柔道の授業・部活:髄液漏れ3件…被害者の会に相談
毎日新聞 2012年10月16日 23時41分
柔道の授業や部活動中に衝撃を受け、「脳脊髄(せきずい)液減少症」になったとの未成年者からの相談が今年、「全国柔道事故被害者の会」(事務局・東京都)に3件寄せられたことが分かった。柔道を含めた武道が今年度から中学校の授業で必修となったが、脳脊髄液減少症の初期治療体制は不十分で、患者らは医療体制の整備を求めている。
被害者の会によると、3件のうち1件は今年1月、当時中学1年の男子生徒(14)=川崎市在住=が柔道の授業中、体重で20キロ、身長で10センチ以上大きい生徒と乱取り中、大外刈りをかけられ背中や頭を打った。
男子生徒は当初むち打ちと診断されたが、今年6月にようやく脳脊髄液減少症と判明。同症の治療を受け快方に向かったが、生徒の母親(42)は「もっと早く病名を知ることはできなかったのか」と嘆く。ほか2件は中1男子(07年、神戸市)と高2男子(10年、北海道)で、ともに柔道部の部活中だった。
被害者の会によると、柔道では中学1年の初心者が体格差がある相手との乱取り中に大外刈りをかけられ、けがをする例が多いという。このため、男子生徒がけがをした川崎の中学校は、▽柔道の授業で大外刈りと乱取りをさせない▽試合形式の場合は膝をついて行い、体格差と能力差を考慮して授業を行う−−ことにした。【西嶋正信】