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事件
【新たな「冤罪」】PC遠隔操作の恐怖(上) 発信元偽装 想定外の壁
2012.10.17 00:21
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「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ」
ウイルス感染したパソコンが遠隔操作され、インターネットで相次いで犯行予告や脅迫が行われていたことが明らかになると、ある警察幹部はこう漏らした。
IPアドレスとは、ネットに接続するパソコンや携帯電話などの機器ごとに割り当てられる識別番号のこと。データをやりとりする際のネット上の「住所」に相当し、個々の利用者にネット接続業者から割り振られる。
警察幹部の嘆きの声は、ネット犯罪の捜査ではIPアドレスから情報をたどり、容疑者の特定につなげるケースが多いことから漏れたものだった。
一方で、サイバーテロの捜査経験がある警視庁OBは「ネット犯罪の手口は日進月歩。ましてや相手のパソコンを乗っ取るハッキングの技術は、ネット犯罪の象徴だ。パソコンが生活の一部になるにつれて、こうした犯罪が起きてくるであろうことは十分に予想できた」と指摘。警察、検察ともに油断があった側面が浮かんできている。
■当初は容疑否認
「就職試験に落ちたので、むしゃくしゃしていた。不採用の知らせを受けた当日にやった」「楽しそうな小学生を見て、自分にはない生き生きさがあり、困らせてやろうと思った」
これらの供述は「犯行声明」によって冤罪(えんざい)の可能性が高まっている福岡市の男性(28)と明治大の男子学生(19)が容疑を認めた際のもの。2人に共通するのは、当初は容疑を否認していた事実だ。
元検事の野口敏郎弁護士は「容疑をいったん認めさせてしまえば、もっともらしい動機はいくらでも作れるということだろう。しかし、それで冤罪までも作ったのなら、とんでもないことだ」と批判する。
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