「編集長インタビュー」

日本人が想定外の問題に対応できない本当の理由

齋藤ウィリアム浩幸さんに日本の問題解決の方法を聞く【1】

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2012年10月17日(水)

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齋藤:日本の大企業のチームづくりを手伝ったことがありますが、女性を入れたけれど、うまくいかないということが多い。私は責任を与え、女性を受け入れるチームの環境をつくってあげないといけないと提言しました。女性、女性と言って女性をただ組織に入れるだけではだめ。日本ではその後のフォローがなさ過ぎるんです。

 女性、女性と言って女性をただ組織に入れるのは逆効果で、なぜ女性を入れるのかの趣旨を分からせ、女性が活躍できる環境をつくらなければいけない。ノルマを果たすようなやり方で女性を組織に入れるだけで終わってしまうのはよくない。

 日本人は「WHAT」が好きなんです。女性を入れるなど、これやれ、あれやれと言われるのは好きで、みんなきちんとやりますが、「WHY」を知らない。なぜやるのかを考えないのです。

 チームは「WHY」を引き出すことがポイントなんです。グループは「WHAT」を聞いて、はい、分かりましたと言って1ミリ削る。チームはなぜ1ミリ削らないといけないかを考え、チームのメンバーとコミュニケーションしながら、「なぜ」を見つけていく。つまりコミュニケーションを密にとって解決策を見つけるのです。

その「なぜ」を見つけていくプロセスがイノベーションにつながるのですか。

齋藤:イノベーションにもつながるし、問題処理にもつながります。

 想定外とか例外処理に日本が弱いのは、「WHAT」はみんな知っているのに、「WHY」を知らないからです。何をするかではなく、なぜそれをするかを考えれば、どんな問題が起きても柔軟に対応できる。何をするかだけだったら、ただチェックリストの通りにしか行動できない。なぜを考え、知らないと、ちょっとでもマニュアルと違うことが起きると困ってしまう。

日本製の携帯電話が売れないことはみんな知っているんだけど、なぜ売れないかを知らない、というようなことですか。

日本人は「なぜ」を見つけられない人が多い

齋藤:なぜうちはiPhoneのような製品ができないのか、って、例えば品川の会社とかは思っているでしょう。でも、それは「WHAT」なんですね。何が売れないのかしか分かっていない。根本の「WHY」については考える余地がありそうです。

「WHY」である「なぜ」を見つけるのは難しそうです。でも、それは多様性のあるチームによって見つけられるのですか。

齋藤:そうです。日本のマネジャーは優秀なんですよ。「WHAT」をやることについては、誰にも負けない。でもマネジャーが管理職になって社長になると、それはマネジャー社長でしかなくて、「WHAT」はできる。けど「WHY」が分からない。

 方向性を決めるのはリーダーの仕事ですが、日本人の社長はそういうふうには育っていないんです。「WHY」を部下から聞き出せない。ほかの国ですと、「WHY」を聞き出すことができる。そして、その「WHY」に対してどう答えるかを決める人たちが社長になる。そうすると、世の中が方向転換しても、柔軟にリーダーシップを発揮できるのです。

(次回につづきます。掲載は、10月24日の予定です)

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飯村 かおり(いいむら・かおり)

日経ビジネスオンライン編集長。

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