東芝がSCiB電池の普及に気合いを入れている。1年ほど前なんだと思う。「このままじゃアカン!」と考えたらしく、それまで高飛車だった態度を一転させたという。私は複数の自動車メーカーから東芝の「変心」を聞いたが、舘内兄弟子もエンドユーザーに対する態度の変化を感じているという。大幅に安くなったそうな。
加えてSCiB電池って興味深い性能を持つ。フィットEVの急速充電は、残容量15%から満充電まで20分! 80%とか90%じゃなく100%というのが凄い! これ、どんなことを意味するか? フィットEVの電池容量は20kWhである。残り5%まで使えるとしたら、急速充電で19kWh分使えると言うことであります。
リーフのバッテリー容量は24kWhだが、残り5%まで使うとして22,8kWh。急速充電で90%まで充電した場合(所要時間は28分程度)、使える容量って実質的に20,4kWhということ。20分で100%まで急速充電出来るのは素晴らしい! しかも回生制動で充電可能な受け入れ電力も大きいというメリットを持つ。
じゃSCiBは圧倒的に素晴らしいのか、となると「そうでもありません」。そもそも電圧が2,4Vしかないため、日産NEC電池の3,8Vの3分の2程度の性能しか出ない。同じ24kWhを積むと、電池は1,4倍くらいのサイズになってしまう。フィットEVの電池、20kWhながらリーフの24kWhよりはるかに大きくて重い。
逆に考えてみよう。リーフにフィットEVと同じくらいの大きさ&重さの電池を積めば31kWhくらいになる。で、容量70%の24kWhを仮の「満充電状態」としておく。すると24kWhまでなら20分で急速充電可能。しかも10年/10万km走って容量が75%になっても、依然として24kWh分は残っていることになる。
つまり日産NECも東芝SCiBも同じようなモノなのだった。ということで電池の実用化は始まったばかり。どのタイプの電池がいいか、という結論を出すには早すぎる。むしろ競争することによって進化していくと思う。私らの役割は、それぞれの状況を正確にレポートすることだと考えます。(国沢光宏)
2012年10月14日
東芝のコペ転
posted by polishfactory5 at 02:00| Comment(4)
| 電池
これらを半々にして、普段はSICB主流で使い、減ってきたらリーフ電池から給電。
またはキャパシタとの組み合わせで。
そんなに簡単ではない?
つまり現在ほとんどの人が懐疑的な電気自動車が内燃機関の自動車に10年もしないで取って代わることはほぼ確定してると云える。
電気自動車の最大の難問は、自動車会社が抱えるエンジンやトランスミッションの開発と製造要員が不要になる問題。国沢さんのコメントだとトヨタのお偉いさんのなかにEVを嫌ってる人がいるようだが当然のことです。
最近アウディやレクサスそして次期クラウンなどやけに大きなフロントグリルをつけた新型車が多いが、これはグリル不要のEVに対するアンチなんでしょうね。
1950年台後半にジェット機のような大きなリアフィンをつけた米車がはやったが数年後に全滅した。大きなフロントグリルが廃れる頃にEVが本格的普及するでしょう。
考えてみれば充電に優れていますが、最近までは容量の大きさで競争していたのだから、よけい売るために攻勢を掛けなければならないはず。