
なみ子という女の子を助けるめぐみはこの後も気にして松葉杖を贈る
ぶつけられた車の持ち主はこの地の顔役でロケ隊に文句を言いに来る
撮影のじゃまをするにいたって、めぐみが追い返す
おやじがまた文句を言って来て、自分の息子を映画に出せと言うので役を当てるが、海に落ちてさめに襲われる
めぐみが見事釣り竿でつり上げてことなきをえる
おやじも反省してこの件は落着する
近くに来ていた小川橋三と共演することになって時代劇が始まる

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入江しげる「すみれさん」54年

Irie54sumire


入江さんはじめ付録作をいくつか読んだのでみやわきさんを置いて先にコメント

「少女ブック」10月号付録、120P、裏表紙が切れているのでだいたいこのくらいの頁数
アイロンをかけて服を直しているのでみんなが誘うのに遅くなり、学校へ急ぐ
土手を降りたら早いとすみれがせかすので同じように降りると友達のスカートが針金にささりやぶける
謝って学校で縫ってあげるが、自分のスカートと一緒に縫いつけて大騒ぎ
以下、12Pずつにひとまとめの話をつなげてゆk
学校新聞、学芸会、
学芸会2ではピノキオを演じて成功のすみれさん
花束もらった中からハチが出てさされて鼻がはれてしまう
家庭訪問の次が修学旅行、これが40Pほど
京都に旅行に行っためぐみちゃんは自由行動中、目の見えない母親を知り合い探している娘になりかわってあげる
東京へ行きたいと言い出す娘、止めようと口論になり出て行ってしまった娘
夕方まで娘代わりをするが旅館に戻らなければならない
困っていると娘さんが帰ってきて入れ替わることができた
旅館に戻ると仲間は食事を9時まで待ったと文句が噴出するが
事情を話してわかってもらう
次の日の京都見物は映画ロケに出くわして、女優山本さんの代役を頼まれるすみれが喜んで引き受けるとなんのことはない突き落とされ川へはまる役回り

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オオトモヨシヤス「ジュリエッタ姫」53年

Ootomo53juietta


ここからしばらく文学館所蔵の1955年頃の東京漫画出版・鶴書房などの単行本
オオトモさんのものを探していて見つけて10冊程度を読んで行く
さてオオトモ作はまだ素朴な絵柄の53年

村でお父さんと暮らすジュリエッタ
水くみに炊事にと忙しいが貧しいため村の娘たちからはからかわれている
村へ迷い込んだ乞食風体の青年は相手にされなかったがジュリエッタから食事をふるまわれ去ってゆく
彼こそはこの国の王子ジイク・リッドだった
旅の途中、ドブロック国の兵士に襲われ単身逃れて身なりをやつして逃げ帰ってきた所だった
町に入っても風体のため王子と取り合ってくれないが、牢屋に入れられ、見た大臣が発見して王子とわかる
彼はジュリエッタのことが忘れられない
ところがジュリエッタはお父さんが領主の労役のため1年かり出され、おばさん宅に預けられる
そこで女中同然に使われる
国王はドブロック国へ討伐隊を送る
その会話でわかるがレモナール国の大臣だったドブロックは謀反を起こし国土の2/3を奪い自国を作ったという
その当時の混乱でレモナールの幼い姫君は今も行方不明らしい(実はこれがジュリエッタ)
一方、王子が選んでくる嫁候補をすべて断るので、国中の娘達を集め舞踏会を催すことになる
ジュリエッタは着る服もないのであきらめているが、前に親切にしてもらった老人がやってきて魔法で彼女に美しい服と馬車を出してやる
ただし、城では王子と一言もしゃべってはならないという条件をつけて
舞踏会場でジイクはジュリエッタが現れるのを信じて待つ
現れた彼女は美しいみなり、二人で踊るが一言も口をきいてくれないのであの娘か確かめられず困ってしまう
夜半になり逃げ出すように会場を去るジュリエッタを追うが、魔法の馬車は速くどこともなく行ってしまった
残された片方の靴からおばに預けられているジュリエッタとわかるが
恨みに思うおばは魔法使いの老婆に頼んでジュリエッタを木の洞へ閉じこめてしまう
老人の方の魔法使いがこれを知り、救出に向かい、城には鳩を飛ばして事情を知らせる
老婆は狼を送るがけちらされ、自分が巨大な狼となって襲う
老人は巨大熊となり老婆を打ち破り、洞からジュリエッタを救い出す
ドブロック国撃破のため集結した諸国の王の中にレモナール国王も来ていて、手に十字のいえずみがある少女と聞いてジュリエッタが自分のさらわれた娘だと知る
最後はすべてハッピイエンド

シンデレラ物語を軸にオオトモさんなりの再構成を試みた内容は成功している
53年の絵柄はおとなしく、もう2年先の優雅さはまだ
Ootomo53julietta02


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みやわき心太郎「23年」65年

冒頭、傷痍軍人たちが慰安婦を求める話しているのを聞いて嫌悪感が募る青年
家に戻ると、つるしてあったいくつものプラモデル飛行機をたたきこわす
妹がパパが再婚すると教えるがそれは父の問題で自分には関係ないとそっけない様子
父にもそう告げて結婚式には出なかったと後の妹との会話でわかる
両親は新婚旅行から戻ったのか、兄妹で迎えに行く
新しい母が、道ばたで物乞いしている傷痍軍人に金を恵んでいるのを見ていらだちを隠せない兄
レストランに立ち寄った時、思い切って軍人たちがもらった金で女を買っているのを知っているのかと切り出す
意外なことに母はわかっていて、国の命令で傷ついた人たちが刹那的になっているのを責めることができるでしょうかと言われ返す言葉がない
自分が世間知らずだと負けを認めた彼は翌日、軍人には金を恵み、
母には素直に挨拶をする

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探偵王臨時増刊「冒険ブック」53年

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2月号、文京出版
口絵 岩田浩昌「アパッチ砦」映画素材
野呂新平「ピーナツ王子」4P 
武内つなよし「ぐりちゃん日記 たこちがひ」6P
深尾純「少年Gメン」深尾徹哉絵12P
川田漫一「テキサスホップ」8P連載まんが
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山村正夫「遊星最后の日」北田卓史絵11P読み切り科学探偵小説でロボットなども登場
桑田次郎「ファローの宝庫」10P
かまたつねひろ「なき虫ターザン」2P
北上東一作画「怪盗百面相」9P
岡友彦「大都会X」8P新連載
岩田賛「アラポパ黄金郷」大工原章絵8P4回目
河上青「恐怖のX星団」小宮小次郎絵10P
柿本坂一「髑髏怪船」香川浄一絵12P海洋探偵小説
佐伯利久「燃えろ黒潮」深尾徹哉8P
J・ハリス「黒豹の爪」永松健夫絵
ニシムラハルオ「火星の女王」6P
多賀正「江戸小天狗捕物帖 物いう小僧」8P
石井清美作画「アルチップ島の幽霊」2/5サイズ8P
だいくはらあきら「ジャングル非常線」8P
丸木島影「テキサス平原」荻山春雄6P絵物語
香山滋「新星ノヴァ」加藤敏郎絵7P
岩谷修「でめきん太平記」4P
原譲二作画「太平洋トンネル急行」10P
矢口文吾「野球殺人事件」日下香之助絵6P
横木健二「霧隠才蔵」4P最終回
小西茂木「オウムが見ていた」山内秀一絵10P
森川けん一「リットル・ジョーカー」18P

「テキサスホープ」
父がなくなったアンボンへ向かうサム少年
銃の腕前はぴかいちで途中、襲われる駅馬車泥棒を防ぐ
町に着いて判事と会うと娘エミーがさきほど助けた駅馬車の乗客ということもあり、信頼されシェリフとなる
サムの父もこの町でシェリフをしていたが謎の自殺を遂げた
遺書を見せてもらうと父の筆跡でなくますます怪しむ
町の顔役ビウリー一家の用心棒コングが出てくるが銃でかなわず
追い出されたコングをサムがかばうことで一家の悪事をうちまける
その途中コングは後ろから撃たれ、最後はビウリー一家のシェリフ殺し、駅馬車強盗を暴いて終わる
「ファローの宝庫」
ファローの宝が隠されているトロイカの町へ案内してほしいとゴメス博士が、少年ターザン ザムバに頼みに来る
話を聞いた巨人ガリーマンが襲いかかり、博士はつかまる
ザムバが救い出し今は廃墟となっているトロイカへ向かうが
ガリーマンや悪党スリムたちが先に向かっていた
トロイカの入り口は城壁のようになり、中には多数のさそりがいる
銃をうちまくったガリーマンたちは岸壁がくずれ生き埋めになり町への入り口は閉ざされて完結する
「黒豹の爪」
上野動物園にニカラグアから来た黒豹を寄付する大金持ちの娘ユリ子
そこへ現れたのが永川博士と連れのニカラグア人ガンジャ
ガンジャは土地の迷信で黒豹をつかまえるとのろいがかかると言い出す
ユリ子の屋敷では不審な出来事が相次ぐが、これらはユリ子の宝を狙う永川博士たちの陰謀だとわかり、黒豹はなんの奇怪な点もなく檻に入ったままで事件は解決する

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「リットル・ジョーカー」
星形ダイヤの首飾りをしたまま行方不明になって10年の娘を探す老人
オットーサーカスにやってきて一座の花形チョビーと知り合う
老人は帽子に金鉱のありかが隠されていると打ち明けると、立ち聞きしていたサーカスの親方が帽子を狙い、チョビーは老人を連れて逃げ出す
サーカスは親方の命令で動くもの、チョビーを助けるもので大騒動
そこにジョーカー少年があらわれ親方を捕まえる
保安官カスメルが五人を逮捕して連れて行くが牢屋につくと縄を解く
このカスメルこそ、10年前チョビーを誘拐してサーカスに売りつけた悪人
ジョーカーの活躍で、カスメルも退治し、老人は娘を見つけ出して完結
絵柄もなめらかで他作を見ないのにこういう上手い作家さんがいるとは・・

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みやわき心太郎「チャリンコ銘名伝 成金の三平」66年

「刑事」48号所収、21P
チャリンコというのはスリの隠語という
中央線で騒ぎを起こしてどさくさに財布をする集団スリが発生http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=insert_image&blog_id=34734
被害者で開発の設計図を取られた老人が警察に泣きついてくる
管轄の刑事出科(いでしな)は中央線をしまにしている成金がこんなあくどいことをするはずがない、流れ者の仕業と見る
成金に会って、シマを荒らされたなと挑発する
思い通り、憤慨した成金、足を洗ったとはいえ先輩格のおやじさんが渡りをつけて流れ者一味とスリの腕を競うことに
しゃべる間もない早業でくだんの財布を相手から抜き返し、おまけに腕時計まで奪い去る
これにはみんな茫然という結末

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「少年世界」49年

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ロマンス社刊行、1月号が創刊号でここは2月号
70円、64P
付録が コロスケの探検、少年世界新聞
口絵 小松崎茂 自動車工場
諏訪三郎「三銃士」伊勢良夫絵4P
下1/4に西塔子郎「うで時計」1P4コマ、佐次たかし「こわい犬」2P6コマ、センバ太郎「ドングリチーム」1P4コマまんがが載る
吉田弦二郎「春風吹かば」吉沢廉三郎絵
香山滋「怪龍島」飯塚羚児絵7P
川島博士と真理夫少年はダイナザウルスのいる島をめざす
途中船中で知り合った少女グリと一寸法師とともに上陸するが
法師はみんなのじゃまを始めついにはグリを襲う
田河水泡「のらくろ記者」2P
棟田博「世界の屋根」嶺田弘絵6P熱血小説
日吉早苗「君と僕」浜野政雄絵6P読み切り明朗小説
原一司「アップルくん」1P
城夏子「三太のよろこび」津田穣絵6P読み切り
八木隆一郎「真珠のともしび」伊藤悌三絵5P

4月号(70円、64P)では「三銃士」の下にはがまさお「コグマのコロスケ」まんが
西島武郎「ハリケンちゃん」1P、ニュースカメラマンのユーモアもの
6月号は60円、72P

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みやわき心太郎「日曜日の九」64年

「青春別冊」1号所収、38P
夜間部から変わってきた転校生、蓼虫九
空いている席が君の席と担任から指定されたのが「女王さま」真美の隣でうらやまがられる
普通のまんがならこれで意地悪が起こるところ、真美は綺麗で車の送り迎えという金持ちだがきだてもいい
一方、九(坂本九を参考にしているのだろう、にきび顔であいきょうのある三枚目に描かれている)は気弱そうだが、朝は新聞・牛乳配達、放課後はレストランとアルバイトをいくつもこなしシンがしっかりしている
そのレストランで真美が男の子と二人連れでいるのを見て、九の恋心はしぼんでしまう
愛犬舎のバイトで犬を散歩させていると、あの男の子が何匹も犬を連れていて犬どおしのけんかとなり、九のズボンがさけてしまう
悪い悪いと屋敷に連れられてかわりのズボンを出してもらう時、なんと女王さまが現れる
男の子というのが真美の兄さんで、すっかりごきげんの九
九がバイトを重ねて得た金は孤児施設に寄附して、日曜日ごとに孤児院を訪れ子供達を遊ばせているということを偶然知った真美は自分もアルバイトをしたいと父に頼み込むしまつ
気になった親父さんは部下に娘をつけさせて様子を見るという結末

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「世界少年」48年

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11月号、世界少年社刊行、35円、64P
口絵がパロマ望遠鏡
野上滋「長靴をはいた猫」桜井悦絵7P
海野十三「恐龍島」山川惣治絵7P
小松崎茂「キングライオン」6P
田河水泡「ろばとペンちゃん」2P
ペンちゃんはペンキ屋のにいさん
絵から抜け出したろばを追って町に
暑いのでアイスを買ったろば、追ったぺんちゃんは2本分払わせられる
プールでゆうゆう泳いでるろばをつかまえ絵の中に入れると
出てこれないように風呂敷で包む
暑くてしようがないとうなるろばという落ち
藤井一郎「アフリカ探検家スタンレー」6P読み切り

49年新年号は 40円64P
お正月面白大会で井上一雄2P
山村夏生「魔塔の怪人」三芳悌吉絵8P新連載
小松崎茂「キングライオン」6P
海野十三「恐龍島」8P、9回目
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「キングライオン」は
アフリカ、ライオンは子供を千尋の谷に落とすという
2匹のこどものうち一匹は落とされ残った一匹は大鷲にさらわれる
巣へ運ばれ、このままでは餌になるというので鷲と戦いが始まり誤って谷底へ落ちてしまう
急流に流されたライオンの赤ん坊はピグミー族の少年サンガに拾われ育てられる
1月号では
ピグミー族を急襲するサンゴ族
気配を察知していちはやくキングが敵に向かっていったので大人たちも続いて包囲を破ることができた
キングは部族の守り神となるが、成長して自分たちを襲わないとも限らないと大人達が心配し出すのを見て
案じるサンガだった

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